エヴァだけ強くてニューゲーム 限定版   作:拙作製造機

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遂にここまで来ました。カヲルとの話までがバトルものの終わりだとすれば、そこからは物語としての終わりです。
最後までもう少し。皆様、よければお付き合いください。

後書きにある言い訳を書きましたので、見たくない方はごめんなさい。


第二十六話 世界の中心で愛を叫んだこどもの、まごころを君に

「報告っ! こちらの攻撃、目標へ効果無しっ!」

「それでもだ! 必ずネルフのエヴァが現れる! それまでこちらが食い止めるんだっ!」

 

 戦自による攻撃は量産型へダメージを与える事は出来なかった。それでも諦める事なく彼らは足掻き続ける。先程幕僚から入った通信へはこう返して終わらせていた。

 

―――お望み通りネルフ本部を攻撃していますよっ! 少々邪魔者がいますがねっ!

 

 まさしく最大の皮肉と機転であった。彼らは表向き希望通りにネルフを攻撃していると言い張ったのだ。無論目標は量産型である。だが、それを現場にいない幕僚達が分かるはずもなく、分かったところで止める事はない。何せ、攻撃の余波で本部周辺に被害が出ているのは事実なのだから。

 

「目標に動きあり! 飛行しようとしていますっ!」

「まずは制空権を抑えるつもりか……っ!」

「翼を狙えと伝えろっ! 飛行させるなぁ!」

 

 激化する戦自の攻撃。それらを物ともせず一機の量産型が飛び上がり、戦自のヘリへその手を振り下ろそうとした。

 

「やられてたまるかぁっ!」

 

 死を覚悟しつつも最期まで抵抗する。その生への渇望がヘリの命運を分けた。最後の抵抗として放たれたミサイルが量産型の頭部へ直撃し、少しではあるが体勢を崩して動きを止めたのだ。だが、それもすぐに立て直し再度量産型が迫る。これまでか。そう誰もが思った瞬間だった。

 

「っ!? これは!」

「どうした!?」

 

 指揮所の通信兵がある反応を確認し声を上げる。それに指揮官達が動いた直後だった。ヘリを襲おうとしていた量産型が撃墜されたのは。誰もがその光景に息を呑み、そして戦自隊員達から歓声が上がる。

 

「間に合ったわね」

 

 彼らの視線の先にはプログナイフを手にして突き出す弐号機がいた。収束フィールドをリフト内で準備し、出現すると同時に量産型へと放ったのだ。アスカは軽く周囲を見渡し戦自に大きな被害が出ていない事を確かめるや、通信を全周波数へ開いて告げた。

 

「こちらエヴァンゲリオン弐号機っ! そちらを援護するわ!」

『こちら戦略自衛隊、そちらの援護に感謝するっ!』

 

 即応。それにアスカは一瞬面食らうものの、すぐに笑みを浮かべて叫んだ。

 

―――絶対誰もあんた達に殺させないんだからぁ!

 

 その宣言に戦自隊員達も奮起する。少女の叫びこそ自分達と同じと噛み締めて。そして、それがある者達さえも奮起させる。

 

「拘束された者達が共に戦わせて欲しいと申し出ていますっ!」

「ふっ、勝利の女神の張り手で目が覚めたか……。いいだろうっ! 今は少しでも人手が欲しいからな!」

「いいかっ! ケーブルを狙わせるなっ! 何としてもケーブルを守れぇ!」

 

 量産型と戦闘を開始する弐号機を支援するべく戦自が動く。先程のヘリも弐号機の背後を守るように量産型へ攻撃を再開する。陸上からは対空対地の砲撃が、支援砲撃が行われる。全て弐号機を、アスカを守るために。それを感じ取りながらアスカは弐号機へ話し掛けていた。

 

「ママ、見て! みんながあたしとママを守ってくれてるわ! ううん、一緒に戦ってくれてるのよ! シンジが言ってたのは、こういう時のためなのね!」

 

 誰一人として犠牲にさせない。それを貫き通してきたからこそ、戦自はエヴァを味方と考えてくれている。それは今までの事があればこそ。アスカもそれを感じ取り、叫んだ。

 

「人を守ろうとしないエヴァなんてぇ!」

 

 戦車を狙おうとする量産型へ弐号機を接近させるアスカ。そのまま両手にフィールドを収束させていく。

 

「使徒と同じよぉっ!」

 

 後方から量産型の首筋目掛けて両手を動かす弐号機。その放たれたフィールドが量産型の首を見事に切断する。そこへ助けた戦自からの通信が入る。

 

『後方、二時の方向っ!』

「させるもんですかぁぁぁぁっ!」

 

 振り向きざまにフィールドを横薙ぎに放つ弐号機。それが不意打ちをしようとしていた量産型を上下に切断した。

 

「助かったわ。ありがとう」

『こちらこそそちらの援護に感謝する!』

 

 本部周辺を取り囲むように展開する戦自の目。それが味方についた弐号機は、常に全周囲を見ているに近い。アスカは戦自からの謝辞に笑みを浮かべてから、すぐに凛々しい表情へ戻して告げる。

 

「次っ! どんどん行くわよっ!」

 

 

 

 弐号機が戦自と共に奮戦を開始した頃、シンジは不思議な感覚の中にいた。それはいつか感じた零号機との会話に近いものがあった。だけど、その時よりも温かみを感じる。そう思ってシンジは目を開けた。

 

「シンジ……」

「誰……?」

 

 そこには一人の女性がいた。見覚えのないようであるような顔の。だが、シンジの表情が次第に疑問から驚き、そして泣き顔へと変化していく。聞こえた声が今まで彼を導いてきた声と同じだったのだ。それを理解し、彼は感情を高ぶらせていく。

 

「母さん……なの……?」

「ええ、そうよ。やっとこうして会えたわね」

「っ! 母さんっ!」

 

 思わず飛び込むシンジを抱き止める女性。その温もりにシンジは流れる涙を拭う事もせず、ただただ泣き続けた。その彼を女性は、ユイは申し訳なさそうに抱き締め頭を撫でる。どれぐらいそうしていただろう。やがてシンジはゆっくりとユイから体を離し、その目を見つめた。

 

「母さん、一つだけ聞かせて欲しい事があるんだ」

「何?」

「どうして父さんと僕を捨てたの?」

 

 その声は糾弾するものではなく、ただ寂しそうなものだった。ユイも返す言葉に詰まり顔を逸らす。と、その時シンジに聞こえてくる声があった。

 

―――捨てたつもりではなかったのよ。少なくても、彼女の中では。

 

 シンジはその声に驚きを浮かべ後ろを振り返った。そこにもユイが立っていたのだ。どういう事だと、そう思うもシンジはある事に気付いた。最初に会ったユイは白衣を着ていて、今見ているユイは私服だったのだ。

 

「母さん……?」

「正確には、私は貴方の母ではないの。もう一人の碇ユイ。貴方に分かりやすく言うのなら、あの変化した初号機にいる碇ユイ」

「あの初号機の……」

「そう。今まで貴方が聞いていたのは私の声。今貴方が話していた女性こそ貴方の母よ」

 

 理解がし辛い話である。そうだろうと二人のユイは思った。だが、詳しい話をしている暇はない。今はこの世界が終わるか終わらないかの瀬戸際でもあるのだ。それを告げるように私服のユイが白衣のユイを見つめて小さく頷く。それに白衣のユイは微かに、だが苦しそうに頷いた。

 

「シンジ、ごめんなさい。私はずっと生きていたかった。人の生きた証を、証拠を残したかったの。エヴァの中ならそれが可能だと思って」

「何だよそれ。母さんは、母さんはそれを父さんへ教えたの? ちゃんと話したの!? 答えてよ母さんっ!」

 

 それに返ってくる言葉はない。その瞬間、シンジは拳を握り叫んだ。

 

―――何で逃げたのさっ!

