理 「ありがとうな小町お前は戻っていてくれ‥‥」
小町「理久兎さんくれぐれもお気をつけて………」
小町は忽然と目の前から姿を消した。それを確認した理久兎は後ろを振り返ると木々から亜狛と耶狛そして黒が飛び出してくる。
亜狛「マスターいったい何が起きていると言うので
すか!?」
耶狛「このドス黒い妖気‥‥気味が悪いよ」
黒 「あぁまったくだ」
3人がそう言うと自分はこの事について話した。
理 「今回この事件を起こしたのは地獄から逃げた
大罪人なんだが説明する時間が惜しい!まず
は博麗神社へいくぞ!」
亜狛「分かりました!」
耶狛「了解だよ!」
黒 「あぁ!」
理久兎の号令で3人は奥へ…博麗神社へと進んでいくのだった。博麗神社に着くとそこには浄瑠璃鏡で見た光景が目の前にあった。
亜狛「マスターこれを大罪人がやったんですか?」
耶狛「皆………寝てるの?」
黒 「どうだかなだ……」
倒れている人物達は博麗の巫女、博麗霊夢を筆頭に今回のターゲットであろう葛ノ葉蓮や黒のお気に入りの霧雨魔理沙、冥界の住人西行寺幽々子にその従者や親友の八意永琳に照夜、妹紅とその友人?や文に何故か狼牙そっくりの女性にゲンガイと同じような雰囲気の少女そして自分の愛弟子である八雲紫までもが倒れていた。
理 「紫‥‥こんな形でまたお前に触ることになると
はな………亜狛!耶狛!黒!御座でもひいてこ
の場で寝ている皆を寝かせろ!」
亜狛「分かりました!」
耶狛「うんっ!」
黒 「任せろ!」
3人は御座をひくとそこに皆を寝かせていく。自分は紫を抱き抱えて御座に寝かせる。
理 「………寝息はあると考えるとまだ生きてはいる
かな?」
辺りに倒れているメンバーの状態を確認していると、
? 「えぇ少なくともまだ皆さんは生きてはいます
よ理久兎さん」
自分に語りかける女性の声がした。声のした方向に顔を向けて、
理 「そこにいるのは誰だ」
と、言うと目の前の賽銭箱に1人の女性が座っていた。だがその女性を知っていた。大人びてはいるが変わらないその顔に平たい胸、信念を持つその目の女性を……
理 「ふっ久しいな…晴明……」
そう目の前にいたのは理久兎が認めた数少ない友人でありもうこの世にいない筈の女性…安倍晴明だ。
晴明「えぇ♪こうやって貴方と話すのは何千年の
時以来ですね♪理久兎さんいえこう言った
方が良いですか?深常理久兎之大能神さん」
理 「あぁ…本当だな…それと長いからその名前は
止めてくれ……」
もう会うことはないだろうと思っていた友人とこうして巡り会えた事は奇跡としか言いようがない。基本奇跡を信じない自分ですらも今回は奇跡だと信じざる得ない。すると亜狛と耶狛そして黒が理久兎の元にやってくる。
亜狛「マスターこちらは終わり……誰ですか
貴女!?」
黒 「敵か……」
耶狛「待って!スンスン……この匂いは……あぁ~!
