自分とこいしは西行妖の元まで向かい漆喰の塀の上に立つと誰かが空を飛びながら西行妖の攻撃を避けていた。それは紅の館で異変解決をしていたあの3人とその他にもメイドと二刀流の少女が飛び回って回避していたのだ。
理 「すごい光景だな………」
こい「理久兎お兄ちゃん助けなくていいの?」
こいしに言われた理久兎は少し考えて、
理 「いやあれなら助ける必要もなさそうだな」
こい「どうして?」
理 「昔に戦った西行妖の方が強かった今よりもね
………恐らくまだ本調子じゃないからそれなら
封印を解いた分頑張ってくれないとね」
自分から見て西行妖の攻撃の速度などは昔に比べればとてつもなく遅すぎる。昔はもっと速く鋭い攻撃だったのは戦った自分だからこそ分かるものだ。
こい「さっきまで焦ってたのに急に変わったね」
理 「まぁ彼奴らが危なくなったら助けるけどそう
でもないなら手を貸す必要もないさ」
そう言いながら戦いを見ると西行妖の木の幹の近くに紫の親友の幽々子が倒れていてなおかつ理久兎の愛刀、空紅が落ちていた。
理 「まったくしょうがないな……‥こいしちゃん彼
処で倒れてる人を少し避難させてあげてくれ
ないか?」
こい「理久兎お兄ちゃんはどうするの?」
理 「助太刀はしないけど少し手伝うぐらいなら構
わないだろ♪」
こい「う~んまっいか♪なら彼処で倒れている人を
此方に運んじゃうね♪」
そう言うとこいしは空をふわふわと飛んで倒れている幽々子の方へと向かう。自分は手を空紅の方へと翳して、
理 「スナッチ………」
そう唱えた瞬間だった。落ちていた空紅は突然消えると翳した手に空紅が急に現れ翳した手で持つ。
理 「久々だな空紅♪」
久々の空紅の刀身をまじまじと見るとある事に気がついた。
理 「あれ?空紅の刀身…桜色に変わってる……」
空紅の刀身が桜色に変色しているのだ。かつて空紅の色は普通の刀とたいして変わらない色だったが今では桜色となり昔よりも美しくなっていた。
理 「………大方は西行妖の妖力に浸けていたから色
合いが変化したって感じかまぁ綺麗だし問題
ないか」
呟きながら空紅の刀身に人差し指と中指を置いてルーン文字を描いていく。そうしてルーン文字を描き終わると、
理 「さてと………」
周りをもう一度見渡すと異変を解決しに来ていた少年が地面に膝を立てているのが目に入った。
理 「丁度良い……空紅…彼に少し力を貸してやって
くれ」
空紅に語りかけるとその少年の方まで刀を投げる。そして空紅は少年がいる場所の横の地面に刺ささった。それを見て少年は驚くが数秒すると自分の投げた空紅を手に取り握る。
理 「よし…後はあの少年に託すか……」
と、呟くと幽々子を避難させに行っていたこいしが自分の元へと帰ってきた。
こい「理久兎お兄ちゃんあの人出来るだけ安全な壁
の方に避難させたよ」
理 「ありがとうなこいし♪」
理久兎はこいしにお礼の言葉を述べて頭を撫でるともう一度西行妖に体を向かせて、
理 「…あの子達どれだけ出来るのか……それを見定
める事も一興だ……」
そう言うとこいしこの戦いを見るために漆喰の塀の上に座ってこの戦いを観戦する。
理 「あの少年は諦める心がないな………」
こい「本当だね………でもね理久兎お兄ちゃん」
理 「どうかしたか?」
こい「弾幕が光輝いてて命懸けの戦いなのに綺麗っ
て感想が出てきちゃうよね♪」
こいしの言っている通りこの薄暗い空に光る弾幕は美しく輝いていた。お札の弾幕、星形の弾幕、ナイフのような弾幕、楔型の弾幕等々色々な弾幕が展開されていた。すると膝を立てていた少年は立ち上がると西行妖に向かって走り出した。
理 「おっと走り出したか……」
こい「すご~いあの子襲ってくる枝を全部斬ってる
ね!」
自分とこいしの目には少年が空紅を使い襲いかかる西行妖の枝を焼き斬って西行妖に向かって走っていたのだ。そして少年は跳躍するとかつて自分がやったように西行妖の幹にある顔へと空紅を突き刺した。そして突き刺した所から空紅の業火が吹き出した。それを苦しむかのように西行妖は、
西桜「ギャー~ーーーーー!!!」
悲痛な叫びが辺りをまた覆うが少年は諦めることなく更に突き刺していく。
こい「うぅ~んうるさい!!」
理 「やれやれそろそろ黙らせるか………」
西行妖に向かって手を翳し先程空紅に仕掛けたルーン文字により作った魔術を展開する。その魔方陣の効果は「抑制」それは空紅を通じて西行妖の内部へと侵食しやがて西行妖を封印していくと同時に西行妖の枝に咲き誇った桜は散っていきやがて西行妖は動かなくなった。
理 「終わったな……帰るよ…こいしちゃん♪」
こい「うん♪」
そう言うと自分とこいしは漆喰の塀から降りて元来ていた道を帰っていきまた穴を通って現世へと帰ってきた。
理 「そうそうこいしちゃん……」
こい「何?」
理 「今日あったことは俺とこいしちゃんとの秘密
だよ♪これを話したらさとりが心配するから
ね♪」
それを聞いたこいしは笑顔で納得して、
こい「分かったけど理久兎お兄ちゃん約束忘れてな
いよね?」
理 「はいはい勿論作るよこいしや皆の分もね♪」
こい「やった~♪」
そうして自分とこいしは地霊殿へと帰り理久兎は約束の濃厚カスタードプリンを振る舞うのだった。