理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第182話 覚妖怪

料理を作り始め1時間後の夕方、

 

さと「え~とすいませんがこれは……」

 

こい「お姉ちゃん料理がこんなにいっぱい!」

 

さとりとこいしの前には大量の料理が並べられさながらご馳走となっていた。自分も亜狛と耶狛そして黒が座る横へと座ると、

 

理 「召し上がれ♪」

 

亜狛「いただきます!」

 

耶狛「いただきマンス!」

 

黒 「いただくぞ主よ………」

 

3人はそう言うと料理にありつく。そしてそれを見ていた理久兎は、さとりとこいしに、

 

理 「2人も早く食べないとおかず無くなるよ?」

 

こい「お姉ちゃん早く食べよう!」

 

さと「そっそうねそれじゃいただきましょう」

 

そうしてさとりとこいしも料理にありつくと2人の顔は綻んだ。

 

こい「美味しい~♪」

 

さと「本当ね……」

 

そしてさとりとこいしは理久兎の従者たちにサードアイを向けて見ると、

 

亜狛(やっぱりマスターの飯は旨いな……)

 

耶狛(次は卵焼き~♪)

 

黒 (にしても主は本当に料理好きだな)

 

と、3人の心を読んでいた。そしてそれを見ながら理久兎は酒の入った盃を片手にそれを眺めて心で笑う。あの妖怪姉妹の種族が大方は分かったためだ。そしてさとりとこいしは次に理久兎を見るがやはり心を読むことが出来ないため悔しくなる。

 

こい(お姉ちゃん何であの妖怪の心は読めないんだ

   ろうね?)

 

さと(分からないわ…けど今は様子見ね……)

 

さとりとこいしはお互いの心を読み合って理久兎を観察することに決め今は出された料理にありつく。そうする事数時間後、

 

全員「ごちそうさまでした」

 

理 「はいはいお粗末様ね……」

 

理久兎は久々の酒が旨いのか一樽の酒を飲み干してしまい残りは盃に入っている酒だけだ。

 

こい「美味しかったねお姉ちゃん♪」

 

さと「そうね♪……ところで……」

 

さとりは理久兎に心が読めない理由を聞こうとするとさとりの言葉を途中で遮り、

 

理 「次に君は「どうして貴方の心が読めないの

   ですか?」と言う♪」

 

そう言い盃に残っている酒を飲み干すと……さとりが口を開いて、

 

さと「どうして貴方の心が読めないのですか?………

   はっ!?」

 

これを聞いた理久兎以外の周りの全員は驚いたが質問をしたさとりが一番驚いていた。

 

亜狛「えっマスターそれってどう言う事ですか!」

 

耶狛「すご~いマスター今のどうやったの!」

 

黒 「主よあんたいったい何なんだ……」

 

こい「嘘…私達の事知ってたの!?」

 

理 「いや知らん」

 

こいしにそう聞かれた理久兎は胸を張ってキッパリと答えると2人は少しズッコケた。

 

さと「…うぅなら貴方はいったい……」

 

それを言われた理久兎はさとりとこいしに、

 

理 「それなら君達から名乗るのが筋だと俺は思

   うけどね?」

 

それを言われたさとりとこいしは自分達の事を紹介混じりに話しだす。

 

さと「私は古明地さとりです隣にいるのが妹の」

 

こい「こいしだよ♪」

 

さとりとこいしの自己紹介が終わると理久兎達も名乗る。

 

亜狛「まず私は深常亜狛と言いますそして隣が………」

 

耶狛「妹の耶狛で~す♪」

 

黒 「俺は黒…後はなしだ……」

 

3人の紹介が終わると最後に自身の紹介をする。

 

理 「最後に俺は理久兎………深常理久兎だまぁ気

   安く理久兎で良いよろしくな♪」

 

そして理久兎の名前を聞いたさとりは驚きの表情を示した。

 

さと「りっ理久兎ってぬらりひょんの理久兎あの

   ですか!」

 

こい「お姉ちゃん理久兎って何?」

 

珍しく慌ただしい姉を見てこいしはさとりに理久兎とは誰かと訊ねると、

 

さと「この幻想郷の創設者の1人にして妖怪達の

   頂点に君臨した妖怪の王よ」

 

こい「君臨した?」

 

さと「えぇ確か数百年前に死んだとされている筈

   なのにそれが何故生きているの!?」

 

それについて質問されると理久兎は苦笑いを浮かべながら、

 

理 「いやね死んだには死んだんだよ?だけれど

   まさか蘇るとは思ってなくってさしかも盛

   大に葬式挙げてくれたのに今さら生きてま

   した~♪なんて言いながら帰れると思う?」

 

さと「えっと…そのすいません……」

 

しゅんとなる。見ていての予測としては普段さとりは心が読めるためこんなに会話をしないためかあまり慣れていないのだろう。故にいつもの調子が出ないだろう。

 

理 (まぁ今ので信じてくれるなら助かるか)

 

実際は理久兎がさとり達に言った事それは事実の1つだが本来は八雲紫の願いを神として聞き入れてそれを叶えさせるために動いたのに過ぎないのだ。だがそこで得た友や弟子は欠けがえのない存在となっていたのもあり顔を出しづらいのが現状なのだ。

 

こい「ふぅ~ん………てことは隠居中?」

 

理 「まぁなそうなるな♪……‥さてと俺の事は話た

   しなそろそろ君らの事を聞かせて欲しいな♪

   覚妖怪さん方♪」

 

2人「!!」

 

それを聞いたさとりとこいしはまた驚いた。

 

耶狛「覚妖怪?」

 

