理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

150 / 565
第143話 死への前兆

理久兎が白玉桜から帰ってきてから1ヶ月が過ぎ理久兎は平和な生活を過ごしていた。今その理久兎は風呂にのんびりと浸かっていた。

 

チャポン……

 

理 「ふぅ~平和だな~」

 

湯船に浸かりながらゆったりと寛いでいると、

 

亜狛「マスター湯加減は大丈夫ですか?」

 

と、亜狛の声が聞こえてくる。どうやらお湯の調整をしに来てくれたみたいだ。

 

理 「亜狛もう少し熱くしてくれ」

 

理久兎がそう言うと亜狛は、

 

亜狛「分かりました!」

 

そう言うと亜狛は薪を足してくれたのかお湯がどんどん暑くなっていった。因みに温度は約47℃と高温だ。

 

亜狛「マスターこのぐらいですか?」

 

理 「あぁありがとう!!」

 

亜狛「では私は元の仕事に戻りますね」

 

そう言うと亜狛の気配がそこから消えた。

 

理 「うぇ~~極楽♪極楽♪」

 

心地の良い暖かさに包まれながら爺臭いといってももう爺だがそう呟いていると、

 

紫 「御師匠様!!」

 

突然、自分の目の前にスキマが開き紫が飛び出してくる。

 

理 「うぉっ!!どうした!紫!」

 

紫 「御師匠……様!?」

 

今の自分裸だ。それを見た紫は、

 

紫 「しっししし失礼しました!」

 

そう言うと紫はスキマに戻って姿を現さない。

 

理 「あれ~何であんなに驚くんだ?昔はよく

   一緒に入ってたのにな……」

 

そう言うが一向に姿を出さない。

 

理 「紫~何があったんだ?」

 

紫 「おっ御師匠様!服を着てくださいせめて

   下だけでもいいですから!」

 

紫 「やれやれしょうがないな……」

 

紫も年頃なのか服を着ろと言ってきた。

 

ジャパ~ン!

 

浸かっていた風呂から出て紫に言われたとおり下の部分にタオルを巻く。

 

理 「お~い紫タオルを巻いたから出てきて

   いいぞ!」

 

紫 「しっ失礼します……」

 

そう言いつつ紫はスキマから顔を出す。

 

理 「それでどうしたんだ?」

 

タオルを下に巻いた理久兎はもう一枚のタオルで体を拭きながら聞くと、

 

紫 「そう大変なのよ幽々子が!!」

 

理 「……おいおいとりあえず落ち着け」

 

紫 「はっはい……」

 

理 「亜狛!」

 

理久兎がそう言うと外から亜狛の声が聞こえ出す。

 

亜狛「今度は何ですか?」

 

理 「至急に耶狛を部屋に呼べ!!」

 

亜狛「わっ分かりました!!」

 

声の音量的に何か異変と亜狛は察知したのか走って耶狛を呼びに向かった。

 

理 「ここじゃあれだから部屋に行くぞ!」

 

紫 「えっえぇ!」

 

そうして理久兎はぱっぱと体を拭き服を着て紫と部屋に行くのだった。

 

神様、少女移動中……

 

理久兎が部屋に着くともう既に亜狛と耶狛がいた。

 

耶狛「どうしたのマスター?」

 

亜狛「至急に呼べ何て……」

 

理 「紫、何があったかを教えてくれ」

 

何があったのか紫に説明を求めること、

 

紫 「幽々子が怪我をしたのよ!」

 

理 「えっと……それだけ?」

 

怪我ぐらいで風呂から出てきて驚かされたのではたまったものではない。

 

紫 「ごめんなさい説明不足でしたわ!幽々子

   が自分で自分を包丁で傷つけたのよ!」

 

理 「おいそれは本当か!?」

 

1ヶ月前に会った時はあんなにほのぼのとしていた印象があった子が自分で自分を傷つけたことに理久兎は驚くしかなかった。完全に自殺をしようとしたみたいな感じだがあの雰囲気的にあの子が自殺するとは思えない。

 

理 「……紫、幽々子の所に行かせてくれそこで

   何があったかを調べる必要がある……」

 

