理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第六章【後章】別れそして後に後世へ
第130話 文句という名の私情


現在の昼の真夏の中で俺は昨日の月の民達の証拠を隠滅するために彼らが乗ってきた船を分解していた。

 

ギッ!ギッ!ギッ!

 

理 「ふぅ~この真夏の中での分解作業は本当に

   疲れるな……早く亜狛と耶狛がおつかいから

   帰ってくる前に片付けないとな……」

 

そう言って汗を拭ってまた作業をしようとすると自分の作業を見ていた紫が声をかけてくる。

 

紫 「御師匠様……」

 

理 「どうした紫?」

 

紫 「わざわざそうやって地道に分解せずとも

   私が火山の火口中などに捨てれば……」

 

紫に指摘された。そしてただ一言、

 

理 「……その手があったのを今さら気づいた…」

 

どうやら火山に捨てるという素敵かつシンプルな方法を理久兎は今やっと気づいたみたいだ。

 

紫 「え~と捨てるのかしら?」

 

理 「頼む……」

 

自身の考えより良い考えを出した紫に流石の自分も感服せざる得なかった。

 

紫 「それじゃ~やりますわね」

 

そう言って紫はスキマを展開するとその宇宙船(軽く分解済み)はスキマの中に沈んでいった

 

紫 「これで終わったわよ♪」

 

理 「俺のさっきまでの1時間を返せよ……」

 

と、理久兎が愚痴っていると……

 

理 「……お客様だな」

 

紫 「あら!なら私は隠れた方が……」

 

そう言い紫はスキマを開いてその中に入ろうとする所を止める。

 

理 「いや問題ないよあの子だから……」

 

紫 「あの子って……」

 

そう言っていると奥の方から、

 

晴明「理~久~兎さ~ん!!」L(゚皿゚メ)」

 

声や顔からしてメチャクチャキレている晴明が現れた。その顔は般若のような顔だ。

 

理 「おや晴明どうした?」

 

晴明「よくも昨日はやってくれましたね!!」

 

晴明は理久兎の胸ぐらをつかんでそう怒り狂う。そんな晴明を見て理久兎はとりあえずとぼける事にした。

 

理 「はて?何のことかな?」(・_・)

 

晴明「とぼけるないてください!昨日帝様の家で

   の騒ぎあれを仕組んだのは理久兎さん達で

   すよね!」

 

昨日の件について理久兎に問いただす。もう隠すのも面倒なのでしょうがないと思い、

 

理 「やれやれそこまで言われるとねまぁ~確か

   にあれをやったのは俺達だよ……」

 

晴明「やっぱり!理久兎さん達のせいで陰陽

   師達の面目丸潰れなんですよ!!」

 

理 「そう言うけど俺らのことを察知できないの

   がそもそも悪いんじゃないの?」

 

晴明「うっ!」

 

今の一言は晴明がこれ以上文句を言うことが出来ないようにする所謂、王手の一言だった。さすがの晴明も胸ぐらを掴むのを止める。

 

理 「それに俺らがやったて言うけど表向きは

   違うんだろ?」

 

晴明「えぇここだけの話、妖怪達の仕業と知って

   いるのは私含めた陰陽師の人達だけです帝

   様や武士達は月の者達による妨害工作とし

   か考えていません……」

 

理 「まぁそこは、計画通りに進んだね……」

 

紫 「そうですわね……」

 

晴明「はぁ~本当に貴方達にはしてやられました

   なので……」

 

そう言い晴明は少し言葉を溜めて、

 

晴明「滅します!骨も灰も残らぬように!」

 

そう言い晴明は右手にお札、左手に式神札を構える。

 

理 「おっおい落ち着け自棄になるなって!」

 

紫 「なんでこうなるのかしら……」

 

晴 「貴方達のせいで………川で汚れた服を洗う

   手間やしまいには給料は確実に指し引き

   なんですよ!全部の責任をここで償え!」

 

晴明は陰陽師らしくもない発言を叫ぶ。最早、自身の欲や私情に忠実に動いていた。

 

理 「てっおいまて!ほとんどお前の私情だろ!」

 

紫 「己の欲に忠実ね貴女……」

 

晴明「うるさい!」

 

そう言い晴明は理久兎達に襲いかかってくるが現実とは非常に残酷である。

 

紫 「はぁ~困った子ね……」

 

そう言い紫は晴明の走ってくる場所に合わせてスキマを展開すると、

 

晴 「えっ!また~ーーーーー!!」

 

そう言いながら晴明はスキマに落ちていった……

 

紫 「まったく……御師匠様、彼女どうします?」

 

紫はスキマを閉じて晴明のことにつてどうするかを聞いてくる。正直どうすればいいのやらと思っていると紫はとんでもないことを言い出した。

 

紫 「何なら寒い富士の山に捨てます?それなら

   少しは頭が冷えると思いますわ?」

 

それを聞いたさすがの理久兎も晴明の命が危険と感じた。今の紫は冗談抜きで殺りかねない。

 

理 「いやそうなる前に凍死するからね?とり

   あえず少しスキマの中に入れておいてく

   れや」

 

紫 「わかりましたわ♪」

 

理 「でも頭が冷えるね……そうだ…あれを作るか!

