自分が亜狛に送ってもらった場所はいつも買い物をするさいに降りる場所だ。しかし目の前にうつる銀景色で不思議な雰囲気を醸し出していた。
理 「言われた通り本当に銀色景色なんだな」
呟いた理久兎は近くにある木に手で触れると直感的に感じてしまった。
理 「春の気を感じないだと………」
葉のない木を見上げ呟いた。これまで1人で旅をし続けて春夏秋冬の四季を肌で感じ心で気を感じていたが辺りの木々からも春の気を感じないことに驚くしかなかった。
理 「どういう事だ何故春の気がないんだ?」
不思議に思っていると、
こい「本当に春が感じないよね♪」
理 「あぁそうだな………って!こいし!?」
隣にこいしがいたのだ。先程部屋で別れた筈のこいしがだ。というか何故にいるのだ。
こい「理久兎お兄ちゃん着いてきちゃった♪」
理 「そうかそうか‥‥って勝手について来ちゃダメ
だろこいし?」
こい「えぇ~だって理久兎お兄ちゃんなら無許可で
ついていっても文句は言わないじゃん……」
理 「それはそうだな………だけどさっきあそこで別
れて今のように急に隣で声をかけられたらさ
俺でもビックリするって………」
こい「ふふっごめんなさい♪」
理 「やれやれ…なら一緒に探索しよっか……」
そう言うと断罪神書を開いてそこからコートを取り出すとそれをこいしに渡す。こいしは渡されたコートを貰いそれを着る。
こい「ありがとう理久兎お兄ちゃん♪」
理 「とりあえず行こっか………」
自分とこいしはまずこの辺を歩き始める事から始めた。
理 「う~んやはり春の気は感じないな……」
こい「桜が咲くような予兆も何にもないね」
歩いていると雲から出る僅かな太陽の光が照らし出す。上空を見上げると数ヶ月前に弾幕ごっこをしていた少年と黒が相手をした魔女っ子そしてメイドが空を飛んでどこかへと飛んでいった。
理 「あれは……確か紅の館で見た少年達だな」
こい「確か理久兎お兄ちゃん達が不法侵入したあの
紅の館?」
なおこいしは理久兎達が本を借りパクした本をこいしもたまに見る模様。
理 「まぁ合ってるよそれで‥‥でも何であの子達が
飛び回ってるんだ?」
こい「それって異変解決とかじゃなかったけ?」
理 「異変解決………それは何だ?」
異変解決という言葉についてこいしに聞くとこいしはそれについて答える。
こい「え~とね私もそんなには詳しくは知らないけ
ど妖怪が事件を起こしてそれを人間達が解決
するっていう事だったかな?」
理 「ふぅ~んそれであの紅の館で弾幕ごっこをし
ていたのか………」
ようやく何故弾幕ごっこをしていたのかという理由が分かった。今の自分は改めて自分が幻想郷の時代に乗り遅れていると実感した。
理 「あの子達がさっきまでいた場所を調べてみよ
うか………」
こい「そうだね♪」
こいし共に更に奥へと進んでいくとそこには一件の家が建っていた。
理 「へぇ~家なんて建ってたんだ………」
こい「ねぇ理久兎お兄ちゃん‥‥また不法侵入する気
満々でしょ?」
理 「嫌々流石にそれは………ん!?」
ふとその家の窓から見えた女性を見ると自分は硬直してしまい口が開いたまま空かなくなった。
こい「理久兎お兄ちゃんどうしたの?」
理 「なっ何でアリスがいるんだ!?」
そうそこで見えてしまったのはかつて自分達に骸達の心臓もとい人形の心を提供し更に黒の封印を解いてしまったアリスがいたのだ。しかも昔に比べて成長していた。
こい「………理久兎お兄ちゃんの元カノ?」
こいしは窓から見えるアリスを見て理久兎に「元カノか?」と聞いてきたが自分は首を横に振る。
理 「いや違う………昔に黒の封印を解いちゃった子
だよ………」
こい「へぇ~あれが黒お兄ちゃんの封印を解いた子
なんだてことは黒お兄ちゃんと同じ出身地だ
から………」
理 「魔界だな………」
自分には今2つの感情が芽生えた。1つは昔の旧知に出会えて嬉しかった事もう1つは自分が生きていることがバレるという恐れの2つだ。
理 (どうする……どうする……どうする……)
考えに考え考えた末に答えを導きだした。
理 「よし!これで行こう!」
こい「えっ?」
理 「こいしちゃん頼みがあるんだけどいい?」
こい「何かな理久兎お兄ちゃん?」
理久兎は断罪神書をまた開いて今度は何かアイテムをこいしに渡す。それは現代の人達から見たらその形は
理 「彼処の家に侵入してさ彼処の窓の鍵を空けて
それのピンを引き抜いて家中だったら何処で
もいいから投げてきてくれない?」
こい「…やっぱり侵入するんじゃん……」
理 「頼むって帰ったらプリンをご馳走するから」
それを聞いたこいしは笑顔になって、
こい「しょうがないな~♪カスタードプリンしかも
濃厚なのお願いね♪」
理 「分かったよ♪」
こいしは理久兎特製の濃厚カスタードプリンで買収されてしまったようだ。そして買収されたこいしは能力を使って家の扉の前に来た。
こい(さぁ~てさりげなくやらないと♪)
こいしは少しずつ開けていき自分がはいれるぐらいに開くと中へと入っていた。そして扉の音に気がついたのか、
アリ「誰?」
アリスは扉の音に方を見るが誰もいない事を知ると警戒を解くがアリスの目の前では理久兎から渡された
こい(ふふっ♪)
こいしはゆっくりと歩いて理久兎に指示された窓の所に来ると窓の鍵を開ける。それを外で見ていた理久兎はこっそりと中腰になりながら近づきこいしが開けた窓の下にへばりつく。
理 (よしこいしがあれを投げて爆発した瞬間に入る
………)
そう考えている一方でこいしはピンに手をかけて、
カチッ!
