IS 全ては兄の為だけに   作:白ウサギ

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この作品は主にラウラ視点で話を進めていきます。
現時点ではあまり、というか全く主人公視点はない予定です。


1話

「ここがお前たちのクラスだ。私が合図をしたら入ってこい。そして各人、自己紹介をしろ」

 

 

 教官がそう言う。

 私達のクラスは1-1らしい。どうでもいいがな。

 転入生は私と兄様の他にももう一人いた。中性的な顔立ちをした奴だ。

 兄様(にいさま)と同じで男でISを動かせるらしい。正直、三人も同じクラスにいれるのはどうかと思う。

 よくても二人までだろう。もちろん私と兄様だ。金髪の男は別のクラスでもやっていけるだろう。

 

 

「「「ええええええっ!?」」」

 

 

 合図を待っていると中から声が響く。それに驚いた兄様は体をビクッとなさる。

 ……兄様は可愛いな。

 声が聞こえて少しするとドアが開いた。

 これが教官も言っていた合図か。

 そう思い私たちは教室へ入っていく。順番は金髪の男、兄様、私だ。

 

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。みなさんよろしくお願いします」

 

 

 金髪の男、シャルル・デュノアが初めに挨拶をする。

 気が向いたら覚えておこう。その程度の存在だ、貴様は。ISが動かせようと関係ない。

 

 

「お、男……?」

 

 

 クラスの誰かがそう呟く。だから何なのだ。貴様らのクラスには既に一人男がいるだろう。

 

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を――――」

 

「きゃ……」

 

「はい?」

 

「きゃああああああ――――っ!」

 

 

 ソニックブームかと思うような声があがる。五月蝿い奴らだ、静かにできんのか。

 兄様の方を見ると耳を塞いでいらっしゃった。どうやら耳をやられたようだ。

 ……貴様ら、覚悟はいいだろうな? 兄様を傷つけるということはそういう事だ。

 

 

「あー、騒ぐな。静かにしろ」

 

 

 教官がそう言うが奴らはあまり変わらない。

 

 

「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介は終わってませんから~!」

 

 

 周り(教官を除いて)と服が違う背が小さい奴(私より大きい)がそう言う。そうすると漸くクラスが落ち着く。

 

 

「え、えっと、ライラ・ボーデヴィッヒです。ドイツからデュノアくんと同じで経緯で来ました」

 

「きゃああああああ――――っ!」

 

 

 兄様が自己紹介をなされる。すると先ほどと同じように女どもの奇声があがる。

 ……よくこんな声が出るものだな。私には無理だ。出したいとも思わんが。

 

 

「また男子!? うちのクラスに三人も!? お母さん、生んでくれてありがとう!!」

 

「え、あれで男? 負けたわ……」

 

「お人形さんみたい」

 

 

 兄様の方を見るとまた耳を塞いでいらっしゃった。

 ……貴様ら、もう許さん。

 誰から殺そうかと考えながら一歩前へ出ようとした時、教官が私に声をかけてこられた。

 

 

「ラウラ、落ち着け」

 

「し、しかし……!」

 

「落ち着けと言っている」

 

 

 教官にそう言われたので渋々引き下がる。命拾いしたな、次は無いと思え。

 

 

「ラウラ、自己紹介をしろ」

 

「はい、教官」

 

 

 私がそう言うと教官は顔をしかめて言った。

 

 

「ここではそう呼ぶな。もう教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」

 

「了解しました」

 

 

 教官に敬礼をする。変える気はない。だが、形式だけでもやっておかなければな。

 ふむ、そういえばまだ自己紹介をしていなかったな。めんどくさいがやらなければな。

 

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。判るだろうがライラ・ボーデヴィッヒは私の兄だ」

 

「あ、あの、以上……ですか?」

 

 

 何を言っているのだこいつは。これだけではいかんのか? 十分だろ。

 

 

「以上だ」

 

 

 解らせてやる為にきっぱりと言い切る。

 ふと一番前を見ると男が座っているのが見える。

 あれが教官の弟か……。貴様の所為で……。

 

 

(何か俺めちゃくちゃ睨まれてるんだけど何かしたか?)

