ということで、調子に乗って2話目を投稿します(笑)
「それでは第一試合開始です!」
真耶の声が響き、葉とセシリアがアリーナで対峙する。
「よく逃げずに来ましたわね。ですが、ただでさえ私とあなた達では実力がかけ離れているのに、その上私は専用機、あなた達は訓練機では万に一つも勝ち目はありませんわよ?それとも、何か私を倒す策でもありまして?」
「いんや、お前の戦いはビデオで見させてもらったが、正直何も思い浮かばんかった」
「それなのによく来れましたわね・・・」
本来であれば、男性操縦者ということもあり、専用機が用意されているはずであった。しかし、一夏と葉のISを手掛けることとなった倉持技研も、さすがにこの短い期間で2機同時では間に合わなかったようだ。実は、男性操縦者の専用機ということもあり、倉持技研でもこだわりすぎて時間がかかっているということは、葉達には知る由もないことである。
「だから、戦いながら考えることにした」
「・・・あなた、喧嘩を売ってますの?そんな行き当たりばったりでイギリスの代表候補生である私に勝てるとでも?」
「やってみなくちゃわからないだろ?オイラはこういう時、“何とかなる”って思うことにしてるんよ」
「前々から思っていましたが、あなたのそういう何も考えず、ただのうのうと生きているだけなところに、私非常に腹が立ちますの」
セシリアは早くに両親を亡くし、その遺産を周囲の大人たちから守るため、強く生きざるを得なかった。イギリスの代表候補生の座も、死ぬ気で勝ち取ったものである。そのような彼女からしてみると、ただ楽に生きようとする葉の姿は、ひどく怠惰で浅ましく見えていた。
「いいでしょう。この観衆の中恥をかくと良いですわ。さあ、行きますわよ!ブルー・ティアーズ!」
セシリアの手に持っていた巨大なレーザーライフルから、矢継ぎ早にレーザーが放たれる。まだ、ISでの戦闘経験がないため、覚束ないながらも、葉は一度も被弾せずに避けていく。
「ここまで一度も被弾せずとはなかなかやりますわね。ではこれはどうでしょうか?」
ブルー・ティアーズの背面から飛び出したビットが葉を取り囲み、四方八方からレーザーを放つ。葉はギリギリで避けながらも、徐々にその動きが捉えられていく。
(まずい、取り囲まれちまった・・・。阿弥陀丸なら全部叩き落すくらいできたんだろうけど・・・。絶対に刀の間合いにビットが入らないようにしてるみたいだし、困ったな)
実は、試合直前、一緒にいた阿弥陀丸から憑依合体すれば試合に勝てるのではないかという提案があった。しかし、葉はそれを「シャーマンファイトでもないし、自分の力だけでやってみる」として却下していた。ひそかに阿弥陀丸は葉がまた頼もしくなっていっていることに感動していた。
「仕方ねぇ、あれをやってみるか!」
ビットから放たれるレーザーが何度か葉に掠るようになってきたころ、何かを決心したらしい葉が訓練機・打鉄の装備を量子変換し、刀からアサルトライフルへと持ち変える。
「まさか葉は、刀だけじゃなくて銃も使えるのか!?」
管制室のモニターで見ていた一夏が驚く。ISの訓練を受けてきた人なら、基本的には銃と近接武器の両方がある程度使えるようになっている。しかし、今までISを扱えるなど夢にも思っていなかった男子高校生が銃の訓練などしているはずもなく、それゆえ、刀だけではなく、銃の心得もあったのかと一夏は驚き、なぜそのような経験があるのかと不思議に思っていた。だが、当の本人は、
「やっぱ、当たらんか」
ビットに向けて散々ぶっ放したものの、素人の銃撃を掻い潜れぬセシリアではない。当然のことながら、葉に銃を扱った経験などなく、ここ数日の間で少し練習した程度に過ぎない。これにはさすがに一夏たちも苦笑いをしている。
「だけど、オイラわかったことがある。実戦で銃を扱うってこんなに難しいことなんだってことだ」
「はあ?こんな時に何をおっしゃってますの?」
「アサルトライフル一丁だけでもこんなに集中力使うんだ。ましてやビットを4基も操作してるセシリアはもっと大変なはずだ。そのライフルを撃ってこないってのがその証拠だろ?」
「っ!?」
「それと、必ず一基は・・・背後の死角に来るように配置してるってことも、な!」
その言葉と共に、前を向いたまま、持っていたアサルトライフルを後ろに向かって撃ちだし、ビットを撃破。一基壊れたことにより包囲網に穴ができた。葉であれば、そこを突っ切り、レーザーライフルを使えないセシリアへと攻め入ることは容易い。
「させませんわ!」
操作をビットから手持ちのレーザーライフルへと切り替え、葉の接近を阻むように移動しながら狙撃する。ビットからの攻撃がない分、葉も余裕をもって避けながら、セシリアを追いかける。
(レーザーライフルは当たらない。ビットでは集中力の関係で、守りが手薄になる。
次の瞬間、セシリアは葉のあり得ない行動を目にした。
(銃を投げたんですの!?使い方間違ってませんこと!?)
葉は遠距離が得意なセシリアに対し、自身の持つ唯一の遠距離武器をぶつけた。そう、銃弾を撃つのではなく、銃そのものを投げつけるという方法で。反射的に銃を撃ち落とすも、人は自分の理解できないこと、あり得ないものを見た時、一瞬思考が停止する。それはこの場におけるセシリアも同様であった。それにより、葉の接近を許してしまった。だが、葉の接近に気づいたことにより、再び冷静さを取り戻す。
「っ!?でも、甘いですわ!」
葉がギリギリまで近づいたところで、隠してあった残り二つのビットからミサイルを放つ。セシリアが勝利を確信した瞬間、
「これなら、斬れる!」
一瞬のうちにミサイルと2機のビットが斬り落とされる。先程までのレーザーは、あくまでエネルギー体であり、非実体のものであったことと、ビットは常に刀の届かないところにあったため、苦戦を強いられていた。しかし、この距離であれば、どちらも届く。
(私は、負けたのですね・・・。こんなに大勢の前で。こんなユルい人に)
そして、葉が再び刀を構える。この一撃で決まる。セシリアが絶望し、悔しさから出そうになる涙を必死でこらえていた時、
「お前との試合は楽しかったぞ」
ただ純粋に、侮蔑の色など微塵もない。葉の心だけがそこにあった。
「阿弥陀流、後光刃」
薄れゆく意識の中で、セシリアが最後に見たのは、ユルい少年の、だが確かな強く迷いのない眼差しであった。
この瞬間、完全に勝負が決した。
一夏の試合も終わり、セシリアは自室で一人考える。
(何でしょう。このもやもやした気持ち。一度とはいえ、負けたことが悔しいという感じでもない・・・。ただあれほどひどいことを言った私に対して彼が最後にかけた言葉、向けた眼差し。どうしてと尋ねてみたい、
ほんのわずかな心の変化が訪れていた。
戦闘シーン書くのって難しいですね・・・
セシリアは、まだ完全には落ちてません。