ハイスクールD×D Restart Welsh Dragon 作:ふくちか
大晦日だからだぁぁぁ!!!
「ん………?」
俺ことイッセーは、走り込みの最中、何か違和感のような物を覚えた。
何か一瞬、空気が張り詰めたような………そんな感覚。
『相棒。この先で結界が張られたぞ』
結界?
……もしかして、三大勢力の誰かが?
『それは分からんが、この先に何かあるというのは確かだろう』
…一般の人に気づかれないように、か。
ドライグ、籠手は大丈夫か?
『問題はないが……禁手は数時間しか持たんぞ。荒事を想定するなら、長期戦は不利と考えておけ』
分かった。
とりあえず倍加を頼む。
『了解だ。……相棒、無茶はするなよ』
……善処するよ。
俺はそう答えると、結界の発生源へ向けて走り出した。
「……ここか。って、神社?」
たどり着いた先は神社。
中から複数の気配を感じるが…………その中には懐かしい気を感じた。
『うふふ、大好きですわ!イッセー君♪』
………まさかな。
その可能性がない事を信じて石段を上ると、前方に薙刀を構える男が二人いた。
「何者だ小僧!?」
「一体何処から――――」
「……退けっ!」
《Welsh Dragon Balance Breaker!!!》
良いタイミングだっ!
鎧を纏ったのと同時に、俺は男二人を殴り飛ばした!
その勢いに乗って縁側へと飛び込むと、複数の男が女性と女の子を囲っていた。
そしてその女の子は――――
「朱乃、さん……………」
……運命ってのは、何でこうも人を翻弄するんだろうな。
女性――――確か、朱璃さん――――の腕の中で抱かれている子供は、泣いていた。
「――――何者だ、小僧」
周りがどよめく中、真ん中にいた一番偉そうな男が訪ねてきた。
「……何者、なんだろうな」
…そう言えば、今の俺は、本当に兵藤一誠なのかな。
………未来からやってきて、過去の自分に憑依して、今ここにいる。
名前っていう識別番号上では俺が一誠なのは確かなんだろう。
でも――――本当にそれが正しいのか?
『相棒!!』
「ッ!」
等と考えていると、いつの間にやら俺の眼前には複数の刃が迫っていた!
「――――ふっ!!」
ドライグのお陰で、何とかギリギリで飼わした俺は、返す形で拳をぶつける!
それを受けて、真ん中の男以外が吹き飛ばされていく。
「……大した力だ。小僧、何故貴様はそこの親子を庇う」
『…人が人を助けるのに、理由なんているのか』
俺はそう返す。
如何やらドライグが気を聞かせてくれたのか、俺の声音はドライグのように低い物になっていた。
「そこの娘は人ではない。黒木天使との間に生まれた――――忌子なのだ」
『忌子…………か』
「…?」
そう言えば、以前の朱乃さんも、自分をそう言っていたな。
堕天使との間に生まれ、悪魔なのか堕天使なのかも区別がつかない…………それが、それが何だってんだ。
『俺はあんた等の事情は知らない。この人が禁忌を犯しているのも、それはあんた等の視点での話だ』
「……」
『俺の目には、ただ無力な親子の幸せを奪おうとする悪鬼にしか見えない。……忌子だろうがなんだろうが関係ない!!あの子は、望まれてこの世に生を受けた存在だ!!』
そうだ………朱乃さんは、忌子でも、悍ましい化け物でもない!
バラキエルさんと、朱璃さんに臨まれて生まれてきた、姫島朱乃と言う――――
『一つの命だ!!!…それに、目の前で理不尽に命が奪われていくの、もう沢山だ!だから守る!!俺がこの場に立つ理由は……それだけで十分だっ!!!』
「!!」
一気に詰め寄り拳を放つ!
男は刀の刃の腹で受け止めるが、大きく後退る!
「このような子供の体の、何処にこんな力が………っ!!」
『おおおおおっ!!!』
「…ぐっ!!」
今度はわき腹に蹴りを叩き込む!
その一撃に体勢を崩した男に向けて、ストレートを叩き込む!
「---っ!!!」
勢いよく吹き飛び、男の体は壁を破壊しながら倒れこんだ!
その直後、籠手の宝玉が点滅を始めた。
『そろそろ禁手が解除される。相棒、急がなければ――――』
「死ねぇえええ!!!」
その声に反応して後ろを振り向けば、先ほど吹き飛ばされた男の一人が朱乃さん達に向けて刀を振りかぶっていた!
