とある日の昼下がりの事だった。今日の理久兎はやることもなくただ1日ゴロゴロとソファーでくつろいでいたのだが、
こい「ねぇねぇ理久兔お兄ちゃん♪」
数日前のデートの前日と同じようにこいしがニコニコと笑いながら語りかけてきた。
理 「ん…どうかしたのこいしちゃん?」
こい「理久兔お兄ちゃんってさここの地底に封印さ
れてる人達って知ってる?」
と、いきなり封印されている人達について言ってきた。
理 「まぁそれはねぇ~てか旧都に住んでる大半は
そんな奴らばっかりだよ?」
地上から地底へと封印された妖怪は多々いる。ヤマメやキスメだってその例外ではない。
こい「う~んもっとこう何か自由がないというかね
そんな封印みたいな感じの………」
理 「つまり本格的に封印されてる子達がいるそう
言いたいのかな?」
こい「うんそんな子達の一部とお友達になったから
その子達を理久兔お兄ちゃんとか黒お兄ちゃ
んを会わせたなって♪」
理 「ふぅ~んせっかくだし行ってみようかねぇ~
~ー!」
暇していたため丁度良いと思えた。ソファーから立ち上がると体を大きく伸ばして、
理 「ふぅそんじゃご指名の黒も連れて行くか」
こい「うん♪」
お友達という事で手土産に芋羊羮を手に持ちそして黒を連れて来て、こいしに案内されるまま理久兎と黒は飛んでいく。
黒 「まぁ仕事も何もねぇから良いけどよ何しに行
くんだよ?」
理 「こいしちゃんのお友達の所だよね?」
こい「うん♪そうだよ♪」
案内されるがまま着いていくと灼熱地獄のお隣にある血の池 地獄のエリアまで来てしまった。
罪人「おっおぼぼぼぼ!!」
罪人「たったすしゃ!!!」
血気盛んに罪人達が血の池で戯れていた。所々の罪人達の肩には白い腕が肩を掴み池の底へと沈めさせようとするのもよく分かる。
理 「楽しそうだね皆♪」
黒 「そう思える主は鬼畜生だな」
こい「理久兎お兄ちゃん黒お兄ちゃんこっちだよ」
こいしに呼ばれと黒と共に更に奥へと向かうとそこには大きな船が岸に停泊していた。
理 「こいしちゃんあれかい?」
こい「そうだよ♪」
そう言い船の先端に降りると理久兎と黒も降りる。
こい「こっちこっち♪」
そう言われ黒と共にこいしの後を着いていくと岸の近くで座っている人達を見つける。見た感じ3人いて1人はセーラー服を着ている幽霊、もう1人は頭巾を被っている
黒 「彼奴が友達か?」
こい「うん♪おーい水蜜~一輪~見越し入道のおじ
ちゃ~ん」
と、こいしが声を出して手を降るとそれに気がついたのか3人は一斉に此方を見てくる。
幽霊「あっこいしちゃんだ」
尼 「それに何か増えてるわね」
入道 (⌒‐⌒)
3人というか見越し入道は浮いているがそれ以外の2人は立ち上がる。理久兔と黒そしてこいしは岸へと降りる。
理 「こんにちは♪」
尼 「あっどうも……」
こい「理久兔お兄ちゃん紹介するね♪」
と、こいしが言おうとした時、幽霊の子が出てきた。
幽霊「いや私達は私達で言うよ♪私は村紗水蜜って
いいます♪」
尼 「次は私だな私は雲居一輪だそれで私の後ろに
いるのが見越し入道の雲山だ」
雲山 (._.)
