蓮 「せっ晴明さん!?それ‥‥貴方は!!」
と、蓮が言っているが自分より遠くで少女を人質にして威張っている男性に覇気を漏らしながら睨む。すると紫や色々な妖怪達が口を開いて、
紫 「何で御師匠様がここに!?」
萃香「もう理久兎は死んでるのに‥‥これ幻覚!?」
幽香「でも本当に………貴方なの?」
文 「もう見れないと思っていた背中をまた見れる
なんて………」
と、夢を見ているかのようにそう言う。実際本当に夢を見ている訳だが……だが相手陣営の妖怪達から微かに声が聞こえ始める。
妖怪「おっおい理久兎だって?」
妖怪「バカいえ!あいつはもう死んでる筈だ!」
妖怪「そうだはったりだ!」
等々と聞こえ始めた。すると理久兎はニヤリと獰猛な笑みを浮かべると、
理 「我が存在は夢でも…幻でもない…!
全ては血肉を持った現実だ!!」
妖怪「ひっ!」
一言、一言に覇気を纏わせ叫ぶと相手陣営の妖怪達は若干だが怯んで後ろへと下がる。
晴明「相変わらずの凄さですね………」
隣に立つ晴明も若干だが顔を引きつらせていた。
理 「このぐらい出来ないと総大将は名乗れねぇよ」
と、昔を振り返ってそう思っていると自分が睨んでいた男は怒りの形相で叫んだ。
男性「深常理久兎ォォォォ!!
安倍晴明ェェェェ!!」
理 「うわぁ晴明あいつか?」
理久兎は若干引いて晴明に東浦鷺麿は彼奴かと聞くと、
晴明「えぇ…彼奴が東盧鷺麿です……」
どうやらあの男性が自分が追っているターゲットらしい。鷺麿は巫女服の少女いや博麗霊夢の首に刀を構えて、
鷺麿「貴様らに受けたこの痛みを一時も忘れた事は
ない!貴様らが憎い!憎いぞ!!」
憎悪に身を焦がした者を自分は何度か見たことがあるがここまでやる奴は理久兎も初めてだ。だがそんな事よりも怒りに身を任せている奴の人質になっている博麗霊夢の身が危ない。
理 「晴明さ聞きたいんだけどお前はここから彼処
まで何秒で行ける?」
晴明「ざっと5秒あれば♪」
理 「なら俺が隙を作らせる合図は物凄い音が出た
のなら博麗霊夢を救出しろ」
晴明「えぇそうさせてもらうわ………」
そう言うと理久兎はまた獰猛な笑みを浮かべゆっくりと歩いていく。それを後ろの仲間は心配するがお構いなしだ。
理 「なぁ~え~と確か…詐欺師だっけ?」
と、鷺麿に詐欺師と呼ぶと鷺麿は額に血管を浮かべて、
鷺麿「誰が詐欺師だ貴様!!!東盧鷺麿だ!!」
理 「ふぅ~んどうでもいいや……」
鷺麿「散々俺をこけにしやがって……!!」
歯を強く噛み締めているためか口から血が垂れていた。かつて理久兎に歯向かった道満と同じようにだ。それを見た理久兎は同情や慈悲など掛けず挑発は終わらせない。
理 「お前散々と言ってるけどよ~正直そんな所で
ふんぞり返って怖いのか負け犬♪いや!弱っ
ている女、子供を集団で囲い混んで勝ち気に
なってる烏合の集の愚王かなぁ?それ以前に
馬鹿の
めんねそれを通り越してマヌケだったねごめ
ん♪ごめん♪」
鷺麿「我が師を愚弄するか!!」
挑発いや罵倒は東浦鷺麿の他に周りの妖怪達も自分に怒りを向ける俗に言うヘイトの上昇だ。
理 (とりあえずこれで俺しか眼中にないだろ……)
思った通り相手全員は理久兎しか見ていない。それを感じた自分は更なる挑発を仕掛ける。
理 「あっ言っとくけど俺ノンケだからね?男共が
変に見つめてくるとか誰得?」
鷺麿の頭に浮かんでいた血管はついにぶちギレて額から血が吹き出したら。読者様も見ていて思うだろう。「こいつうぜぇ!」と、