 

 痛烈な一言だった。今までエヴァの中で息子の成長を見てきた彼女にとって、それは言われるだろうと思っていた言葉だったのだ。

 

「父さんにそれを話してたら、教えていたら、父さんはあんなに苦しまずに済んだかもしれないのにっ!」

「「シンジ……」」

 

 二人のユイの声が重なる。ただ、一人は苦しそうに、もう一人は嬉しそうにという差はあったが。そこから何も言えなくなった白衣のユイへシンジは背を向け、私服のユイを見つめた。

 

「綾波を、カヲル君を望む形で生きさせたいんだ。どうしたらいい?」

「……貴方のお母さんはどうするの?」

「納得出来ないけど、母さんがエヴァの中にいたいって言うなら別にいいよ。ただ、一度でいい。父さんへ謝ってあげて。話をしなくてごめんって。それだけでも、今の父さんはちゃんと足を踏み出してくれるから」

 

 ゲンドウへの信頼。それを感じ取って私服のユイは息を呑み、そして嬉しそうにだけど微かに悲しそうに頷いた。

 

「聞こえたわね。選ぶのは貴女よ。私の事はもう知っているでしょ? なら、ちゃんと考えなさい。貴女も生きているのなら」

 

 私服のユイの言葉に白衣のユイは頷いて消える。そしてシンジは私服のユイの案内でその場から歩き出す。やがてその先に裸のレイとカヲルが現れる。思わず目を閉じて顔を背けるシンジだったが、ユイが苦笑しながら彼の顔を前へと向けた。

 

「大丈夫よ。人はみな、最初は裸で生まれてくるの」

「だ、だけど……」

「碇君、いいの。私は碇君になら見られても平気だから」

「僕は言うまでもないよ。さぁ、シンジ君」

 

 どこか照れを感じさせるレイの声と、それが一切ないカヲルの声。それらが二人が二人である証拠に思え、シンジは息を吐いて目を開けた。

 

「……あれ?」

 

 実際目を開いてみると、シンジは違和感を覚えたのだ。そう、レイもカヲルも性器がないのだ。まるで人形のようにも思え、そこで彼は気付いたのだ。本当に彼らはそういう意味で人形だったのだろうと。

 

「分かってくれたかい?」

「これが今の私達の本当の姿」

「うん、分かった。じゃ……」

「頼むよシンジ君」

「碇君の望むように」

 

 そうレイが言った時だった。シンジは小さく笑みを浮かべると首を横に振ったのだ。

 

―――綾波もカヲル君も自分の望むようになってくれていいよ。僕はそれを望む。それじゃダメかな?

 

 自分が二人を好きに変えるのは嫌だ。だから二人が自ら望む形で変わって欲しい。その申し出にレイとカヲルだけじゃなくユイさえも驚きを見せた。それでもまずはレイが笑い、続いてユイが、最後にはカヲルさえも笑った。

 

「そうか。うん、シンジ君らしい」

「そうね。碇君らしいわ」

「ありがとう」

 

 笑みを見せ合う三人をユイが微笑んで見守る。そしてレイとカヲルが片手をシンジへと差し出した。それを躊躇う事なくシンジは掴んだ。

 

「アダムの名において、君の選択を祝福するよ」

「リリスの名において、貴方の選択を祝福するわ」

 

 少年が告げたのは残酷なテーゼ。変わるとしても、それは他者に委ねるのではなく自身で決めろと告げたのだ。だが、その決定を自分は肯定すると。見ようによっては傲慢かもしれない。しかし、この二人にとってはとても優しい後押しだ。

 

「えっと、なら人間として感謝します?」

 

 どこか抜けたような、優しい声。それにレイとカヲルが小さく微笑みゆっくりと消えていく。それを見て少しだけ不安な顔をするシンジだったが、その肩へユイの手がそっと乗せられた。

 

「大丈夫よ。さぁ、後は貴方一人でやりなさい。それと、もう私は一緒にはいられないから」

「えっ?」

「あの初号機はもう必要ない。ここで消えないと貴方の心配が現実になりかねないの」

 

 その意味する事がシンジには分かった。ケンスケが言っていた事だ。驚異的なF型が最後まで猛威を振るえば、人々の中から不安が消えないと。つまり、今後初号機は変化しないという事だ。

 

「分かった。後は僕の、ううん僕達の力で頑張ってみるよ」

「ええ。本当に強くなったわね。あの子もそうだったけど、貴方も男の子らしくなった。あの子の願いは無駄じゃなかった。そうしっかり伝わったわ」

「……貴女の息子さんに伝えてください。ありがとう、って」

「ええ、やるだけやってみる。貴方の事、忘れないわ……」

 

 最後にそう心から笑顔を見せてユイも消える。一人になったシンジは、一度だけ深呼吸をして目を閉じる。そして目を開くと同時に叫んだ。

 

―――僕は、この世界を守りたいっ! そして、みんなが笑って暮らせるようにしたいんだっ!

 

 望むのは、かつてあった景色。願うのは、これまで過ごした日々の続き。やり直すのではなく、無かった事にするのでもない。過去から現在、そして未来へと繋ぐ事。奇跡と呼ばれる現象。それを少年は願望として告げる。すると少年を中心に光が広がり、それは全てを包むように拡大していく。そしてそのまま光が世界を駆け巡った。

 

「何だ、この光は……」

「温かい……」

「胸が、心が満たされるみたい。……これ、シンジなの?」

 

 ネルフ本部を起点とした光は瞬く間に広がり、全ての人々を、生命を包む。その温もりに誰もが笑みを浮かべ、やがて懐かしさのような物を感じて涙を流す。それはゼーレの者達さえ例外ではない。

 

「これは……」

「分からないが……懐かしい気がする……」

「これが補完だというのか? だが、これはそんな感じではない……」

「郷愁……? いや、誰にでもある原始の想い……心をそこへ戻しているのか……」

 

 温かく切ない気持ち。久しく彼らが忘れていた感情。それらに心を激しく揺さぶられる老人達。その頃、ミサト達は驚くべき事を理解していた。

 

「地軸が……地軸が戻っていきますっ!」

「そんな……こんな事って……」

「本当に、本当に有り得ないわ。だけど、それをあの子は今までやってきた。なら、有り得るのよ」

「シンジ君……」

 

 流れる涙を拭う事も忘れてコンソールを見つめるオペレーター達。リツコとミサトも久しく忘れていた温かさに笑みを浮かべる。と、聞こえる声があった。

 

―――リっちゃん、ごめんなさい。だけど、貴女の気持ちと成長を見れて嬉しかったわ。ありがとう。

―――ミサト、すまなかった。だが、私の死を悼み、悲しんでくれた事は伝わったよ。ありがとう。

 

