理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第144話 秩序の意味

幽々子を助けるべく理久兎達は西行妖を封印する準備に取りかかろうとしていた。

 

理 「紫、先に言っておきたいことがある」

 

紫 「何かしら御師匠様?」

 

理 「今回の西行妖の封印するにあたっては

   紫の存在が鍵となる……」

 

紫 「私の存在が?」

 

理 「あぁ俺と亜狛に耶狛そして最後に妖忌さん

   とで抵抗する西行妖を抑えるその間に紫は

   俺が作る封印の術を使って西行妖を封印し

   て欲しい……」

 

紫 「でも私より御師匠様が適任では……」

 

紫がそう言うが西行妖がどのような攻撃を仕掛けてくるのかもまた謎が多くもしの事で詠唱が中断してしまうもまた最初からやり直しとなってしまう。そうなると自分は前線に出た方が良いだろうと考えた。

 

理 「確かに俺がやっても良いのかもしれない

   が俺よりも紫の方が、妖術には長けてい

   る俺はそこを見て考えたんだがな?」

 

紫は不安を抱いているのか少しうつ向いていた。

 

紫 「…私でいいのかしら……?」

 

理 「心配するな幽々子を救いたいと心から

   願えば成功するし俺は信じてるよ♪」

 

不安を抱いている紫を励ます。だが自分は信じている。紫ならばやってくれると彼女は不安な顔から笑顔になる。

 

紫 「ふふっありがとう御師匠様気持ちが軽く

   なりましたわ♪」

 

そう言うと紫の頭に手を置いて笑いながら、

 

理 「それで良いよ肩の力を脱いてリラックス

   しないとこっちが疲れるからな♪」

 

紫 「御師匠様……」

 

理 「さぁ~てといっちょ作りますかね♪

   紫も今出来ることをしなさい♪」

 

そう言うと理久兎は紫の頭から手を離して(すずり)と墨を用意し始める。

 

紫 (このままいると御師匠様の邪魔かしらね

  ありがとう御師匠様♪)

 

そう思った紫は理久兎の邪魔になると考えて部屋からそっと出ていった。

 

理 「行ったな……」

 

紫がいなくなるのを確認し断罪神書からナイフを取り出して左手首にそのナイフを押し当てて、

 

ザッ!

 

理 「痛って……」

 

自身の左手首を軽く斬るとそこから血が溢れ出てくる。

 

理 「これを硯に入れないと後は……」

 

理久兎は血液を硯に流し込み自身の能力『理を操る程度の能力』を発動させて、

 

理 「(ルール)を制定する我が血で書かれた文字は邪

   を撃つ力を得る」

 

そう唱えると理久兎が硯に流し込んだ血と今も理久兎の手首から流れている血が一瞬光るとまた元の血の色に戻る。それを硯の半分ほど入れると今度は右手の人差し指をかざして、

 

理 「フレイムシード」

 

魔法を唱えると人差し指に小さな火の玉が出来る。そしてその火の玉を、

 

ジュー!!

 

理 「うっぐっ!!」

 

先程斬った自身の左手首に押し当てて止血をする。

 

理 「はぁ~はぁ~結構辛いな……」

 

そうして理久兎は息を整えて、

 

理 「後は墨と合わせて……」

 

そうして水の代わりに自身の血で墨を溶きそして筆にその特製の墨を浸けて

 

理 「やるか……」

 

そうして理久兎は術式を書き始めるのだった。そして術式を書くこと数時間後夕日が空を紅く染め上げる夕方の時間帯になり始める。すると、

 

亜狛「マスター西行妖に異常はありません」

 

耶狛「こっちも異常無しだよ!」

 

と、言いながら亜狛と耶狛が理久兎の部屋にやって来て状況を報告しにやってくる。さっきまで亜狛と耶狛がいないことに「何でだ?」と疑問に思った読者様のために言うと亜狛と耶狛は西行妖の見張りをしている。命有るものが近付くと危険な西行妖だが、今の亜狛と耶狛は不老不死。精気を吸い取られるどころか命も取られないことを見越して理久兎は2人に西行妖を見張ることを命じたのだ。

 

理 「そうか…なら良かった……」

 

そう言いながら理久兎は亜狛と耶狛の方を向くと亜狛と耶狛は驚きの顔を示した。

 

亜狛「まっマスター大丈夫ですか!!」

 

耶狛「酷い顔だよマスター!」

 

理 「そう…か?」

 

自身の血液を何mLか失って貧血になりつつも文字を書き続けた結果、顔が酷くむくんで真っ青になっているのだろう。

 

亜狛「マスター少し休んで下さい!」

 

耶狛「じゃないと死んじゃうよ!」

 

2人が止めようと手を肩に置くがその手を振り払い、

 

理 「止めるな…今は書き続けるしかないんだ」

 

硯にいれた血が固まると字が滲んでしまうため完成までは書き続けるしかないのだ。

 

亜狛「何でです…ってマスターその左手首は!」

 

耶狛「えっ!マスターその火傷の傷は何!」

 

理 (やべっ!)

