理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第279話 1VS多数

理 「しっかし気に入りそうだったんだけどなぁ」

 

折れてしまった龍刀を見ながら呟く後ろでスキマが開かれそこから紫が現れた。

 

紫 「よくも私の獲物を横とりしてくれたわね」

 

理 「ん?おぉこれはこれは………」

 

いつの間にか紫達がいたが思い当たる節がないのだが何故か蓮やらその他のメンバーに周りを取り囲まれていた。

 

理 「おいおい見世物小屋じゃないぜ?」

 

霊夢「うるさいわよあんた」

 

霧雨「お前のせいでこっちは被弾する所だったんだ

   ぞ!」

 

蓮 「皆を傷つけるなら僕は許しませんよ!」

 

少々不貞腐れ気味だが霊夢はお払い棒とお札それから長い針を装備して威嚇して蓮は刀を抜刀し構え魔理沙は八角形の道具を構えてくる。だがそれだけじゃない。紅魔館のメイドはナイフと時計を構え妖夢は二刀流になって構えそして紫は扇子で口許を隠している。

 

理 「まさか俺と殺ろうって訳じゃないよな?」

 

紫 「そうだと言ったら?」

 

面白いジョークで終わりたいがそうもいかなさそうだ。

 

理 「はぁ……」

 

紫 「それに貴方には聞きたいことが山程ある何故

   前々から御師匠様の仙術を使えるのかそして

   その御師匠様の愛刀とも言える黒椿を何故持

   っているのか何なら聞かせて下さらない?」

 

と、睨みながら言ってくる。何故に仙術が使えるのか、何故に刀を持っているのかそれは自分が自分だからとしか言えない。そしてそれは答えたくても答えられない事だ。

 

理 「そうだなぁ……黙秘権を使わせてもらおう」

 

紫 「あら幻想郷にそんなルールがあると思う?」

 

理 「ないなら創造すれば良いただそれだけの事だ

   が?」

 

全員がキッと睨んできて視線が痛い。この囲まれている中で最も恐ろしいのは先に誰が動いてくるのかそれが一番怖いことだ。

 

紫 「そう…ならこれが最後よ貴方は何者?」

 

理 「八雲 紫その問いは愚問と言おう俺は隠者それ

   だけの名だよ」

 

紫 「そう……もういいわ」

 

と、紫は扇子で口を隠すのを止めてジット睨んでくる。だがしかしこの時に理久兎は思った。

 

理 (待てよ……どうせ襲われるならついでにこいつ

   らの久々に修行相手をしてやるか)

 

何ともこの発想は普通だと閃かない。これが強者の余裕というものなのだろう。だが折角やるなら全力が一番だ。こうすれば大方先に攻撃する奴が絞れる。

 

理 (これはあんまりやりたくはないんだけどなぁ)

 

挑発したいがとある事しか思い付かない。しかもあまりやりたくはないがそうしないと怒ってくれそうもない。仕方なくやりたくない挑発文句を言葉に出した。

 

理 「あぁ~そうそう言い忘れた」

 

紫 「あら何かしら?」

 

理 「お前の師匠……有効に使わせて貰ったよ♪

 

それを聞いた時だ。突如としてこの場の雰囲気が変わったというか強烈な殺気が襲いかかる。

 

理 (ちょっとやり過ぎたか?)

 

そんな事を思っていると、

 

蓮 「隠者ーーーー!!

 

背後から蓮が刀を抜刀して飛びかかりながら斬りかかってきた。正直な話、先制で攻撃を仕掛けてくるのは恐らく刀を抜刀している蓮か妖夢のどちらかというのは予想通りだ。そしたらこの2人をマークすれば良いだけの事なのだ。

 

キンッ!!

