ライオンハート   作:截流

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どうも、氏政です。


いきなり始まりました謎小説。硬めの文章しか書けないのにラブコメに手を出すとか自殺行為乙wwwと思う方も多いかもしれませんが、是非とも楽しんでいただけると幸いです。


それではどうぞお楽しみください!


1話 向こう疵の少年の憂鬱

――――うっ、ぐぅ・・・!!

 

 

 

とある学校の校舎の片隅で、大の字になって地面に寝転がっている少年がいた。

 

制服は乱れて土まみれ、さらに顔は土に咥えて(あざ)に腫れ、さらには口や鼻から血が流れ、額から右目の横にかけて深々と刻まれた切り傷が何とも痛ましかった。

 

 

 

――――こーちゃん、こーちゃん・・・!

 

 

 

彼の側に1人の眼鏡を掛けた少女が駆け寄って来た。『こーちゃん』・・・。恐らく倒れてる少年のあだ名だろうか、とにかく少年の名前を何度も呼んでいた。

 

 

 

――――花陽なんかの為に、ごめんねこーちゃん・・・!

 

 

 

少女は涙を流しながら少年に謝る。だが、

 

 

 

――――花陽が謝る必要ないよ・・・。僕の方こそごめん、花陽に心配させちゃって、花陽を泣かせちゃって・・・!!

 

 

 

こーちゃんと呼ばれた満身創痍の少年は最初は笑って彼女の言葉に応じていたが、言葉を紡ぐうちに彼もまた涙を流した。

 

それは悔し涙だろう。幼馴染の少女に心配を掛けさせ、泣かせてしまった事に対する悔恨と、無力な自分への怒りがこもった涙であった。

 

そして少年は土と血、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を拭って少女に誓う。

 

 

 

――――花陽、約束するよ。僕・・・いや、俺、強くなるから!!花陽を泣かせない強い男になるから!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピピピピピ!!

 

 

「・・・ん、朝か。」

 

目覚まし時計の音が鳴り響くと同時に俺こと、獅倉(ししくら)康介(こうすけ)は目を覚ます。

 

「ふああ・・・。あの日の夢か。」

 

そう独り言を言ってあくびと伸びをした後、俺はいつものように朝の準備に取り掛かる。

 

 

 

「向こう疵は今日も異常なしだな、うん。」

 

俺は顔を洗うと同時に額の右から右目の眼尻にかけて一筋に刻まれた切り傷をチェックする。

 

俺の目つきが鋭いのもあって色々とあらぬ誤解を受けたりもするが、俺にとってこの傷は決意の証のようなものなので、普段から隠さず露わにしているのだ。特別な手入れをするわけじゃないが、何となく習慣になっているのだ。

 

 

そして顔を洗い髪を整え洗濯機を回した後、俺は朝食を作りそれを食べる。今日はご飯と昨日の味噌汁と同じく昨日の夜に食べたサラダの残り、そして目玉焼きといった具合だ。

 

今までの行動を見て両親はいないのかとみんな思うだろうけど、親はいる。母さんは小学生の時に病気で亡くなり、父さんは仕事の都合で家にいない事の方が多い。だいたい月に一度は帰って来るが、半年間一度も帰ってこれないほど忙しい時もある。だが、別に仲は冷え切ってるわけではなく、それなりに電話でやり取りしたりするくらいには良好だ。

 

制服に着替え終わると洗濯が終わり、服や下着をベランダに干したあと、俺は母さんの仏壇に手を合わせる。

 

「じゃあ行ってくるよ母さん。」

 

いつもの日課を済ませた俺は鞄を手に取って家を出て、ゆっくりと余裕を持って学校に向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(さて、そろそろ時間だな。)

 

 

家のあるマンションから歩いて5分ほどのところにある十字路に差し掛かると俺はそう心の中で呟き、軽く制服の襟を整える。何故そんな事をするのかというと―――

 

 

 

「あ、おはようこーちゃん。」

 

 

 

俺から見て右の道から、眼鏡を掛けた髪の短い少女が甘い声で俺の事を呼びながら駆け寄って来た。

 

彼女の名前は小泉花陽。俺の幼い頃からの幼馴染みで幼稚園、小学校、中学校とずっと一緒だった女の子だ。高校は、彼女は明治大正の頃からあるというこの町の名門女子高の音ノ木坂学院に入ったため別々になってしまったのだが、今でもこうして途中まで一緒に登校してるのだ。

 

