理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第146話 決戦 妖怪組VS西行妖

決死の瞬雷も虚しく幽々子は自害をし自分の腕でどんどん冷たくなっていった。

 

理 「ぐっ!」

 

幽々子を抱き抱えてすぐさま後退し胸にナイフが刺さった幽々子を揺さぶりながら、

 

理 「幽々子!幽々子!起きろ死ぬな!」

 

だが理久兎の決死の叫びは虚しく幽々子は死んだことを告げるかのように体が冷たくなりもう動く気配はない…

 

亜狛「うぅん!!!」

 

耶狛「ううううぅぅん!!」

 

そして拘束されている亜狛と耶狛は西行妖からのびている枝から逃れようと必死にもがくが枝がほどけることはなく理久兎の元にも行くことも出来ない。すると、

 

紫 「御師匠様いったいどうしたの!!」

 

と、言いながら紫が走ってやって来る。理久兎は悲しみの声で……

 

理 「紫……すまん……守れなかった……お前の

   友達を……親友を……」

 

紫 「そっそんな……幽々子!!」

 

紫は幽々子の手を握るがもう生きている人の手の温度ではなかった事を実感したみたいだ。

 

理 「すまん……紫……本当にすまない!」

 

紫 「御師匠様…………」

 

紫に謝り続けていると突然、

 

? 「ギャァーーー!!!」

 

聞いているだけで不快感を表すような悲痛の叫びが響き渡る。

 

紫 「何…この叫び……」

 

理 「…………………………」

 

理久兎達が叫びが聞こえた所を見ると西行妖が満開となりその木の幹からは悲痛を表すような顔が現れていた。それと同時に亜狛と耶狛を拘束している枝は更に締め上げていっているのか、

 

ギューーー!!

 

亜狛「むぐぅーー!!」

 

耶狛「んんっん!!」

 

亜狛と耶狛も苦しみ始める。2人は不老不死だが痛覚は残っている。おそらく伸びている木の枝がさらにきつくなり2人を締め上げていることが容易にわかるかのような叫びをあげる。

 

紫 「御師匠様!早く亜狛と耶狛を助けないと!」

 

理 「…………………さ…ん……ぞ」

 

紫 「御師匠様?」

 

理 「許さんぞ貴様だけは何があっても許さぬぞ

   西行妖!!」

 

理久兎のその一言と共に大量の霊力、妖力があふれでてくる。これには最高神の理久兎ですらも堪忍袋の紐もぶちギレ先程の感じていた脱力も消え失せた。ただ幽々子を殺した西行桜をへし折りたいと思った。

 

紫 「おっ御師匠……様……」

 

幽々子の骸をそっと寝かせ叫びをあげる西行妖の方向を向きながら立ち上がり紫に指示を出す。

 

理 「紫、俺がやった紙の文字を素に術式を

   組み上げろ!」

 

紫 「御師匠様は!」

 

理 「俺はあの雑草(西行妖)を刈り取る!」

 

そう言いうと理久兎は西行妖に向かって駆け出した。

 

紫 「御師匠様…わかったわ!!」

 

そして紫も理久兎に言われた通り理久兎が作り上げた術式を読み始め術式を展開させていく。

 

西桜「ギャァーーー!!!」

 

西行妖は向かって来る理久兎に地面から根を出しての攻撃と無数の枝で攻撃を仕掛けてくる

 

理 「断罪神書!そして来い黒椿!空紅!」

 

駆け出しながら理久兎は断罪神書から2本の刀、黒椿と空紅を出して自身に向かって来る西行妖の根と枝を

 

ザシュ!ザシュ!ブゥワーー!!

 

枝と根を全て切り刻みそれと同時に空紅の炎の追加攻撃を与えて灰にする。

 

西桜「ガァーーーー!!」

 

理 「まずは俺の従者達を返してもらうぞ!」

 

そう言うと理久兎は跳躍をして亜狛と耶狛の近くにまで行くと、

 

ザシュ!ザシュ!