 

すぐさま黒椿を地面から引き抜き蓮の一撃を防いだ。そして蓮は叫びながら言ってくる。

 

蓮 「お前は死者を馬鹿にしすぎだ!!」

 

理 「何を言ってるんだお前は魂が輪廻に帰ったの

   なら残った肉は所詮は器と変わらんものの筈

   だが?」

 

言っていることは間違ってはいない。魂さえ輪廻に帰れるなら残った肉体は腐っていきやがて野に帰る。だからこそ肉体はこの世を生きる器に過ぎない。

 

理 「ふんっ!」

 

蓮 「ぐわっ!!」

 

蓮を押し返す。すると辺りに光弾、星型弾幕、ナイフ、鱗のような弾幕が飛び交い更にはいつの間にいたのか霊夢そして魔理沙が上空にいた。

 

霊夢「霊符 夢想妙珠!」

 

霧雨「恋符 マスタースパーク!」

 

おおよそ8つの大きな光弾と極太レーザーが降り注ぐ。

 

理 「よっと!」

 

対処としては極太レーザーは黒椿を口に咥えてバクテンをして後ろに下がりつつ飛び交う弾幕の間スレスレで避け次に迫り来る大きな光弾は、

 

ジャキンッ!!

 

すぐさま黒椿を手に持って全て切り捨てる。そうすればあら不思議な事にノーダメージだ。だがまだ猛攻は終わらない。

 

妖夢「剣技 桜花閃々!!」

 

桜吹雪と共に妖夢が辻斬りのように斬りかかってくる。

 

理 「はぁ……言っておこう………」

 

ピチューーン!!

 

と、被弾の音が鳴り響くが、

 

妖夢「決まっ……ぐっ……」

 

被弾した妖夢は刀を地面の落として膝をついた。ここだけの話だがもうこの型は妖忌で見慣れすぎて弱点も分かっている。それ以前に妖忌の真似をしているようにしか見えなかった。だからこそ弱点をつけば楽に倒せるのだ。

 

理 「魂魄妖夢………お前は師匠に教われた通りの型

   にとらわれ過ぎだもう少し自分なりの型を見

   つけろじゃないと俺には無意味だ」

 

妖夢「む…無念………」

 

と、妖夢は言うがあくまでも気絶だ。斬殺などというそんなつまらないことはしない。すると今度は周りの時間が止まった。蓮やら霊夢に魔理沙それから紫や倒れた妖夢それ以外にも木々も風も積乱雲のうねりも止まったのだ。

 

理 (あの子の能力か)

 

自分の目は見た。海中時計を左手に持ち右にナイフを持つ侍女を、

 

理 (止まってるふりをしとこ)

 

どんな感じなのか面白そうだから見てみると彼女は自分を中心にナイフを設置していっていた。ならそれを利用するのも手だろうと思った。

 

理 (ミラージュ)

 

幻でここを包み込むと侍女は口を開き、

 

侍女「貴方の事は知らないけど紅魔館に無断で入っ

   たというのは聞いたわだからこれは自業自得

   よ」

 

と、不法侵入しただけでこの言われようである。

 

理 「まぁ確かに不法侵入はしたしそっちの妹には

   ちょっかい出したし本も幾つか頂戴はしたけ

   どね♪」

 

侍女「嘘!?何で貴方動けるの!!」

 

どうやら動けることに驚いているようだ。そして足でちょっとしたまじないを地面に描き驚いている彼女に近づく。

 

理 「所詮、俺からすれば能力なんて飾りだよ」

 

咲夜「くっ!!」

 

侍女は後ろへと下がり能力を解こうとするが、

 

理 「あぁ~今そこで能力は解かない方が……」

 

侍女「そんなのはったりよ!!」

 

そう言い能力を解いた瞬間だった。その侍女は気づいてしまった。

 

侍女「えっここ……」

 

理 「だから言ったのに……」

 

侍女「キャーー!!」」

 

ピチューーン!!

 

その侍女がいたのは先程、自分が立っていた場所だ。言ってしまうと近づいている間にミラージュを掛けてナイフを見えなくしなおかつ侍女の方向感覚を鈍らせただけだがまさかここまでいくとは思わなかった。

 

理 「少しは信用しろよ……」

 

と、呆れながら言うと今度はまた蓮が斬りかかる。

 

ガキンッ!

