理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第161話 葬式

理久兎が眠りについた次の日のこと、理久兎の知人や数々の妖怪達が集結し理久兎の葬儀が執り行われた。

 

紫 「御師匠様……」

 

紫は棺に入って安らかに眠っている理久兎の冷たくなった頬を手で撫でる。

 

幽 「紫……」

 

紫 「御師匠様の最後はあっけないものね……」

 

紫は強がってそう言っているが顔からは涙がにじみ出ていた。

 

幽 「紫…無理しなくていいのよ……」

 

そう言い幽々子は今にも泣きそうな紫を後ろから抱きつく。

 

紫 「ぐすっ……あ…ありがとう……」

 

萃香「……紫……いいかい?」

 

そう言われた紫が振り向くと花を1本ずつ持った妖怪達が列を作っていた。なお花を出資したのは風見幽香だ……

 

紫 「えぇ……それじゃ1人ずつお願いね……」

 

紫はそう言い理久兎の眠る棺の隣に立つ。

 

萃香「それじゃ私から……」

 

そう言い萃香は理久兎の眠る棺の中に花をいれる。そしてそれに続いて美須々、勇義、華仙は1つずつ花を摘める。

 

萃香「妖怪達の一生だと短かったけど楽し

   かったよ理久兎……」

 

勇義「あぁ…惜しい男を亡くしたよ……」

 

華仙「せめて……安らかに眠って……」

 

美 「本当に惜しいマブダチだった……」

 

そう言い美須々達はその列から外れ他の鬼達も同様に言葉と共に花を摘めていき次に花を摘めるのは……

 

風雅「まったく……何で理久兎殿は……いつも

   勝手にいなくなるのだ……寂しいでは

   ないか……」

 

文 「心残りは私がこれから作る新聞を読んで

   欲しかったな……」

 

は 「私のも読んで感想が欲しかった……」

 

狼牙「忌々しい奴だったが……そんなにも

   憎めない奴だったよお前は……」

 

静香「狼牙さんったら……」

 

そして5人と他の天狗達も花を摘めると列から外れる。その次に花を摘めに来たのは金髪の少女のルーミアと今回花を出資した妖怪の風見幽香だ。

 

ル 「理久兎…あの時貴方が私を居候として

   迎え入れてくれた事……決して忘れないわ」

 

幽香「貴方ったらは出会ってそんなに経っていな

   いのに死んじゃうなんて…リベンジを挑め

   ないじゃない………本当に勝ち逃げ去れたわ

   でも楽しかったわ理久兎」

 

2人も花を理久兎の眠る棺に花を摘めると列から外れる。そして次に来たのは青い服を着ている河童達だ。

 

ゲ 「総大将……あの時の御恩を私達河童は

   ひと時も忘れた事は御座いません……

   もし俺が逝くならその時に会いましょう」

 

そう言ってゲンガイも花を摘めると他の河童達も花を摘める。そうして他の妖怪達もそれを繰り返していき理久兎の眠る棺は花のベットとなっていた……そして列に並んでいる妖怪達が全員花を摘めると今度は妖怪ではなく……

 

永琳「……ごめんなさい…恩人のいえ妖怪の貴方

   を助けれなくて………」

 

輝夜「…理久兎さんありがとう……」

 

妹紅「理久兎さん……私が悩んだり悲しんだ時に

   助けてくれてありがとう………」

   

そう言うと彼女達も花を摘める。永琳達も妖怪達と同じように列から外れる。そして列に並んでいた妖怪達がいなくなると紫は再度理久兎の眠る棺の前に立つ。そのとなりには紫の親友である幽々子も一緒だ。

 

幽 「理久兎さん私と紫を出会わせてくれてあ

   りがとう………貴方の事は絶対に忘れない

   し冥界に来たら必ず転生させるわ………」

 

幽々子は花を摘めると1歩後ろに下がる。そして紫は、

 

紫 「御師匠様……お父さん…ありがとう♪」

 

せめてもと思い笑顔でこれまで言いたくても言えなかった言葉である理久兎に対してお父さんと言えた瞬間だった………

そして紫も花を摘めると、美須々が棺の蓋を持って紫に話しかける。

 

美 「紫…蓋を閉めるが……もういいのか?」

 

美須々がそう言うと紫は、

 

紫 「えぇ……」

 

そう言い紫は幽々子や美須々、風雅、ゲンガイ達と共に棺に蓋を閉め、

 

カン!カン!カン!カン!カン!