 

2人にリストカットした腕を見られて理久兎はそれを右手で隠す。さらに亜狛と耶狛は、

 

亜 「んっ?……微かに血の臭いがしますね」

 

耶 「しかもその硯から……マスターまさか」

 

亜狛と耶狛は硯から出ている血の臭いを嗅ぎとり理久兎に詰め寄る。そして誤魔化すことが出来ないと感じて、

 

理 「……紫達には言うなよ?」(´・ω・`; )

 

そう言い理久兎は術式を書きながらこれまでの経緯を説明した。

 

亜狛「マスター貴方って人は……」

 

耶狛「何でそこまでするの……」

 

亜狛と耶狛は自分達の主人がそこまでやる理由が分からなかったのか言うが、

 

理 「自分の弟子…義娘のために命を張るのは

   当然だ昔にそう覚悟はしたからな」

 

弟子を持つという事は育てあげなければならない。だからこそ出来るだけの愛情は注ぎたいのだ。

 

亜狛「だからって……」

 

耶狛「マスター自分の事も考えないと……」

 

理 「この世に生と死があるのは知ってるよな?」

 

2人にそう聞くと亜狛と耶狛は、

 

亜狛「勿論です…そしてそれを作ったのは」

 

耶狛「マスターの弟ちゃんと妹ちゃんだよね?」

 

理 「あぁそうだ……だが本来それは繋がること

   はなかったんだ……」

 

亜狛「えっ?」

 

耶狛「言っていることがわからないよ」

 

2人がそう言うと理久兎は更に話を続ける。

 

理 「本来はイザナギの生とイザナミの死はこの

   世にあっても実現は出来なかったのが現状

   だった………だがそれを俺は自身の能力『理

   を操る程度の能力』を使って生と死を繋げ

   て実現したんだ……」

 

亜狛「待ってくださいそれって……」

 

耶狛「マスターがそれを繋げたからこの世に

   生と死の理が誕生したってこと?」

 

理 「そうだ……」

 

つまりもっと酷く言えば月の民達が嫌がる穢れという概念を生んだのは自分である。

 

亜狛「そうなると妹…耶狛が死にそうになった原

   因も…今こうして幽々子さんが死にそうな

   のも」

 

耶狛「マスターの理……のせいなの?」

 

理狛「そうなるな……」

 

理久兎は術式を書く筆を止める。亜狛と耶狛の言っていることは間違ってはいない。根本的な理由としては全て自分が創った理のせいなのだから。理をねじ曲げて生かすことは可能かもしれない。だが1人のためにそこまでは出来ない。自身の能力は全ての民が死ぬまでの間を精一杯生きるためにあるのだから。すると亜狛は、

 

亜狛「マスター1つ言っておきます……」

 

理 「何だ?」

 

亜狛「マスターがそれに責任をとうことは無いん

   ですよ……」

 

理 「どういうことだ?」

 

亜狛「確かにマスターが創った理を死を私は一時期

   恨みました………ですがそのおかげで今こうし

   てマスターの従者になったことに喜びを感じ

   ているのも事実なんですよ……」

 

理 「亜狛……」

 

亜狛がそう言うと今度は耶狛が胸を張りながら、

 

耶狛「そうだよマスター♪確かにその理は生ある

   者達からすれば恨むかもしれない…だけど

   マスターの創った理が無かったら今ごろ世

   界は無秩序だよ!だから気に病むことは無

   いんだよ!」

 

理 「耶狛……」

 

亜狛「だからマスターそう思い詰めないで下さい」

 

耶狛「そうだよマスター!」

 

2人の従者にそう言われた主人こと理久兎は、

 

理 「ハハハまさか従者にそこまで言われる

   とはな……」

 

そう言われ自分は筆を置くと、

 

理 「なら少しだけ休むよ……」

 

亜狛「それが一番です……耶狛、包帯等の治療道具

   を妖忌さんから貰ってきてくれ」

 

耶狛「わかったよ!」

 

そう言うと耶狛は妖忌から包帯等を貰うために部屋から出ていった。

 

理 「亜狛、少しだけ睡眠をとるから20分たっ

   たら起こしてくれ……」

 

そう言うと壁に寄りかかって楽な体制になると、

 

理 「Zz~Zz~Zz~」

 

軽く睡眠を取ることにした。そしてすぐに寝た理久兎に

 

亜狛「分かりましたマスター♪」

 

理久兎の言われたことに返事をするのだった。そして、耶狛が妖忌から包帯を貰ってきてそれを理久兎のリストカットした腕に巻き付けて治療をし、しばらく理久兎を寝かせ、20分後には理久兎に言われたとおり亜狛は理久兎を起こして理久兎は術式の作成の仕事に再度取りかかるのだった。来たるべきの戦いに備えて。


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