 それぞれの耳に聞こえた声に二人は思わず息を呑み、勢い良く振り返る。そこには彼女達がせめて感謝と別れを告げたかった相手がいた。どこかこの世の者ではない雰囲気を漂わせて。

 

「母さん……いえ、私こそごめんなさい。憎んでしまって。恨んでしまって。私も同じだったのに……」

「父さん、ごめんね。あたし、あたし子供だった。父さんの事、何も分かってあげようとしなかった……」

 

 涙を流す娘達の言葉に、二人は同時に首を横に振ると小さく笑みを浮かべて消えていく。その消えゆく姿へミサトとリツコは同じ言葉をかけた。

 

―――ありがとう。

 

 その言葉で最後に二人が笑顔を見せてくれたように彼女達は思った。マコトやシゲル、マヤさえもそれぞれのもう会えない相手が見えているのだろう。何事かを呟き涙を流していた。冬月はユイが見えていた。だが、その彼女は何故か申し訳なさそうな顔をしていた。

 

「ユイ君……後悔しているのかね?」

 

 答える事なく頷くユイ。それがどういう事かを理解し、冬月はため息を吐いた。

 

「なら、行動したまえ。君の選んだ男もそうだった。まだやり直せる。いや、人は生きている限り何度だってやり直せるさ。実際、私はそれを見てきた。君も、人として生きて、そして次代へ繋ぎたまえ。その想いを、願いを、それこそが正しい人の生きた証の残し方だ」

―――冬月先生……。

「あの時、私は君に何も言ってやれなかった。だからこそ、先に生まれた者として言わせてもらおう。人の姿を捨て生きるのは、人の在り方ではない。君が見せたかったのは何だったのか。それをもう一度思い出しなさい」

―――……ありがとうございます、冬月先生。

 

 最後に微笑みを浮かべてユイは消える。それを見送り、冬月は大きくため息を吐いた。

 

―――まったく、夫婦揃って手を焼かせおって……。

 

 そう呟く彼の顔は、とても晴れやかで嬉しそうな笑顔だった……。

 

 

 

 涙を拭って発令所を目指して歩くゲンドウ。すると、その目の前にユイが現れる。思わず足を止めるゲンドウへ、彼女は勢い良く頭を下げた。

 

―――ごめんなさいっ! 私、アナタに何も話していなかったの!

 

 突然の事で面食らうゲンドウだったが、どうしてこうなったかだけは即座に理解した。だからだろう。彼は声を上げて笑ったのだ。思わずユイが頭を上げてしまう程に。

 

「シンジに何か言われたか」

―――何で逃げたのかって言われたわ。

「ははっ、お前もか。それで、俺に謝ってこいとでも言われたんだな?」

 

 恥ずかしそうに俯いて頷くユイにゲンドウは笑みを浮かべた。

 

「なら、もういいさ。それを言うのなら俺もお前へ話していない事があったし、言えないような事をしてしまった」

―――そう、でも仕方ないわ。アナタは寂しがり屋だもの。

 

 暗にどういう事をしたのか察しているようなユイに、ゲンドウはバツが悪いように表情を歪めて頬を掻く。それがシンジのそれに似ていて、ユイは思わず苦笑した。

 

「ユイ、俺はもうお前に戻って来いとは言えん。だが、戻ってきてくれるのなら、話したい事が山ほどある。俺の事もシンジの事も」

―――ええ、分かってる。だけど、今はまだ戻れない。

「ああ、初号機を動かすにはお前の力が必要だ。俺の分まであいつを、シンジを守ってくれ」

―――アナタ……ううん、ゲンドウさんも頑張って。

「言われるまでもない。父として、そして司令として最大限の事はするさ」

 

 最後に互いへ笑みを見せ合う碇夫婦。そしてゲンドウはその場から足を踏み出し発令所へ向かう。それを見送り、ユイも意を決した顔をしてその場から消える。

 

 その頃、ターミナルドグマでも動きがあった。初号機に刺さっていた槍が消えて、磔になっていたリリスも消えていたのだ。そして、何もいなくなった十字架の下にプラグスーツ姿の二人の子供達が倒れていた。

 

「……どうやら上手く行ったようだね。レイ君、どうだい?」

「私も……私のままだわ」

 

 起き上がる二人は身動きもしない初号機を見つめる。すると、その目が光りを放つ。それがどういう事かを理解し、二人は笑みを浮かべて告げる。

 

「シンジ君、先に行ってくれ。僕らは後から必ず合流する」

「アスカを、彼女をお願い」

 

 返事はない。ただ、初号機はその場から弾かれるように動き出した。それを追い駆けるように二人も走り出す。目指すはエヴァのいるケイジ。参号機と四号機の元である。気付いていたのだ。戦闘が始まっている事に。何故ならあの光を通じて見えたから。弐号機と量産型の戦いが。

 

「あれはカヲルを使っているの?」

「ああ。以前の僕を使ったダミーシステムというやつさ」

「なら、あれを倒せば本当に終わるのね」

「終わらせるんだ。僕らみんなで」

 

 噛み締めるようなカヲルの言葉にレイも頷く。

 

―――ええ、終わらせましょう。みんなで。

 

 

 

 手にした刃で斬りかかる量産型だが、それは弐号機の収束フィールドに阻まれる。だが、それを貫くように刃の形が変化していく。それはロンギヌスの槍となった。

 

「させるかっ!」

 

 しかし、それがフィールドを突破する前にアスカがそれを撃ち出す事で量産型を弾き飛ばした。残った槍を弐号機が掴み、振り回して地面へ倒れた量産型へと投擲する。それで絶命するように動かなくなる量産型を見てアスカは息を吐いた。

 

「厄介なもん使ってくるわね。フィールドを撃ち出せなかったらヤバかったかも……」

 

 既に量産型も数を減らしており、残るは片手で足りる程となっていた。そんな中、一機の量産型が弐号機の背後から刃を構えて襲い掛かる。完全に不意を突いた。そう思ったのだろう。たしかにアスカは気付いていなかった。だが……。

 

「てぇぇぇぇっ!」

 

 そんな量産型を真横からの砲撃が襲い、体勢を崩す。すると音を聞いた弐号機が振り向きざまに収束フィールドを撃ち出した。それが量産型を貫き、地面へと落下させる。

 

「ありがとう。また助けられたわね」

『気にしないでくれ。子供を守るのは大人の務めだ』

 

 ここにいるのはアスカだけではない。使徒と化した量産型エヴァは、今や戦自にとっても敵である。弐号機と連携し、その撃破へ何度となく手助けをしていたのだ。それは、これまで使徒戦において何も出来ないでいた事への鬱憤晴らしでもあった。守るべき子供に戦わせていた事実。それを知った以上、戦自隊員達が奮戦しないはずはなかった。

 

「これで残るは……」

 

 弐号機の目が光る。その眼光が残りわずかとなった量産型を睨み付けた。まるで怯えるようにたじろく量産型と、追い詰めるようにゆっくりと歩き出す弐号機。最早勝負は見えた。誰もがそう思った時だった。

 

「これは……パターン青っ!?」

 

 表示されていく情報にマコトが叫ぶ。見れば残った量産型が空へ飛び上がり、倒れたはずのそれさえも動き出してそれに追随していた。やがてそれらは吸収し合うように合体を始め、一つの巨大な姿へと変わっていく。

 

「何が起きてるの……?」

「分からないわ……」

 

