先程の出会いから数時間が経過し綿月姉妹の家へと上がり居間に来ていた。
依姫「先程は失礼しました……」
豊姫「ごめんなさい……」
理 「あぁ……いいよいいよ俺も自重せずに桃を
食べちゃったし…」
永琳「まったく理千は……」
そう出会って初っぱなからやらかしてしまったのである。それはつまみ食いなど失礼な事をしてしまった事である。それには申し訳なく思う。
依姫「八意様も申し訳ありませんでした…大層な
おもてなしも出来ず……」
永琳「良いのよ気にしなくて♪」
理 「あっえ~と…とりあえず自己紹介するか……
多分最初の方で俺の名前を言っていたから
分かると思うけど俺は新秒理千だよろしく」
依姫「はっええっとよろしくお願いいたします
わわ私の名前は綿月依姫です!で隣にい
るのが……」
豊姫「依姫の姉の綿月豊姫です♪」
理 「こちらもよろしく♪」
と、3人は軽く挨拶を交わす。そして本題の自分に会いたいという子は誰かと気になり聞くことにした。
理 「で、ここから本題だけど俺に会いたいって
言ってた子はどっち?」
依姫「私です!!私、理千さんが大会に優勝した
時に言った言葉にとても感激したんです!」
理 「ほう……それはそれは……」
依姫「努力は評価されるものでもなくても何時
かは自分に実を結ぶ…この言葉が本当に
心を打たれたんです!」
それは1週間前に自分が優勝した際に言った言葉だ。それが心を打ったようだ。
理 「ありがとうな覚えてくれていて……♪」
依姫「それで…実は…その…」
と、依姫はモジモジと恥ずかしそうに言葉を詰まらせた。
理 「ん?どうした?」
何だろうと思っていると、
依 「私とお手合わせ願いたいんです!」
どうやら一戦をしたいようだ。それには大賛成だ。
理 「いいよ~」( ^∀^)
依姫「やっぱりダメですよね……え?」
理 「大丈夫だよ今日はそのために来たし」
そう先程、永琳から戦ってみたいという事を聞いていたため実際、戦うというのは知っているのだ。だから彼女の戦いを見てみたいのだ。
依姫「あっありがとうございます!!」
豊姫「良かったわね依姫♪」
依姫「はいお姉様!」
永琳「ふふっ♪」
依姫はとても嬉しそうだ。見ていて微笑ましい限りだ。だが自分も彼女とは戦ってみたいため、
理 「じゃ~移動しようか?」
依姫「はい!!」
そうして理久兎と永琳そして依姫と豊姫は場所を変えこの家に完備されている道場へと向かうのだった。そして道場へと着くと、
理 「永琳審判、頼める?」
永琳「えぇ良いわよ♪」
永琳に審判をしてもらう事をお願いし了承を得る。そしてある事を思い付いた。
理 「そう言えば依姫ちゃん……」
依姫「はい?」
理 「依姫ちゃんは真剣って使える?」
依姫「えっえぇ使えますよ……?」
理 「じゃ~使ってもらって良い?」
依姫「えぇ!危ないですよ!?」
と、心配して言ってくれる。だが真剣が使えるのならそれを使って欲しい。それには理由があるから。
理 「大丈夫怪我しても俺の責任だからそれに
やるなら実戦を意識した方がいいしね♪」
そう何時かこの子も戦いをする時がくるのだ。そのためにも実践に躊躇がないようにしなければならない。でないと待っているのは死だ。
依姫「分かりました後悔しないで下さいよ!」
そう言うと道場の奥に飾って置いてある刀を持ち出し鞘から引き抜き中段の構えで構える。
永琳「お互いに準備できたかしら?」
理 「いいよ」
依姫「問題ありません!!」
豊姫「お互いに頑張って~♪」
豊姫が声援をする。それと同時に永琳が手を掲げる。
永琳「では……始め!!」
そう言い手を振り下ろした。それと同時に依姫は斬りかかってきた。
依姫「行きます!!はぁ~!!」
シュッ!シュッ!シュッ!