「凛の奴はいないのか?」

 

「凛ちゃん、ちょっと寝坊しちゃったみたいで・・・。そろそろ来ると思うんだけど・・・。」

 

花陽がそう言うと、

 

「かよち~ん!!お待たせにゃ~!!」

 

と、彼女の後ろからもう一人の少女が走って来て花陽の背中に飛びかかった。

 

「ピャア!?凛ちゃん危ないよ~。」

 

「えへへ~。あ、こーちゃんもおはようにゃ!」

 

凛はしばらく花陽とじゃれた後、ようやく俺の存在に気付いたのか俺にも挨拶をした。

 

 

この少女、星空凛は俺と同じく・・・というより俺よりも少し花陽との付き合いの長い幼馴染みで、俺が花陽と知り合った頃にはもう仲良しだった事を考えると、幼稚園に入る前からの付き合いだったと俺は考えている。

 

どこか他人行儀な紹介の仕方だと思う人もいるかもしれないがそればかりは勘弁してほしい。何故なら俺と凛は『花陽の友達の友達』という関係で互いに花陽と接する時より距離を一歩置いてるようなものなのだ。とは言うものの、幼稚園から今まで10年以上も付き合いがあるので、その距離はほとんどないと言っても過言ではないのだが。

 

「はいはいおはようさん。そんな事より、いいかげん『こーちゃん』って呼ぶのはやめてくれないか。流石に高校生になってもそれはなんかちょっと恥ずかしいんだが・・・。」

 

 

先ほどから2人が俺を呼ぶ時に使ってる『こーちゃん』というのは幼稚園時代の頃からの俺のあだ名だ。小学生の頃まではほとんど抵抗は無かったのだが、中学生になってから少しずつこそばゆくなり、高校一年生になった今では呼ばれるたびに恥ずかしくなってきている。

 

だから俺は最近、こうして『こーちゃん』呼びをやめるように花陽たちに頼んでいるのだが、

 

 

「え~?じゃあ康介くんって呼べってこと?なんか変な感じがするよね、かよちん。」

 

「うん、なんて言うかちょっと他人行儀な感じでちょっと寂しいな・・・。」

 

 

とこんな感じで切り返され、さらにこの時の花陽のちょっと寂しげな表情に罪悪感を感じてしまい、何だかんだでこれが成功したことは一度もなかったりする。

 

 

「ねえねえかよちん、昨日のNステ見た!?」

 

「うん、見たよ見たよ!!あのグループの新曲すっごく良かった!!」

 

「あの曲か。俺もあれはなかなか好きだな。」

 

そして俺たち3人は前日の夜に見たテレビやら様々な他愛のない話に花を咲かせながら朝の町を歩き出す。これもいつもの日課のようなものだ。傍から見れば和気あいあいとしていて微笑ましい光景に見えるだろう。しかし、俺にとってはこの時間は一日の中でも1、2を争うほどに楽しみな出来事であると同時に俺の心を悩ませる憂鬱な時間でもある。

 

可愛い幼馴染みたちに囲まれての登校が憂鬱とはなんて奴だと言いたい奴も多いかもしれないが少し待って欲しい。俺は何もこの行為そのものが憂鬱なわけではないのだ。

 

じゃあ何が憂鬱なのかって?それは――――

 

 

 

 

俺、獅倉康介は小泉花陽に恋愛感情を抱いているからなんだ!!(力説)

 

 

 

 

そう、俺は花陽が好きだ。彼女に恋愛感情を抱くようになったのは中学生になってからしばらく経った頃なのだが、それから3年近くもの間彼女に想いを伝えられずにいる。

 

もう幼馴染みとして付き合いも長いんだからさっさと言ってしまえという意見も分からないわけではない。だが彼女に告白しようにも、彼女を女性として意識するとなると心臓がバクバクするわ、いつもなら普通におしゃべりだって出来るはずなのに思うように言葉が出なかったりしてすべて失敗に終わってしまった。

 

ちなみに過去に試した告白と言えば、修学旅行に花火大会、卒業式・・・。それらのありがちなシチュを狙って挑戦したものの、見事に全部玉砕・・・と言うより告白すらできなかったという有様だった。

 

 

そして理由はもう一つある、星空凛だ。

 

こう言うと俺が凛の事を目の敵にしているように聞こえてしまうが、俺は別に彼女を邪険に思っているわけではない。ただ、花陽と凛の仲が良すぎて時々俺が入る隙というか余地がないだけなんだ。実際にさっき俺が挙げた3回の告白のうち、修学旅行と卒業式の挑戦では凛に割り込まれてうやむやになってしまっている。