 

理久兎の棺に釘を打ち蓋が外れないように固定する。そしてその棺を、

 

萃香「理久兎を埋める穴に入れようか……」

 

華仙「そうね……」

 

勇義「ゆっくりな……」

 

鬼達は力を込めゆっくりと理久兎の入っている棺を穴に置くと今度はその上から妖怪達全員で理久兎の棺の上に土を優しくかけていく。そしてそれが終わると妖怪達+αは皆黙祷をして皆この場から離れていくのだった。だが1人だけ残った妖怪がいた。そう紫だ。

 

紫 「御師匠様……そうだ確か…!」

 

この時、紫は体が弱った理久兎を散歩した時に言った事を思い付き思い出した。紫はその言葉の真意を確かめるために理久兎が住んでいた住居へと向かう。

 

紫 「ここよね………」

 

紫は言われた棚を開けるとそこには封筒が入っていた。紫はそれを迷わずに開けて中を確認すると中には2枚の紙と指輪が入っていた……その内の紙は1つは理久兎が書いた手紙もう1つは何かの術式が記されている紙だ。紫はまず理久兎が記したであろう手紙を読む。

 

紫、お前がこれを見ているということは恐らく俺に何かあった後だろう。

だからこれから紫がやるべき事を記しておく。やるもやらないも紫、君の自由だ。

まず1つは紫が創っていた楽園、それについてだ。恐らく妖怪達は人間達迷信として排除され忘れ去られる。そうなれば妖怪は存在が無くなってしまうだろう。だから紫、君にはそれをまずどうにかする事が最優先だ。それは紫の能力を使えば何とかなる筈だ。

そして2枚目の紙に術式を記した紙がある筈だ。

 

紫はそれを見て2枚目の紙を確認すると術式が複雑に絡み混んでいた。紫はもう一度理久兎の手紙を再度読む。

 

それは強力な結界の術式だ。効果は「常識」と「非常識」この2つの理から成り立つ。俺らの楽園の「常識」を外の「非常識」に、楽園の「非常識」を外の「常識」へと成り立たせる。所謂自分達の身を守るための結界でもあり楽園という外の世界との区別も意味している。それが楽園を造るにあたっての最後の1つとなる筈だ。だがそれを創るには妖怪達と対立する力である「霊力」が必要だ。本来は俺と紫とでこの結界を創る筈だった。だがこれをを見ているということは俺は創る事に参加できない……そこで代わりとなる人間と協力しなさい。そうすれば出来る筈だ。

 

紫 「御師匠様……」

 

紫は理久兎の書いた手紙を読み続ける。

 

次に指輪についてだ。それはお前達を思ってのお守りだ。お前達の身に何かあればそれが必ず守ってくれる筈だ。要らないというなら捨ててくれても構わない。

 

紫 「…捨てるわけないわよ……」

 

紫の目から先程流してもう流れないと思っていた涙が溢れてきていた。そして残り1枚の手紙を読む。

 

最後に俺はお前達の事が大好きだった。お前達を置いて旅に出た時もずっと皆の事を考えていた。なによりも紫、お前の事が心配だった。だがお前は色々な妖怪達と見聞を広め成長していた事、心身ともに成長したことに心から嬉しかった。

だから最後にいわせて欲しい。俺の弟子になってくれてありがとう。そしてもう書く事はこれでなくなった。だからこの手紙を終えるよ。読んでくれてありがとう我が娘の紫。

 

               深常理久兎より

 

紫はその文字を見て涙が溢れ落ちて手紙に涙の跡が付いていく。紫は手紙を握り締め、

 

紫 「御師匠……様!!」

 

その日一番の声をあげて泣く。だがその声は誰もいない家には響くが周りには誰もいない。故にその声は誰にも聞こえなかった。そして紫はその日泣き続けたのだった。

 

だが紫や他の者達は知らなかったいや存在を忘れていたというのが正しいのかもしれない。紫達がその場から消えたその日の夜の事、

 

亜狛「耶狛!やるぞ!」

 

亜狛がそう言うと妹の耶狛は、

 

耶狛「うん!お兄ちゃん!」

 

そう言うと亜狛と耶狛はある場所に手をかざし能力を発動させると裂け目が現れるとその裂け目から、

 

ドゴン!!

 

土煙をあげながら何かが裂け目から落下してきたのだ。その落下してきた物は棺だった……そう亜狛と耶狛がやっているのは理久兎の死体回収だ。これは理久兎の指示でもあった。その指示は理久兎が亜狛と耶狛に充てた手紙だ。内容は、

 

1つ紫達に気づかれないように内密に動け。

 

2つ全員が寝静まった後俺の棺を俺ごと回収しその場から離脱。

 

3つ俺が目覚めるまでお前達は各自の訓練を遵守しろ。

 

4つこの手紙を読み終え暗記しだいこれを燃やして証拠を隠滅しろ。

 

これが理久兎が亜狛と耶狛に送った手紙もとい指令だ。そして2人はその指示を遂行するために動いていた。

 

亜狛「よし!すぐに離脱するぞ!」

 

耶狛「了解だよ!お兄ちゃん!」

 

そう言い2人はもう一度裂け目を開けて棺(理久兎入り)を中にいれて2人もその中へと入りこの場から姿を消した。

そしてこの日、亜狛と耶狛は紫達の前から姿を消したのだった。

 


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