怠惰との試合が始まる。普段なら合図と共に斬りかかるが今回は後手に回ろうと思い待機すると何と怠惰も動かない。
理 「動かないのかよ」
怠惰「………」
ただただ沈黙している。下手に攻めても彼奴にはムカつく言動と共に避けられれてしまうため動かないで待機しようと考えたが本当に動かなくてどうするかと悩んでいると、
さと「理久兎さん後ろです!!」
理 「っ!!?」
この時、自分は浅はかだったと思い知らされたと同時にさとりに感謝した。何故なら怠惰と言う名の死神が大鎌を構えて背後に立っていたからだ。
ガギンッ!!
何とか大断罪神書を盾にして防ぐが後少し反応が遅れてたら斬られていただろう。恐らく目の前に立っていたのは怠惰の高速移動ゆえに残った残像だろう。あそこまでくっきり残すとは、
理 「あっあぶねぇ………」
怠惰「理久兎君‥‥君ならもう知ってるかもだけど教
えて上げる戦場で下らない事を考える前に体
を動かしな‥‥じゃないと死ぬよ?」
と、言ったその瞬間、目の前に怠惰がいる筈なのに後ろに残っている怠惰の残像動きだし大鎌で斬りかかってきた。
理 「どういう原理だ!!」
魔力の衝撃波を放ち怠惰を弾き飛ばすと光の粒子となって消える。そして向かってくる怠惰には断罪神書から黒椿を取り出し大鎌とつばぜり合う。
怠惰「ほら俺にばっかり視線を向けてるから周りが
見えてない」
空に無数の注射器が浮かんでいる異様な光景を見て驚いてしまう。怠惰がニヤリと笑った瞬間、無数の注射器が雨のように降り注ぐ。
理 「しゃらくせぇ!!」
また怠惰を弾き即座に断罪神書から空紅を出し刀身に宿る業火で注射器を燃やし破壊する。だがページがめくれていく僅かな一瞬だったが断罪神書のページに見慣れない物が入っていたような気がした。
怠惰「やるね♪ならこれはどう対処するかな理久兎
君♪」
と、楽しそうに言うと今度は残像を残さずに一瞬で消えた。そしてその瞬間、
理 「ぐっ!」
ザシュ!
突然、腕が切られ血が吹き出た。そしてすぐに気づく無数の斬撃が襲いかかってくる事に、
理 「ぐぁ!」
ギンッ!ギンッ!ギンッ!ギンッ!ギンッ!
斬撃をさばくのがやっとだ。何処だ‥‥何処にいるのだ。そしてそんな中で思い出す。さっき怠惰が言ったことを確か視線を向けているから周りが見えていないだったよな。
理 「………やってみるか」
攻撃を受けながら目を瞑り精神統一をする。怠惰を見るのではない。微量の怠惰の魔力を追う。徐々に徐々にと見えてくる。そして捉えた。
理 「そこっ!」
ガギンッ!!
黒椿とシレンティウムがぶつかり合う。無論、シレンティウムの先には怠惰がいた。
怠惰「やるねぇけどまだまだかな理久兎君♪」
もう片方の手にシレンティウムから伸びる鎖を手に取り鞭のようにして攻撃してくる。
怠惰「燃え盛れ!!」
空紅の炎で圧倒し鎖を弾く。だがその隙に怠惰は後退し距離をおいた。
怠惰「危ないなぁもう少しでペストみたく真っ黒に
なる所だったよ?」
理 「怠惰てめぇ本気を出してないだろ?」
怠惰「アハハ♪あぁそうさ俺は生まれてこのかた本
気を出した事は覚えてる限りで2回さ全能神
を殺す時そして実兄との絶縁喧嘩しか本気を
出した事はないよ♪」
やはり何だこいつはそこまで聞いてない事をペラペラと喋った。だが分かったのは怠惰には兄がいてなおかつ本気を出した事は2回しかないと言うことだ。
怠惰「でも理久兎君こんな話をしてて大丈夫かい?