見越し入道の雲山が頭をペコリと下げてきた。これで名前がわかった。
理 「御丁寧にどうも♪俺は理久兎それで隣にいる
のが………」
黒 「黒……それだけの名前だ」
と、名前を答えると一輪は何か腕を組んで考え初めた。それを隣で見ていた水蜜は疑問に思ったのか一輪に聞いていた。
水蜜「どうしたの?」
一輪「……理久兎…?何処かで聞いた事があるような
ないような?雲山は知ってるか?」
雲山 (´ー` 三 ´ー`)
雲山は首を横に振るのを確認した一輪は、
一輪「理久兎と言ったかすまないが何処かで会った
事はないか?名前を昔に聞いたことがあるよ
うな気がしていてな」
理 「えっ?」
つまり神としての真名を知っているのかそれとも妖怪総大将としての名前を知っているのかのどちらかだろう。だが今はどちらも答え方によっては面倒な事になる。
こい「理久兔お兄ちゃんはねぇ………んむ!?」
こいしが言おうとした時、黒がこいしの口元を押さえた。
黒 「すまないがそちらも模索されたくない事はあ
る筈だ故に聞かないでやってくれないか?」
一輪「あっ!失礼すいませんでした」
失礼をしたと思ったのか頭を下げる。だが過去に色々としてきているため聞かれても仕方はないと思い笑って、
理 「気にすることはないよ♪まぁ聞かないでは欲
しいけどね♪」
水蜜「結構話しやすいね♪」
理 「話しやすい事は良いことさ………あっそうそう
つまらない物だろうけど良ければどうぞ」
紙袋に入った芋羊羮(手作り)を差し出す。やはりお客として来るのなら手土産は渡してはおきたい。
一輪「これはご親切にどうも」
水蜜「ありがとう♪」
雲山 m(_ _)m
3人にお礼を言われると持ってきたかいがあり良かったと思えた。
黒 「しかしこんな血の池地獄に封印とはな」
水蜜「アハハ………大切な友人を庇ったら一輪達と仲
良く封印されちゃってね……」
どうやら友人を助けていたようだがそれが原因でこんな地底奥深くまで封印されたようだ。
一輪「聖も今頃は私達と同じような事を思っていら
っしゃるのかな」
黒 「聖………?」
黒の言動が何故か重くなったことを理久兔は聞き逃さなかった。
一輪「あぁ私達の大切な親友だよ」
水蜜「聖は今どうしてるのかな………」
黒 「………………聖な…聞いてるとその名前は落ち着
くな」
こい「そうかな?」
黒 「あぁ不思議と暖かい名前だ」
それを聞いくとふと昔に黒と出会った事を思い出す。それは封印されている間の記憶に関係していることだと予測した。
理 (夢だと思っていた事は本当の事だったって事
か……?)
今言えば混乱するだろうと思いあえて言わないでおくことにした。
水蜜「君は良い勘を持ってるね♪聖は本当に優しい
よ♪」
一輪「包容力があって優しいが頑固って言えば頑固
かな」
黒 「そうか………会えるといいなその聖と言う奴に
何ならここから出してやろうか?」
それを聞くと3人は驚くが、
一輪「いやまだ時じゃないからいいや」
水蜜「私達の同胞がちょっと別件でやる事をやって
るからそれが終わってもし出れないようなら
手助けして欲しいな」
黒 「そうか………分かったそん時にもし困っていた
ら助けやるよ」
理 「黒もお人好しになったもんだな」
かつて魔界で快楽殺人を繰り返していた魔竜とは思えない言葉に成長したんだなと感心してしまう。
理 「まぁそん時は黒を頼りなよ」
一輪「是非ともそうさせてもらうよ」
そう言っていると理久兔は腕時計を見るともう夕方の5時を針がまわろうとしていた。
理 「おっとそろそろ時間だね」
一輪「そんな時間か引き留めて悪かったな」
黒 「気にすることはない」
水蜜「そういってくれると助かるよ♪」
こい「バイバイ♪見越し入道のおじちゃん」
雲山 (^_^)/
こいしが手を振ると雲山もニコニコしながら手を振った。
理 「それでは♪」
黒 「じゃあな」
こい「バイバイ♪」
そう言い理久兔達は地霊殿へと帰るが、
水蜜「中身は~おぉ~!これは芋羊羮♪」
一輪「………あの人達を聖に会わせてみたいな」
雲山 ( - _ - )
と、3人は帰る理久兎達の背中をただ眺めるのだった。