理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第十三章 地底の海開き
第216話 理久兎の趣味


冥界から帰って数日の事、理久兎はゆっくりまったりとした読書を楽しんでいた。

 

理 「うぅ~~んはぁ~‥‥そういえばそろそろ時期

   かな?」

 

そんな事を呟きベッドから立ち上がり部屋を出る。するとそこを歩いていたさとりと鉢合わせした。

 

理 「よっさとり♪」

 

さと「理久兎さんどちらに行かれるんですか?」

 

理 「ん?あぁそろそろ俺の趣味の1つが良い具合

   に育ってるかなと思ってね♪」

 

自分の趣味の1つがそろそろ良い感じに育ってるだろうと答える。さとりは理解したのか、

 

さと「あぁ~あれですか………因みに育ちはどうです

   か?」

 

理 「うん♪良い感じだねやっぱり地底だから温度

   は良いんだけど光がねぇ~」

 

さと「そういえば光はどうしているんですか?」

 

理 「それなら灼熱地獄のマグマで代用しているけ

   ど扱いが難しいよね………本当に作るのに苦労

   したよ」

 

あの時の辛さを思い出す。何度も何度も試行錯誤を繰り返したあのガラス玉の製作を。そんな思い出に浸っていると、

 

さと「理久兎さん私も着いていっていいですか?」

 

理 「構わないよなら行こうか♪」

 

そうしてさとりを連れてとある場所に向かう。自分とさとりは地霊殿の中にある中庭へと足を運んだ。そこは自分達の努力が実って今では植物などが生えており地底唯一の緑が感じられる場所へと変わっていた。だが行き先ははそこではない。中庭の奥の一画の扉の前へと来る。

 

理 「それじゃ入るとしますかね」

 

さと「えぇ……」

 

さとり共にそこに入ると更に下へと繋がっていた。自分とさとりは更に下へと歩くと同時にだんだんと暑くなってきてくと光が見え始めそこに進むと色とりどりの野菜がその部屋を覆っていた。そう理久兎の趣味それは植物栽培だ。特に夏の野菜や果物だ。

 

さと「本当にここは魔境ですね………」

 

理 「まぁ自然の魔境というのも乙なものさ♪」

 

自分はそのうちの1本の沢山実った弦へと近づきそこの野菜を1個もぎ取る。

 

理 「さとり♪折角だから新鮮なもの1個ぐらい食

   べてかない?」

 

さと「えっならいただきますね………」

 

さとりの言葉を聞き自分は包丁のまな板を取り出してそれを近くに置いてあるウッドテーブルに奥と取った果物を捌いていく。すると綺麗な赤色の中身が見え出した。理久兎が取った果物はスイカだった。そしてカッティングしたスイカを皿に乗せてさとりにスプーンと共に渡す。

 

理 「はい♪」

 

さと「ありがとうございます」

 

さとりはそれをスプーンで取って一口食べると、

 

さと「美味しいですね甘さがたまらないです」

 

理 「それはどうも……どれどれ……」

 

理久兎も包丁でバッサリとカッティングしたスイカを食べると、

 

理 「うん良い感じに育ったね♪」

 

さと「理久兎さん前から思ったんですが何でここっ

   てこんなに蒸し暑いんですか?」

 

理 「それは簡単だよ♪まず温泉これでここら辺は

   水蒸気で包まれるそこに天井にぶら下がって

   る特殊ガラス玉に溶岩を詰めてぶら下げれば

   人工太陽の出来上がりってわけさ♪」

 

さと「成る程‥‥言われてみると冬なのにも関わらず

   トマト料理だとか出てきてましたもんね……」

 

理 「そうそう本当にあのガラスを作るのが一番大

   変だったよ………」

 

難しい理由としては丁度よい温度にするために厚さや材料等を工夫し続けてようやく完成といったレベルだからだ。

 

さと「そういえば理久兎さん彼処の家みたいな物は

   何ですか?」

 

理 「あれはビニールハウスって言って外世界でよ

   く使われるものだね…使い道は‥…言っちゃう

   とこの部屋と大して変わらないかな」

 

さと「えっ?ならなんであるんですか?」

 

理 「まぁ小分けだよそうだ♪来てみなよ♪」

 

さとりを連れられてビニールハウスへと入るとそこには色々なハーブがプランターに小分けされ育てられているのに気がつくだろう。

 

さと「色々と種類がありますね」

 

理 「まぁハーブ類は物凄い速度で繁殖するからこ

   うやって分けてるんだよ」

 

さと「………いつも飲んでいるお茶のハーブはやっぱ

   りここから栽培した物ですか?」

 

理 「あぁここで育ってるものだよ♪その他にもハ

   ーブは色々な料理にも使えるから重宝してい

   るんだよね♪」

 

さと「成る程それと確かこれはバジルですよね?」

 

さとりは1つの小鉢を持って聞くと理久兎は笑顔で、

 

理 「そうそう色々な使い道はあるよね♪ピザにの

   せるなりトマトと合わせて食べるとかね」

 

さと「これは何ですか?」

 

今度は細いハーブを手に持って理久兎に聞くと、

 

理 「それはタイムって言って肉とかの防腐剤の他

   にハーブティーとしても楽しめる物だね♪」

 

さと「理久兎さん詳しいですね………」

 

理 「まぁそれなりにな♪さてと今日はキュウリも

   良い出来だしゴーヤも中々だしな決めたキュ

   ウリとかを使って野菜スティックにでもして

   ゴーヤはチャンプルにして食べようか?」 

 

さと「理久兎さん本当に主夫ですねよね……」

 

理 「ハハハそれほどでもないよ♪後はデザートに

   スイカかな?さっきカットしたし」

 

さと「理久兎さん収穫や運ぶのをてっ手伝いましょ

   うか?」

 

理 「おやこれは済まないね♪ならお願いしようか

   な♪」

 

さと「はい♪」

 

そうして理久兎とさとりは今回使う分を取ってそれを篭につめて厨房へと運んで今日の晩飯を作るのだった。


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