地上から旧地獄へと続く迷路のような道を理久兎とさとりは探索していた。理由は御察しの通り、
理 「土蜘蛛本当にどこに封印されてんのかな?」
理久兎は松明を片手に魔法の地図を広げてキョロキョロと辺りを見渡すがいっこうに見当たらない。
さと「……声も聞こえませんね…」
さとりもサードアイで辺りを見渡して心の声が聞こえないか挑戦するがいっこうに聞こえない。聞こえてきてもせいぜい怨霊達の恨み辛みの声しか聞こえてこないのが現状だった。
理 「やれやれ…本当に何処にいるかな……」
さと「……理久兎さん…まさか嘘をつかれたとか?」
理 「いやまさかね流石に映姫に限ってないだろ」
さと「でもここまで見当たらないと…」
そんな会話をしながら辺りを見渡しているとふとこれまであった岩とは違う岩を見つける。はっきり言うと岩の色が若干だがそこいらの岩と比べると明るい色だった。
理 「怪しいなさとりこの先何かありそうか?」
さと「声は何も聞こえませんが……」
理 「そうか……せいや!!」
ダン!!
さとりが何も聞こえないと言うと問答無用で岩をぶん殴って破壊する。それにはさとりも呆れていた。
さと「理久兎さん貴方はもう少し慎重になった方
がいいですよ?」
理 「気にしな~い♪気にしな~い♪」
だがやった行為は正しかったのか岩を破壊した同時に起きた土煙が止むと通路が続いていた。
理 「うん道が続いているね………」
さと「理久兎さんその地図少し見せてください」
理 「ん?良いよはい♪」
理久兎は手に持っている地図をさとりに渡す。そしてさとりはそれを確認すると、
さと「理久兎さんここから先への道この地図にすら
のっていませんが大丈夫ですか?」
理 「さぁ♪でも未知なる冒険ってのも楽しいもん
だよ」┐(´・∀・`)┌
さと「…………そうですね…」
理 「なら行こうか?」
さと「えぇ……」
そうして理久兎とさとりはこの先に続く地図に無き道を進みだした。
理 「にしても暗いな………」
さと「そうですねそれにしても蜘蛛が沢山います
ね………」
理 「言われてみると確かにな」
何故だか分からないが道や壁、天井に蜘蛛が大量に出現しだしていた。そして2人が進んでいると途中で右と左とで別れている別れ道が現れる。
理 「なぁさとりお前ならどっちに行く?」
さと「私は………左ですかね?」
さとりはクラピカ理論の左をチョイスした。さとりのチョイスに自分は肯定する。
理 「決まりだななら行こう」
さと「そうですね」
そうして2人が左の道を行こうとした瞬間だった。
ピシッ!
さと「えっ?何かしらこれ?」
理 「どうかした?」
さとりの足に枝の並の大きさの何かが片足に巻き付くと、
シュルルルルル!!
さと「えっ!キャー~ーーー!!!」
さとりは突然片足を引っ張られて地面に体が擦りつくように引きずられながら右の道へと引っ張られた。
理 「なっおあ!さとり!!」
さと「理久兎さん!!!」
とっさにさとりの手を掴もうとしてが引っ張られる速度が速く手を掴みそこなってしまう。さとりは闇の中へと引きずられていった。
さと「理久兎さん!!!」
理 「ちっ!待ってろ!!」
そう言って理久兎も急いでさとりの後を追いかけるのだった。そしてさとりが連れ去られた場所は、
さと「うっうぅん……ここは?」
さとりが辺りを見渡すと無数の子蜘蛛が徘徊していて自分は巨大な蜘蛛の巣に体をぐるぐる巻きにされて縛られているのに気がついた。しかもそれのせいでサードアイも機能していない。
さと「ぐっうっ!」
抜け出そうと試みるが何重にも巻いた蜘蛛の糸は易々と切れるはずもなく余計に体を締め付ける。それを察知したさとりは抗うのを止めて状況を整理する。
さと「それにしてもここは?」
さとりがそう呟くと笑い声が聞こえてくる。
? 「アハハハハハ♪」
さと「そこにいるのは誰ですか!」
? 「おや?ごめん♪ごめん♪これじゃ姿が見え
ないよね?」
そう言いながら髪を後ろに結んだポニーテールの少女が洞窟の薄暗い闇の中から糸をつたって歩きながらさとりの目の前に近づいてくる。