 

 

 教官の弟であるこの男は困惑した表情を浮かべている。

 あの男を見ているだけで苛立ってくる。後で兄様の世話をしよう。そうすればこの苛立ちも収まるに違いない。

 

 

「ではHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

 

 教官の言葉で皆それぞれ行動に移していく。

 そんな中、教官があの男に声をかける。

 

 

「おい、織斑。デュノアとライラの面倒を見てやれ。同じ男子だろう」

 

「なっ! 教官、それはどういうことですか!?」

 

 

 教官の言った事に驚きのあまり声を荒げて聞き返してしまう。

 あの男に兄様を任せる!? 冗談ではない! 私は憤りを隠せない。その証拠に教官に対する口調が少し荒くなってしまった。

 

 

「どうもこうもないだろ。男の織斑に任せるのは不思議な事ではあるまい」

 

「そ、そうですが……」

 

「それよりお前も早く着替えろ」

 

 

 そう言っている間に奴は兄様と金髪の手を引いて教室から出て行った。

 

 

 

 

       ◆ ◆ ◆

 

 

 

 千冬姉に言われたから二人を連れて更衣室に行く。あそこに行くの大変なんだよな。もっと近くに作ってほしいもんだ。

 

 

「とりあえず男子は空いているアリーナ更衣室で着替え。これから実習のたびにこの移動だから、早めに慣れてくれ」

 

「う、うん……」

 

 

 シャルルから返事が返ってきたけど何処か落ち着きのない返事だった。

 ……トイレか? そう思って聞こうとした時、後ろから声をかけられた。

 

 

「おい、貴様」

 

 

 振り返ると転校生のラウラがそこにいた。こいつとは馬が合いそうにない。自己紹介の時も睨まれたしな。

 ていうか着替えるの速いな。まだ一分も経ってないと思う。

 

 

「何か用か?」

 

「用もないのに貴様のような奴に話しかけるわけがないだろ」

 

 

 ムカつく。こいつ、上から目線なのが気に食わない。

 

 

「兄様の面倒は私がみる。だから兄様をよこせ」

 

 

 よ、よこせって……。もう少し言い方があるだろ。

 

 

「さっさとしろ!」

 

 

 おお、流石ドイツの軍人。気迫がすごい。圧倒される。

 ドイツ軍はこんな奴が多いのか? それならドイツはすごい強いだろうな。流石千冬姉、織斑千冬二号を作っているなんて。

 こんな事を考えているとラウラは俺からライラを奪っていく。

 

 

「行きましょう、兄様」

 

 

 おお、優しい声だ。その優しさの三割でもいいから周り向けてくれると嬉しいんだがな。

 急に妹が来て困惑しているライラはこちらに申し訳なさそうに頭を下げていた。

 兄妹でこんなに違うんだな。見た目ほぼ同じなのに。

 違う所というとラウラが左眼に眼帯を付けているぐらいだ。ライラが眼帯を付けたらどっちだか判らんだろうな。

 

 

「一夏、時間大丈夫?」

 

 

 シャルルが心配そうに聞いてくる。

 ……ん?

 

 

「やばい! 早くしないと遅れる!」

 

 

 呆けすぎていた。そうだよ、ラウラと話してる場合じゃなかった! シャルルに声をかけられるまで二人の外見の特徴を探してた。

 恐らく1、2分だと思う。結構なロスだ。

 次の授業は確か千冬姉の授業だ。遅れたらまずい事になる。

 おかげで更衣室までは全力疾走だった。

 

 

 

       ◆ ◆ ◆

 

 

 

「織斑くんに悪い事しちゃったなぁ」

 

 

 兄様がそう仰る。

 

 

「何を言っているのですか、兄様。あのスピードでしたら兄様はついていけない筈ですよ」

 

 

 そう、兄様は私と違って体が弱い。普通の人にとって少し速いくらいでも兄様は200mも行けば疲れてしまうのだ。現に今も息が少し荒い。

 それなのにあの男……許せん。

 

 

「で、でもそれは言ってなかった僕も悪いんだから」

 

「何を言うのですか兄様。何も聞かない奴も悪いのです」

 

 

 私がそう言うが兄様は優しいのであの男の事を庇い続けた。どうして庇うのですか? 私には解らない。

 

 

「それより早くしなければ間に合いません。あの手でいきましょう」

 

 

 そう言うと兄様は「うっ」と声を漏らす。

 

 

「ラ、ラウラ、流石にあれは……」

 

「もう時間がありません。速く!」

 

 

 だが、兄様はなかなか賛成しない。何がいけないのですか!?

 

 

「ラウラ、あれは流石に恥ずかしいよ……」

 

「いつもやっていたではないですか。さあ、速く乗ってください――――私の背中に!」

 

 

 ドイツにいた時はよくやっていたのに何故ですか?

