骸達が誕生してから約数百年が経った。そんな理久兎は自室でソファーに寝転んで読書を楽しんでいた。
理 「…………♪」
ガチャ!……ギィーー……
読書を楽しんでいると自室の扉が開きそこから目のアクセサリーのようなものを着けている少女こと古明地さとりが入ってくる。
さと「………理久兎さん何か良い本はありますか?」
そう聞かれた理久兎は本にしおりを挟んでソファーから起き上がる。
理 「うぅ~ん…良い本か……」
これまでで本はよく読んできたがさとり達と暮らすようになってから更に読書をするようになりお互いに本の薦め合いをしていた。
理 「これなんてどう?」
図書室よりかは大分小さい自室の本棚から1冊の本を取り出してさとりに渡す。
さと「これは?」
理 「それは確か恋愛物だったな……」
さと「れっ恋愛……」
さとりは平常を心掛けてはいるがやはり理久兎の前では中々平常を保つのは難しいのか顔は少し紅くなる。だがそんなことは恋愛無知の理久兎には分からない。
理 「あぁ………だがやっぱり俺には恋愛系は分から
なくてなさ」
頭を掻きながら参ったようにそう答えた。
さと「理久兎さんはその誰かを好きになった事
ってありますか?」
緊張しながらもさとりは理久兎の恋愛についてようやく聞けたのだ。本人からしてみらばいつも何気なく心を読めるが理久兎には使えない故に結構緊張しているのだ。そして読者様の予想通りの答えが返ってきた。
理 「あぁ…無いな……」
さと「そうですか…ふぅ……」
理 「どうしてさとりがホッとしてるんだ?」
さと「いえ………何も問題はないですよ」
理 「まぁ……いっか…あっそうだった」
さと「どうかしましたか?」
理 「そろそろ魚が無くなりそうだから買って
くるよ」
さと「そうですか…気を付けてください♪」
理 「あぁそれじゃ行ってくるよ♪」
そう言い理久兎は断罪神書から黒いフードつきのロングコートを取り出すとそれを着て更にフードを深く被って部屋から出ていった。
さと「…チャンスはあるよね……」
さとりは密かにそう呟き握られている本をギュット抱き締めるのだった。
神様移動中……
理久兎はいつもの地底ルートを通り地上へと向かっていると、
黒谷「あっ理久兎さん♪」
キス「…………」
ヤマメとキスメの2人が洞窟の岩場に座って自分に手を振ってきた。
理 「おっす♪2人は仲が良いな♪」
黒谷「アハハまぁ確かに♪」
キス コクン……
理 「仲良きこと美しきかな♪」
黒谷「ハハハ♪確かにそうかもね♪」
キス (///…///)
理 「まっこれからも仲良くな………それとヤマメに
いつか頼みたいことがあるんだが」
黒谷「えっ何かな?」
理 「いやいつかでいいからその時は協力してくれ
その分の給料も出すから♪」
黒谷「おっその時は協力するからはずんでね♪」
理 「ハハハ任せておけ♪それじゃな♪」
そう言い理久兎は地底の通路を抜けていくのだった。
神様再度移動中……
ここ人里では毎日のように人で賑わっている。言ってしまえば妖怪はいるにはいるが皆正体を隠して行動している。理由は違えど自分もまたその1人だ。
理 「あ~えと………ここからここまで買うよ」
魚屋「どっどれも獲れたの奴を……」
理 「それで勘定はこれで……」
毎度のように金が入った袋を渡すと店主は大喜びとなる。
魚屋「毎度あり~!荷車お持ちしますね♪」
そう言い魚屋は荷車を運んできてくれてその上に買った魚を乗せてくれる。
理 「ありがとうな♪」
理久兎は毎度のように荷車を運び何時ものポイントに向かおうとしたその時だった。
女性「霊夢~!どこだ!」
男性「魔理沙!いたら返事してくれ!」
目の前に紅を貴重として黒のインナーを着ている長髪の女性と白髪の眼鏡をかけた男性が目に映った。するとその2人は自分のもとに近づいてくると、