さと「貴女が妖怪土蜘蛛ですか?」
さとりは少女に土蜘蛛かと聞くと少女はまた顔に笑み浮かべながら、
? 「うんそうだね♪私は妖怪土蜘蛛の黒谷ヤマメ
って言うんだよろしくね♪」
さと「そうですか‥‥すみませんがこれを解いてくれ
ませんでしょうか?」
と、静かに言うが内心は、
さと(理久兎さんがいない状況でしかもサードアイ
も使えない……これは不味いわね……)
さとりは常にポーカーフェイスを心がけている。だが今の状況が最悪な事に少し焦りを感じていた。そしてさとりが考えている状況でもヤマメと名乗った土蜘蛛は話を続ける。
黒谷「う~んそれは出来ないね♪」
さと「聞くのは野暮かもしれませんが理由はなんで
でしょうか?」
黒谷「それは君は私の食料になるからだよ♪でも君
がここの封印を解いてくれるとは思わなかっ
たよ♪そのお陰でようやくここから出れるよ
ありがとうね♪」
さと「ならこれを解いてくれても?」
黒谷「だからお礼に私が貴女を食べるよ♪」
ヤマメは腹が空いているのか聞いていて話が続かない。最早まともな思考ではないのは確かだ。
さと(どうすれば……)
そう考えているとヤマメは口を開けてさとりに噛みつこうとしてくる。
黒谷「それじゃいただきま~す♪」
さと(ぐうっ!!)
さとりは目を瞑り身構えたその瞬間、
ピキ!ピキ!ドガーーーーーーン!!!
突然天井が破壊されてそこから1人の男が落下する天井と共に現れる。勿論それは、
理 「無事かさとり!!」
定番のように理久兎だった。落下した天井の瓦礫等は全てヤマメの糸で抑えられそこに足場が出来上がり理久兎はそこに着地した。
黒谷「っ!あんた一体何者だい!!」
さと「理久兎さん!!」
噛みつこうとしたヤマメは大きく開いた口を閉じて理久兎もたい自分の方を向いて何者かと叫ぶと、
理 「誰かって?ここ旧地獄の管理人だ!」
黒谷「旧地獄?よく分からないけど私の数年ぶりの
食事を邪魔するなら容赦しないよ!」
そう言いヤマメは自身の糸を手から出して崩れていない天井に当てるとその糸を上り天井に張り付く。
理 「さとりこの妖怪が土蜘蛛で良いのか?」
そう聞くと縛られてあるさとりは頷いて、
さと「理久兎さんここで貴方が殺られたら私達は
完全にお陀仏です死なないで下さいね!」
理 「それは困るな…なら勝たないとね!
この光景は何処ぞの赤色の帽子の配管工おっさんが桃姫を救うシチュエーションに似てるなとも思った。とりあえず優先するべきはさとりの救出する事とだ。ヤマメを睨みながら構える。
黒谷「お前も食ってやる!!」
バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!
そう言いヤマメは手から蜘蛛の糸を弾にして自分に向かって撃ち込むが、
理 「見える!見えるぞ!俺にもその弾丸がな~
んてね♪」
ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!
蜘蛛の糸弾をギリギリの所で笑顔を見せながらマトリクス避けやイナバウアーにブリッジ等をして挑発をかねて余裕で回避する。そのためか挑発が上手くいったのかヤマメは更にイラつき始める。
黒谷「何で当たらないの!!しかも避け方が無性
にクソイラつく!」
今度は先程の弾丸ではなく糸そのものを撃ち込むがそれも難なく回避して糸は壁に当たる。
理 「ほれほれかかってこいって♪」
黒谷「そりゃ!!」
ヤマメは先程の糸をゴムのような伸縮性を利用して自身を弾丸にして理久兎に体当たりを仕掛けてくるが…
理 「そい♪」
それすら回避する。ヤマメ後ろの壁で受け身をとって壁に張り付く。
黒谷「クソ~ーー!!」
理 「ハハハなら今後はこっちの番な!!」
ダッ!!
言葉を言い終えるとヤマメの目の前に一瞬で移動して鞭のような蹴りをヤマメに当てようとするが、
黒谷「うわっ!!」
シューーーーー!!
ヤマメは自身の糸でつり上がりそれを回避すると、
ドガン!!