まさか晴明ちゃん!?」
耶狛が晴明かと聞くと楽しそうに微笑みながら、
晴明「はい♪お久々です亜狛さん耶狛さん♪」
耶狛「お久々~♪」
耶狛は晴明の匂いを覚えていたようだ。耶狛は嬉しさのあまり晴明の両手を自分の両手で握る。
黒 「なぁ主よあの女は?」
理 「黒は知らなかったなあの子は安倍晴明‥‥俺が
唯一認めた人間の1人だよ♪」
黒は顎に手をおいて興味深そうに、
黒 「ほぉ……主が認めた人間か……」
理 「とりあえずお前ら今は後だ晴明さ何が起きて
るか教えてくれるか?」
理久兎は説明を求めると晴明はそれに答えた。
晴明「なら話しますねまず今回の元凶それは理久兎
さん達が追っている標的その名前は
という男でしょう……」
理 「何だそのふざけた名前は‥‥いや今は後だなそ
いつが地獄から抜け出した罪人であっている
よな?」
晴明「はい………禁忌となった蟲毒の呪術を使う頭の
おかしい奴は彼奴しかいませんから」
映姫の読みと自分が予測した蟲毒というのは当たった。だが晴明の言うとうりこれを使うのは本当に狂ってるとしか言いようがない。すると耶狛が理久兎と晴明に、
耶狛「ねぇ蟲毒って何?」
と、聞いてくると理久兎と晴明はそれに答えた。
理 「まぁ~分かりやすく言うと殺し合いだな壷の
中にムカデや蛇といった毒を持つ生物達をい
れて中で殺し合いさせるんだよ……それで…」
晴明「淘汰していって最後に残った1匹を呪術に使
うんです」
理 「しかもその蟲毒の真っ最中ってとこか………」
晴明「はい……」
黒 「どういうことだ?」
亜狛や耶狛それに黒はどういうことかという事が分からなかった。
理 「つまり壺に入れる生物達はここで寝ている連
中それで壺の代わりは………」
晴明「本来は生ある者達の安息の地‥‥夢でその呪術
が執り行われています」
まとめると蟲毒をするには毒を持った生物とそれを収める壺が必要になる。それつまりこの場で寝ている全員が蟲毒の材料となる蟲、そして壷の代わりとして夢を使ってこの場の全員の意識を閉じ込めているということだ。
耶狛「でも思うんだけどこんな大それた蟲毒なんか
して意味があるのかな?確か私達の追ってる
罪人って葛ノ葉蓮に復讐しようとしてるんだ
よね?言い方は悪いけど私だったらピンポイ
ントでその標的を殺るけどな?」
耶狛の言い分は最もだ。確かにこんな事をして意味があるのかが分からない。だが晴明だけは知っていた。
晴明「‥‥‥東盧鷺麿はこの世で憎んでいる人物は2人
いるんです1人は私そしてもう1人は……」
晴明は何故か自分の方を見ると、
晴明「理久兎さん貴方です………」
それを聞き自分は驚くが亜狛と耶狛そして黒はまたかといった表情で、
亜狛「ま~たマスターですか……」
耶狛「マスター何やったの?吐いた方が楽だよ?」
黒 「自首は大切だぞ?」
理 「俺!?そんな奴に何かした覚えないけ筈なん
だけどな?」
読者様なら分かると思うがこれまでで理久兎はその男と関わったことは一度もない。だが晴明は何故鷺麿が憎んでいるかという事の説明を始める。
晴明「理久兎さんは確か三位に上がるのに一部の貴
族達の悪政を暴いたんですよね?」
理 「あぁ‥‥と言っても少し広い家に住みたかった
だけなんだけどね………」
晴明「その鷺麿は理久兎さんが暴いた貴族の息子だ
ったといえば………」
理 「えぇ~~~~」(´゚д゚`)
どうやら悪政を暴いた事がこの事に繋がったようだ。それは恨まれても仕方がない。
晴明「しかも鷺麿は数年後にある男の弟子となりま
した‥‥それが蘆屋道満です」
理 「えっと……誰だっけそいつ?」
最早、蘆屋道満の事は記憶の片隅にも残ってはいないようだ。つまりそれ程興味のない人間だったと言うことだろう。
亜狛「マスターほらあの時自分達を平安京から追い
出すきっかけを作ったあの男ですよ!」