紫 「分かりましたわ!!」

 

そう言うと紫はスキマを開く準備をする。そして亜狛と耶狛が推理をしていたのか、

 

亜狛「でも自分で自分を刺すなんてそれって家庭

   環境が悪いとかストレスを抱えていた………

   とか?」

 

耶狛「う~ん自分で自分を…それって自殺?」

 

亜狛と耶狛がそう推理について自分は首を横に振って否定する。

 

理 「いやあの娘に限ってそれはまず無い筈なん

   だが家庭の環境は見た感じ良かったしスト

   レスを感じているようにも見えなかった…

   だから自殺する理由にもならないんだけど

   な……」

 

理久兎がそう言うと亜狛と耶狛は

 

亜狛「そうですか……」

 

耶狛「やっぱり調べるしかないか……」

 

そう言っていると紫が理久兎達に

 

紫 「御師匠様、準備が出来たわ!直ぐに行きま

   しょう!」

 

理 「亜狛!耶狛!今回は2人にも手伝って欲し

   い俺から見ても分からないことがあるかも

   しれないが3人なら何か気づくかも知れな

   いしな」

 

2人は元は狼と言う野性動物なため何かしらの危険をすぐさま察知できると感じ2人に同行して欲しいと頼む。

 

亜狛「分かりましたマスター」

 

耶狛「勿論!紫ちゃんの友達のためだもん!」

 

2人は理久兎の言ったことに承諾をした。

 

理 「よし紫、亜狛、耶狛、行くぞ!」

 

亜狛「了解!」

 

耶狛「うん!」

 

紫 「行きましょう!」

 

そうして4人はスキマに入っていった。

 

そしてここ白玉桜では、

 

妖忌「幽々子様……」

 

幽 「………………………………」

 

布団で寝ている幽々子を看病しながら妖忌は主人である幽々子の名前を呼ぶ。すると妖忌の前にスキマが開く。

 

妖忌「あれは紫殿のスキマ……」

 

そしてその中から、

 

理 「妖忌さん幽々子さんは!」

 

亜狛「ここがマスターの言っていた白玉桜……」

 

耶狛「畳の良い香り♪」

 

紫 「妖忌、幽々子は……」

 

理久兎、紫、亜狛、耶狛がスキマから現れる。

そして妖忌は、

 

妖忌「理久兎殿、それに紫殿……」

 

そう言うと妖忌は下を見る。

理久兎達も下をみると布団で寝ている幽々子がいた。

 

紫 「幽々子……」

 

亜狛「これが紫さんの友達の幽々子さん」

 

耶狛「お姫様みたいな娘だね……」

 

理 「妖忌さん何があったかを説明してくれ」

 

妖忌「……わかりました」

 

そうして妖忌は説明をしてくれた。紫と幽々子そして妖忌とで楽しく目の前の桜を見ながら会話をしていると幽々子が何を思ったのか少し席を外し紫と妖忌は厠だろと思っていると幽々子が帰ってくるとその手に庖丁が握られていたことそして妖忌が何故庖丁を持ってきたのかを問いただすと突然幽々子が自身の胸をその庖丁で貫こうとするところを妖忌が止めて自分の腕を刺したことを述べた。

 

紫 「御師匠様何かわかりましたか?」

 

紫にそう聞かれた理久兎は、

 

理 「……すまないがよく分からない」

 

亜狛「う~んやはりわかりませんね……」

 

耶狛「私もよく分からない……」

 

妖忌「……………………」

 

そして理久兎は少し考えてあることを聞く。

 

理 「妖忌さんそういえば幽々子さんの親や

   他の従者の方々は?」

 

理久兎は幽々子の親について聞くと妖忌は顔をうつむかせながら、

 

妖忌「皆……死にました……」

 

そう言いながら妖忌はゆっくりと今にも咲きそうな桜を指差して、

 

妖忌「あの桜…西行桜の前で……」

 

理 「それって……」

 

そして妖忌は更に話を続ける。

 

妖忌「かつて先代の西行寺家の当主聖歌様またを

   幽々子様の父上様はこよなく桜を愛してお

   りました……そして聖歌様は西行桜で生涯を

   終わりたいと言い西行桜の前で生涯を閉じ

   ました……」

 

