静かな木々に囲まれ流水の音が聞こえてきている。妖怪の山のとある場所、
理 「紫…重くはないか?」
紫に肩を貸してもらいながらゆっくり、ゆっくりと歩きながら紫にそう聞くと紫は笑顔で答える。
紫 「えぇ大丈夫ですわ御師匠様♪」
理 「悪いなこうやってしてもらわないとろくに
歩けそうもなくてな……」
紫 「でも懐かしいわ……」
理 「んっどこがだ?」
理久兎が聞くと紫は昔を懐かしむような表情で、
紫 「前はこうやって2人で修行してよく怪我
した時なんかはいつもおんぶしてくれて
いたなって………」
それを聞き自分も笑いながら昔の話をし始める。
理 「そういばあったな………まだスキマがなく
て修行場所への行き来を歩いている時だ
ったな……昔紫がすっころんで足擦りむい
た時とがそうだったよな♪」
理久兎がそう言うと紫は顔を真っ赤にして、
紫 「ちょっと!止めてください今思うとその
話は結構恥ずかしいのよ!」
理 「ハハハ悪い悪い…でもな……」
紫 (・_・?)
理 「こんな風に歩くのも楽しいな……」
紫 「御師匠様……」
何故か紫の顔は悲しげだ。恐らく自分が死ぬことが嫌なのだろうと思った。
理 「そうだ紫………」
紫 「何ですしょうか?」
理久兎は先程までとは違い真剣な表情で紫に話をする。
理 「俺の家の棚は分かるよな?」
紫 「えぇわかりますけどそれが?」
紫は理久兎が何が言いたいのかが分からないため理久兎の言葉の意味を聞くと、
理 「その棚の上から二段目の棚だ……」
紫 「えっ?」
理 「俺は言ったからな……」
紫 「どういうことですか?」
と、紫がその質問の意味を更に聞こうとするが紫では悲しくなることなため今言えない。そのためにと思い、
理 「言えばお前は悲しむことだ…だからそれ
以上の事は今は聞くな………」
紫 「……分かりましたわ」
理 「ごめんな…さてと後少しだけ付き合って
くれるかな?」
理久兎は笑顔を絶やさずに紫の顔を見てそう言うと、
紫 「ふふっ♪えぇよろこんで……」
そうして理久兎は紫に肩を貸してもらいながら散歩を楽しんだ。そして夕暮れが近づいてきたため理久兎と紫は天狗の里へと帰る。そして天狗の里の門につくと、
美 「おっ帰ってきたか……」
理 「あぁ…てか何でまだ美須々がいるんだ?」
美須々が声をかけてきた。何故いるのかと美須々に聞くと美須々の後ろからいつものようなメンバーが揃って自分めがけて向かってやって来る。
萃香「おっす!理久兎」
勇儀「大丈夫か理久兎?」
萃香と勇義がやって来て理久兎に元気な声でそう言うと理久兎は少し不便そうに、
理 「あぁ大丈夫じゃないな……こうやって肩を
持ってくれないと歩けそうもないよ……」
勇儀「何か悪い…」
理 「いや気にするなてかその前に何でいるん
だよ?」
理久兎は何故まだ天狗の里にいるのかを聞くと美須々は理久兎のもう一方の肩を担いで
美 「おい紫…理久兎を連れてくぞ」
紫 「えぇ分かったわ……」
そう言うと紫と美須々に足を引きずられながら引っ張られて連れて行かれる。それに萃香と勇義もついていく。
理 「おい一体なにするだ?」
萃儀「大丈夫だよ怪我することじゃないから」
勇 「あぁ問題ないよ」
と、言うが理久兎からしてみればこの2人や美須々が言うと問題しかなかった事を思い出すそのため本当に何をするのかと怖くなってくる。
理 「お前らのそれが一番怖いわ!ゴホ!」
そう言うがそんな事は無視されて連れていかれた。そうして連れてかれた場所は、
文 「あっ!来ましたね理久兎さん達!」
文が手を振りながら理久兎に挨拶をする。
理 「あれ文……お前もここで何してんだ?」
美須々と紫に肩を担がれた状態の理久兎が文にそう聞くと、
文 「何ってこれですよ♪これ♪」
そう言いながら文は手に持っている黒い小さな箱のような物を理久兎に見せながらそう言うと理久兎にはその箱について質問をする。
理 「文それってなんだ?」
文 「これは
文はまだ幼いその胸をはって答えると理久兎は写真機について説明を求める。
理 「それって何するものなんだ?」
文 「そうですね……例えばここの景色を……」
そう言いかけると文はポケットから小さな紙を取り出し、
文 「この紙にそのまま写す事ができるっていう
アイテムなんですよ♪」
理 「ほ~う……それとこれにはどんな関係が
あるというんだ?」
理久兎がそう言うと文の後ろからはたてや風雅にゲンガイ狼牙その他にも華仙にルーミアそして亜狛と耶狛も現れる。
風が「簡単な話だ理久兎殿……」
はた「それを使って記念として残すのよ」
華扇「美須々様から話は聞いたのよ……貴方の
命は残り少ないって……」
ゲン「だからこそ総大将の顔をこれで残したい
と思いましてね……」
理 「亜狛と耶狛もこの事は聞いたのか?」
理久兎は亜狛と耶狛にも写真撮影の事を聞くと2人は照れくさそうに、
亜狛「えぇまぁ…マスターが出掛けた後に
聞いたんですけどね」
耶狛「うん風雅ちゃんからね…」
文 「でも私もまさか天魔様にそういう頼まれ
ごとされるとは思ってもみなかったです
けどね……」
狼牙「本当だな俺も聞いた時は驚いたものだ……」
風雅「ふん…ほっとけ……」(〃ε〃)
風雅は照れくさそうにそう言っていている事から理久兎の事を心配しているのだろう。
理 「ありがとうな皆……」
美 「とりあえずお前ら並べ紫も理久兎を連れて
ってくれ……」
紫 「えぇ分かったわ」
美須々がそう言うと今いるメンバーは自分が真ん中に来るように並ぶ。なお立つのが困難な事を知っているのか木の椅子に座らされる。そしてあることを思ったため皆に、
理 「所で誰が撮るんだ?」
文 「もちろん私が………」
そう言いかけると風雅は文に、
風雅「文、お前も写れ……」
文 「えっそれだと誰が撮るんですか?」
ゲン「ご安心をそんな事だろうと思いまして」
ゲンガイは近くにいた河童の少女を手招きしこっちに来させる。
ゲン「撮ってもらえるかい?」
そう言うと河童の少女は顔を紅くしながらうなずく。
ゲ ン「それじゃ撮りましょう!」
文 「え~とカメラの使い方は分かりますよね?」
河童「勿論です……」
そう言い河童の少女はカメラを借りると文は並んでいるメンバーのもとへと向かい列に並ぶ。そして河童の少女は小指と親指を折り3つの指を立てると、
河童「それじゃ……3つ数えたらとりますね……」
理 「あぁ頼んだよ……」
河童「では…3……2…1……」
パシャ!!
河童の少女が数を言い終わるとカメラのシャッターがきられ写真が撮られる。シャッターがきられる瞬間皆は笑顔で写真が撮られるのだった。
河童「お疲れさまです……」
そう言い河童は文にカメラを返す。
文 「ありがとうございますね」
理 「っ!……」
紫 「御師匠様そろそろ寝たほうが……」
理 「あぁそうだな……皆先に眠るな」
そう言い理久兎は紫に連れられて今の寝室へと帰っていくのだった。だが理久兎は後数日後に死ぬとはこの時はまだわからなかった。