理 「あぁ~確かたかが一文で癇癪起こした竹中君
ね!」
亜狛「誰ですかそれ!?じゃなくてほら!あの陰気
臭かった陰陽師ですよ!」
そう言われ思い出していくと「なんかそんな奴いたなぁ~」程度に思い出してきた。例えると卒業後にクラスの写真を見て地味な男子を見た瞬間に思うそんな感じだ。
理 「あぁ~うん何か地味に思い出してきたなそれ
で?そんな萩原くんの事は置いておいて俺と
この面子にどう関係があるんだ?」
もう名前を間違えているが亜狛と耶狛そして黒と晴明はもうツッコまないことにした。
晴明「コホンッ!それで関係というのは言ってしま
えば蓮と同じです」
理 「つまり復讐しようとしても俺が死んでると思
っているからこいつらで復讐って事か底辺以
下が考えそうなことだ………」
晴明「それで理久兎さん改めてお願い致します共に
東盧鷺麿の野望を………」
と、晴明は頭を下げながら頼みを言おうとする前に自分は晴明に、
理 「なぁ晴明1つ聞かせてくれ……」
晴明「……なんですか?」
理 「晴明は今この少年………葛ノ葉蓮の守護霊して
いるのか?」
理久兎は疑問に思い聞くと晴明は首を縦に振って、
晴明「はい‥‥今の私が守るべき人間です♪」
それを聞いた理久兎はニヤリと笑うと、
理 「友人の頼みなら決まりだな♪亜狛に耶狛に黒
お前らはここで寝ている奴等と俺が夢に行っ
ている間、俺の体を守っていてくれ」
亜狛「マスター行くんですか?」
耶狛「それだったら私達も!」
と、耶狛が言おうとすると黒が耶狛の前に手をかざして止める。
黒 「ここは主に任せようそれに俺らが行った所で
今の俺らはお尋ね者だそれなら死んだと思わ
れている2人が行った方が丁度いい」
黒の言うとうりだ。亜狛と耶狛は行方不明として扱われ黒に限っては顔がバレている。そんなのが行けば混乱するはずだ。
理 「分かってんじゃん黒♪」
黒 「あぁ♪」
それを聞いた耶狛は納得して、
耶狛「マスターちゃんと帰ってきてね♪じゃないと
さとりちゃんが悲しむよ♪」
理 「帰っては来るが何でさとりなんだ?」
耶狛「それはねぇ~…ムグッ!!」
亜狛「つまり皆、悲しむからって言いたいん
だよな?そうだよねな耶狛?」
亜狛が力強く言うと耶狛はコクコクと首を縦に振るう。
黒 「まぁ主よこっちは任せておけ」
理 「あぁ頼んだよ♪それじゃ晴明さっそく戦地へ
と赴きますか!」
晴明「では術式のやり方を教えますね………」
そうして理久兎は晴明に術式を教えてもらい少し離れた林の中で術式を書くと、
理 「それじゃ任せるぞ」
亜狛「いってらっしゃいませマスター!」
耶狛「紫ちゃん達を救ってきてね♪」
黒 「こっちは俺らでやるからよ……」
理 「あぁ任せ……ZzZZzZ」
バタン……
理久兎は眠りその場に倒れる。そして晴明は、
晴明「それじゃ私も行きますね♪」
微笑みながら言うと晴明はその場から姿を消すのだった。そうして晴明と共に夢へと向かうのだった。
~夢の世界~
理久兎と晴明は今いる場所は博麗神社ではなくそこに晴明は1度だけ来たことのある場所であり理久兎にとっても馴染み深い場所、天狗の里だった。
晴明「理久兎さんここは夢の世界の天狗の里ですね
………理久兎さん?」
晴明が呼び掛けるが理久兎の返事はない。すると理久兎は少し歩くと一軒の家で立ち止まる。
晴明「理久兎さ…………ん!?」
ドガーーーーーン!!
何と理久兎は拳を構えて目の前にあった一軒の家を破壊した。
晴明「理久兎さん何しているんですか!?」
と、晴明が大声で言うと理久兎はニヤリと笑って、
理 「さぁ晴明ちゃんよ始めるぞ雑魚妖怪共の殲滅
をなぁ!一匹残らず徹底的に塵すら残らぬよ
うに根絶やしにしてやろうじゃねぇか!」
先程とはうって変わって荒々しい口調でまるで別人のようだった。これには晴明も、
晴明「へっ!?」
と、マヌケな声をあげてしまうのだった。