依姫は刀を振るうそれも素早くそして突き、切り上げ、切り払いと豊富な技で攻めてくる。それを最小限の動きで避ける。
理 (成る程………型は良くできていてそれでいて
型にとらわれていない…何よりも天武の才に
恵まれている剣術だ……そして何よりもあの
手の豆が潰れた数……努力を惜しんでないな)
そう理久兎には見えていた。依姫の手には豆が潰れそしてそれを耐えていくことによって固くなった手の皮膚を、
理 (だけど、まだそんなには実戦を経験
してないな)
やはり真剣をあまり人に向けて使ったことはないためなのか所々に迷いが見えた。
依姫「試合の時に拝見していましたがやはり速く
そして無駄がない動きですね!」
理 「あぁまぁな」
永琳「やっぱり理千の動きは間近で見ると迫力が
あるわね……」
豊姫「すご~い!依姫ちゃんの攻撃を完全に避け
きってるわ!」
と、豊姫は楽しんでいてくれているのだが、
理 「なるほど良くわかったそろそろ終わら
せるぞ!」
そう呟き理久兎は依姫の猛攻を避けると依姫の目の前から一瞬で消える。
依 「なっどっどこに!!」
依姫は、理久兎の動きについていけず一瞬で理久兎を見失った。そして、
スッ!
依 「なっ!!」
気がついたら依姫は後ろをとられ首に理久兎の手刀が自身の首横にギリギリで寸土めされていたのである。それを永琳は見てまた手を掲げると、
永琳「そこまで!!」
と、試合の終了を宣言した。
依姫「負けてしまいましたか……」
豊姫「あ~あ負けちゃったか……でも頑張って
たよ依姫ちゃん!」
と、依姫はガックリと肩を落とすがそれを豊姫が励ます。何とも仲良い姉妹なのだろう。
理 「とりあえず依姫ちゃんに言いたいことが
あるから居間に戻ろっか?」
依姫「はい……わかりました……」
理 「永琳と豊姫ちゃんもいいかい?」
永琳「えぇ」
豊姫「はーい♪」
そうして理久兎達は元いた居間へと戻ると、
理 「じゃ~依姫ちゃん誉めてほしい所と反省
点の所があるけど…どっちから聞きたい?」
依姫「では反省点からお願いします……」
反省点からと言われ理久兎は反省点もとい直すべき所を教えた。
理 「え~とまずは、相手の動きを予測する所が
まだ甘いのと後やっぱり実戦力が足りない
かなそれが原因で真剣を扱いなれてなくて
勝手に体が手加減している………だからそこ
を直すと良いよ♪」(´∇`)
依姫「はい……」
ここまで言われるとは思っていなかったのか依姫はションボりとしていた。
理 「でもね……」
依姫「えっ?」
理 「君の動きを簡単に言い表すと刀を振る型は
良く出来ているしかといって型にとらわれ
過ぎていない………才能は勿論あるだろうけ
ど何より努力していることはとても分かっ
たよそれに…その手を見れば一目瞭然だよ
良く頑張っていることが分かるよ♪」
依姫「えっ理千さんこの数分間でそこまで!?」
理 「だからその努力を怠らないようにねこれが
誉める部分だよ♪」
誉める部分を言うと依姫は今さっきとは打って変わり喜びで顔を笑顔にして、
依姫「はい!ありがとうございました!!」
豊姫「良かったね依姫ちゃん!」
依姫「はい!お姉様!!」
本当に嬉しそうで良かった。すると永琳はニヤニヤと笑いながら、
永琳「やっぱり貴方……大会でも戦った選手達に
同じことしてたでしょ?」
理 「あれバレた?」
永琳「まったく…ふふっ♪」
永琳は凄く楽しそうだ。だが綿月姉妹は驚きの顔をしていた。
豊姫「えっ!?」
依姫「そっそうだったんですか!?」
理 「アハハハハハハまぁそうだな♪」
永琳「フフフフフ♪」
今日は理久兎にとってもとても楽しく充実した日になったのだった。だがこの時、自分や永琳達もまだ知らなかった。暫く遠くない未来に起こるであろう別れがある事を。
運命の日まで後10年