 

理 「しつこいねぇだけどそういう熱血野郎は結構

   嫌いじゃないな!」

 

蓮 「よくも妖夢さんと咲夜さんを!」

 

そう言うが実際は挑んでくるのが悪い。だが根本的に理久兎が挑発をしたのが悪いのでどっちもどっちだ。

 

蓮 「頼む狗神!」

 

狗神「こいつは面白そうだ!!」

 

蓮の胸ポケットが煌めきそこから白毛の大狗が現れるとその巨大な口で噛み砕こうとしてくる。

 

理 「仙術 二式 虎咆!」

 

息を限界にまで深く吸いそして溜め込んだ酸素を一気に放出する。

 

理 「ガァーーーーー!!!

 

狗神「ぐっ!!」

 

蓮 「うっ!!」

 

強烈な咆哮に近くにいた蓮に狗神は吹き飛ばされた。

 

理 「ふぅ……そんでまだやるの?」

 

紫 「えぇ!」

 

いつの間にか背後から紫が現れ幾つもの弾幕を放ってくる。

 

紫 「幻巣 飛光中ネスト」

 

理 「無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!」

 

すぐに紫の方向を向くと黒椿で向かってくる弾幕を全て切り落とす。だが、

 

霧雨「甘いぜ!彗星 ブレイジングスター!」

 

箒に股がってもうスピードで此方へと突進してくる。しかもいつの間にか紫がいない。とりあえず向かってる来る魔理沙を何とかすることにした。

 

理 「束縛 知恵のコウノトリ」

 

黒椿を地面へと差して向かってくる魔理沙へと近づくと目にも見えぬ速度で首を次に手をそして足を1つの拘束器具で束縛して箒から落とした。

 

霧雨「いて…てって…なんじゃこりゃ!!?」

 

理 「動き回られるとやっかいだから悪いけどしば

   らく見てろよ」

 

なお普通なら1人で解除するのは不可能だが一応弾幕ごっこなのでそれは知恵の輪と同じでちょっと工夫…いや力任せにしなければすればすぐに解けるように設計してあるが、

 

霧雨「こぉのぉ!!!」

 

無理にやろうとすれば絶対に解けない。つまり脳筋か頭脳かを見極めるスペルでもある。ついでに20秒程の経過でも解ける。

 

理 「………やっぱり脳筋かぁ」

 

落ち着いてやれば簡単に解けるのにと思いながら呆れていると、

 

霊夢「余所見をしすぎよ!」

 

ダンッ!!

 

理 「余所見なんかしてねぇよ」

 

霊夢が自分の頭めがけてハイキックを仕掛けたが後頭部に手を添えて手の甲で蹴りをふせぐ。

 

霊夢「ちっ!」

 

すぐさま後ろへと霊夢は下がり片足を上げて構え上げた足を強く地面に着けそして片手を前へと出して

 

霊夢「宝具 陰陽鬼神玉!」

 

前へと出した右腕から先程の夢想妙珠より格段に大きな弾幕を1つ放った。

 

理 「くっ!!」

 

霊夢から放たれた陰陽鬼神玉をすぐに地面から抜いた黒椿で防ぐが結構重いせいか数㎝程動いてしまったが、

 

理 「ウガァーーーー!!!」

 

雄叫びを上げて強引に霊夢が放ったスペルを真っ二つにした。

 

霊夢「これでもダメなの!!?」

 

と、霊夢が驚いているとすぐさま蓮が霊夢の前へと入り、

 

蓮 「次は僕だ!!」

 

ガキンッ!!

 

刀で斬りかかってきた。だがそれを黒椿で防ぐが、

 

理 「連携は中々だな」

 

キンッ!ガキンッ!!キンッ!ジャキン!

 

そこから更に蓮との斬り合いになる。そこに、

 

紫 「蓮、上へ!」

 

と、紫が言うと蓮はすぐさま上へと行った。

 

理 (何か紫がそう言うと嫌な予感しかないんだよ

  なぁ)

 

もう嫌な予感しかなかった。そしてそれは的中した。

 

紫 「廃線 ぶらり廃駅下車の旅!」

 

紫がスペルが発動し結構大きなスキマが展開されたかと思うと、

 

ブゥオーーーーン!!!

