亜狛と耶狛が深常の姓を貰って1週間後、理久兎は退屈していた。
理 「亜狛…耶狛……暇だ……」
かつて総大将と言われ慕われ尊敬された男がグデーとした体制で自身の従者にそう呟く。もうかつての総大将という面影が完全に無くなっている。
亜狛「マスターもう少ししゃんとしてくださ
いよ!」
耶狛「でも暇だよねお兄ちゃん……」
亜狛「まぁな……」
実際は亜狛と耶狛も退屈していた。そんな打開策を理久兎はグデ状態で考える。
亜狛「そういえばマスターの知り合いって妖怪
以外にいないんですか?」
亜狛がそう言うと理久兎は更に考える。
理 「知り合いね~う~ん諏訪子に神奈子それに
祝音、晴明……後は……月の民達だね……」
耶狛「全部会えないよね?」
理 「そうだな……他は…神綺……そうだ!
神綺がいた!!」
理久兎はようやくこの打開策を見つけた。
亜狛「えっ?!神綺さんって確かマスターの
断罪神書の元持ち主ですよね?」
亜狛にそう聞かれた理久兎は頷いて、
理 「そう♪そう♪その神綺ちゃんね♪」
耶狛「それでマスター魔界に行くって事?」
理 「その通りだ!この打開策はもはやそれしか
ない!」
そう心から決心した理久兎はグデ状態からさっと立ち上がり、
理 「亜狛!耶狛!すぐに移動用意!」
その一言で亜狛と耶狛も、
亜狛「なら行きましょうか……」
耶狛「レッツゴー!」
そうして亜狛と耶狛とで裂け目を作り理久兎達はその中へと入り魔界へと行くのだった……
神様、神使移動中……
空は夕暮れのような少しばかし寂しい色をし地上ではビルが立ち並んでいるここは魔界。その魔界の一角に理久兎達は舞い降りた。
亜狛「ここが魔界……」
耶狛「すごーい!」
理 「へぇ~神綺ちゃんここまで発展させたんだ」
かつて神綺と別れた際にはまだ大地と川しかなかったこの場所は今ではかつて理久兎が訪れた古代都市を思わせるかのようなビルにおおわれていた……
理 「さてと…2人共行くよ♪」
亜狛「えっ!マスター歩きですか?」
亜狛がそう聞くと理久兎は笑顔で頷いて、
理 「あぁせっかく来たんだゆっくりと歩いて
観光しようぜ♪」
耶狛「マスターに賛成♪」
亜狛「はぁ~わかりました行きましょう」
そうして理久兎達は神綺の住んでいるであろう都市を目指すのだった……
神様、神使再度移動中……
理久兎達は極寒の氷界を通り何とか魔界の都市に辿りついていた。
理 「いや~まさかあそこまで寒いとはな……」
耶狛「寒かった……」
亜狛「忍耐で耐えてもキツかった……」
理久兎達は予想外に寒かった氷界に対しての感想を言いながら魔界都市の街道を歩くと理久兎はある事が気になった。
理 「ん?魔界人達が少ない?」
理久兎から見て魔界の街道を歩く魔界人が極端に少ない。ビルの大きさやその量にみあっていない……
亜狛「どうかしました?」
耶狛「どうしたの?」
亜狛と耶狛がそんな考えをしている理久兎に話しかけると理久兎はこの思ったことを話始めた。
理 「いや何か住人が少ないような気がしてな」
亜狛「確かに言われてみると……」
耶狛「しかも皆そわそわしてるね……」
耶狛の言う通り歩いている僅かの魔界の住人もそわそわとしていて落ち着きがない……
理 「まずは神綺に会うことを優先しよう
それでどういう状況かを聞くとしよう」
亜狛「そうですね……」
耶狛「でも何処にいるかわかるの?」
耶狛にそう指摘された理久兎はクスクスと笑いながら、
理 「ククッ神綺の事だ……恐らく……」
そう言い理久兎はこの都市の中でも巨大なビルを指差して、
理 「あそこだ!」
と、言うと亜狛と耶狛は何故彼処かと理由を訊ねる。
亜狛「理由は?」
耶狛「どうしてあそこなの?」
理 「簡単だ偉い奴は大体豪華な所にいるのが
相場だ!」
何とも某RPGゲームを思わせるかのようなセリフを言うと亜狛は若干呆れ耶狛はほぇーとしたような顔で聞いていた。そして呆れながら聞いていた亜狛は、
亜狛「いやマスター……幾らなんでも……」
と、言おうとしたが理久兎は、
理 「よし行くぞ!2人共!」
そう言い亜狛の話を聞かないでビルへと向かう。
亜狛「はぁ……耶狛お前は……」
耶狛に意見を求めようとしたが肝心な耶狛は、
耶狛「お兄ちゃん置いてくよ?」
そう言いながら理久兎の後をついていっていた……
亜狛「…………俺も行くか……」
