理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第226話 黒VS詠唱組

光在りし所に影はあり。月の光に照らされて夜の闇が神々しい。だが地上でもその闇とも言える影が月の使者達の胴体を貫き串刺しにしていた。

 

使者「かはっ……」

 

黒 「……所詮はその程度か」

 

黒はそう言うと月の使者達を影の中へと引きずっていく。胴体を貫かれた月の使者達は抵抗できぬまま影へと飲み込まれていきその場には黒だけが残った。

 

黒 「その程度で拉致しに来るとかイカれてるって

   もんだな」

 

黒はただそれしか思えなかった。これならまだ魔界の神綺の娘のアリスもしくはかつて紅魔の館で出会った魔女っ子こと霧雨魔理沙の方が将来性があると思っていた。

 

黒 「…ちっしらけるな……」

 

黒は少しだがガッカリせざる得ない。そんなつまらない気持ちでそこから離れて次の標的を探すために辺りを索敵を始めた。

 

従者索敵中……

 

数分たてど敵は見つかることはない。それどころか妖怪やらに出会っても即座にほぼワンパンで済ませれるため軽く飽きていた。

 

黒 「おもしれぇ相手はいねぇもんかねぇ」

 

と、ため息混じりに下を向いて道とも言えない道を歩いていると、

 

? 「てめぇはあの時の変態執事!!」

 

黒 「ん?」

 

顔を正面へと向けるとそこには先程思っていた魔女っ子こと霧雨魔理沙ともう1人黒が知っている人物がいた。

 

アリ「ねぇ魔理沙‥‥前から言ってた変態執事って彼

   奴の事?」

 

霧雨「彼奴だぜ!」

 

そうアリス・マーガドロイドだ。久々に見た魔界人だったのだが、

 

アリ「以下にも陰湿って感じね……」

 

黒を見ても見知らぬ他人としか思ってないようだ。この時に黒は理久兔が言った事を思い出した。アリスの記憶を奪ったという事を、

 

黒 「そう言えば主が言ってたのを思い出したな

 

霧雨「何をぶつぶつと呟いてんだ!」

 

黒 「ククク‥‥いやまさかこうして貴様らと再会す

   るとは思ってなくてな」

 

黒は笑顔でそう答えるが端から見るとその笑顔は狂人その物の笑顔だ。これには相手の魔理沙とアリスは体を震わせた。だが黒の言った「貴様ら」という単語が引っ掛かったのか魔理沙はアリスの方を向き、

 

霧雨「なっなぁアリス彼奴知り合いか?」

 

アリ「いえあんな人は知らないわよ?」

 

と、言っていると黒は影から形を作り前と同じように斬れないハルバードを作ると、

 

黒 「来るがいい魔の道を行く者と神綺の娘よ俺が

   貴様らを試してやろう」

 

黒は手加減をして魔力を放出する。だがそれは黒いオーラとなって目に見えてしまう。魔理沙とアリスはそれぞれ臨戦態勢をとると、

 

霧雨「はんっ!お前には紅魔館での雪辱をここで全

   て返してやるぜ!」

 

アリ「貴方には色々と聞くことがありそうね何故に

   神綺様の事を知っているのかをね!」

 

そうして黒VS詠唱組との弾幕ごっこが始まった。

 

アリ「行くわよ魔理沙!」

 

霧雨「勿論だ!」

 

魔理沙は何処からともなく出した筒を幾つか投げるとそれは煙を出して黒へと襲いかかりアリスは幾つもの人形を操って弾幕を展開させて攻撃をするが、

 

黒 「我の前で光など無力と知れ」

 

黒がハルバードを振ると黒の背後に映る自身の影から無数の槍となった影槍が魔理沙とアリスの弾幕を貫く。黒色は目立たない地味だが何か別の色があるだけで黒色が強調される。それ故に黒影はとても目立つ。だが魔理沙とアリスは無数の影槍を避ける。

 

アリ「見た感じ彼奴の能力は恐らく『影を操る程度

   の能力』って所ね本当に厄介すぎるわね」

 

霧雨「どうりで影を使った攻撃をしてくるわけか」

 

黒 「クククハハハ!!いいぞ小娘共もっと俺を楽

   しませろそしてもっと猛るが良い!」

 

黒はこの長くそして短い時間を楽しんでいた。自分が期待している霧雨魔理沙、そして永遠の宿敵、神綺の娘であるアリスこれからの魔道の未来を担う期待の星達との弾幕ごっこは、こいしと初めて弾幕ごっこをした時以来にワクワクして楽しんでいる。

 

霧雨「これならどうだ!」

 

アリ「魔理沙、援護するわ!」

 

2人は上空へと向かうとそれぞれスペルを唱えた。

 

霧雨「恋符 マスタースパーク!」

 

アリ「魔符 アーティフルサクリファイス」

 

