理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第273話 VS小町

積乱雲が鳴り響く中、無縁塚では1人の死神が自分が受ける説教を軽くするため地位や実力が遥かに上の神にチキンレース(度胸試し)を仕掛けていた。

 

小町「せりゃ!!」

 

船の死神だけあったか弾幕として使ってくるのは昔のお金の銭円玉だ。しかも船頭に乗っ取ってなのかきっちり6文銭だ。

 

理 「お金を投げるなっ!」

 

投げつけられる6文銭を無駄なき動きで避ける。

 

小町「あたいの弾幕なんでねっ!」

 

今度は手に持つ大鎌で斬りかかってくるが、

 

キンッ!

 

小町「いつの間に!?」

 

浮かせた断罪神書から少し抜刀するような形で黒椿を取り出し小町の1斬を受け止めて防いだ。

 

理 「そういえば小町には見せた事がなかったよな

   っ!」

 

ギンッ!

 

小町「つっ!」

 

弾き飛ばすが流石は死神だけあってかすぐに受け身を取って体制を立て直した。やはりそこいらにいる中級妖怪よりは強い。そして完全に黒椿を引き抜くと大道芸のように刀をクルクルと回す。

 

小町「こりゃ冥界の侍より質が悪いかねぇ?」

 

理 「ほらどうした小町ちゃん挑まないのか?」

 

小町「まぁやらせては貰いますよ!」

 

大鎌を地面に打ち込みスペルを唱えた。

 

小町「死符 死者選別の鎌!」

 

するとどうだろうか上空から弾幕が軌道に乗って降ってくる。

 

理 「そんなものは俺には効かねえよ」

 

向かってくる弾幕からダッシュで駆け抜けて回避して妖力を纏わせより黒く光る黒椿を構え小町へと斬りかるが、

 

小町「無駄だよ理久兎さん」

 

と、ニヤリと笑っていうと黒椿の刀身は小町に触れることはなかった。いつの間にか小町が自分よりも2メートルも離れていた。

 

理 「そういえば小町の能力は移動系の能力だった

   よな思い出してきたけど」

 

小町「えぇ♪お陰で弾幕も避けれて移動も楽ときて

   るんで結構便利なんですよね♪」

 

確かにそれは便利な能力だ。だがそれでこそシバき甲斐があるものだ。黒椿を掲げて、

 

理 「理符 理の想像」

 

すると無縁塚の地面から無数の弾幕が現れる。中には小町の足元からも出てきていた。

 

小町「うおっと………何か理久兔さんの事だからもっ

   と凶悪なスペルかと思ったんですがねぇ……」

 

理 「アハハ♪まぁ頑張って避けなよ!」

 

幾つもの弾幕を生成し小町へと向かわせる。そう忘れてはならない。これは弾幕ごっこだ。弾幕を撃って避ける遊びだ。

 

小町「よっよっとまぁ精々動きを規制する程度なら

   このぐらいが妥当ですかねぇ!」

 

大鎌を肩に担ぎニヤリと笑って、

 

小町「舟符 河の流れのように!」

 

すると突然小町の足元からも何度か見かけている三途の川の行き渡しの舟が現れた。だがそれだけではない。舟を進ませるかのように波が押し寄せる。

 

理 「また派手な技だな」

 

小町「これなら理久兔さんのスペルなんて関係ない

   ね!」

 

足元の舟で地面から出てくる弾幕を防ぐと同時に突進で攻撃を仕掛けてる。

 

理 「こういう時は環境を使った戦いってのがある

   んだよ小町ちゃん!」

 

すぐに無縁塚の墓石へと足を掛けると墓石を踏み台にして高く舞い上がり小町の突進と大波を避ける。

 

小町「実戦の差‥‥かい!?」

 

小町は見上げて気づいてしまった。いつの間にやら巨大な弾幕が積乱雲から顔を覗かせている事にようやく小町は理久兔が先程使ったスペルの意味を理解した。

 

理 「小町ちゃん頑張って避けろよ?」

 

小町「まっまさか」

 

相手が妖怪であろうが人間であろうが神だろうが魔女だろうが悪魔だろうが関係ない。自分と闘うならそれ相応の力を持って返すべしと。

 

理 「理符 理の抑制力!」

 

積乱雲から顔を覗かせた弾幕から無数のレーザーが小町に向かって放たれた。しかも最悪なのは全てホーミング型という悪夢だ。

 

小町「うわっと!!」

 

一瞬で距離を稼ぐが小町に向かってレーザーは未だに追いかけ続ける。

 

小町「ここまでしつこいとこれならどうだい!脱魂

   の儀!」

 

と、言ったとき理久兔の視界は大きく代わり空にいた筈なのにいつの間にか地面にいた。しかも小町は先程、自分のいた位置に立っていた。

 

小町「自分の弾幕で被弾しちゃいなよ!」

 

自分の放った弾幕で自分が被弾する。何とも酔狂だろうか。だがそんな事は予想できていた。

 

理 「ほう面白い‥‥だがっ!」

 

先程の大量のホーミング型レーザーはあり得ないことにたちまちの姿を消した。

 

小町「弾幕が消えるってありかい!?」

 

理 「秩序を司る者からしてみれば作ったルールぐ

   らい抹消できるんだよそれに位置を入れ替え

   るなんてなはから予想済みだ」

 

パチンッ!

 

指パッチンの音が鳴り響く。すると積乱雲から顔を覗かせた巨大弾幕が小町へと迫った。

 

小町「そんな程度!!」

 

そう小町が言い能力を行使しようとしたときだ。ふいに背後に気配を感じ背後を見れば自分が映った事に小町は驚いていた。

 

理 「元々からそんな巨大弾幕を見すぎだよ」

 

小町「しまっ!!」

 

理 「まだまだだな小町!」

 

断罪神書を開くとそのページからジャジャラと音を立てて無数の金属の茨が小町が能力で逃げれないように拘束する。

 

小町「りっ理久兎さん御慈悲を!」

 

理 「知らんな♪」

 

手をグーへと変えると小町を縛る金属の茨がギュッと締まりそして、

 

小町「きゃん!」

 

ピチューーン!

 

と、被弾の音を立てて小町は敗北をし自身が勝利したのだった。そして被弾の音と共に巨大な弾幕も何事も無かったかのように消えると自分は地上へと降り立つと鉄の茨を緩めて小町を出す。

 

理 「ほら小町………」

 

小町「もっもう勘弁してくださ……ガクッ…」

 

少々ハデにやったせいか小町の服は少しボロボロになっていた。

 

理 「………まぁ久々の準備運動としては中々だった

   かな今回は少しお膳立てはしておいてやるよ

   小町♪」

 

そう言い理久兔は小町を寝かせて無縁塚を出ようとした時に気づいた。

 

理 「おっ霧が晴れたな♪」

 

と、呟き理久兎は積乱雲が鳴り響く空へと向かうのだった。


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