 恥ずかしいと兄様は言うがドイツでも急いでいる時はこの方法だったから慣れているはずです。

 背負うか抱く。ドイツにいた頃、最初はどちらにするか迷っていた。私はどちらでもよかったが、兄様の希望で背負うことになった。

 だからといって毎回私が背負っている訳ではない。

 急いでいる時や兄様が疲れている時ぐらいだ。別に私は毎回兄様にやって差し上げても一向に構わないがな。

 

 

「うぅ……」

 

 

 小さくうめきながらも私の首に手が回ってきた。恐らく顔を赤くしながらだと思う。そんな兄様が見れなくて残念だ。

 これなら十分間に合うな。全力で走るか。兄様は軽いのであまり苦にならないからな。

 

 

 

       † ☆ †

 

 

 

 更衣室まで兄様を送った私は着替えた兄様と共に第二グラウンドへ来た。

 どうやら教官の弟ともう一人の男はまだ来ていないようだった。全く、遅い奴らだ。もっと速く動けんのか? 兄様の面倒は私が見て正解だったようだ。

 

 

「遅い!」

 

 

 教官が声を荒げる。やっと奴らが来たようだ。

 やはりこんな奴らに兄様は任せられんな。教官に後で直談判でもしてみるか……。

 

 

「くだらん事を考えている暇があったらとっとと並べ」

 

 

 ばしーん! 何を考えているかはどうでもいいが、変な事を考えている奴に兄様を任せるのは賛成できん。

 これはやはり早急にでも解決しなければ。

 

 

 

       † ☆ †

 

 

「では、本日から実践訓練を開始する」

 

 

 教官の声に全員が返事をする。ふむ、そういえば今回の訓練は合同だったな。通りで人数が多いわけだ。

 

 

「今日は戦闘を実演してもらおう。――鳳! オルコット!」

 

 

 訓練機を用意していない所を見ると専用機持ちか。しかし専用機持ちの奴らは不服そうにしている。

 なかなかやる気を見せない奴らに教官が何かを呟く、すると奴らは目に見えるほど明らかにやる気を出す。流石教官です。一瞬にしてやる気を出させるとは。

 

 

「慌てるな馬鹿ども。対戦相手は――」

 

 

 キィィィン。

 その音が聞こえた瞬間、上を見る。そうして私は兄様を抱えてある程度離れる。

 その数秒後、ドカーン! という音と共にISを装備した誰かが地面に激突する。

 見ればISを装備しているのは副担任の何とかという奴だった。

 

 

「ラ、ラウラ? どうして僕の目を隠すの?」

 

 

 確かに私は隠している。理由は簡単だ。教官の弟が副担任の胸を鷲掴みにしているからだ。

 あいつ、ただの役立たずかと思ったら、どうやら違ったようだ。変態だったとはな。

 当然そのような光景を兄様に見せるわけにはいかない。

 

 

「すみません、兄様。ですが、もう少し我慢していてください」

 

「え? う、うん、わかった」

 

 

 兄様は私の言ったことを信じて返事をなさる。

 

 

「残念です。外してしまいましたわ……」

 

 ガシーン

 

「うおおおっ!?」

 

 

 何やら先ほどの専用機持ちの二人が教官の弟に攻撃をしている。……まさか奴らあの男に惚れているのか?

 

 

「ね、ねぇ、さっきから騒がしいけど大丈夫なの?」

 

 

 まだ目隠しをされている兄様は周りがわからないので私にお聞きになる。

 ……ふむ、どう答えようか。

 ドンッドンッ!

 そんな中、あの男に向かっていた両刃状の武器は副担任の『ラファール・リヴァイヴ』によって打ち落とされる。……なかなかやるな。

 

 

「ほ、本当に大丈夫?」

 

 

 今の発砲音で更に不安になったようでまた兄様がお聞きになる。……目隠しを外すのがもったいない。こうすれば合法的に兄様に触れるからな。

 まあ、合法的ではなくても触る時は触るがな。

 しかしどうやら戦闘が始まるようだ。惜しいがここまでだな。

 まあ、あの二人のISの性能でも見せてもらうとしよう。




ラウラは原作と違う理由で一夏に怒りを感じています。まあ、その辺は過去の話で出てきます。
二巻終了後、更にラウラが壊れます。


二巻、三巻までを本編とし、四巻の内容+αを番外編として書く予定です。
現在、五話程度執筆できていますので、三日に一回更新していく予定です。
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