 と、そこでミサト達は気付く。知らず体が震え始めている事に。これは一体どういう事だと思ったその時だった。ゲンドウが発令所へ姿を見せたのだ。

 

「ゼーレめ、厄介な事をしてくれた!」

「「「「「司令!?」」」」」

「どういう事だ、碇」

 

 誰もがゲンドウへ視線を向ける。それを受けながら彼は歯軋りをしつつ答えた。

 

「あれは使徒であった渚カヲルを利用したダミープラグで動いています。つまり、今や残った最後の使徒です。そして、エヴァはアダムから生まれた」

 

 その意味する事に気付いたのはリツコだった。

 

「まさかっ!? アダムが復活しようとしているとでも!?」

「そうだ! 老人達はその可能性を忘れていたのだ。魂が渚カヲルにあるからとな。そのアダムの魂は先程の光と共に消えた。複製された肉体を残してな」

「じゃ、じゃあこのままではサードインパクトが……いえ、フォースインパクトが起きると?」

「ああ。今度はこの星の生命全てを根絶やしにする、な」

 

 絶句。誰もがその意味と内容に愕然となった。だが、そんな大人達よりも先に三つの声が響き渡った。

 

「だから何やっ! それでもセンセは、センセ達は戦うに決まっとるっ!」

「そうだよ! カヲル達が、あいつらがいるじゃないか! 俺達が諦めるには早すぎるって!」

「お願いです! アスカ達を、みんなを助けてあげてくださいっ!」

「あなた達……」

 

 シンジ達のクラスメイト。それが告げた言葉にミサトが思わず声を漏らす。すると、ゲンドウが小さく笑いつつも定位置へ腰かけた。

 

「何をしている? 子供達が覚悟を決めているんだ。我らネルフの存在理由を忘れたのかあっ!」

 

 咆哮。そう呼ぶに相応しい一喝が発令所に響く。それをキッカケにまず冬月が声を発した。

 

「使徒殲滅が我々の使命だ。ならばやる事は決まっていよう。すぐに弐号機パイロットへ連絡! 使徒を撃破し、何があっても生還せよとなっ!」

「はいっ! アスカ君、聞こえているか?」

「レイとカヲルはどこ? すぐに調べて!」

「二人はそれぞれエヴァのいるケイジへ向かっています! 出撃可能まで後十分程です!」

「戦自の指揮官へ通信繋いで! 相手はこれまでの使徒とは桁が違う。連携を取ってエヴァの援護をしないと不味いわっ!」

「了解ですっ!」

 

 それぞれが活気を漲らせて動き出すのを見て、ケンスケ達に笑顔が浮かぶ。そして、そこへ一番の朗報が届いた。

 

―――エヴァ初号機です! シンジ君が出撃しましたっ!

 

 モニタに映し出されるF型初号機。誰もがその姿に歓声を上げる。戦自でさえもこれで勝ったと強く思った程に。

 

「シンジっ!」

「ごめんアスカ。遅くなった」

 

 だが、シンジだけは気付いていた。姿こそいつものF型だが、今まで感じていた安心感が消え失せている事に。あのユイが告げた言葉の意味はこういう事だと、彼は痛感していたのだ。今の初号機は姿こそ変化しているが、その能力はあの凄まじさとは程遠いだろうとも。

 

「あれが……最後の使徒」

 

 シンジの目の前にはまるで巨大なエヴァのような姿へ変わっていく巨人の姿があった。200メートルはあるだろう巨体から感じる圧迫感に、彼は思わず恐怖する。今まで感じてこなかった感覚である。それだけあの初号機がシンジを支えていた事がよく分かる程に。

 

「ええ、まるでエヴァね」

「……アスカ、一つだけ謝っておくよ」

「え?」

 

 突然の発言にアスカが小首を傾げる。そこへ告げられた内容は、彼女の予想をはるかに超えていた。

 

「今の初号機はこれまでのような強さはないんだ。だからごめん。もう守ってあげられないかも」

「……バカシンジの嘘吐きシンジ」

「え?」

「あの時、あたしとレイを守るって言ったのは嘘だったの!? あれは、あの初号機の強さがないと出来ない事だったの!? 答えなさいよっ!」

「アスカ……」

 

 裏切られた。そんな気持ちが伝わってくるような切なく哀しい声にシンジは返す言葉が出せなかった。それは違うと、そう言いたかった。だけど、実際戦場に立って分かってしまったのだ。今まで自分はあの強さに守られていたのだと。だから強くあれた。そう感じてしまったのである。

 

「もういいっ! あんたなんか知らないっ! あたし一人で戦ってやるわ!」

「アスカっ!」

 

 何も言わないシンジに突き放すような声を放ち、弐号機は単機でアダムへと向かっていく。それを止めようとする初号機だが、その僅かな動きへの反応さえもこれまでと違う事に気付いてシンジの動きが止まる。それが最後の一押しだった。アスカはもう後ろを振り向かないで一人アダムへと攻撃を開始した。

 

「合体したからってぇ!」

 

 収束フィールドを両手に展開し、それを押し付けるように放つ。だが、それはアダムの強力なフィールドに阻まれ消える。今まで以上に早く消失した事に気付き、アスカは思わず息を呑む。そして無意識に後方へ目を向けようとして我に返って首を振った。

 

「一度でダメなら何度でもやってやるわっ!」

 

 絶対に初号機を、シンジを頼るものか。その意地がアスカを動かす。しかしそれでどうにか出来るような状況ではない。アスカの奮戦も空しく、弐号機の攻撃はアダムへ一度として通用する事もなく無力化される。やがて合体が終わったのか、それまで身動き一つしなかったアダムがゆっくりその右腕を動かした。

 

「何する気?」

 

 その行動を警戒しながらアスカは再度収束フィールドを放つ。すると、それをアダムは受け止めるのではなく反射するように弾き返したのだ。

 

「嘘っ?!」

 

 辛うじて回避する弐号機だったが、そこへアダムによる攻撃が始まる。それは、フィールド射出の雨だった。いつかの第十六使徒と比べるまでもない程の速度と数。それが弐号機を襲い、ダメージを与えていく。

 

「きゃあぁぁぁぁっ!」

「アスカっ!」

 

 アスカの悲鳴が聞こえた瞬間、シンジは初号機を動かしていた。無意識だった。体が勝手に助けたいと動いていたのだ。そこに恐怖や不安はなかった。あるのは、大好きな少女を助けたい。守りたいとの想いだけ。凄まじいフィールドの雨の中へシンジは初号機を突っ込ませた。F型の装甲が吹き飛び、剥がれ、砕かれていく。それでも初号機は無我夢中で弐号機の体を抱えると、大地を力強く蹴り上げてその場から脱出した。

 

「うわあぁぁぁぁっ!」

 

 フィールドの雨から脱出した初号機は、その姿が従来の物と変わらぬ状態まで変わり果てていた。これまで有り得なかった光景に誰もが言葉を失う。あの初号機でさえ敵わないのか。そう思ったのだ。だけども、シンジは違った。もう迷わないと覚悟を決めたのだ。体中に感じる痛みに顔を歪めながらも、優しく弐号機を下ろしてアダムへと視線を向ける。

 

「僕が弱気になったせいでアスカを傷付けたんだ。ごめん、アスカ。もう……もう……」

 