そうして亜狛も渋々理久兎の後をついていくのだった……
神様、神使またまた移動中……
理久兎達は神綺が住む?であろう巨大なビルへ辿り着いた。
亜狛「しかし我ながら……」
耶狛「おっきいね……」
2人がそんな感想を述べている中理久兎は正面玄関に入っていった。そんな理久兎を亜狛と耶狛は追いかける。
そして中へ入ると頭にコウモリのような黒い小さな翼を頭に着けた受付の魔界人の女性がカウンターに座っていた。その魔族の女性に理久兎は話し掛ける。
理 「よっ!神綺ちゃんここに住んでる?」
と、理久兎がフランクに話しかけると受付の人は冷静に、
魔人「ようこそパンデモニウムの神殿へえ~と
神綺様ですよね?すいませんがアポはと
っていますか?」
と、女性が聞いてきたため理久兎は笑顔で、
理 「アポ?あぁ皆大好きな果物のあれね♪赤
かったり緑だったりするやつでしょ?」
魔人「いやそれはアップルです私が言っている
のはアポです……」
理 「OKOKアポ~ね♪」
魔人「だからアップルじゃねぇよアポだよお話
通じてますか?」(#^∀^)
理久兎のうざさに段々と受付嬢は怒りを覚えてきていたのか言動が荒くなっていく。それを見ていた亜狛は不味いと思ったのか、
亜狛「耶狛!すぐにマスターを!」
耶狛「えっ!うっうん!」
そう言い亜狛と耶狛は理久兎の両腕を押さえて外へと連れ出す。
理 「亜狛!耶狛?いったい何なんだ!」
そう言いながら理久兎は亜狛と耶狛によって外へと連れ出されてしまった……
魔人「私この仕事やめて司書だとかの使い魔にな
ろうかなその方がいい気がしてきた…」
と、言いその女性は誰もいなくなったこのロビーで呟くのだった。
ここで視点を代えよう。理久兎がそんな事をしている時間から約10分後このビルの最上階のある一室では、
神綺「はぁ~どうしようかしらね……」
神綺は悩んでいた……この事態がとてつもない位に深刻だからだ。そんな悩んでいる神綺の後ろ隣にいたメイド服を着ている金髪の女性が神綺のために紅茶を注ぐ。
神綺「ねぇ夢子何か良い案はないかしらね……」
そう言い紅茶を注いでいる女性、夢子に話し掛ける。
夢子「そうですね……あの暴君が復活したとなる
と被害が昔より酷くなりそうですね」
そう言い夢子は紅茶を神綺の前に置く。
神綺「はぁ~昔はビルとかが無かったからフル
パワーで暴れてもよかったのにな~」
そんな神綺の目の前では本を抱えた少女が涙混じりに神綺に謝罪をしていた……
? 「ごめんなさい……私が…あそこに興味を持
っちゃったから……」
神綺「いいのよアリスちゃん私もあれについては
教えて無かったんですもの‥‥私にも責任は
あるわ……」
アリスと言われた少女は泣かないように努力をしているつもりだが涙が溢れていた……
夢子「アリス様…そんな顔しないで下さい笑顔♪
笑顔♪」
と、夢子はアリスを励ますとアリスは、
アリ「ありがとう夢子……」
そう言いアリスは涙を手で拭き取る。だがそんな事では今の現状解決には至っていない……
神綺「はぁ~せめて理久兎さんがいたらなぁ」
神綺の理久兎という言葉に夢子とアリスは引っ掛かった……
夢子「理久兎?どちら様ですか?」
アリ「神綺様誰その人?」
神綺「あら?言ってなかったかしら?」
どうやら神綺は理久兎の事を2人には話していなかったようだ。
神綺「その理久兎って人いえ神と言った方がいい
かしらね……」
夢子「神!?」
神綺「えぇその神様と私でこの魔界を作ったのよ
懐かしいわぁ♪」
アリ「へぇ~その神様に会ってみたいな……」
神綺「フフもしかしたらこんな事を言っているか
らフラグ回収で現れたりしてね♪」
と、言っていると神綺の背後のガラスに黒い影が映る。それを見た夢子とアリスは、
夢子「神綺様避けてください!」
アリ「避けて!!」
神綺「えっ!?」
2人のその言葉を聞いて神綺はすぐに対処ができた。そのおかけで、
バリン!!
ガラスをぶち破ってきた何かを避けることが出来た。そして夢子は得意武器のナイフを持ちアリスは本もとい魔道書を開き自身の周りの人形達に戦闘体制をとらせる。そして神綺は、
神綺「えっ嘘!!」
侵入してきた黒い影を見て驚いた。その黒い影の正体は、
理 「おっ!神綺ちゃんやっと会えたよ♪」
そう言い食べかけのリンゴを掲げて神綺に理久兎は挨拶をするのだった。