   丁度良い暑さ対策になるしね♪」

 

紫 「あれ…とは?」

 

理 「見てのお楽しみだよ♪そうと決まれば紫

   少し待っててくれ美味しい物を作ってく

   るから♪」

 

紫 「えっ?えぇ……」

 

そう言い理久兎はダッシュで厨房に向かった。

 

紫 「言われた通り待とうかしら……」

 

そうして紫は縁側に座り理久兎の作る美味しい物をを待つのだった?そしてそうすること数分後、

 

紫 「暑いわ……」

 

紫は日陰にはいるがこの暑さは結構応えるようだ。すると縁側に向かって亜狛と耶狛が近づいてくるどうやらお使いは終わって帰ってきたみたいだ。

 

亜狛「あれ?紫さんマスターは?」

 

耶狛「本当だマスターはどうしたの?」

 

紫 「今厨房にいるわよ美味しい物を作るとかで」

 

亜狛「そうですか……」

 

紫 「ところで昨日のあの骨はどうしたのかし

   ら?」

 

紫は昨晩ルーミアが食い散らかした月人の骨のことを聞くとそれについて話を続ける。

 

耶狛「あれなら全部回収してマスターに預けた

   よ?」

 

亜 「マスターはあれを何に使うんでしょう

   かね?」

 

紫 「そう……」

 

どうやら骨のことについて知っているのはここまでみたいだすると今度は、

 

ル 「フワァーー」

 

あくびをしながらルーミアが歩いてくる。

 

ル 「あれ?3人共おはよう……」(/_-)

 

紫 「おはようじゃなくてもうこんにちわよ?」

 

ル 「もうそんな時間……?」

 

紫 「いつまで寝てるのやら……」

 

亜狛「アハハ……」

 

耶狛「でも暑い……」

 

そう言い耶狛が参っていると紫はそんな2人を手招きして、

 

紫 「あら貴方達もここにいらっしゃい少しは

   涼しいわよ♪」

 

亜狛「ではお言葉に甘えて」

 

耶狛「うはぁ~涼しい……」

 

ル 「私もお邪魔するわ……」

 

3人は縁側の日陰がある場所に座ったりごろ寝を開始した。

 

紫 「そういえば晴明は大丈夫かしら?」

 

流石に頭が少し冷えたのか紫も晴明を心配しているとおぼんに見たことのない食べ物をのせて理久兎が戻ってきた

 

理 「あれ?2人も帰ってたんだそれにルーミアも

   起きただねなら作ったのを出すか」

 

そう言い理久兎はおぼんを縁側にのせて断罪神書を開きそこのあるページからおぼんにのっているのと同じものを取り出した

 

紫 「マスターこれはなんですか?」

 

理 「俺特製のかき氷もとい宇治時雨だよ♪」

 

亜狛「かき…氷?」

 

耶狛「宇治…なに?」

 

ル 「私もわからないわ……」

 

紫 「見た感じあんこと抹茶ね?」

 

理 「まぁ食べてのお楽しみだよ♪さてと紫

   晴明を出してやってくれ……」

 

紫 「えぇわかったわ」

 

そう言い紫の顔辺りの高さにスキマを展開するとそこから1人の少女もとい晴明が落下してくる。

 

ドスン!

 

晴明「痛った!あれこっここは!帰ってこれた……

   良かった…」

 

どうやらスキマの中をさまよっていたみたいだ。

 

理 「お~い晴明……」

 

晴明「えっ!?」

 

晴明は理久兎に呼ばれて彼の方を向くと、

 

理 「一緒に食べよう♪」

 

そう言うと理久兎は宇治時雨を晴明に見せる。それを見た晴明は

 

晴 「ゴクン……うっ……いいでしょう!」

 

そうして理久兎達はかき氷宇治時雨を食べるのだった。

 

晴明「でも氷なんてよく取ってきますよね」

 

理 「まぁ色々と面白い物は沢山あるからね♪」

 

理久兎と晴明がそう言っている横では、

 

耶狛「あっ頭がーーー!!!」

 

亜狛「うぉーーー俺もきた!!」

 

ル 「美味しいけど頭がキーーンとする!!」

 

紫 「まったくゆっくり食べないと痛いわよ?」

 

