神の流域そこは自然の摂理そのものであり四季がより美しく神秘的に見える。この場所の滝が流れる渓流では、
ザァーーーーーーーーー!!
黒 「…………………………………………………」
黒はただ黙ってその場で滝に打たれながら修行をしていた。滝の音が聞こえる以外ここは静寂だが、
? 「おや?先客がおったか……」
そう言いながら1人の少女?が黒のもとに近づく。するとその少女に気がついた黒は滝行を止めてその少女に話をする。
黒 「………子供?何故お前がここにいる?」
黒がそう訊ねると少女はムスッとした表情となり、
? 「たわけが‥‥ワシはこれでも神なんじゃが?」
黒 「神?………我が主と同じ部類か?」
と、黒が言うとその神と言った少女?は顔をニヤつかせて、
? 「さぁ~の………ところでそなたは何故ここで
1人修行をしておったのじゃ?」
黒 「魔力の限界値を上げるためだ」
? 「ほほう成る程の~………」
そう言い少女?はまじまじと黒の体を見回すと、
黒 「あんたは強いのか?」
黒が突然少女?に聞くと少女?は笑いながら、
? 「ハッハッハッハ♪どうじゃろうな?まぁ
ワシのバカ息子には一度も負けたことは
ないがの?」
黒 「そうか…………………」
その少女?の一言で黒は今自身が使える魔力を放出して威嚇する。並大抵の人間やら低級、中級妖怪ならビビるがその少女?はビビるどころかいまだに笑っていた。
? 「これこれ若造‥‥あまり年配者を脅すものじゃ
ないぞ?」
黒 (こいつ……ビビるどころか……向かって来て
やがる……)
? 「やれやれ…その力をしまわんか……」
少女?に言われた黒は放出していた魔力を抑える。黒は分かってしまったのだ。力の制御を解いてもこの少女?には絶対に勝てないと、
黒 「あんた…何者だよ……」
もう一度黒が聞くと少女?は、
? 「ハハハ♪言っておろうワシは神じゃと♪」
黒 「…………修行するんだろ…俺は潔く退く」
そう言い黒は寺に戻ろうとすると、
? 「よいよい♪そちが使うと良かろう♪」
黒 「でもあんた修行をしに来たんじゃ………」
? 「そなたは面白いの~♪ならばそうじゃなその
ご好意に1つそなたに礼としてアドバイスを
してやろう♪」
黒 「アドバイス?」
? 「うむ!そうじゃな例えば…これをほれっ!」
そう言い少女?は近くにあった石を拾い上げて黒に向かってパスをすると黒はそれをキャッチする。
黒 「石?」
? 「それの影をいじって棒にしてみろ」
少女?がそう言うと黒は言われた通り石の影を棒にすると驚くべき事に細い棒が出来上がるが、
ポキッ!
黒 「折れちまったな……」
物質量が合わないのか石は簡単に折れてしまったが少女?はそれを見ていた黒に、
? 「今度はそなたの鱗でやってるのじゃ♪」
と、言われた黒は自身の鱗を1枚剥がしてそれの影を棒にすると先程の石の棒とは違い頑丈な棒へと早変わりした。
黒 「まさか俺の能力にこんな使い方があるとは
な………」
黒がそう言っていると少女?は笑って、
? 「どうじゃ?そなたの能力にはこのような使
い方があるのじゃぞ?」
黒 「……まさかここまでとは…昔の俺だったら絶
対に思い付かないな……」
? 「ほう………所でそなたの主とやらはそなたに
新しく生きる希望を見出だしたのか?」
少女?がそう言うと黒は真剣な表情でそれに答える。
黒 「あぁ………昔の俺は破壊と殺戮を繰り返して
それを楽しみ快楽に浸っただがなそんな俺
に主は手を差しのべたんだ………だから俺は
主の盾となり剣となる事を誓ったんだ」
そう言い黒は自身の能力で作り上げた棒を見ながら答えると少女?は笑顔で、
? 「余程良い主に出会えたのじゃな♪」
黒 「あぁそうだな……」
? 「そうか……おっとワシはそろそろ行くぞ」
黒 「あんた修行は?」
? 「もうよい♪………あっそうじゃ」
そう言い少女?は帰ろうとすると立ち止まり黒の方へと体を振り向かせ、
? 「最後にそなたの主をしっかり守り裏切る
のではないぞ?でなはいと……」
そう言い少女?は先程の黒の威嚇とは比べ物にならないぐらいの自身の莫大の量の神力を放出しドスのかかった声で黒に警告をする。
? 「貴様が再生する暇を与えず永遠の苦しみを
与えながら殺すからの?」
黒 !!
これには流石の黒も驚いたようだ。そして少女?は自身の神力を抑え先程のドスのかかった声を止めて黒に先程と同じような笑顔を向けて、
? 「では去らばじゃ♪」
そう言い少女?は森の中へと消えた。そして残った黒は、
黒 「なっ何なんだ…あの少女………」
黒の手は先程の少女のすごみによって震えて背中には汗が流れていた。これは黒にとって初めての経験でもある一方的な恐怖だった。すると茂みから音がすると、
理 「あれ黒…休憩か?」
黒の様子を見に来た理久兎が現れると、
黒 「あっあぁそ…そうだ主よ……」
そして黒はこの時初めて気がついた。それは自身の能力について語っていないと言う事に、
黒 (あの少女いったい何者だったんだ……)
そう黒が考えていると理久兎は黒に近づいて肩に手を置いて、
理 「大丈夫か?」
黒 「えっ?あぁ大丈夫だ……そろそろ修行を再会
する………」
黒は再度滝へと入り精神統一を始める。それを見ていた理久兎は黒に感心して、
理 「頑張れよ♪」
そう応援の言葉をかけるのだった。