 

黒椿で亜狛と耶狛を拘束していた西行妖の枝を切り落とす。

 

西桜「ギャアガーーーー!!」

 

そして解放された亜狛と耶狛は自身らを拘束していた西行妖の蔦を振りほどき、

 

亜狛「すみませんマスター」

 

耶狛「助かったよ」

 

と、理久兎に言うと理久兎は2人にも指示をだした。

 

理 「亜狛!耶狛!お前らに指示を出す!まずは

   彼処に倒れている妖忌さんを連れて後退し

   ろ!それが終わり次第紫を守れ!」

 

亜狛「マスターは!」

 

理 「俺はあの雑草にやられた分だけ取られた分

   だけやり返す!」

 

耶狛「わかったよ!行こうお兄ちゃん!」

 

亜狛「あぁ!!」

 

そうして助け出された亜狛と耶狛は妖忌の救出に向かう。

だが西行妖も捕らえていた2人をただ逃すほどバカではない。

 

西桜「ギャァーーー!!」

 

西行妖は妖忌のいる方に向かって枝を伸ばして救出しようとする妖忌を狙う。

 

亜狛「耶狛!」

 

耶狛「うんお兄ちゃん!」

 

亜狛は空間の裂け目を作り出してそこに、

 

亜 「シュート!」

 

がスッ!

 

地面に落ちている石を裂け目に蹴り飛ばす、すると妖忌の目の前に亜狛が蹴った石が現れると、

 

耶狛「拡大!」

 

ガスン!!

 

耶狛の能力で拡大化し巨大となった石が盾となり妖忌を守る。

 

亜狛「妖忌さん!」

 

そう言うと亜狛は妖忌の右肩を持ち左手に白桜剣を持って、

 

耶狛「私も運ぶよ!」

 

そして耶狛も妖忌の左肩を持ち桜観剣を持ってすぐさま後ろに後退するが

 

ダーーン!!シュル!シュル!シュー!!

 

西行妖は亜狛と耶狛が作った石の盾を破壊しその枝で亜狛と耶狛そして肩を持っている妖忌の3人に襲いかかるが、

 

理 「仙術六式刃斬!!」

 

そう言い理久兎は霊力と妖力を込めた蹴りの斬撃破を3人に向かって来る西行妖の枝に当てるとその枝は無惨に切り裂かれる。

 

亜狛「助かりますマスター!」

 

耶狛「ありがとう!」

 

理 「いいから行け!」

 

理久兎がそう言い西行妖の方を向くと、

 

西桜「ギャガガガ!!」

 

西行妖は自身の思い通りにいかず段々とキレ始めていた。

 

理 「俺の従者と友を狙うとはいい度胸だな雑草

   風情が!ただでは封印はさせねえぞ!貴様

   が二度と復活できないように無惨に切り刻

   み燃やして灰にしてやるよ!」

 

西桜「ギァガガーー!!」

 

西行妖は理久兎にもう一度その無数の枝で攻撃を仕掛けて来るが、

 

理 「妖忌さん燃えたら悪いがやらせてもらう

   ぞ!!」

 

理久兎は空紅を黒椿の刀身に置き、

 

理 「空紅の全発火能力を解放!」

 

そう言い空紅をノコギリと同じように引くと空紅の刀身に3000度以上の業火を纏わせる。

 

理 「終の秘剣カクヅチ!!」

 

空紅を一閃で切り裂きその約3000℃以上の業火で理久兎に向かって襲いかかる西行妖の枝を全て燃やしつくす。そしてその業火は枝から枝へと伝わり、

 

西桜「アギャギャーー!!」

 

西行妖はその業火によって苦しみ始める。だがそれでも西行妖の桜は灰となるどころか未だに咲き続けていた。次に理久兎のとった行動は西行妖の幹の辺りについている顔にダッシュで近づき、

 

理 「これは幽々子の仇だ!」

 

グザッ!!ブゥヮーーー!!

 

その顔に空紅を突き刺さす。そして突き刺すと同時に空紅の業火の追撃を内部に直接的にダメージを与える。

 

西桜「アガーーーー!!!」

 

西行妖はその業火が焼かれ理久兎に空紅を突き刺され苦しそうに更に悶え暴れ始める。

 

ダン!ダン!ダン!シュー!