 

何とそこから結構古めかしい電車が現れたのだ。そして、

 

理 「マジか!エアビデ!」

 

ドゴンッ!! 

 

すぐさま黒椿を電車の先頭に突き刺しそして足をエアビデで浮かせ被弾しないように防いだ。

 

理 「あっぶねぇ……」

 

こんなにの被弾しようものなら服が裁けるぐらいでは済まない。下手したら骨折の上をいく複雑骨折または粉砕骨折をしていたかもしれない。

 

理 「嘗めるなよ!」

 

進む電車の圧に耐えながら電車の上に這い上がり黒椿を電車の先頭から引き抜く。それを上空で見ていた蓮と霊夢は目を点にしていた。

 

蓮 「霊夢!」

 

霊夢「分かってるわ!!」

 

霊夢と共に電車の上に乗ると蓮は神楽で斬りかかる。

 

ガキンッ!!キンッ!!

 

理 「無力と知れ!!」

 

攻撃を防ぎ蓮を弾き飛ばす。

 

霊夢「くらいなさい!!」

 

今度は霊夢自分へと一気に距離を詰めて顎めがけて蹴りあげ攻撃を仕掛けてくる。

 

理 「無駄だと言ってるだろ」

 

当たらないように体を後ろへと倒し蹴りを避ける。そして流れていく動きでそのまま見事なバク転して空へと飛ぶ。

 

理 「先程から嘗めるなよ貴様ら」

 

先程からただやられるだけで自分は対してなにもしていない。だからこそ少し上の実力を見せることにした。

 

理 「逆鱗 不動明星に喰らいしは龍の牙!」

 

黒椿を掲げて叫ぶ。すると暴風が吹き荒れ積乱雲は豪雨を降らせ落雷を落とす。

 

霧雨「ぐわぁーーー!!!」

 

ピチューーン!!

 

まずは動けない魔理沙に被弾し魔理沙は脱落。

 

霊夢「きゃあっ!」

 

蓮 「霊夢!」

 

吹き飛ばされた霊夢を蓮がキャッチをするが、

 

ピチューーン!!ピチューーン!!

 

一瞬で動き蓮と霊夢を峰打ちで撃破し霊夢と蓮は脱落。つまり残りは、

 

理 「……八雲 紫まだやるか?」

 

スキマから紫が現れ睨んでくる。

 

紫 「………まさかこれだけの人数を1人で片付ける

   とは思わなかったわ」

 

先程とはうって変わり落ち着きを取り戻していた。

 

理 「百鬼夜行時代からそうだお前は自分の師匠の

   事になると感情を制御できてないぞ」

 

紫の反省するべき点を話すと苦虫を噛み潰したかのような悔しそうな顔をした。

 

紫 「くっ……ん貴方…百鬼夜行にいたの?」

 

理 「どうだかな」

 

そう言うが元百鬼夜行の総大将だ。居て当たり前だ。

 

理 「どうする?まだやるというならお相手するけ

   ど?」

 

と、言うと紫は辺りに広がる惨状を見て、

 

紫 「いいえ………この惨状を見るに今は止めておく

   わだけど次こそは………」

 

理 「的確な判断だ………」

 

そう言い理久兎は黒椿をポケットの中にしまう。だが1つ忘れていた事があった。

 

理 「あっそうそう」

 

紫 「………何かしら?」

 

理 「頭上に気を付けろよ♪」

 

と、言った時だった。空から一筋の光いや1発の落雷が紫に直撃した。

 

紫 「キャーーーーー!!」

 

ピチューーン!!

 

結果的に紫も気絶してここには理久兎しか残らなかった。

 

理 「だから言ったのに………危機管理も出来てない

   ようだなお前は……修行をやり直せ…てか体を

   少しは動かせ前より太ったぞ?」

 

何て言いながらもフードで顔は見えないが理久兎は顔に笑みを浮かべて、

 

理 「だが楽しかったよありがとうよ♪」

 

と、感謝の御礼を述べたのだった。


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