理 「あぁ人間が妖怪を嫌うのは分かるよな?」

 

亜狛「それはまぁそうですよね畏れですから」

 

理 「だけど妖怪の中には妖怪を嫌う者もいる」

 

黒 「…てことはまさか……」

 

理 「そうご名答だ………覚り妖怪ってのは相手の心

   を読む事が出来るが故に人間は勿論妖怪から

   も嫌われ続けた妖怪達って事さ」

 

その説明を聞いていたさとりとこいしはうつむいて、

 

さと「えぇそうです…それで合ってます……」

 

こい「……………………………」

 

さと「昔から私達覚り妖怪は心が読めますそれは隠

   したい秘密や知られたくないトラウマを………

   それらは知ってしまうからです」

 

理 「それで?」

 

さと「それらがあって誰も私達を助けようとはしま

   せんでした………それ所か姿を見ただけで石を

   投げられましたし他の妖怪達にも追い出され

   てしまったりでそれでいて食べるものなくな

   り仕方なくごろつきまがいな事をしたり畑か

   ら野菜を頂戴してました………」

 

耶狛「酷い環境だね………」

 

黒 「………………」

 

さと「それももう慣れましたけどねそれに貴方達も

   心が読まれるのは嫌ですよね?」

 

さとりは苦笑いで言うと理久兎黙って聞いていた理久兎達は、

 

理 「いや別に俺は心を読まれることはないけど

   もし読まれたら読まれたらで話するのにも

   便利じゃん♪」

 

こい「えっ……」

 

亜狛「そうですね………しかも私達の秘密なんて所

   詮は小さなことですしねなっ耶狛♪」

 

耶狛「うん♪大した秘密なんてないよね♪」

 

黒 「俺も読まれるならそれはそれで面白そうだ」

   

それを聞いたさとりとこいしは少しだが涙を浮かべてしまっていた。これまでそんな言葉をかけられた事はなかった。そして2人は嘘か真実かを念のために確かめると、

 

亜狛(読めているならこれは真実ですよ♪)

 

耶狛(さぁ私の心を読んでみよ!なんてね♪)

 

黒 (何にも怖くないな……)

 

言葉は全て真実だった。それを読んださとりとこいしは俯いた顔から笑顔となった。

 

さと「……ふふっ♪」

 

こい「これまで私達にそんな言葉かけてくれる妖怪

   聞いたこともないよ♪」

 

理 「ハハハそうか♪なら俺らが始めてだな♪」

 

さと「でも何で貴方の心だけ読めないんですか?」

 

理 「さぁ昔からの特異体質でね♪」

 

さと「そうですか……」

 

こい「ねぇ………1つ聞きたいんだけどあそこの

   押し入れのあれは………何?」

 

こいしは前回の押し入れに入っていた拷問器具について聞くと、

 

亜狛「あれは……」

 

亜狛が言いかけると、

 

さと「成る程昔の住人の忘れ物ですか」

 

理 「やっぱり心が読めるって便利だな~まぁそう

   だね……」

 

こい「それに……ここは…地獄?!」

 

さとりとこいしは亜狛と耶狛そして黒の心を読んで今いる場所も全て分かった。

 

理 「あぁそうだここは地獄は地獄でも旧地獄と呼

   ばれている場所でもう使われていない地獄っ

   所だな♪」

 

さと「旧地獄と呼ばれている場所………」

 

理  そうだまぁ空も何も見えないし怨霊達も大量

   に出現して妖怪や人間達が住むには過酷な環

   境さ………あっそれと話は変わるけれど君達は

   地上に帰る?帰るなら送ってくけど?」

 

さと「………………」

 

こい「……………………」

 

2人はそれを聞いてまた顔をうつむかせる。地上には帰りたくはなさそうな感じだ。

 

理 「う~んもしくはここに住む?」

 

さと「えっ!?」

 

こい「ここに………住む?」

 

理 「あぁ君らのその能力ならここだと充分役に

   立つ筈だよ」

 

理久兎の勧誘を聞いたさとりとこいし心の中で会話し合う。

 

こい(お姉ちゃんどうする?)

 

さと(……こいし…私はここに住んでもいいと思うわ

   理久兎さん達なら邪魔者扱いだとか嫌わない

   と思うし………)

 

こい(…………私はお姉ちゃんと一緒なら♪)

 

さと(なら決まりね♪)

 

それを聞くとさとりとこいしは悩み続けて結論を出した。

 

さと「貴方…いえ理久兎さんここ旧地獄に住んでも

   いいですか?」

 

理 「ほう何故また?」

 

理由を聞くとさとりはそれに答える。

 

さと「他の妖怪達や皆から邪魔者扱いされて肩幅の

   狭い世界で暮らすならここで静かに暮らした

   いと思ったからです」

 

それを聞いて理久兎はさとりに、

 

理 「住むのは構わないが‥‥あるのは廃墟ばかりだ

   それに怨霊も大量発生することもある‥‥それ

   でもいいのか?」

 

土地の情報と今ある廃墟の話を聞いてもさとりとこいしの心は揺るがる個とはなかった。ただ真っ直ぐと自分を見て、

 

さと「構いませんここに住めるなら」

 

こい「うん大丈夫だよ♪」

 

2人の言葉を聞き思った。2人には覚悟があるのだと。

 

理 「そうか…ならこれからもよろしくな♪」

 

亜狛「これからお願いします」

 

耶狛「わぁ~い住人が増えたよ♪」

 

黒 「騒がしくなるな……」

 

さと「よろしくお願いします皆様……」

 

こい「よろしくね♪」

 

こうしてここ旧地獄に古明地姉妹が住み始めたのだった。


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