女性「そこの不思議な奴1つ聞きたいことがあるん
だが!」
理 「なんだ?言っておくが誘拐とかちゃちな事
はしてないぞ?こんな身なりだけどな♪」
とは言っているがさとりやこいしにはたまた小町などの一件があるため信用できない。
男性「いや君が怪しいとは思ってない実は迷子の
女の子2人を探しているんだ………」
どうやら迷子の捜索みたいだ。もしかしたら何処かで通りすぎたかもしれないと思い、
理 「特徴は?」
特徴について聞くと、
女性「霊夢………いや1人は私と同じくらいの長髪で
赤い大きなリボンを着けている」
男性「それでもう1人は黄色の髪の毛をしていて内
気な子なんだが………」
そう言われて考えるがそんな特徴の子供は見てはいない。そのため申し訳なく思いながら、
理 「すまないが知らないな………」
女性「そうかすまない時間をとらせた」
男性「すいません」
理 「いや謝ることじゃない俺も悪かったな」
女性「すまないな森近他をあたるぞ!」
そう言われた眼鏡の男もとき森近は頷いて、
森近「あぁ分かった!」
2人は走って人里の何処かへと行ってしまった。
理 「まぁ見つかると良いな………」
呟いた自分は何時もの定位置のポイントへと向かった。木々が生い茂り何故だが分からないが魔力が満ち溢れている森。皆はここを魔法の森と呼んでいるらしいが自分には関係ない。何時ものようにそこで断罪神書を広げて魚をしまう。
理 「さぁ~てと後は帰るだけかな………」
そう呟き森から抜けようとすると声が聞こえてきた。その声は、
少女「お母さ~ん!!」
少女「コーリン!!いたら返事…もうやだよ……」
少女「泣かないでよ魔理沙…私だって……」
そんな声が聞こえてきたため自分は茂みに入りその声のした方に行くと2人の人間の少女達が泣き崩れていた。だがこの2人を見て理久兎はピンっ!ときたのだ。何せその少女達の特徴は先程の女性と男性が言っていた特徴そのままだからはのだ。
理 「あの子らか……仕方ないまったく送り届けて
や…っ!」
気づいてしまった。泣き崩れている少女達の茂みがほんの少しだが不自然に揺れたのを、
理 「不味い!!」
ダッ!!
自分はすぐさま少女達の元へと走ると理久兎から見て不自然に動いた茂みから人を食う獣型の妖怪が少女達目掛けて大きく口を開けて襲いかかった。
妖獣「ガァーー!!!」
だが2人の少女達は怪我することはなかった。何故ならば、
ガッ!!
理 「ぐっ!!」
理久兎が前へと割って入り自分の腕でその飛び付きを防ぎ代わりに噛みつかれたからだ。
理 「いい加減放せ雑魚が!!」
ブジュ!!
噛みつかれていないもう片方の腕で妖怪の首にむかって手貫した。妖怪はそれくらい息絶え顎の力が緩み放す。
理 「まったく…あぁ痛かった……」
噛みつかれた腕を見て少し血が滲んでいたが何とかなると考えた。そして後ろを振り返ると少女達は何故か分からないが自分にビビっていた。
黄色「ひっ……!!」
赤色「あっ貴方いったい!」
黄色の髪の少女は半端ないぐらいにビビっていて今にも泣きそうで赤いリボンの少女は自分を見て恐怖しか湧いてこなかったのか怯えていた。
理 「あぁ…えぇ~と………ちっ!」
周りから殺気が此方に向かって放たれていることに一瞬で感づいた。どうやら殺した妖怪は群れで行動するタイプだったようだ。
理 「おいガキ共!」
少女達の後ろを向いて腰を下げる。
理 「早く乗れ!!」
2人「へ?」
理 「いいから!死にたくなかったら乗れ!」
そう言われた少女2人は自分の背中におんぶされると、
理 「しっかり掴まってろよもし放したら………」
妖獣「グゥワァーーーー!!」
理 「死ぬと思え!!」
ダッ!!ガス!
