理久兎が紫達の元へと帰ってきたと同時に口から吐血し倒れため理久兎は天魔の家の空き部屋へと連れていかれた。そして今は寝ている理久兎の周りには友達である妖怪達が集った。
幽 「理久兎さん……」
ル 「帰ってきてそうそうこれなんて……」
美 「理久兎……」
風雅「理久兎殿…いったい……」
ゲン「総大将の事だからまた起きますって!」
幽々子、ルーミア、美須々、風雅、ゲンガイはそんな理久兎を見つめていると、
紫 「連れてきましたわ!!」
そう言い紫はスキマから現れると紫と共に赤と青が混合した服を着ている1人の女性もとい八意永琳が現れる。
永琳「貴方達の総大将を見せてちょうだい」
そう言い永琳は理久兎の診察の準備を始めると、
永琳「貴方達はここにいたら脈拍や心臓の音が
聞き取れないから外に出ていて頂戴」
そう言われた紫、幽々子、ルーミア、風雅、美須々、ゲンガイの6人は何も言わずに外へと出る。
永琳「さぁ見せて聞かせてちょうだい……」
そう言い永琳は理久兎の脈を測るのだった。そして部屋の外では、
紫 「御師匠様……」
紫は無事に起き出すことを願いながらそう呟く。
幽 「大丈夫よ紫……」
幽々子は先程よりも落ち込んでいる紫の両肩に手を置いて紫にそう言う。そしてそれを見ていた美須々達は、
全員「…………………」
何も言えなかった。だがルーミアや美須々、風雅にゲンガイも紫に対してかける言葉が見つからなかったのに関わらず紫に声をかけている幽々子を見て本当の親友なんだと考えるのだった。そしてそうすること数分後、襖が開き永琳が部屋から出てくると紫は永琳に詰め寄る。
紫 「御師匠様は無事なのよね!」
紫がそう聞くと永琳は目を瞑って首を横に振った……
永琳「正直に言うわ総大将え~と確か理久兎だっ
たわよね…おそらく長くはないわ……」
永琳がそう言うと紫は足の力が抜けて崩れる。
紫 「そんな…嘘よ……嘘って言って頂戴よ!」
美 「おい…理久兎は本当に長くないのか!」
永琳「えぇ考えてるよりも事態は深刻ね今は何と
か咳や吐血は収まったけどいつ峠を越えて
もおかしくない状態ね……」
ゲン「総大将は妖怪だ…簡単に死ぬわけ……」
ゲンガイがそう言いかけると永琳は更に言葉を付け足す。
永琳「あくまで私の推測だけどおそらく彼は妖怪
と人間とのハーフって感じね………」
風雅「妖怪と人間のハーフだと……」
永 「えぇ………彼の体の構造は妖怪より人間にと
ても近いわそれに貴方達は感じなかったか
しら?妖怪にも関わらず霊力が使えたって
事に」
永琳にそう言われた周りの全員は「はっ!」という表情を出した。鬼達との対戦の時や色々な場面で理久兎が霊力を使っていたことに本来霊力は人間だけしか使えない筈なのだが理久兎が使えていたことに、
ル 「言われてみると理久兎って霊力が使える
わね」
風雅「前から気にはなってはいたんだがな」
幽 「紫は何か知らないの?」
幽々子に聞かれた紫は力を無くした表情で、
紫 「私も知らないわ……」
そう答えると美須々が紫の元へと近づき、
美 「紫…現実を受け止めろ……」
紫 「………………………………」
それを言われても受け止めたくはない。黙ったまま何も言わないでうつ向いてしまう。
永琳「多分だけど生きれたとしてもこれから先は
布団で寝たきりかしらね………」
風雅「理久兎殿はもう歩くことすら出来ないのか
医者よ?」
風雅がそう聞くと永琳は首を横に振って、
永琳「分からないわ………でも今言える事について
は出来るだけ安静にするこれは確定よ」
紫 「そう…ありがとう……御師匠様を見てくれて」
紫が礼を述べると永琳は遠い目をしながら、
永琳「良いわよ………貴方達の総大将には色々と助
けて貰ったから………」
紫 「送っていくわ……」
そう言うと紫は永琳の前にスキマを展開させる。
永琳「ありがとう……」
そう言い永琳がスキマへと入ると紫はスキマを閉じる。
紫 「………………………」
幽 「紫……」
幽々子は紫の側へと行こうとするが紫は近づく幽々子の顔を見て、
紫 「私…御師匠様の看病をしてるわね………」
そう言い紫は理久兎が寝ている部屋へと静かに入っていった。こんな状態の紫を見て幽々子は不安な顔になる。
幽 「…………………」
幽々子はいつものような調子ではない紫に何を言えばいいのかが分からなくなってしまった。
美 「なぁ幽々子…今はそっとしておいてやれや」
風雅「あぁ……紫殿にも気持ちの整理が必要だろう」
ゲン「だからしばらくは……ね?」
3人にそう言われた幽々子は黙って頷き、
幽 「ならしばらくは1人にさせるわ……」
ル 「正しい選択ね……」
そう言い幽々子達は理久兎の寝ている部屋の前から移動するのだった。そして理久兎が寝ている部屋では、
紫 「御師匠様………」
理 「………………………」
理久兎はいまだに寝ていて起きる気配がない。
紫 「……………………………」
紫はただただ無言で理久兎の傍らに座り寝ている理久兎を看病するのだった。