正義の味方のなり損ない   作:アマノハブキ

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とあるMADに触発されて書きました。

新しい書き方にチャレンジなので、少し気持ち悪いかも。最初短めでのちのちには三千文字くらいで書きたいと思ってます。







ゼロ

 

 

 

 

「これは……………想像以上だな……………」

 

目の前に広がるのは阿鼻叫喚の大地獄。嗅覚を貫く火薬の匂い、大地には鮮紅の池が広がり、部位が欠損した肉体が物言わぬ人形となってそこらじゅうに散らばっていた。死んでいったもの、今のなお苦しみ続けるモノ達のこびり着くような声はしばらく忘れられそうにない。

 

そんな認識で狂えていればどんなに楽だっただろうか。

 

先程の言葉も、数々の死体を目に現れた言葉ではなく、『想像以上』に殺すための火薬が必要になったな。という意味合いだった。

今の彼の頭の中はただ、生き残りをどう片付けるか、というプランの構築という作業のみが行われていたのだ。

 

覚悟は決めていた。腹も括った。しかし、気づけば正史(・・)の彼と同じ道を歩いていた。

 

根底にある願いは、彼を救いたい。ただそれだけだった。

Fate/Zeroを読んで、彼の絶望、苦悩を知り、助けたいと思った。叶うことならば、さらにその外伝の『プリズマ☆イリヤ』の彼のような幸せな人生を歩んで欲しかった。

 

何故か、物語の世界に二回目の生を受けた自分。その物語とは、超有名シリーズ、TYPE-MOON、通称型月が提供する『Fate/stay night』の外伝、『Fate/Zero』が始まる何十年か前だった。

衛宮一族四代目当主衛宮矩賢の次男、衛宮(えみや)切謙(きりかた)として新たに生を受けた。やはりと言うべきか。衛宮一族は、固有結界の中で時間を無限に加速させ、宇宙の終焉を観測することで根源に至ろうとしていた。父は、自分の魔術の研究を達成させるためには、人の寿命では時間が足りない、さらには固有結界での無制限の加速に人体では耐えられないとと気づき、延命治療いや不老不死となるために『吸血衝動を抑制できる死徒化』の研究を始めた。その研究を進めていくと、魔術協会により封印指定を受けた。世界中どんなところにいても命を狙われるようになり、各国を転々としながら研究を続けるようになった。

 

ある南国の島。

敵の追っ手もなく、久方ぶりに落ち着けた。どうやらここで父は本格的に死徒化の研究を進めていっくようだ。そこで兄の切嗣と弟である俺は先住民のシャーレイという少女に出会った。

茶髪を後ろで括ったポニーテールに、健康そうな茶色い肌。兄が頬を染めてポカンと口を開けているあたり、もうすっかり陥落してしまったらしい。シャーレイは、通信教育のみで修士課程を獲得した天才であり、その頭脳を見込まれて、矩賢の助手として、働いていた。

 

正史では、尊敬する

の研究が人のためになると信じ、

の作った死徒化の薬を飲み、死徒となってしまう。矩賢

の研究である『吸血衝動を抑制できる死徒化』の試薬であり、不完全であったそれはシャーレイに猛烈な吸血衝動を与え、全ての人間の血を吸わんと暴走させた。しかし、鶏を貪ることで、吸血衝動を抑えると、切嗣に自分を殺すように頼む。しかし、初恋の相手であること、ただの子供に人を殺すことなど出来るはずが無いことから、切嗣はシャーレイを殺すことが出来ず、その場から逃げ出してしまった。

結果、シャーレイはみずからを制御することが出来なくなり、島中の人間を貪り尽くした。そこへ、代行者と魔術師も加わり、殺戮を繰り広げる地獄と化した。

「あの場でシャーレイを殺すことが出来ていれば悲劇を起こさず、多くの人が救えた」という強く、大きなトラウマを切嗣に植え付けた。これをきっかけに彼は歪んでいき、かの魔術師殺しに至った。

 

彼を歪めずに救うにはどうしたらいいか。その後、アインツベルンに入る事で、一人の父として優しい面を出すが、最終的には聖杯戦争のせいで彼は冬木に地獄を顕現させ、さらに苦しむことになる。

 

ならどうするか。

 

死徒化という私欲のための研究を尊敬しているシャーレイを説得させる。

 

これでは甘い。そうなれば彼女は俺を否定することだろう。

これではダメだ。ならどうする?

 

 

 

 

 

徹底的に嫌われてやる。

 

 

 

 

 

事故に見せかけて、いや手段は問わない。どんな手を使ってでも父親(あの男)を殺す。

一番手っ取り早いのは、切嗣を魔術師とは無関係の存在として、ごく普通な一般的な人間になってもらうことだが、魔術師の家系として生まれたからにはそれは難しいだろう。

ならば、俺が切嗣に襲いかかる害をすべて殺し尽くす。

切嗣は優しい男だ。シャーレイだってそうだ。現代にはびこる人間を道具としか見ないような魔術師とは違うはずだ。ならば、争いのない中で自分たちの研究を進め、いずれ死ぬだろう。

聖杯戦争にその身を投じ、人を殺し続け苦しむより何倍もましなはずだ。

 

改めて思う。これはただのエゴだ。もしかしたら、切嗣はそんなことを望んでいないかもしれない。そんなことは俺が一番分かっている。でも、未来を知っているから、だからこそ切嗣をあの道へと進ませるわけには行かないのだ。

 

「やってやる、俺が殺るんだ」

 

ベットの下に隠していた木箱の中の拳銃を見つめながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜなら、俺は切嗣()の家族だから────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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