私達は5時に起きた。何故か外が騒がしいから目覚めてしまった。外は台風で大雨が降っている。一体何が起きたと言うのだろうか。
「外が騒がしいわね。」
「何かあったのかもしれない。莉亜ちゃんと芽琉ちゃんはここにいて、僕と芽亜里と優妃と奏太で様子を見てくる。」
私達四人は素早く着替えて部屋を飛び出した。
ゲストハウスの近くにある薔薇庭園の真ん中の建物に大人が集まっているに気づいて近づいた。近づいて見ると目を疑いたくなるような光景が広がった。
お祖父様と秋楽おじさんの妻の春香おばさん、そして莉亜と芽琉の母親の優香おばさんさんの死体があった。
『お祖父様は胸を切り裂かれていて心臓を抜かれていた。その心臓は3人の死体の真ん中でお皿に乗せられて燃やされていた。』
『春香おばさんは頭の二箇所を鈍器で殴られて殺されていた。』
『 優香おばさんはお腹を切られていた。それだけでは無く、内臓をかき回されてグチャグチャにされていた。』
3人とも無残に殺された。お祖父様の死にみんなが涙し、春香おばさんの死に秋楽おじさんと芽亜里が涙し、優香おばさんの死に兄妹が涙した。そんな状況で泣かない人間がいる方がおかしい。
死体は医師免許を持つ私の母の彩芽が検死した。まぁ、検死するまでも無く、死んでいるのは一目瞭然なのだが一応検死するらしい。
検死も終わり、ひと段落ついてゲストハウスに移動することになった。
「ここに全員が集まっていれば安全だろう。」
「秋楽兄さん、3人の死体をあのままにするのは可哀想だわ。」
「紫音、悪いがあのままにするしか無いんだ。現場保存しないと警察が捜査出来ないからね。」
秋楽おじさんの言う通りだ。今遺体に何かをするのは得策では無い。
「それにしても犯人はどこにいるのだろうか。それとも、僕たちの中にいるのだろうか。」
「薫お兄ちゃん、何を言ってるの?きゃふふふ。これは魔女の仕業だよ。」
『被害者全員の部屋は施錠されていて密室だった。お祖父様以外は二人づつで寝ているから一緒に居た人間が犯人かもしれない。でも、それは不可能。それだと共犯がいることになるけど、3人の寝床には血痕が無い。それは使用人にここにくる間に確認したから間違いない。したがって、部屋での犯行はありえないから複数の犯人がいて運んだと言うのは無理がある。だからこそ、魔女が魔法でやったことになると言えるのよ。』
私が一気に話し終えて周りを見ると、莉亜と芽琉以外の人間は全員固まっていた。無理もない、魔女の犯行の可能性を私が証言してしまったのだから。
少しして秋楽おじさんが言った。
「ゲストハウスには食料も武器もない、この台風で電話も繋がらない、このまま犯人に殺される可能性もある。だから、お屋敷に戻って食料と武器を取りに行きたいと思う。」
「それなら俺と兄貴と蓮司さんと城助さんの四人で行こう。大人の男四人なら犯人も簡単には殺せないはずだ。」
「相馬さんの意見に賛成です。」
「城助さんに同じで賛成。」
そうして四人がゲストハウスを離れた。まだ午前8時だが、あまり食事を取らずにいて犯人に襲われた時に動けないと困るから、秋楽おじさん達の行動は正解だとゲストハウスに残った人間も思っただろう。
「きししし、無駄だよね。クロノエルの前では武器なんて役に立たないよね。芽琉。」
「くふふふ、そうだね。クロノエルに武器は使えないね。莉亜。」
私と同じで魔女を信じる2人と私の考えは同じだ。あらゆる魔法を使えるクロノエルにはただの武器は何の役にも立たない。2人と同じで私も無駄だと思った。
「すみません。おトイレに行ってきます。」
「私も行くぜ。優妃。」
「優妃お姉ちゃん、莉亜と芽琉も行くよ。」
そして、4人で部屋を出た。
姿なき魔女の殺人が始まった。黒月の魔女から生きて帰ることは出来るのだろうか?
魔女のゲームは終わりへと向かう。タイムリミットは誰にも分からない。終わりとは一体何なのだろうか?