ベタなかき氷の定番のネタをやっていると理久兎は晴明に、

 

理 「とりあえず服の件とかはこれでチャラね?」

 

晴明「えっ!ズルいですよ!!」

 

理 「あれれ良いのかな?妖怪の所に飯をたかりに

   来る陰陽師(笑)なんているのかな?」

 

と、分かりやすく白々しく言う。すると晴明は一瞬悔しそうにしたが、

 

晴 「わっわかりました……」(TдT)

 

そう言い、これ以上その件についての文句を言うのは止めたそして、晴明は理久兎に1つ質問をする。

 

晴明「理久兎さん……」

 

理 「どうした?」

 

晴明「輝夜姫は月に帰ったのですか?」

 

晴明は輝夜姫のことを理久兎に聞くと理久兎は晴明に確認のために、

 

理 「他の奴には話さないか?」

 

理久兎は念のためにと晴明に条件を提示する。

 

晴明「絶対に話しません!」

 

晴明は理久兎の条件をのんだ。

 

理 「なら話そう彼女達はまだこの大和にいるよ」

 

それを聞いた晴明は、

 

晴 「えっ!でも月のお迎えが来たのにまだ

   ここ大和にいるんですか?」

 

理 「あぁ彼等には輝夜姫は渡すことは出来ない

   と俺が判断したからね………だから彼らには

   俺が説得(殺害)をして星(あの世)に帰って貰

   ったよ……」

   

それを聞いた晴明は驚いていた。

 

晴明「あんな殺る気満々のお迎えを帰すなんて……」

 

と、言うが心の中では、

 

理 (まぁ殺して今は壺に入ってるけどね…そうだ

  1つ晴明に聞いてみるか……)

 

そして今度は理久兎が晴明に質問をする。

 

理 「なぁ晴明……」

 

晴明「何ですか?」

 

理 「噂で聞いたんだが輝夜姫が残した薬……

   それはどうなった?」

 

そう前に噂で輝夜姫が帝そして翁と媼の養父母に不老不死になる薬を渡しと聞いたのでそれについての噂が本当かどうかを確かめるために晴明に聞いたのだ。すると晴明はそれについて語り出す。

 

晴明「では話しますね……薬…またの名を蓬莱の薬

   輝夜姫様はそれを帝様と養父母の翁さんと

   媼さんにそれぞれ託しましたが…」

 

理  (・_・?)?

 

晴 「皆飲むのを辞退しました……」

 

理 「はぁっ!?」

 

理久兎からしてみればそれはとても驚いた。普通人間は不老不死に憧れるものだ。かつて旅をした場所の中には不老不死になりたいがために死んでいった人物もいたぐらいだからだ。

 

理 「驚いたなまさか不老不死になろうともしな

   い人間がいるとは………それでその薬は処分

   したのか?」  

 

理久兎はその薬の行方について晴明に聞くそして晴明はそれについて答える。

 

晴明「いえ帝様と養父母様方の意見でもしがある

   ということで明日その薬を積んだ荷車を出

   して……」

 

そう言いいながら晴明は富士の山に向かって指を指し、

 

晴明「あの富士の山の火口に捨てるんです……」

 

と、言った。それを聞いた理久兎は、

 

理 「なるほどねまぁ分からなくはないよね」

 

晴明「えっ!?どうしてですか?」

 

晴明がそう言うと理久兎は喋り出す

 

理 「その薬は死を与えない代わりに死を選ぶ

   ことが出来なくなるんだよそれは人間達

   からしてみれば確かに憧れるかもしれな

   いけど蓬莱の薬を飲んだ者は永遠に人の

   死を見送る側になってしまう………愛する

   人が死んでも信頼できる友が死んでも自

   分だけは死ねない………そのような悲しみ

   を背負わせないための処置なんだろうね」

 

晴明「確かに改めて聞いてみると残酷な話ですね」

 

晴明は理久兎の言葉を聞いて不老不死の恐怖と悲しみを知った。

 

理 「まぁそれも人それぞれだけどね…おっと

   せっかくの楽しい至福の時間なのにこん

   な辛気臭い話は止めにしよう」

 

晴明「そうですね……」

 

と、言っていると理久兎と晴明はあることに気がつく。

 

理 「ん?手が冷た……!!ヤバ!氷が溶け始め

   てるぞ!」

 

晴明「えっ!!私も!!」

 

理 「急いで食べるぞ!」

 

晴明「えぇ!!」

 

そうして2人は急いで宇治時雨を食べると、

 

2人「うぉーーーー!!頭が!!!」

 

2人のそんな光景を見た紫と亜狛、耶狛そしてルーミアは爆笑して共に笑い合うのだった。

 

 

 


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