鷺麿「貴様!!!こっちには人質がいるのが見えな
いのか!あぁ!!」
霊夢の髪を乱暴に引き千切れるんじゃないかというぐらい強く引っ張りそう言うと、
理 「おいおいそんな溝に浸けたような手でその子
に触んなよ?雑菌がうつるだろ?病原菌のゴ
ミ以下が」
鷺麿「こっここいいいつつつつつつ!!」
理 「てかさぁ~お前今現在蟲毒を使って強い肉体
の選別してんだろ?それで候補としては博麗
の巫女ってのは確かにいいなぁ?でもよ~お
前、今そいつを殺したら……計画破綻じゃない
のかなぁ~?」
霊夢「うぐっ…どういう事よ……」
霊夢は苦しそうに自分に向かって言う。散々と蹴って殴られを繰り返されたのかボロボロとなってい。理久兎はそれにキレたがポーカーフェイスを装うためにケラケラと笑いながら、
理 「蟲毒ってのはよ強い毒の生物を選別するため
にやってんだよ‥‥つまりそれでお前を最後に
殺さないと強い霊力と肉体を持つお前の体は
手に入らないんだよ♪」
そう先に霊夢を殺せば霊夢の持つ霊力と肉体は手に入らないのだ。だからどうしても最後まで殺さず生かさなければならない。そして最後に霊夢の魂を食うことよって博麗の巫女力と体を手に入れられる。この蟲毒の事を知っている理久兎と晴明からしてみれば霊夢という人質は人質であって人質にあらずなのだ。種を明かされた鷺麿は理久兎が考えもつかない予想外な行動に出た。
鷺麿「確かにそうだ…だが気が変わった……この女は
ここで殺すそして第2の候補の葛ノ葉蓮の体
を貰い受けるよって用はなし!」
そう言い鷺麿は霊夢を乱暴に突き放し手に持つ刀で縛られて動けない霊夢へと斬りかかった。
蓮 「霊夢~ーーーー!!!」
晴明 !!
蓮は必死の叫びで霊夢へと叫ぶと霊夢はその時涙を浮かばせて、
霊夢「蓮…ありがとうそして……ごめんね♪」
と、囁いた次の瞬間、自分は上着の中に隠してある秘密兵器火縄銃(河童改造)を取りだし片手で構えると、
理 「させるかよ………」
バァーーーーーーーーン!!
銃声が鳴り響く。理久兎の放った火縄銃は真っ直ぐと鷺麿が刀を持っている右手の甲にヒットし血が吹き出る。
鷺麿「うがぁーーーーーー!!!」
鷺麿は刀を落とし撃たれた手を押さえ付ける。やはりぶちギレてアドレナリンが大量分泌されているかと思ったがそんな事はなかった。だが今の銃声がすると同時に晴明は式神札を構え、
晴明「白虎!」
式神白虎の名を叫ぶと式神札から白い体毛の大虎の白虎が現れると秒速310㎞の速度で走っていきその巨体で鷺麿へと体当たりをする。
白虎「どけっ!」
鷺麿「ぐふっ!!」
白虎に吹っ飛ばされた鷺麿は飛んでいき近くの大岩にめり込んだ。そして白虎は霊夢の後ろ襟首を噛むと即座に此方に戻ってくると霊夢を放す。
晴明「ありがとう白虎!」
蓮 「霊夢!!」
蓮は霊夢へと駆け寄るとすぐに拘束している縄を切り抱き抱えた。だが理久兎はそれを見て安心するよりも、
理 「白虎って喋れたんだ……」
そっちに驚いていた。だがまだ終わってはいない。東浦鷺麿はヨレヨレとしながら大岩から抜け出して先程の崖の位置戻ると、
東浦「全員殺せ!!この夢の世界から抹消させろ!」
その言葉を聞いた先程から理久兎の凄みやらに押し負けていた妖怪達は唸り声をあげた。
妖怪達「おぉーーーーー!!!」
それを見た理久兎はニヤリと笑うと手を空へと掲げて、
理 「さぁ百鬼夜行の群れとなりて立ち上がれ!
