「起きて、起きてってば。」
僕が目覚めると見覚えのない部屋にいた。周りを見ると、芽亜里、奏太、莉亜、芽琉、神威、美紅利がいた。
「薫様。お茶会はもう始まっていますよ。」
「うふふ。薫お兄ちゃんはお寝坊さんだね。」
「薫お兄ちゃんは遅刻だね。」
僕には何が何なのか分からなかった。
「君たちは死んだんじゃなかったのかい。」
「はい。僕たちは死んでいます。」
「ここは私達死者も存在できる場所です。」
さらに訳が分からなくなった。
そうやって頭を悩ましていると、突然みんなが頭を下げ始めた。すると、何処からともなく銀色の蝶が飛んで来て集まり、黒月の魔女クロノエルの姿を作り出した。
「ご機嫌麗しゅう。クロノエル様。」
「すまなかったわね。使用人の出番がほとんど無くて。」
「まったくですよ。一言も喋らなかった使用人はみんな泣いてますよ。」
「それなら、後で謝りに行かなければいけないわね。」
どうしてみんな普通に話しているのだろうか。目の前にいるのは魔女で、しかも僕たちを殺した張本人だというのに。
「おや、もしかしてまだ魔女を信じていない者がいるのかしら。居るなら名乗り出なさい。」
どうやら魔女様にはお見通しのようだ。
「僕は信じられないね。あれは人間で説明できるものだってあったはずだ。」
「私も同意見だが、あんたと敵対する気は無いぜ。」
「俺は魔女を信じてるぜ。」
「僕はあのような殺し方は魔法しかありえないと思いますので、魔女を信じます。」
「私も神威君と同じで信じます。」
「魔女の弟子である莉亜と芽琉は魔女を完全に信じてるよ。」
みんながそう言うと、ユウヒ・クロノエルは不気味な笑みを浮かべてこちらを見つめてきた。
「信じぬ者が居ると魔法は完成しない。奏太、神威、美紅利、3人は姿を消しなさい。莉亜、芽琉、2人は準備を手伝いなさい。芽亜里は観戦してなさい。」
みんなは再び頭を下げた。
「かしこまりました。」
「莉亜と芽琉は先に行ってるね。」
「それじゃあ、私はゆっくりと観戦させていただくよ。」
みんなはこの部屋から姿を消した。
「そして、魔女を信じぬ愚か者の薫よ。1つゲームをしようでは無いか。」
「ゲーム?一体そんなことをして何になると言うんだ。」
「うっふふ。そちらが勝てば生きて現実世界のお屋敷から逃がしてやろう。しかし、私が勝てば貴様は我に屈して魔女を認める。ただそれだけよ。」
なぜユウヒがこんなことをするのか意味がわからない。確かにユウヒにもメリットがあるが、なぜそれをゲームでしようとするのか。僕にチャンスを与えてから落とす作戦だろうか。だが、チャンスは貰っておくべきだろう。
「そちらの言うゲームを受けようじゃ無いか。」
「きゃははは!私が勝って魔女を認めさせてやる。」
「僕が勝って生きて帰らせてもらうよ。」
ここから悪夢が始まることなど、誰にも知ることは出来なかった。永遠の悪夢は始まりを告げた。