 

そしてその枝の何本かが紫に当たろうとすると亜狛と耶狛は紫の前に出て、

 

亜狛「空間殺法!!」

 

耶狛「行って狼達!」

 

亜狛の空間殺法と耶狛の妖力で作り上げた狼の群れが紫に当たろうとしていた枝を切り落としまたは破壊して紫を守る。

そして遂に術を唱えていた紫も、

 

紫 「悪しきその桜を封じよ!!」

 

理久兎が自身の血で作り上げた西行妖用の封印結界を紫が読みあげると、その紙から理久兎が苦労して書き続けた文字が浮かび上がりその一文字一文字は西行妖を取り囲む。

 

西桜「ガアーー!!」

 

西行妖はその文字に向かって自身の枝で弾き飛ばそうとするが、

 

シュン!バチ!

 

枝が触れた瞬間そこから電撃がほとばしる。理久兎の理によって創られたその文字は邪を撃つ力を破邪の力を持っているため西行妖がその文字に触れた時に電撃がほとばしった。そして西行妖を取り囲んでいるその文字は段々と西行妖にゆっくりと締め上げていく。西行妖もそれを不味いと思ったのか

 

西桜「ギャャーーーー!」

 

バチッ!バチッ!バチッ!バチッ!バチッ!

 

自身の枝を何度も何度もその文字に叩きつけるがその度に電撃がほとばしり西行妖の枝は枝は焦げていった。そしてその文字全てが西行妖の枝、幹、根等それぞれにその文字がつくと、

 

バチバチバチバチバチビカーン!

 

そこから強烈な電撃が西行妖に襲いかかる。

 

西桜「ギャガアガアガーー!!」

 

西行妖は更に苦しみだすが封印まではまだ行っていない、某育成ゲームのポ(ピー)モンで例えると敵が弱っていないのにも関わらずモン(ピー)ターボールを投げて捕まえようとすることと変わらない。だが理久兎はそれを計算してその術式を組んだのだ。理久兎も西行妖が簡単に封印されるとは思ってはいなかった。だからこそもしの場合は理久兎が作った秘技で封印しようと考えていたのだ……空紅を突き刺したまま理久兎は霊力を空紅に込めて、

 

理 「仙術十式 封神演武(ふうじんえんぶ)!」

 

理久兎は仙術を唱えると空紅を伝って自身の霊力を西行妖に送り込む。すると西行妖の自慢ともいえる満開となった桜は、散り始めたのだ。そして桜は全て散ると西行妖は動かなくなり紫が放ったその文字は西行妖の中に入っていった……

仙術十式封神演武この技は仙術八式脱気の上位互換に相当する技。脱気は相手の力を拡散させる技だが封神演武は逆に理久兎の霊力と、西行妖の妖力を合わせて内部で結晶化させて相手を封印させる技だ……だがこれには色々なデメリットがあるため理久兎自身もこれは使わないようにしているのだその内の1つのデメリットは、

 

理 「終わった………ごめんな空紅もうお前とは

   居られそうにない…今までありがとうな…」

 

そのデメリットの1つは封印するのに媒介が必用となることだ……今現在の西行妖の内部では西行妖の妖力と理久兎の霊力が混じり合いそれが固まって結晶となって西行妖を封印している。だが空紅を引き抜けばその結晶は砕けもう一度、西行妖が暴れ始める。それが理由で空紅を引き抜くことが出来なくなったのだ。そしてもう1つのデメリットは、

 

理 「うっ!……」

 

体に違和感を感じて自身の肩辺りを見ると理久兎の寿命を表す首もとがさらに白くなりまるで白粉を塗ったかのような白さになっていた……もう1つのデメリットは自身の理久兎の寿命を削る。削る量は約500~700年を削るという理由がありあまり使わないようにしているのだ。すると亜狛と耶狛、紫が理久兎に駆け寄ってくる。

 

紫 「御師匠様大丈夫ですか!」

 

亜狛「マスター!」

 

耶狛「終わったのマスター……」

 

3人は理久兎の元に駆け寄ってくると理久兎は平常心を装って、

 

理 「あぁ終わった色々な犠牲が伴ったが……」

 

理久兎の発言で亜狛と耶狛は、

 

亜狛「すみませんマスター!俺達がもっと

   しっかりしていれば幽々子さんは!」

 

耶狛「こんな結果……私は嫌だよ……ごめんね

   マスター……」

 