 拳を握り、細かに震わせるシンジ。そんな彼へアダムが咆哮を上げる。戦自の隊員達でさえ震えを覚えるそれですらも、今のシンジを怯えさせる事は出来ない。

 

「もう、逃げないからっ!」

 

 勇気を振り絞って告げられる言葉。それに初号機の目が光りを宿す。そして、シンジは全身に不思議な力が漲るのを感じた。それはこれまで何度か感じてきたものだと理解し、彼は小さく微笑む。

 

―――最後の贈り物、受け取ったよ。もう一人の僕……。

 

 あの初号機はいなくなっても、今までの積み重ねが消えた訳じゃない。そう感じてシンジは叫んだ。

 

「絶対に生きて帰るんだっ!」

 

 魂の咆哮が周囲に響き渡る。希望を信じて疑わない声が、未来を信じて止まない想いが、恐怖し怯えていた者達へ光を与える。明日を切り開こうとする若い命が、昨日を今日へ繋いできた命を奮い立たせる。命のリレーを絶やしたくない。その生きとし生けるモノとしての本能にも似た叫びが、再び立ち上がる力を呼び覚ましたのだ。

 

「全部隊に通達! 全火力を頭部に集中させろっ! エヴァを、あの少年を援護するんだっ!」

「ネルフへ連絡! この街の全ての火力を一斉に叩き込んでやるためになっ!」

「了解っ!」

 

 戦自が動き出した頃、ミサト達もシンジの叫びに応えるように動いていた。

 

「全ての兵装を動かしてっ! もう二度と使えなくなってもいいっ!」

「分かっていますっ! これが最後ですからねっ!」

「レイ、聞こえるわね! まずは弐号機の安全確保が最優先よっ!」

『了解。任せて、お母さん』

「渚君、本当に大丈夫なの? 今の君は……」

『ご心配なく。僕が望んだ事ですから』

「初号機、アダムと交戦開始っ! フィールドを貫いていますっ!」

「シンジ君っ! 今そっちにレイとカヲルが行くっ! それまで頑張ってくれっ!」

『分かりましたっ! アスカをお願いしますっ!』

 

 勇気による六つの精神コマンドの力に魂を重ね掛けしての一撃は、アダムへダメージを与える事に成功する。だが、仕留めるには至らない。今の初号機にはマゴロク・E・ソードもなければインパクトボルトも使えないからだ。しかし、だからといって諦める事をもうシンジはしない。どこまでももがき足掻くと決めたのだ。それに、今の一撃が通用したなら何度も同じ事をやるだけ。その想いでシンジは叫ぶ。

 

「もう一度やるぞ、碇シンジっ!」

 

 自分へ言い聞かせるように告げる。再び感じる不思議な力。そして強い疲労感。それを捻じ伏せるように意識を強くし、彼はアダムへと向かっていく。放たれるフィールドの雨を物ともせず、相手の防御をまるでなかったかのように貫いてダメージを加える初号機。それと同時にアダムの頭部へ爆発が起こりその攻撃へ花を添える。

 

「目標に命中っ! 効果ありっ!」

「よしっ! あのエヴァの攻撃に合わせろ! フィールドを無力化した瞬間を狙うんだっ!」

「全部隊、タイミングを合わせてしっかり狙え? 子供がっ! 命懸けでっ! 俺達にこれまでの埋め合わせをさせてくれてるんだっ! 決してあの少年を死なせるなっ!」

 

 本来戦うべき大人達がこれまで子供達を戦わせていた。その無力さと申し訳なさを戦自隊員達も痛感していたのだ。だからこそ、最後であろう戦いだけは共にありたいと。

 

「参号機、四号機戦場に到着! 初号機の援護に回ります!」

「初号機、アダムへ再度攻撃! フィールド突破っ!」

「戦自がアダムの攻撃を自分達へ引き付けたいと申し出ていますっ!」

「ならんっ! ここまできたのなら犠牲を出す事は認めん! 初号機を信じろと伝えろ!」

「ああ、戦自へはこう返せ。命が失われる事をあの少年が望んでいないと」

 

 冬月とゲンドウの言葉にシゲルが軽い笑みを浮かべ戦自へと返答する。ケンスケ達はそんな中祈る様な気持ちでモニタを見つめていた。傷付きボロボロになっていく初号機。その傷だらけの勇姿に涙さえ浮かべて。

 

「シンジ……絶対、絶対帰ってこいよっ!」

「センセっ! 死んだら許さへんからなぁ! まだ、まだワイはサクラの礼を言っとらんのやっ!」

「神様、お願い……碇君達を守って……っ!」

 

 涙で滲む三人の視界には、銀色の機体が初号機を守るようにフィールドを展開する様子が入ってきた。

 

「カヲル君……?」

「少し休んでいいよ。それぐらいなら僕でも、僕達でも出来るっ!」

 

 カヲルの言葉に呼応し、四号機のフィールドが強度を増す。アダムの攻撃がそれを突破しようと殺到するが、それをカヲルは何とか防いでいた。

 

「本来なら、僕がああなっていたと思うと複雑だね。だけど、だからこそ言えるよ。ヒトに、渚カヲルになれて良かったと」

「カヲル君……」

「シンジ君、あれを倒すなら槍を使うしかない」

「槍……?」

「そうさ。君だけが、初号機だけが持っているはずだ。オリジナルのロンギヌスの槍だけがアダムを封じられる……っ!」

 

 少しずつ亀裂が生じていくフィールド。その負担にカヲルの顔が歪む。それでもカヲルはどこか笑みを浮かべていた。何故なら、それは使徒だった時なら考えられなかった事だからだ。本当に今の自分はヒトになれた。そう強く感じる事が出来て嬉しかったのだろう。

 

「シンジ君、もう一度だけエヴァを、初号機を信じてみるんだ……っ。どうして今もその機体が動くのか、今の君なら分かるはずだよ?」

「……まさか」

「レイ君、シンジ君を頼む……っ! どうやら僕もここまでみたいだっ!」

 

 亀裂がフィールド全体へ走り、もう突破されるのは時間の問題だった。カヲルの言葉に呼応して参号機がその傍へ駆け寄るも、何故かその横で同じようにフィールドを展開する。更に参号機の右腕から第十六使徒が出現し、四号機へと突き刺さるように動いた。その瞬間、亀裂が入ったフィールドが元通りへと戻る。

 

「どうして?」

「一人でやろうとしないで。今のアナタは、カヲルはもう一人じゃない」

「綾波……」

 

 シンジはレイの言葉に初めて会った頃を思い出し、感慨深くその名を呟いた。それを聞いたのか、レイは少しだけ後ろを向いて微笑んだ。

 

「碇君、心配いらないわ。貴方は死なない。私が、私達が守るもの」

「……うん、ありがとう綾波。なら、みんなが失敗しても絶対使徒に殺させないよ。みんなは、僕が守る」

「ええ、信じているわ」

 

 二機のエヴァが展開するフィールドの後ろで、シンジは目を閉じて初号機へ、ユイへと語りかける。分かったのだ。今、ユイは自分の事を守るためにコアの中にいる事を選んでいる。だからこそ、カヲルはああ言ったのだ。今のシンジなら分かるはずだと。

 

「母さん、ごめんね。それと、ありがとう。僕のためにエヴァの中に残ってくれたんだ」

―――いいのよ。もう私も、母さんも逃げないわ。最後までシンジと一緒よ?