と、ピンが抜けた音がなる。それを聞いたアリスは辺りをまた見渡すが、
こい(これプレゼントだよ♪)
こいしは心で呟くとアリスの足元に理久兎から渡された
アリ「えっ?」
その瞬間だった。アリスの足元でなおかつ目の前に来た
ドーーーーン!!
アリスの目の前では爆発しそこから煙が家中に漂い始めた。
アリ「ゴホッ!ゴホッ!何なのよこれは!」
家中に白い煙が上がるとアリスの両隣で浮いていた人形2つは突然地面へと落ちた。
アリ「上海?蓬莱?」
だがアリスは気づくのが遅かった何故なら、
ガタン!!
こいしが開けた窓から理久兎が侵入したのを認識するのが遅れたからだ。
アリ「今度は!」
アリスは振り向こうとしたが、
トン!
アリ「うっ……」
誰かに首を手刀されて地面に倒れる。薄れ行く意識の中でアリスは黒いコートを着てフードを深く被った自分を見ると気絶した。
理 「よしテイクダウン成功」
こい「理久兎お兄ちゃん聞きたいんだけどさっき渡
したあれって何?」
こいしは改めて理久兎に聞くと理久兎はそれに答える。
理 「あれは魔導回路阻害爆弾だよ♪」
こい「魔導回路阻害爆弾?」
理 「そっ♪簡単に言うと魔術で出来ている物を暫
く停止させるアイテムだよ♪」
こい「でも何でそんなの投げる事になったの?」
こいしは理由を尋ねると理久兎はそれについて答える。
理 「それはそこらじゅうに落ちてる人形は見て分
かるよね?」
こい「うん……確かに…多いよね?」
理 「それらの殆どが魔術が織り混じってるんだよ
………それでいその人形達1つ1つ武器を持っ
てるからそれで一斉に襲い掛かられると厄介
だから根本から絶ったんだよ」
こい「でもこの人を気絶させてどうするの?」
理 「今から俺らに関する記憶を抜き取る」
こい「えっ?」
理 「まぁ見てれば分かるよ♪」
断罪神書から1枚の何かが書かれている紙を取り出して倒れているアリスをベッドへと運んで仰向けで寝かせ顔の上に先程の紙を乗せる。
理 「さてと………」
アリスの顔めがけて手を突っ込んだ。だが血が出るどころかその紙の中に手がのめり込んでいた。そしてそこかは手を出すと綺麗に光る結晶を掴んでいた。
理 「これは………」
その結晶をまじまじと見るとその結晶の中で映像が流れていた。その映像は黒と戦った魔女っ子と楽しく話ながら食事をしている場面だった。
理 「これじゃないな………」
その結晶をアリスの中へと戻しまた中へと手をいれて今度は先程とは違う別の結晶をまじまじと見ると先程飛んでいったメイドとアリスが弾幕ごっこをしている場面が映る。
理 「これでもないな………」
また同じ作業をして別の結晶を取り出すとその結晶には幼いアリスと理久兎や亜狛それに耶狛に黒他にも神綺や夢子が映っていた。
理 「うんこれだな………」
それを取り出しアリスの顔の上に置いてある紙を取ってアリスから取り出した記憶と共に断罪神書へと入れた。
理 「さぁ~てと仕事は終わったからまた調査をし
ますかね♪」
こい「理久兎お兄ちゃん約束忘れてないよね?」
理 「分かってるって後で作るから♪」
こい「やった~♪」
そうして理久兎とこいしはアリスの家を後にしまた調査を再開するのだった。