2人は理久兎の言いつけを守れず幽々子を見殺しにしてしまったこと妖忌に怪我をさせてしまったことその全ての謝罪をした。

 

理 「いや……‥お前らが悪い訳じゃない………俺も

   もう少し早くこの術式を作れれば幽々子を

   助けることが出来たかもしれなかったんだ」

 

紫 「御師匠様……」

 

自分達が悔やんでいると、

 

妖忌「うっ……理久兎殿……」

 

妖忌は何とか気力で起き上がり桜観剣の鞘を杖にして自分達の元に来る。

 

理 「妖忌さんすまない幽々子を……妖忌さんの

   主を守れなかった……」

 

亜狛「ごめんなさい妖忌さん」

 

耶狛「ごめんなさい」

 

理久兎が謝ると亜狛と耶狛も謝った。

 

妖忌「理久兎殿……亜狛殿そして耶狛殿…良いの

   ですよ……理久兎殿達は幽々子様を助ける

   ために無茶をしたのではないですか………

   それがしの心はそれだけでも充分です」

 

理 「妖忌さん……」

 

妖忌「きっと幽々子様も分かってくれる筈です」

 

理 「妖忌さん……貴方にこんなことを言うのは

   悪いかもしれませんが……」

 

妖忌「何ですかな?」

 

理 「幽々子さんの体を使って西行妖に封印を

   施したい」

 

理久兎がそう言いと紫は驚いた。

 

紫 「えっでも御師匠様、西行妖は封印したん

   じゃ……?」

 

理 「いや何重にもかけてあの桜を封印したい

   こんな悲劇を二度と起こさないために」

 

もうこんな悲劇は2度と起こしてはならないという決意と理の神として生と死を繋げた者の責任を持って言うと、

 

妖忌「構いません……それで幽々子様達のような

   悲劇が起きないのであれば……」

 

紫 「妖忌さん……」

 

理 「ありがとうございます妖忌さん……亜狛

   耶狛…西行桜の地面を掘ってくれ」

 

亜狛「分かりました」

 

耶狛「うん!」

 

2人はそう言って西行妖の地面を掘っていく。

 

理 「それでは妖忌さん幽々子ちゃんの

   体、使わせていただきますね」

 

妖忌「えぇどうぞ……」

 

理久兎は幽々子の死体に近づきそして幽々子の死体のおでこに魔力を使ってルーン文字を描く。

 

亜狛「マスター堀終わりました!」

 

耶狛「終わったよマスター……」

 

理 「こっちも終わった……」

 

そう言って理久兎は幽々子の死体を抱き抱え亜狛と耶狛が掘った穴の中にそっと置く。

 

理 「紫、妖忌さん……最後に一言ありますか?」

 

理久兎はせめてと思って紫と妖忌に聞くと2人は穴の前まで来て

 

妖忌「幽々子様……今までありがとうございました」

 

紫 「幽々子……ありがとう」

 

理 「幽々子ちゃん守れなくてごめんな」

 

亜狛「本当にごめんなさい」

 

耶狛「……もしまた会えたら今度はお友達に

   なってね…」

 

5人はそう言うと幽々子の死体に土をそっとかけていき幽々子の死体を埋めた。

 

理 「終わったな……」

 

紫 「幽々子……うっ……」

 

理 「紫!」

 

ガバッ!

 

紫が倒れそうになったところに理久兎が紫を抑える。どうやら力を使いきって疲れが現れたようだ……

 

理 「頑張ったよ紫は……妖忌さんも無理して

   いるのでは?」

 

理久兎が聞くと妖忌は少しうつむいて、

 

妖忌「そうなのかもしれませんな……」

 

理 「そうですか……亜狛、耶狛、妖忌さんの

   両肩を持ってやれ……」

 

亜狛「分かりました」

 

耶狛「了解マスター」

 

そう言って2人は妖忌の肩を持つ。

 

妖忌「かたじけない……」

 

理 「とりあえず紫と妖忌さんを運ぶぞ」

 

亜狛「了解です」

 

耶狛「わかったよマスター」

 

そうして理久兎は紫を亜狛と耶狛は妖忌を白玉桜に運び2人を布団に寝かせ看病をするのだった。


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