我が同胞達よ!」
と、言うと突然空に変化が現れる。先程までは真夏の昼間のような体力を消耗される日差しから一転して夕暮れの黄昏時となる。
晴明「これはまさか……!!」
理 「ご名答…逢魔刻の時間だ……」
妖達がもっとも活発になる時間は1日に2回ある。1つは闇となった世界になる時間の丑三つ時、もう1つは夕暮れの黄昏時、異界と繋がる時間の逢魔刻だ。そうもうすでにこの夢を掌握したのだ。その結果、空は逢魔刻となったのだ。すると理久兎の後ろで倒れている妖怪達に変化が現れた。
紫 「力が…藍!」
藍 「はい確かに!」
理久兎は不意に紫を見ると紫に似ている服を着た女性と話しているのを見て、
理 「式神か……強くなったな……」
と、呟いた。弟子の成長を見れて満足のようだ。
萃香「力が…力が涌き出てくる♪」
幽香「気分がいいわね♪今なら彼奴らを始末
出来そうね♪」
幽 「ふふっ気持ちいいわ♪」
文 「とても心地よいですね♪」
と、次々と妖怪達が立ち上がっていく。しかも先程とは大違いな程にピンピンしてる状態でだ。だが相手の妖怪達も条件は同じで先程よりも元気になる。
理 「良く聞けよお前ら彼奴ら全員根絶やしにする
ぞ!そして慈悲をかけるな!受けた分を倍に
して返してやれ!」
萃香「勿論だ!」
幽香「やられた分はきっちりと返すわ!」
紫 「藍、御師匠様達の支援をするわよ」
藍 「分かりました!」
文 「行きますよ椛!にとり!」
椛 「はい文先輩!」
にと「あぁ!」
と、狼牙に似ている女性もとい椛とゲンガイに何処となく雰囲気が似ているにとりと言われた少女はそれぞれ臨戦体制をとる。すると……
霊夢「私だってやられたままは嫌よ!」
霧雨「あぁ!」
少女「幽々子様を守るため魂魄妖夢参ります!」
と、博麗霊夢と霧雨魔理沙そして名字からして妖忌の孫であろう魂魄妖夢も臨戦体制をとった。しかも霊夢の傷が先程よりも良くなっていた。
理 「晴明、お前何かしたか?」
晴明「えぇ♪蓮に少しだけ力をあげたんですよ♪」
と、言うと理久兎は納得してそれ以上は聞かないことにした。そして火縄銃を投げ捨てて腰に帯刀している2本の刀を抜刀し晴明も弓を構える。
蓮 「さぁ奴等を狩るぞ!!」
全員「おぉーーーー!!」
全員やる気満々だ。すると蓮が理久兎と晴明に近づくと、
蓮 「晴明さん…理久兎さん僕も戦わせてくだ
さい!」
霊夢にやった仕打ちの仕返しがしたいのか蓮の言葉1つ1つに重みがあった。それを聞いた理久兎は、
理 「勝手にしろその代わり死ぬなよ?」
理久兎が気に入った人間の1人である蓮を1人の男として見てその言葉を受けると、
蓮 「勿論足手まといにはなりません!」
そう言い蓮は刀を構える。すると晴明は蓮に、
晴明「蓮、貴方は鷺麿まで一直線に進みなさい
私達で妖怪達を蹴散らしますから!」
理 「あぁそういうこっただから後ろを振り向かず
突き進め葛ノ葉蓮」
蓮 「……わかりました!」
蓮の闘志、覚悟を込めた返事を聞くと、
理 「そうか……ならやるぞてめぇら!」
自分の掛け声によって夢の世界での最終決戦が始まるのだったのだった。