魔理沙の主砲の巨大レーザーが放たれそれをカバーするかのようにアリスのスペルが周りを攻撃する。2人の息のあったスペルは相手である黒も綺麗だと思えた。

 

黒 「ほう………お前らがそう来るなら俺も使わもら

   うぞ!」

 

迫ってくるマスタースパークが迫ってくるところでで黒はスペルを唱えた。

 

黒 「魔道 竜の粛清」

 

黒の背後にある影が黒を包み込む。包み込まれた黒の形は本来の姿ににていた。その状態となった黒は口からは真っ黒のブレス、六翼からは緑色の斬撃波型の弾幕を放った。

 

霧雨「なっなんだと!」

 

アリ「魔理沙のマスタースパークを抑えてる!?」

 

黒のブレスはマスタースパークとぶつかり合い斬撃波はアーティフルサクリファイスをブレイクした。アリスは抑えていると言ったが実際はマスタースパークをも押しているのだ。徐々に徐々にと魔理沙のもとまで押してきていた。

 

霧雨「つっ強い!」

 

アリ「私が何とかするわ!」

 

アリスはスペルを止めて黒へと人形を動かして攻撃をするのだがそれに気づいた黒は自身の影を用いて先程と同じ槍を生成してアリスへと攻撃する。

 

アリ「行って!」

 

アリス自身は攻撃を避けて操り糸で人形を動かしそれぞれ剣や槍に斧といった危なっかしい武器を持って人形が突ってくる。

 

黒 「その程度の攻撃など影には届かぬぞ」

 

ブレスを吐くのを止め即座にその巨体の6枚の翼を羽ばたかせて空へと飛んでいく。

 

霧雨「くっ彼奴何する気だ!」

 

アリ「嫌な予感しかしないわ」

 

アリスの言った事は現実となった。手加減気味で黒は更に魔力を放出する。そして黒の最終必殺を放った。

 

黒 「…‥形あるものよ灰と化すがいいラストワード

   罪符 理に背きし者への断罪」

 

竜となっていた黒は人の姿へと戻ると手を掲げる。その手を掲げた手に真っ黒い球体が出来るとそれは段々と大きくなっていく。やがて大きさが約20メートルぐらいになると、その球玉の中からドクロを表した異形な弾幕が魔理沙とアリスへと襲いかかった。

 

霧雨「なんだこいつら!」

 

アリ「このっ!」

 

アリスは向かってくるドクロ弾幕に弾幕を撃ち込むがドクロは大きく口を開きそれを逆に取り込んでしまう。強い闇は光をも覆うためなのか効果がない。

 

アリ「弾幕が通じない!?」

 

霧雨「逃げるぞアリス!」

 

魔理沙はアリスをすぐさま箒に乗せて逃げるがドクロ達は執念に追いかけ回す。まるで生というものにしがみつこうとしている亡者達のようにも見える。

 

霧雨「しつけぇ!」

 

アリ「魔理沙!」

 

霧雨「なっ嘘だろ」

 

魔理沙とアリスの目の前には黒が放ったドクロ弾が向かってきていた。魔理沙は箒を操作して上へと逃げるがそれは過ちとなった。

 

霧雨「なんとかこれで………」

 

黒 「またお前は俺に負けたな」

 

ザシュッ!ピチューン!!

 

アリ「魔理沙!!

 

アリスの目の前で魔理沙は黒の一閃を受け被弾し気絶した。そのせいか箒の制御は失い地上へと真っ逆さまに落ちていくがアリスは飛んで魔理沙を掴んで持ち上げた。

 

アリ「くっ!」

 

重力で下へと落ちていきそうな魔理沙を引っ張りあげるのは中々と重く辛いのか顔がひきつっていた。スペルを放つのを止めた黒は、

 

黒 「神綺の娘よ今回は見逃してやろう」

 

アリ「何で貴方は私の事や母さんの事を!」

 

黒 「真実が知りたくば我を倒してみるか?その状

   態でな?」

 

黒の言葉で先程のドクロ弾がアリスの背後をとる。それを言われ見たアリスは悔しそうな顔をすると、

 

アリ「今回は勝ちを譲って上げるわ」

 

そう言いアリスは地上へと降りていった。黒も地上へと降りるとその場から去っていこうとするアリスに、

 

黒 「その娘に伝えておけお前の努力はいずれ報わ

   れるとな」

 

アリ「そう‥‥伝えておくわよ」

 

アリスは魔理沙の肩を担ぎもう片方の手で箒を持つと魔理沙を引きずるようなかたちでその場から去っていった。

 

黒 「ククク………主よ成長する者を見る楽しさ今だ

   からこそ分かるぞ」

 

そう言うと黒はハルバードを影へと戻すとその場からアリスと同様に去っていく。次のターゲットの使者を探しながら徘徊するのだった。

 


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