紫は真っ暗な道をただひたすらに歩いていた。すると目の前にいつも自分の悩みや考えを真剣に聞いてそ助言をしてくれていた理久兎が立っていた。
紫 「御師匠様!」
そう言い紫は走り出すが、
理 「……………………………………」
理久兎は何も言わず背中を向けて紫の前を歩きだした。
紫 「待って!」
そう言い紫は理久兎に向かって走り出すが、
紫 「どうして………!どうして追い付けないの
どうして手が届かないの………!!」
紫は理久兎に触ろうと手を出すが理久兎に触れる事は愚か追い付く事さえ出来ない。
紫 「御師匠様!御師匠様!」
紫がそう声を出すが理久兎は何もを言わず紫の顔すら見ようとせず歩きを止めない。
紫 「御師匠様~ー!!」
紫がそう叫ぶと紫は目を覚ました。
紫 「はっ!あら………ここは?」
紫は眠りから目覚め辺りを見渡す……どうやら紫が見ていたのは悪夢のようだ……そして理久兎の看病をしてそのまま寝てしまった事を思い出す。それを確認した紫は安堵の息をする。
紫 「はぁ夢で良かった…でも……」
そう言い紫は未だに寝ている理久兎を見る。理久兎はまだ目を瞑ったままだ。
紫 「御師匠様……」
そう言い紫は理久兎の
理 「がはっ…ここは……」
咳をして理久兎が目覚めたのだ…それを見ていた紫は不安な表情から一転して喜びの表情へと変わる。
紫 「御師匠様!」
紫がそう呼び掛けると、寝ている理久兎に抱きつくが、
理 「ゆっ紫!ギブ!ギブ!」
抱きついてくる紫の腕を軽く叩いて苦しそうにすると紫は冷静になりすぐに離れ元の体制に戻る。。
理 「はぁ~はぁ~死ぬかと思った…」
紫 「ごめんなさい御師匠様…その体に無理させて」
理 「いや…気にする……な…所で俺がこうしてるっ
て事は……」
そう言うと紫は頷きこれまでの事全てを自分に打ち明ける。
理 「そうか…もう間近なのか……」
紫 「御師匠様は死なないわよね!」
紫はそう言うが理久兎は首を横にゆっくりと振って、
理 「いや俺にだって分かるもうじき逝く事が」
紫 「そんな………」
理 「紫……皆と話がしたい…呼んでくれるか?」
理久兎の願いを聞いた紫は頷いて、
紫 「分かりましたわ呼んできます………」
そう言い紫はスキマを開いてその中へと入っていく。
理 「亜狛に耶狛…居るんだろ?」
理久兎がそう呼び掛けると紫のスキマとは違った裂け目が現れそこから亜狛と耶狛が表れる。
亜狛「ご用件は何でしょうか?」
耶狛「用件はなにマスター?」
そう聞かれた理久兎は2人に質問をする。
理 「お前ら…例の棚の隠し紙は見たか?」
と、理久兎が聞くと2人は頷いてそれについての話をする。
亜狛「えぇ拝見させて頂きました……」
耶狛「見たよマスター」
理 「なら紙はしっかり処分したよな?」
そう言うと2人はもう一度頷いて、
亜狛「はいしっかりと燃やして灰にし……」
耶狛「土の中に埋めたよ……」
どうやら証拠の隠滅も終わったようだ。これで紫達に悟られることはないだろう。
理 「そうか………それならこの後からする事は
分かるよな?」
亜狛「お任せあれ……」
耶狛「もう計画は考えてあるから心配しないで♪」
と、亜狛と耶狛はそう言うと自分は顔に笑みを浮かべる。
理 「そうか……すまんな今の俺がこれだと不便
だろ?」
亜狛「いえ…ずっとマスターに甘えて食べ物を狩
猟をしていなかったので久々に兄妹共々に
良い経験になりましたよ」
耶狛「うん!」
理 「そうか……」
亜狛そして耶狛とで会話が弾んでいると、
紫 「御師匠様連れてきたわ」
そう言い紫はスキマから現れると同時にスキマから、
美 「理久兎!」
風雅「理久兎殿!」
ゲン「総大将大丈夫ですか!」
ル 「起きたのよね理久兎……」
幽 「こんにちは理久兎さん♪」
そう言いながら自身の友である美須々や風雅それにゲンガイやルーミアそして幽々子がその場に訪れた。
理 「ハハ…みんな来たんだね……」
美 「ダチだろ私らは!」
風雅「呼ばれればいくらでも行くさ」
ル 「私も賛同ね……」
ゲン「総大将のためとあらば!」
こいつらは嬉しい事を言ってくれるじゃないか。このメンバーと友となれて自分も誇らしく思えた。
幽 「フフ♪良かったわね紫……」
紫 「えぇ…そうね……それよりも亜狛と耶狛も
来ていたのね」
亜狛「えぇマスターの見舞いをするのも従者の
努めですよ♪」
耶狛「うん……」
と、そう言っていると美須々が話をきりだす。
美 「理久兎私らに話ってなんだい?」
理 「話といのは他でもない……もうじき俺が死ぬ
事についてさ………」
その話をすると全員は理久兎が起きた喜びの表情から暗い表情へと変わった。
理 「もう俺は永くはない…だから皆に頼みたい」
全員「………………………………」
理 「俺の予感だと妖怪達や神のそれらは何時か
人々から忘れ去られてしまうだろうそうな
れば妖怪達は消滅するかもしれない………」
この先の未来で必ず人々は妖怪を恐れなくなりやがては記憶から薄れていくだろう。それを前々から危惧していた。
風雅「なっ……」
ル 「そんな……」
理 「だからこそ……俺達が創ろうとしている楽園
を作っている……」
幽 「…………………………」
ゲン「それはわかりますよ……総大将達が創る
楽園は妖怪達のパラダイスって……」
理 「ゲンガイの言う通りだ…だが恐らく俺はそれ
に関わることは愚か出来立てそれを見ること
すらも叶わないだろうだからお前らに頼みた
い事それは…絶対にその楽園を作れ……でない
と妖怪達は消滅する未来が訪れるだろう」
遠くない未来の予測を言い頼む。皆が消えないためにもするとまず紫が口を開く。
紫 「御師匠様……その願い聞き入れました」
それに続き皆が口々を開いていく。
美 「お前の願いは私らの胸にひめるさ」
風雅「あぁそうだな……」
ゲン「総大将の頼みとあらば……」
ル 「フフ…任せなさい♪」
幽 「私も協力をさせてもらうわ」
皆のその言葉を聞いて理久兎は内心ホッとする。
理 「そうか…ありがとうな」
そう言い理久兎はもう一度外を眺める。すると、
風雅「そうだ!美須々……」
美 「ん?」
風雅に耳をこちらにというジェスチャーをもらった美須々は小さな声で風雅と話すと、
美 「なぁ理久兎……お前外に出たいか?」ー
理 「そうだな……行きたいのはやまやまだけど
足が痺れててな……」
風雅「ならば紫殿……理久兎殿を外に連れ出して
やってはどうだ?」
そう言われた紫は考え込んで理久兎に、
紫 「私でよろしいですか?」
と、紫が理久兎に聞くと理久兎は笑顔で、
理 「頼むよ♪」
紫 「なら行きましょうか……」
そうして理久兎は紫に肩を貸してもらいながら外へと踏み出すのだった。