先程ヤマメがいた壁は理久兎の蹴りで粉々になった。それを見ていたヤマメは顔はみるみると真っ青になっていく。
黒谷「あっあんなの食らったら洒落になんないよ」
さと「理久兎さん殺したらダメですよ!」
理 「あっ………悪い力加減をミスった」
黒谷「くっ殺られる前に殺るだけだ!」
そう言うとヤマメは理久兎に向かってもう一度ダイブしてくるが正直この勝負もう飽きた。
理 「瞬雷」
シュン!!
ヤマメの目の前から一瞬で姿が消える。それを見たヤマメは理久兎わ探すがもう遅かった。何せもうヤマメの後ろに自分は回り込んだからだ。
理 「おしまいだ…わ…」
黒谷「なっ!!」
トン!
声を背後から聞こえたヤマメは後ろを振り向くがもう遅い。首の後ろに軽い手刀を受けたヤマメは気絶し空中にいたヤマメは下へと落ちていった。
ドサ!
理 「ふぅ~終わった終わった~そうだったさとり
待ってろ今助ける」
そう言い理久兎は断罪神書から黒椿を取り出して、
ジャキン!ジャキン!
さとりを縛っている蜘蛛の糸をさとりを解放する。
さと「理久兎さん助けるのが遅いですよ?」
理 「悪い………だが流石にさとりが拉致されると
は予想外だった流石の俺も焦ったぞ?」
さと「……そうですか…でもありがとうございます」
理 「ハハハ気にすんな♪さてと土蜘蛛を回収し
ますかねぇ」
そう言い理久兎はヤマメを担ぐ。すると自分が穴を開けた天井から不吉な音がしだす。
バキ!バキギ!
さと「理久兎さん貴方が開けた天井‥‥更にヒビが
入ってきてますが?」
それを聞き最悪な想像が頭を過った。それは天井が崩れてこの場の全員は生き埋めになるという嫌な想像だ。
理 「おっとまさか‥‥さとり!おんぶするから早
く背中に!」
さと「えっ!?」
理 「いいから急げ!!」
さと「わっ分かりました!」
さとりが理久兎の背中に乗ると背中いにいるさとりに、
理 「しっかり掴まってろ!!」
さと「はい!」
そうして理久兎はもうダッシュで走り出す。そして走り出して数分後
ドガン!!ドガン!!ドガン!!
天井が崩れ始めた。それもその筈何せ地底と言うことを忘れて天井を突き破りそれを支える壁を粉々にしていれば崩れて当たり前だ。
理 「うぉー~ー!!」
ドガン!!ドガン!!ドガン!!
通った後から天井が崩れてくる。その光景を前から見たらアクション映画のイン
理 「さとり!!瓦礫はまだこっちに向かって来
てるか!!」
そう聞かれたさとりは後ろを少し振り向くと崩れてくる天井が近づいてきていた。
さと「えぇ!!急いで!!」
崩れていく天井は段々理久兎達の方へと近づいてくる。もう本当に数十Cmまで近づいてきていた。すると目の前にここへ入ってきた入り口が見える。
理 「もう少しだ!!」
更に速度をあげてその入り口付近まで行ってその通路から抜けると同時に入り口は天井が崩れて塞がった。
理 「はぁ…はぁ……あっ危なかった………‥さとり今
降ろすよ」
そう言いさとりを近くの岩に降ろして座らせる。
さと「冷や冷やしましたよ………」
理 「俺もヤバイと思ったまぁでも水晶の骸骨が手
に入るならやっても良いんだけどな」
冗談混じりに言うとさとりはムスッとした表情で、
さと「冗談は止めてください………」
理 「あぁそうだな悪かった…さてと帰りますか……
さとり立てれるか?」
さと「勿論立て……あれ?」
さとりは立ち上がろうとしてはいるが立ち上がれない。どうやら安心したために力んでいた力が緩んでしまったためしばらく歩けそうにもない。
理 「立てないか‥‥ならほら♪」
そう言いもう一度さとりに背中を向けて中腰になる。
さと「………すいませんが使わせていただきます」
そう言いさとりは背中になると自分は立ち上がる。
理 「さてと帰りますか………早くしないとこの子が
目覚めちまうしね」
理久兎は右手で担いでいるヤマメを見てそう言うとさとりをおんぶして自身の仮拠点へと帰るのだった。