亜狛「でもそれだけじゃ……」

 

耶狛「ない…よね…?」

 

亜狛と耶狛が言うと妖忌は頷き話を続ける。

 

妖忌「そしてその聖歌様が死んだ後それを追う

   かのように次々と西行桜の前で従者達は

   自殺をしました……それが原因なのか幽々

   子様の能力は変わってしまいました」

 

理 「能力……因みにその能力は……」

 

理久兎がそれを聞くと妖忌はそれについても話始める。

 

妖忌「幽々子様の本来の能力は『死霊を操る程度

   の能力』でしたが………」

 

妖忌がそう言いうと今度は紫が話す

 

紫 「幽々子の能力は『死を操る程度の能力』に  

   なったのよ……」

 

理 「なるほど……亜狛、耶狛あの桜で感じる

   ことは?」

 

理久兎が亜狛と耶狛に聞くと、

 

亜狛「……はっきり言いますとあの桜は……」

 

耶狛「妙に違和感を感じるよ何て言うか

   近づきたくない……」

 

理久兎は2人の勘を信じていた。2人は本来は狼だつまり野生の勘が働いたようだ。

 

理 「……そうかなぁ最後にその従者達や幽々子

   のお父さんが死んだ時ってあの桜が満開

   の時か?」

 

理久兎がそう言うと妖忌は驚いて、

 

妖忌「よくわかりましたね理久兎殿まったく

   そのとおりです……」

 

理久兎は今の妖忌のことを聞いて確信した。恐らく幽々子が自殺しようしたことは前兆に過ぎないこと。あの桜が満開に成ればどうなるか理久兎は嫌な想像をしてしまった。この場の自分と亜狛と耶狛以外の紫や妖忌そして幽々子が死んでしまった姿を、

 

理 「……妖忌さんあの桜が満開になれば

   恐らく幽々子さんは確実に死にます」

 

そう言うと妖忌と紫は驚いて理久兎に理由を訊ねてくる。

 

紫 「御師匠様それって!」

 

妖忌「どういうことですか理久兎殿!」

 

理 「亜狛と耶狛は狼の妖怪(神使)です狼等の

   動物は勘が物凄く働きますその2人が近

   づきたくないということは…‥それは危険

   を察知したからです」

 

紫 「……だからって死ぬなんて……」

 

紫がそう言うと理久兎は

 

理 「いや恐らくあれは死んでいった従者達の

   精気などを大量に吸ってると考えるとあ

   の桜は満開になりたいがためにまた精気

   を吸い付くしてここにいる者達を確実に

   殺す……いわば害悪の一種だ…」

 

理久兎がそう言うと紫と妖忌は顔を真っ青にする。

 

紫 「ならどうするのですか」

 

紫がそう言うと理久兎は

 

理 「妖忌さんあの桜が満開になるのに残り

   何日ぐらいですか?」

 

妖忌に聞くと妖忌はあの桜をまじまじと見ながら、

 

妖忌「恐らく残り1週間かと……」

 

妖忌がそう言うと理久兎は自身の考えた結論を答える。

 

理 「ならあれを封印すればいい」

 

紫 「ふっ封印ですか……」

 

理 「あぁ直ぐあれを封印する術式を考えて

   作らないと恐らく幽々子は死ぬぞ」

 

理久兎がそう言うと妖忌も幽々子を死なせないがために理久兎に協力する事を決意する。

 

妖忌「ならば理久兎殿ここ白玉桜で泊まって

   いってくださいそうすれば時間が短縮

   できます……」

 

理 「ありがとう妖忌さん亜狛に耶狛それから

   紫………術式を作るのに3人の力を貸して

   くれないか?」

 

亜狛「勿論やらせていただきます!」

 

耶狛「私もやる!」

 

紫 「幽々子を助けるためなら!」

 

3人は了承をしてくれる。ならば後は作るだけだ。

 

理 「なら作るぞ!」

 

そうして理久兎は直ぐに部屋へと籠り術式製作を始めるのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。