「……母さん」

 

 聞こえてきた声がそれまでのユイと同じく優しい声である事に気付き、シンジは込み上げる感情を抑えながら頷いた。分かったのだ。今のユイは本当に母になったのだと。伝わったのだ。その愛情が。

 

―――槍はこの初号機の中に存在している。シンジ、貴方が強くイメージしなさい。いつかの時と一緒よ。エヴァの事を信じて……。

 

 薄れゆく声。それにゆっくりと目を開けるシンジ。もう涙は止まっていた。疲労感も消えている。ならば、やる事は決まっていた。

 

「やるよ、初号機。僕に、最後の力を貸して」

 

 静かに呟かれた声に初号機が咆哮する。それに嬉しく思い、シンジはその両手を胸へ当てる。

 

「うわああああああっ!!」

 

 初号機もその動きに合わせて両手を胸部へ動かす。そしてそのまま胸部装甲を剥がし、コアを露出させたのだ。その行動にゲンドウ以外の者達が息を呑む。だが、彼だけは分かっていた。シンジが何をしようとしているか。だからこそ彼はその場から立ち上がるとモニタへ向かって叫ぶ。

 

―――そうだっ! それでいい! お前の信じる道を行けっ!

 

 その声が届いたのか初号機の目が光ったかと思うと、そのコアから真紅の槍が姿を見せ始める。

 

「シンジ君、やっぱり君は……」

「カヲル、気を抜かないで。あれの恐ろしさを一番分かってるのはアダムだから」

「そうだったね。なら……っ!」

 

 まるで怯えるように攻撃を激化させるアダム。その攻撃を全て防ぎきるようにフィールドで守り続けるレイとカヲルだが、やはりそれでも限界が近付く。二つのフィールドには亀裂が生じ、それが加速度的に大きくなっていくのだ。このままでは破られてしまう。そう思うも、二人は後ろの初号機を守るためにその場でフィールドを張り続けた。そしてアダムの両腕が放った衝撃で遂に二機のフィールドが砕かれる。それでも二機は初号機の盾となるように立ちはだかり、アダムの攻撃へその身を晒す。

 

「「くぅぅぅぅぅぅっ!」」

 

 体中に走る痛み。それでも二人は倒れず初号機の盾で有り続けた。腕が砕かれ、肩も吹き飛び、胴体さえも抉れていく。そんな中でも、二人は諦める事なくアダムを睨む。それを目障りに思ったのか、アダムがその両手にフィールドを収束させていく。さすがにそれを直撃されればエヴァごと二人も死ぬだろう。だけど、カヲルとレイの気持ちは変わらなかった。何より、シンジが言ったのだ。殺させはしないと。

 

「レイ君、行くよ?」

「分かってる。それと、呼び捨てでいい」

「それはシンジ君のために取っておいた方がいい。僕からの気遣いさ」

「……そう」

 

 笑みを浮かべ合い、二人はエヴァの体を精一杯広げて初号機を守ろうとする。そこへアダムが収束フィールドを放とうとしたその瞬間、そのフィールドへ何かが突き刺さる。それは量産型が使っていたロンギヌスの槍。それがゆっくりとではあるがフィールドを貫いてアダムへと向かっていく。

 

「これで……ラストォ!!」

「「今だっ!」」

 

 ボロボロの弐号機から投擲された収束フィールドがロンギヌスの槍を押し出す。そしてアダムのフィールドが突破された瞬間、その頭部へ凄まじい程の火力が叩き込まれた。ネルフと戦自による一斉攻撃である。それにアダムがぐらりと上体を動かした。

 

「シンジっ! 後は頼むわ! 愛してるっ!」

「アスカ……」

「碇君、信じてるから。その、愛してる……」

「綾波……」

 

 聞こえてきたのは最愛の少女二人の声。その温かい言葉に、少年は意を決して返事をした。

 

―――僕も愛してるっ! 絶対二人の事を、この世界を守るからっ!

 

 初号機の目が光りを放ち、コアから真紅の槍が完全に抜き出された。そしてシンジは感じていた。今までにない力を。彼の勇気が愛に変わった瞬間であった。

 

 碇シンジは精神レベルが上がった。勇者のLVが9まで上がった。精神コマンド勇気が愛へ変化した。

 

「これなら……いけるっ!」

 

 全身に漲る力を込めるようにシンジは、初号機はアダムを睨み付ける。その眼光にアダムが一瞬ではあるが怯んだ。ロンギヌスの槍をその手に構え、初号機が投擲の動きを見せる。

 

「貫けぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

 ボロボロでコアさえ露出させたままの初号機から放たれたロンギヌスの槍は、アダムの必死の抵抗であるフィールドの雨を悉く貫きながらアダムへ向かっていく。これでは不味いと思ったアダムが、両手を突き出して槍の刃先だけを収束フィールドで防ごうとする。だがそれさえあっさり無視するようにその手までも貫通して体へと突き刺さった。

 直後響き渡る断末魔のような咆哮。そして、そのままアダムの体は槍と共に崩れ落ちていった。まるで無へ還るように。それを誰もが固唾を飲んで見守り、やがてそこに何もなかったかのように風が流れる。

 

―――反応消失……パターン青、検出されませんっ!

 

 その報告が全員の耳へ届き、あちこちで歓喜の声が上がる。それを合図に初号機が一際大きく咆哮を上げた。まさしく勝利の雄叫び。かくして、本当に使徒との戦いは終わりを告げた。

 

「みな、ご苦労だった。これにて使徒戦の完全決着を宣言する」

 

 ゲンドウの言葉に全員が頷いて笑みを浮かべた。そんな中、加持が発令所へ現れる。その表情はどこか困り顔だった。

 

「どうしたのよ? てか、何でいなかったの?」

「文句は碇司令に言ってくれ。こう見えても意外と義理堅いんだよ、俺」

「は?」

「戦闘時の発令所への立ち入り、俺は禁止されたままだからな」

 

 その発言に全員が目を丸くし、一斉にゲンドウを見た。彼は忘れていたとばかりに表情を申し訳なさそうに変え、加持を見ていた。

 

「その、すまなかった」

「ま、いいですよ。それより、少年少女。お友達を出迎えに行かないか? 案内するぞ」

「「「是非っ!」」」

「ん。じゃ、この子らは俺が預かる。皆さんは、後処理頑張ってくれ」

 

 ヒラヒラと片手を振りながら発令所を後にする加持を見て、そこで誰もが理解した。加持はそれを言うためだけに顔を出したのだと。せめてもの仕返し。その事にミサトが呆れ、リツコが苦笑し、残りは笑った。

 

「碇、ユイ君の事はどうする?」

「今は事後処理が優先です。サルベージは、いずれ」

「今度こそ成功しますわ」

「と言うより、失敗の原因ってシンジ君のお母さんが嫌がったからでしょ? この分だと」

 

 ミサトの言葉にゲンドウと冬月が揃って困り顔を浮かべた。片や知らなかった夫と、片や言い出せなかった恩師である。こうして考えれば、当初のように計画を進めても失敗していたのは明白であった。

 

「司令、戦自の指揮官から通信が入っていますが」

「繋いでくれ」

『……こちら、戦略自衛隊』

「堅苦しい挨拶は互いに無しで構わん。貴官らの奮戦に心から感謝する。おかげで息子達を失わずにすんだ」

 

