ハイスクールD×D Restart Welsh Dragon 作:ふくちか
いきなりではありますが、ふと思い浮かんだ新作を投稿いたします。
まだ平日は忙しいので、不定期にはなると思いますが、何卒ご容赦下さい。(ウィザードの方も合間を見て書いていきたいと考えております)
0話「慟哭の果て」
稲光が轟く――――
豪雨が降り注ぐ――――
全てが滅び、荒廃した世界に。
世界の中心――――巨大なクレーターがある場所の中央に、彼は立っていた。
「……リアス、皆」
――――兵藤一誠。
彼はこの世界の顔たる存在。
以前までは、仲間や愛する者達と共に過ごしていた――――筈であった。
とある悪魔の企てにより甦った、古の魔物により、彼の日常は、崩壊した。
原初の悪魔よりそれを奪取せし邪龍達もまた、魔物の餌食となった。
世界は――――三大勢力は一丸となって魔物を倒さんとした。
だが、一人……また一人と散っていった。
『イッセー……後は、頼んだぜ…………』
『すまない、イッセー君…………』
最初は、恩師であった。
そして彼が尊敬する、義兄もまた、魔物の前に屈した。
『こんな形で……死ぬとは…………まだ、君との、決着も…………』
次に、好敵手達であった。
彼らも一矢報わんとして魔物に挑み、堕ちた。
『ちっく、しょぉ…………!』
『イッセー、くん…………僕は……っ』
彼の
『イッセー……私、貴方と会えて、良かっ、た…………』
そして、終生守ると誓った彼の恋人達も、魔物に叶わず、命を散らした。
『あぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!』
魔物は止まらず、彼の家族や、友をも滅ぼした。
失うものはなくなった――――彼は、せめて世界は守ると自らに誓い、魔物と戦った。
唯一残った、二体の龍と共に。
そして、魔物は滅びた。
――――世界の滅亡と引き換えに。
「リアス、皆…………俺、仇は取ったよ。トライヘキサを、倒したよ」
そこにはもういない、亡骸すらない者達へと、一誠は語りかける。
降りしきる雨が、彼の体を濡らしていく。
『相棒…………』
彼の左手が、淡く輝きを放つ。
低い声音だが、そこには一誠を気遣う色が窺える。
だがその心遣いも、一誠には届かない。
彼の心は――――もう、死んでいた。
この雨は、彼の心情の様にも、一誠の相棒には映った。
そんな彼に、何者かが語りかけた。
「イッセー」
少女の様な、幼い声。
一誠はその声に振り返る事なく、名を呼んだ。
「……オーフィス」
無限の龍神・オーフィス。
魔物――――トライヘキサのもたらした滅びから生き延びた、最強の龍。
もう一体の龍と共に、一誠はトライヘキサを討ち取った。
「……イッセー、もう一度、やり直す?」
「……は?」
前置きもなく語られたその一言に、一誠は漸く振り返る。
オーフィスは淡々と続けた。
「滅びる以前に戻り、終末を回避する?」
「……どういう、意味だ」
『……まさか』
今一つピンと来ない一誠を余所に、彼の相棒は合点が行ったらしい。
オーフィスは、一誠に伝えた。
「過去に戻る。イッセー、再び滅びる前の世界に生まれ変わり、滅びを回避できる」
「…………!」
オーフィスの説明に、一誠は漸く理解した。
それと同時に、彼の瞳にも僅かながら光が生まれた。
「そんな事が、出来るのか……?」
「イッセーの体、夢幻と無限が備わっている。そして、グレートレッド、まだ生きている。夢幻は0……再びゼロから始められる」
オーフィスの言葉を皮切りに、天より龍の咆哮が木霊した。
空を見上げると、そこには天をも覆わん程の巨大な赤い龍がいた。
「グレート、レッド……」
夢幻の龍、グレートレッド。
グレートレッドは、何も語らない。
ただ静かに、一誠を見据える。
「…………俺は、もう一度、やり直したい。皆を、死なせたくない。……もう二度と、世界を滅亡させる訳には行かない!だから、俺は――――」
その直後、グレートレッドは強く吠えた。
世界を揺るがす程の咆哮が、世界に響いた。
そして兵藤一誠の意識は――――そこで途絶えた。
ーーーー
「…………!」
「……!」
何者かが、自分を呼んでいる。
『ん……』
一誠の意識は、徐々に覚醒して行く。
光を求めて、そこより這い出る。
『俺は…………一体…………?』
意識の覚醒と共に、一誠は自分の体に違和感を覚えた。
『体の自由が、効かない……?』
自分の意思で、体が思うように動かせないのだ。
そして徐々に、体の神経が鮮明になっていく――――が、そこで一誠は驚愕する。
『何か、体が小さくないか…………?!』
自分の体が、記憶とはかけ離れた程に、小さくなっている。
混乱する一誠の意思とは裏腹に、何やら本能がざわつき始めた。
『な、何だ一体…………』
「……オギャアァァァァァァ!!!!!」
『?!』
一誠は言葉を失った。
今のは、もしかしなくとも……
『赤ちゃんの、鳴き声?!……って、うわっ!』
驚く一誠の体は何者かに持ち上げられた。
見れば、そこには看護婦さんがにこやかに笑っていた。
「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」
『は、はぁ?!』
事態を全く飲み込めていない一誠、もう一方を振り返り――――絶句した。
『……父さん、母さん?!』
そこにいたのは、紛れもない一誠の両親であった。
しかも、
『何か、若い!?』
滅びる以前の記憶より、まだ若さが残っていたのだ。
『つまりこれって……』
『文字通りの再出発だな。相棒』
『!』
漸く飲み込めてきた一誠の目の前に、赤いドラゴンが現れた。
その姿は、一誠が見慣れた相棒であった。
『……ドライグ!』
見知った顔に会えて、綻ぶ一誠。
取り敢えず一誠は、今の状況をドライグに確認する。
『ドライグ。今俺ってどうなってる?』
『無垢な赤ん坊だ』
やっぱりそうか……そう思い、一誠は項垂れる。
『……じゃあ、オーフィスの言ってたやり直すって』
『そのままの意味だ。お前は、過去のお前へと転生したのだ』
『……はぁぁぁぁぁぁ!?』
「オギャアァァァァァァァァァァァァ!!!」
一誠の驚きを代弁するかの様に、赤ん坊の一誠は大きな泣き声を上げた。
かくして、滅びを回避するため、過去より馳せ参じた赤龍帝・兵藤一誠の新たな物語が始まるのであった。
のっけから原作改変してるじゃねーか!の突っ込みは絶版で
パラレルワールドの一種だと思ってください