その直後、俺の脳裏には――――
『……朱、乃?』
疲労で膝をついた俺を庇うように前に立ち、
『ごめん、なさい…………イッ、セー………………』
夥しい出血と共に、哀しそうな笑顔で俺へと振り返る朱乃さんが――――
気付けば、俺は走っていた。
「…っ!!」
『相棒!!!!!』
そして――――その身で、男が振りかぶった刀を、受け止めていた。
『…ッ!!』
「っ!?は、放せっ!!このままでは、お前はっ!!」
『これを、放したら、アンタは…またこの親子を襲うんだろ……?だったら…放せる訳ない、だろっ………!!』
「ダメ!!!もう止めて!!これ以上は、もう良いから……っ!!」
刀身を手で掴んで絶対に放さないようにする。
朱璃さんが涙声で止めようと声を張る。
俺の体からは血が止めど無く流れるが、全部無視する。
この親子を……もう…………
『あんた等の理不尽な都合で、殺させてたまる、かぁ!!!』
「ぐ、ぉぉ!!!」
がら空きだった腹に渾身の一撃を叩き込む!
崩れ落ちた男に目もくれず、俺は刀をへし折って投げ捨てる。
「……小僧。貴様は英雄を気取るつもりか?」
瓦礫の向こう側から、荒い息と共に立ち上がった男。
『…英雄?俺に、そんな資格はない………俺はただ、俺の使命に従っただけだ………』
朦朧とする意識の中、俺は手を広げて親子を守る意思を見せる。
出血は何とか収まってる……倍加での、自己治癒力の強化が、役に立ったな。
『もう止せ相棒!!これ以上戦えば、お前は………!!』
『構うもんか!!俺の命なんて、どうなったって……!!!』
あの時から、俺は死んだも同然なんだ……悔しかったよ。
あの時ほど、リゼヴィムの糞野郎の言っていた言葉が理解できた事が…………此間までの俺は、まさに生ける屍だった。
だけど、皆を守るために戦って、死ねるなら、本望だ!!
「…ならばお前を殺し、その親子も殺すまでだ」
男が刀を構えた、その時であった。
「――――随分と乱暴な事をしてくださいましたな?大叔父殿」
上空から、何者かの声が聞こえてきた。
「……雷光の堕天使か」
男は空を仰ぎ、忌々しそうに呟く。
俺もつられて空を見上げると、そこには懐かしい顔がいた。
――――バラキエルさん。
堕天使一の武人にして、随一の実力者。
その人は今、憤怒の表情で男達を見下ろしている。
「……この状態では制裁どころではないな。行くぞ」
男達は転移魔法で消えていった。
「父様!!」
「遅くなって済まなかった。朱乃、朱璃……」
朱乃さんはバラキエルさんの元へと走っていく。
…結構、際どいタイミングだったな。
『…まさか、あの堕天使が駆けつけるのを待っていたのか?』
…あぁ。
今の俺じゃ、スタミナが持たないからな。
前に聞いた話じゃ、バラキエルさんが帰ってきた直後に、朱璃さんは亡くなっていたって聞いたからな。
だから、戻ってくるまで粘ったんだ。
『まさか本当に命を捨てるつもりだったのかと肝を冷やしたぞ』
その時はその時さ。
…………あの親子の笑顔を守れるなら、俺は喜んでこの命を捨てていただろうな。
『……相棒。ならば、お前の笑顔は、誰が守るのだ』
…………………俺にはもう、笑顔なんて必要ないよ。
皆の死を、犠牲を忘れて……のうのうと笑える訳、ないからな。
俺は静かにその場を去ろうと歩き出した。
「――――待って!」
だが、そんな俺を引き留める者がいた。
「血が出てるんだから、手当てしなきゃ!」
――――朱乃さんだ。
「そうよ。先ずは君の治療をしないと――――」
『…いえ、大丈夫です』
朱璃さんの言葉を遮り、俺は前へと歩き出す。
「ダメだ!君ほどの力を持つ者なら、今の状態を理解してるはずだ!」
『……………』
俺は無言で、石段を下りていく。
「待って!――――あなた!」
「分かっているとも!待つんだ!」
朱璃さんとバラキエルさん、そして朱乃さんが追いかけてくるのを察した俺は、倒れるように物陰へと隠れた。
……力が弱まって、気を隠しやすくなったのは、怪我の功名だな。
『……相棒。今の状態で家まで歩くのは危険だ。転移しろ』
「……あぁ」
事前に家に施していた魔法陣と、ドライグのオーラを共鳴させて、俺は家へと転移した。
ーーーー
「ちょっと、無茶しすぎた、な…………」
何とか自分の部屋までたどり着くが、ドアを開ける余力もなく、俺は倒れる。
「……ッセー………っ!!」
朦朧とした意識の中、誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる。
視界もはっきりしない中、俺が捉えたのは、黒い尻尾?と猫耳だった。
そして――――
「……ー?!……!!」
「!!…!!」
父さんと母さんらしき声も聞こえてきた。
あぁ………最悪だ。
そこで、俺の意識は沈んでいった。
乾燥にてハーレムは増えるのか減るのかとありましたが、原作メンバーはそのままで行くつもりです。
そこにチョイチョイ追加される感じです。
2017年、更新が途絶えがちになってしまい申し訳ありませんでした。
また来年度もよろしくお願いいただければと存じ上げます。
では