 

しかもそれだけじゃなく、『俺たち3人の関係が崩れてしまうのでは?』という懸念も抱えている。告白が成功したとして、それで今のこの心地いい3人の関係に僅かな綻びでも出ようならば花陽を悲しませてしまうんじゃないかという思いが浮かび、丸一日悩み悶えたことだってある。

 

 

俺は前提条件として『花陽の事を幸せにしたいし、花陽には幸せになってもらいたい』と、『花陽にはできるだけ笑顔でいて欲しい』というエゴイズム全開なスローガンを(心の中に)掲げている。だからなるべくというか絶対に花陽を少しでも悲しませるような選択肢は取りたくないという想いが俺の根底にある。

 

 

故に俺は花陽に告白ができない。だからこそ想いを告げられないこの状況がもどかしく、幸せであるはずのこの状態に憂鬱を感じているのだ―――――

 

 

 

 

 

 

「あ、私たちはこっちだから・・・。」

 

「そうだな、俺はこっちだ。」

 

そんなこんなしているうちに、一緒に登校できる時間が終わりを告げる。俺の通う学校への道と花陽たちの通う音ノ木坂学院への道との分かれ道に差し掛かった。

 

「こーちゃんバイバーイ!」

 

「授業中に居眠りすんなよ~。」

 

「しないにゃ~!!」

 

「冗談冗談、じゃあな~。」

 

「じゃあまたね、こーちゃん。」

 

「ああ、またな花陽。」

 

そしていつものように凛と軽口を叩き、花陽とは名残惜しみながら別れを告げて互いの学校に向けて俺と花陽たち2人は背を向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

こうして2人と別れた後、俺は黙々と学校に向けて歩く。一緒に登校している人などいないので、当たり前のことながらだんまりしてるし、何より無表情になる。

 

(そろそろ学校の近くだな・・・。)

 

俺の通う学校の近くには住宅街がある。そこを通っていると―――

 

 

 

「やーねぇ、また淡高(あわこう)の生徒よ・・・。」

 

 

「まったく、人相も悪いし礼儀のなってない生徒しかおらんな。」

 

 

「あの生徒、顔にあんな大きな傷があるわよ。喧嘩でつけたのかしら、ほんと、物騒ねえ・・・。」

 

 

「音ノ木坂みたいな伝統校が潰れちゃいそうなのにどうしてこんなろくでなしばかりの高校は潰れないんだろうか・・・。」

 

 

 

ただ歩いているだけでこんな感じの話し声が聞こえてくる。かれこれ入学してから2週間ほど経った今ではもう気にも留めていないが、流石に入学したての頃は少し傷ついていたりしたもんだ。

 

入学してから1週間経った時には軽く微笑んで挨拶したが、その時は何か恐ろしいものを見てしまったかのような顔をされて逃げられた。礼儀がなってないのはどっちだと言ってやりたいが、確実に俺が悪者になるのでこの件に関しては何も言わないし、何もしないと心に誓った。

 

確かに俺の目つきは普通の人に比べれば鋭いし、顔の向こう疵のせいもあってあらぬ誤解を受けやすい。だが、ここまで地域の方々に敵対視される理由は他にもある。

 

そしてそれこそが、俺の第二の憂鬱だったりする――――

 

 

 

「はぁ、また今日も着いてしまった・・・。」

 

ようやく学校の校門に到着した俺は深い溜息を吐きながら校舎を見上げる。

 

 

 

 

俺の通う学校・・・、その名も『淡田町(あわだまち)高等学校』。

 

 

――――この都内の中でも有数の不良学校である。




いかがでしたでしょうか?


実は自分、ラブライブ!では花陽ちゃん推しなのです!!とか言ってる割りに彼女をヒロインにした小説を一度も書いたことがないのです・・・w

「は~、花陽ちゃんヒロインの小説書きてぇなぁ・・・。」と思っていた今日この頃、ふと浮かんだのがこの物語!



とにかく、小説3作品同時連載という暴挙に出ましたが、この『ライオンハート』は他の2作よりも更新頻度を低めにしていくつもりですのでどうかご了承ください。



そして最後に、毎回毎回しつこいですが感想があったら3文字だけでも書いてくださると嬉しいです!!(読んでもらってる実感がわくから)



それでは、こんな作品ですが次回もまたお楽しみください!!
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