 機先を制するようなゲンドウの発言に戦自の指揮官が息を呑んだのが分かった。彼ら全員がこの会話を聞いているのだ。

 

『では、本当にあのエヴァにはご子息が?』

「そうだ。情けない父だと笑ってくれ。自分の子供を死地に追いやり、自分は安全な後方で見ている事しか出来なかったのだ」

『いえ、そうは思いません。むしろ、我々よりも悔しい想いをされたでしょう。心中、お察しします』

「……すまない。聞かせるべきではなかったな。とにかく、本当に貴官らの働きには感謝の念を禁じ得ない。戦略自衛隊の強さと凄さを見せてもらった。改めて礼を言う」

『こちらこそ、あの少年達が今後どうするか知りませんが、出来る事なら我らの同僚となって欲しいぐらいです。それぐらい彼らは強さと、それを正しく使う心を持っている。最後にあのような子供達を守る事が出来、光栄でした』

「……貴官の、いや貴官らの事は悪いようにしない。本物の自衛官だ。ネルフ司令として、最大限の支援を約束しよう」

『……ありがとうございます。では、我々はこれで撤収します』

「ああ、本当に助かった。感謝する」

 

 それを最後に通信は切れた。ミサトも察した。あの指揮官が何をしたのかを。だからこそゲンドウは支援を約束したのだとも。

 

「さ、忙しくなるわよ。何でもそうだけど、後片付けが一番大変なんだからね」

「そうね。マヤ、ついてきて。MAGIの点検、始めるわよ」

「はいっ!」

 

 席を立ち、リツコの後を嬉しそうに追い駆けるマヤ。その背を見送り、シゲルはマコトへ視線を向ける。

 

「なら俺達は……」

「被害状況の把握だな」

「碇、こちらは私が引き受ける。急がないと彼らがな」

「そうですね。では、後は頼みます」

 

 ゲンドウも発令所を後にし、冬月は小さく笑って天井を見上げた。

 

―――朱に交われば赤くなる。私もやっとそうなれたか……。

 

 

 

「シンジ~っ!」

「アスカっ!」

 

 回収されたエヴァから降り、ケイジへと戻ってきたシンジを出迎えたのはプラグスーツ姿のアスカだった。まるで飛び込むような彼女を少し慌てながらも彼は受け止める。その後ろからはレイとカヲルが笑みを浮かべながら近づいてきた。

 

「お疲れ様、シンジ君」

「うん、カヲル君もお疲れ様」

「碇君、無事で良かった」

「綾波もね」

 

 と、その瞬間レイがアスカのようにシンジへ抱き着いた。さすがにそれは予想外だったのか、シンジは後ろへ倒れ込んでしまう。勿論アスカも巻き込んで。

 

「ちょっと! 気を付けなさいよ!」

「だってアスカが先にやったから」

「二人共、ケンカは止めて」

「「止めて欲しかったらアレやって」」

 

 仲裁に入ろうとしたシンジへ告げられたのは、やや赤い顔でのいつかの再現希望。さすがにそれはと思うシンジであったが、カヲルは不思議そうに三人を見つめて小首を傾げるのみ。まさかキスをするから後ろを向いてと言う訳にもいかず、どうしようかと迷うシンジだったが、アスカとレイが不満そうに自分を見てくる事に耐え切れなくなって……。

 

「わ、分かったから。じゃ、アスカから」

「ええ」

 

 嬉しそうに目を閉じるアスカへゆっくりと顔を近付けるシンジ。その時、そこへ加持に案内されてケンスケ達が現れた。

 

「お~い、シンジ~っ!」

 

 響き渡るケンスケの声に弾かれるように離れようとするアスカだったが、それをシンジが抱き寄せてキスをした。その場面をしっかり彼らに見せつけながら。

 

「「「えぇぇぇぇぇぇっ!?」」」

「おや、シンジ君も胆が据わったもんだ」

 

 顔を赤くする子供達と意外そうな表情で呟く加持。そんな彼らの事はお構いなしにシンジはレイへもキスをする。それに声を上げる事さえ忘れて立ち尽くす三人へ、カヲルがトテトテと近寄り不思議そうに問いかけた。

 

「あれはいけない事なのかい?」

「い、いや、そうじゃないけどさぁ……」

「むしろセンセ達なら……なぁ」

「う、うん。自然かもしれないけど……」

 

 そこで互いを見つめ合うトウジとヒカリ。何せ彼らも今日したばかりなのだ。しかも人前で。その甘酸っぱい雰囲気にケンスケが一人肩を落としてため息を吐いた。

 

「どうしたんだい?」

「いや、やっぱりこういう時の独り身は辛いなってさ」

「ケンスケ君はあれがしたいのかな?」

「ん? まぁ、そりゃ俺だって可愛い彼女が」

「そう。なら、僕とするかい?」

 

 ケンスケの言葉を遮って告げられた言葉に彼は目を丸くする。そして、すぐに理解し疲れたように項垂れる。いつもの無知ゆえの言動だと思ってだ。なのでケンスケは改めてカヲルへ告げた。

 

「あのな、前も言ったかもしれないけど、俺が欲しいのは可愛い彼女であって」

「うん、だから僕とって言ってるんだけど?」

「だからぁ」

「今の僕は、ケンスケ君の意見を参考にしたんだ。シンジ君は僕が望むようにしていいと言ってくれたからね」

「はい?」

 

 理解出来ない。それがケンスケの正直な感想だった。どうやらその会話が聞こえていたのか、シンジが驚きの表情で二人を、正確にはカヲルを見ていた。

 

「ま、まさかカヲル君……」

「どうしたのよシンジ。カヲルがどうかしたの?」

「碇君、顔色が悪いわ」

「カヲル君は、ううん、渚は女子になったんだよ」

 

 その発言に誰もが一瞬黙り、シンジと加持以外が勢い良くカヲルへ視線を向けた。向けられたカヲルはどこか楽しそうに笑っている。まるで悪戯を成功させたようなそれに、誰もが言葉がない。

 

「な、なぁカヲル? 冗談だよな?」

「確かめてみるかい? 何ならここで脱いでもいいけど」

「うわぁぁぁぁっ! いいっ! それはいいからっ! どっちにしろ脱ぐのはダメなんだよぉ!」

 

 どちらにしたって見せていいものじゃない。そう判断してのケンスケの叫びにカヲルは不思議そうに頷き、ならばとプラグスーツから手を離した。そこで全員が理解する。彼の、いや彼女の言っている事は本当だと。こうしてシンジ達も日常へと戻る事になった。ダメージが酷いエヴァはそのまま眠りに就く事となり、サルベージが予定されている初号機は実験棟へと運ばれ、四号機は破棄が決まり、弐号機と参号機はアスカとレイの希望でそのままケイジに置かれる事となった。それぞれ、母や同化した使徒との約束を果たすためである。

 

―――じゃあね、ママ。時々会いに来るから。

―――寂しくないように顔を見せるわ。だからまたね。

 

 二人の少女の言葉に二機のエヴァは静かに佇むのみ。どこかでアスカとレイも悟っているのだ。最後の戦いの影響で、そのコアにいる存在も弱っている事を。

 