妖獣「ギャイン!?」
跳躍して襲いかかってきた妖怪の頭を踏み台にして更に跳躍して木の枝へと跳び移る。だが下では、
妖獣「ガァーーーー!!」
妖獣「ガァーーーー!」
妖怪達がうじゃうじゃと現れて木から木へと移動している自分達を追いかけて来ていた。
理 「めんどくさい奴等だな」
黄色「霊夢!」
赤色「しっかり掴まって魔理沙!」
理 「お前ら!少し速度をあげるぞ!!」
そう言い更に加速して妖怪達を振り切ろうとするが妖怪達はまだあきらめず自分達を追跡し続けた。
理 「だぁ~めんどくさいな……」
空中で後ろに振り向いて足に霊力を貯めて蹴りあげる。
理 「刃斬!」
その霊力は刃となって向かい来る妖怪達を切り裂いたがまだ妖怪達は自分達を追跡し続ける。
理 (ちっこのままだと人里に行けないしなしょう
がない許してくれよ)
木から飛び降りると先程から追いかけていた妖怪達が取り囲む。
霊夢「ちょっと!何で!」
霧雨「ひっひぃ……」
少女達は妖怪達に取り囲まれ焦りが生じていた。
理 「お前らしょんべん垂らすなよ?」
そう言うと自身が放てる殺気を放出した。輝夜姫の時に使った殺気と比べれば弱いが妖怪達をビビらせるには充分に研ぎ澄まされた殺気を。
理 「お前らに告ぐ早く失せろさもなくば……」
そう言うと理久兎はその次の言葉に更にドスをかけて、
理 「お前らを根絶するぞ」
それを聞いた妖怪達は殺気を押さえて林の中へと消えていった。
理 「たくよ…この方法あんまし使いたくは……」
2人 ガタガタガタガタガタガタ
どうやら2人は自分の殺気で体の震えが止まらないようだ。
理 「あぁ~…お前ら大丈夫じゃ……ないよな?」
霊夢「べっ別に大丈夫だし!!」
霧雨「こっ怖くなんか……なっないや!」
理 「そうか♪なら人里に送り届けるよ♪」
面白い子達だな思いそう言うと自分はまた木の枝へと跳躍して人里へと向かうのだった。
神様少女達移動中……
人里の入り口に来ると少女達を下ろす。すると入り口から先程の女性と男性が近づいてきていた。自分はサッと放れて木の影に避難する。
女性「霊夢!お前は何処に行っていたんだ!!」
霊夢「ご免なさいご免なさい……」
森近「魔理沙もだ!心配かけちゃダメだろ?」
霧雨「ごめんないコーリン!」
少女達は先程の女性と男性に抱きつく。また生きて会えたことに歓喜したのだろう。すると女性は、
女性「霊夢、魔理沙お前らは何処にいたんだ?」
と、聞くと少女もとい霊夢はそれに答えた。
霊夢「森で遊んでたら迷子になってそれで妖怪に
襲われて………」
霧雨「だけど私達を助けてくれたんだよあそこの
………あれ?」
霊夢と魔理沙は辺りを確認するが理久兎はいなかった。だが女性は木の影でそれを聞いている自分に気がついたの見てくる。
女性「森近……霊夢と魔理沙を少し見ていてくれ」
森近「?……分かったよ……」
そう言い女性は自分のいる林の中へと入りフードで顔を隠した自分を見つめる。
女性「お前はさっきの………霊夢と魔理沙を助けて
くれてありがとうな……」
理 「気にすんなよ………俺は俺のやる事をやった
だけだ」
女性「そうか………」
理 「あぁ俺は行くよ‥‥俺にも仲間がいるからな」
そう言い女性に背を向けて歩きだした。すると女性は、
女性「なぁあんた……名前は!」
名前について聞いてきたのだ。自分は立ち止まりそして、
理 「名乗る名はない‥‥だが強いて言えば親しみを
込めて隠者それでいい………」
そう言いまた歩き始めると女性は頭を下げて、
女性「そうか…ありがとうな隠者……」
理 「はいはいそれともう目を放すなよ~」
ぶっきらぼうにその一言を残して自分はそこから立ち去ったのだった。