 その後、全世界に向けてネルフが行った発表によれば、地軸が戻った事などはエヴァが持てる力のほとんどを振り絞って行った奇跡のようなものであり、もう二度と同じ事は出来ない上にエヴァ全機も最後の戦いのダメージで稼働出来なくなったと告げられた。そこで見せられたアダム戦の光景と、ボロボロになった各エヴァの姿はそれを裏付ける何よりの証拠となる。

 

 そしてあの光に触れたゼーレは補完を諦めて解散し、その実行組織であったネルフも近く解体される事となった。ただ、それは特務機関としてのネルフであり、セカンドインパクト及び謎の環境回復現象を調査する機関として再出発する事になってはいた。これはゲンドウを始めとした、主だったネルフスタッフの事を警戒した政府の思惑が多分に影響している。要するに、勝手な事をしないよう首輪を付けたのだ。

 

「もっとも、その方がこちらにとっても都合がいいが」

「ユイ君のサルベージが残っている以上、こちらもここを渡す訳にはいかんからな」

 

 どうやら、その結果は引き分けのようではあるが。ただ、今までのような金遣いは出来なくなったので、当然のように全ての職員達の給料は下がる事となり、おかげで彼女は大きく計算が狂ったらしい。

 

「これじゃ当分マンション住まいじゃない! さっさと一軒家に引っ越したかったのにぃ」

「ま、仕方ないさ。二人で慎ましく暮らすとするか。あと、ビール減らせよ? 俺もタバコ止めるから」

 

 不幸中の幸いとでも言うのか、おかげで彼らは新たな命の健康に大きく貢献出来るようになるのだが、それはまだ先の話。さて、給料面が起こしたもう一つの出来事がある。それは恋を求めていた二人の存在の急接近である。

 

「イグアナ?」

「はい。今のマンションだとちょっと家賃が……」

 

 他愛ない話をするようになった事で明かした意外な事実。それならと彼が彼女の給料の範囲内で借りられる場所をピックアップし、色々と世話を焼く事で二人は互いを意識するようになっていく。ま、それを祝福しながら一人はヤケ酒ならぬヤケコーヒーをする事になるのだが。

 

「はぁ~……まさか俺が先越されるとはなぁ」

 

 ギターだけが恋人さ。そんな事を悲しげに言いながら昔を思い出して訪れたライブハウスで、彼もまたある出会いを果たすのだが、それはまた別の話。そして業務内容が変わる事で彼女もまた変化を起こしていた。

 

「お祖母ちゃん、紹介するわ。私が引き取る事にしたレイよ」

「はじめまして、綾波レイです」

「おうおう……本っ当に可愛い子だねぇ。ゆっくりしておいき」

 

 休みを取れるようになった事もあり、彼女は実家へ娘を連れて里帰りを果たしていたのだ。それと並行し、住まいも慎ましいものへと引っ越して。貯金をして、娘の結婚の準備金にするためだ。一度だけ軽い冗談で少女へ同居希望を出した際、本気で悩み泣きそうになったため、以後彼女達の間ではそれは禁句となった一幕もあった。

 

 日常が変わったのは、何もネルフ関係者達だけではない。彼から彼女へ変わった存在と、その親しくせざるを得なくなった少年もその中の一人だ。

 

「ケンスケ君、あれは?」

「おおっ! オーバー・ザ・レインボーだぁ! シンジの奴、アレに乗った事があるとか羨ましすぎるっ!」

 

 人知れず世界を救った彼は、少々複雑な想いを秘めながら念願であった理想の彼女を手に入れていた。そう、ミリタリー好きで可愛い彼女を。だが、どうしても男だった事が過ぎってしまい、未だにその関係はプラトニックなままだったが。一方、そうだったカップルはその関係を進展させていた。

 

「あっ、ヒカリお姉ちゃんやぁ」

「こんにちは、サクラちゃん。トウジ、いる?」

「おう、ヒカリ。待っとったわ」

 

 互いの家族へ紹介し合い、今や家族ぐるみの付き合いを開始していたのだ。少年の妹も足繁く通う少女に姉の姿を見、むしろ早く本当の姉にしてくれと言い出し二人を困らせるぐらいに。そして、勿論彼と彼女も……。

 

 雪がちらつく中、身を震わせながら歩く一組の男女がいる。その足は一軒の家の前で止まると、少女がインターホンを押す。聞こえてくる女性の声に嬉しそうな声で応対する少女。そして、ドアが開いてそこから中年男性とそれよりは少しだけ若い女性が姿を見せた。

 

「ほら、シンジ。挨拶しなさいよ」

「わ、分かってるよ。えっと、バームクーヘン?」

 

 冬の気配漂う中、乾いた音がドイツの空に響き渡る。そして小さな驚きと少し遅れて苦笑する声も。

 

―――もうっ! 教えたじゃない! 何で忘れてんのよっ!

―――し、仕方ないじゃないか! アスカの両親に挨拶するなんて緊張するんだからぁ!

―――……使徒戦より?

―――当然。

 

 即答した少年に免じて、少女はため息を吐くと流暢なドイツ語で父と母へ説明を始めた。連れて来る予定だった親友が母親との旅行を優先した事や、人生で一番緊張したために変な事を少年が口走った事などを。それらを聞きながらまったく理解出来ない少年は首を傾げる。それが少女にはいつかの親友と重なり、小さく吹きだした。

 

―――何だよ?

―――べっつに?

 

 ややむくれる少年と楽しげに笑う少女。そんな二人へ夫婦が家の中へ入るように手招きした。それに感謝を述べようとして、少年と少女は互いを見合う。そして笑顔を浮かべて頷き合った。

 

―――ダンケシェーン!

 

 たった一つの言葉で世界は変わる。少年を変えたのは、逃げる事を肯定する女性の言葉。奇跡の価値は人それぞれ。きっと少年にとっては、あのエヴァとの出会いこそ自身を変える最初の衝撃―――ファーストインパクトだったのだろう。そして、女性の言葉がセカンドインパクト。では、サードインパクトは? もう訪れたのか、あるいはこれから訪れるのか。それとも、もう訪れないのか。それは誰にも分からない。

 

新戦記エヴァンゲリオン 第二十六話「世界の中心で愛を叫んだこどもの、まごころを君に」完




愛……加速、閃き、必中、気合、熱血、幸運、努力が同時にかかる精神コマンド。かつてあった奇跡の下位互換。

幸運……撃破後の獲得資金が倍になる。この作品でいえば、倒した後のメリットが倍、つまり封印が完全消滅になる。

努力……使用後の獲得経験値が倍になる。この作品でいえば成長度が倍、つまりシンジの心がより強くなりました。キスを人に見せて平気だったのはそういう事です。

さて、賛否両論あるだろうカヲルの性転換。ハッピーエンドなら、こうだろうと思いましたのでそうしました。いや、別にカップルが幸せとは言いませんが、ケンスケとカヲルだけあの子供達の中で男同士だと浮いてしまう気もしたんです。マコトとシゲルと違って、カヲルはケンスケの愚痴に共感出来ませんしね(汗

さて、勘の良い方はお気付きでしょうが、これは最終回ではありません。だって、まだ残ってますよね? エヴァにおいての大事な事が。それを描いて、それに少しだけ書きたい事を書いておしまいにしようと思います。

よろしければ、そこまでお付き合いくださるよう、お願い申し上げます。
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