足元には気を付けた方が良いよ?」
理 「なに?」
足元に何がある。チラリと見て分かるのは自分の血が少し滴っている事ぐらいだが、
怠惰「サングイス・カテーナ・ラグイエル」
と、不思議な詠唱をした時だ。地面に滴る自分の血は泡を出す。そして自分の血が有刺鉄線が巻かれた鎖となり襲いかかってくる。
理 「相手の血を変化させるだと!?」
怠惰「おまけだよ理久兎君‥‥トリトニス・アプス・
ヴェノム」
怠惰の周りで光る稲光が蜂となり鎖と共に襲いかかってくる。
理 「霊力‥‥仙術七式神仏圧殺!」
かつての高天ヶ原での戦いのように電子蜂を潰し向かってくる鎖は黒椿で振り払う。だが振り払った直後、
怠惰「隙が多いよ?」
理 「がはっ!!?」
振り払った直後を狙われ雷を纏った蹴りで兜割りされ地面へと叩きつけられ地面に落ちる。ここまでこいつ強かったか。高天ヶ原の時と比べものにならない。
千 「怠惰よもう時間じゃが………」
怠惰「10分延長してくんない?もう少し遊びたく
なってきちゃったよ♪」
そう言うと怠惰は懐から黄色の薬液が入った注射器を出すと首元に一気に射し込み薬液を注入する。
怠惰「う~ん♪いいねぇ‥‥ほら」
理 「っ!」
そしてもう1本同じよう薬液が入っているであろう注射器を投げ渡される。
怠惰「満足しねぇだろ理久兎君このまま負けるとか
さぁ♪」
理 「ちっ!」
怠惰と同じように注射器を首元に打つ。すると不思議と疲れが消えていき力がみなぎってくる。
怠惰「さぁて休憩もここまでにして‥‥来なよ?そし
て俺を倒してみろよ青二才」
理 「この年で青二才か‥‥」
怠惰「俺から見ればまだまだ青臭いマセガキ♪」
理 「上等だキ
怠惰「放送禁止用語を使うんじゃねぇよ!」
怠惰とぶつかり合う。とりあえずこいつを1発はぶん殴るか斬りつけるを目的に黒椿と空紅で斬って斬って斬って斬りつける。だがそんな攻撃は無意味と言わんばかりに避けられ弾かれと繰り返される。
理 「軌道は読まれてやがるか!」
怠惰「どうしたの?ほらほら頑張ってよ青二才君」
理 「誰が青二才だっ!」
しかしどうするか。このままいっても埒が明かない。なら意外な行動に出ればいいだけの話だ。
理 「でりゃあ!!」
怠惰「力任せに振るいすぎだぜ?」
ガギンッ!!
重たい一撃は弾かれ黒椿と空紅は宙を舞う。その瞬間、断罪神書から第三の武器の天沼矛を取り出し理久兎に突きかかる。
怠惰「成る程行動を変えてきたか」
理 「ちっ!!」
首を傾げ避けられた。だがそのまま薙刀のように払って攻撃をするがそれに合わせ側転をされ避けられた。というかよくあんな無理な体制からよく避けれたな。
怠惰「あれ終わりか?なら今度は俺のターン」
理 「ぐっ!」
側転し避けた怠惰は一瞬で自分の足を払って転ばせる。そして体制が崩れた所を狙って大鎌を振り下ろしてくる。
理 「っ!!」
すぐさま転がり大鎌を避け立ち上がる。先程まで自分がいた所に大鎌の刃がめり込んでいた。
理 「あぶねぇ‥‥」
怠惰「気を抜きすぎだよ理久兎君」
理 「いつのまに!?」
大鎌はそこにある。目の前には稲光を発する足を怠惰は構えていた。つまり体術で襲いかかってきたのだ。
怠惰「本当は前衛向きじゃないんだけどな!」
理 「嘘つけ!?」
ドゴンッ!!
何とか天沼矛で受け止めるが弾かれしかも電撃が追加で入り手を少しだが焼き焦がしてきた。
理 「くっ!」
腕を押さえて苦悶する。
怠惰「千ちゃん後何分?」
千 「残り5分じゃ」
怠惰「オーライでももう積みかな?君の‥‥仙術だっ
たっけ?その技と俺のシレンティウムの一撃
どっちが上かな♪」
手に大鎌を構えた怠惰が不気味な笑いをすると斬りかかってきた。恐らくあの鎌の前では仙術の防御技などは無意味に近いし攻撃も避けられるのがオチだ。防ぐにしても武器はない。あっても断罪神書を盾にしての防御だが連続攻撃がまた来たら耐えられる保証はない。どうするどうすればいい。いや1個だけ見たことのないアイテムが断罪神書に入っていたのを思い出す。恐らく武器であろうがもうそれに賭けるしかない。
ギンッ!!
怠惰「また防御かい?そんなのでどう耐えるのかな
理久兎君?」
背後に気配を感じる今、奴は背後にいる。
理 「嘗めるなよ怠惰!断罪神書!」
断罪神書に指示を出し例のアイテムが入っているページを開かせる。そしてページに手を突っ込みすぐに分かる。形状からしてこれは銃だ。
怠惰「下らない抗いなど無意味だ諦めて楽になりな
よ理久兎君」
理 「生憎‥‥諦めるのは嫌いなんだよ!」
ページからそれを引き抜き背後いる怠惰に向ける。そしてその銃を初めて見る筈なのに何故か名前や使い方がうっすらとだが分かる気がした。
怠惰「お前それっ!?」
理 「死の讃美歌を歌えレクイエム!」
怠惰「ちっ!!!」
バキュン!バキュン!
1回の引き金で2発の散弾が飛び散る。それに怠惰が当たるとその場に何もいなかったかのように怠惰が消え断罪神書で抑えていた怠惰も消える。何処にと思い探すと少し先の方で後退していた。
怠惰「それを使ってくるか‥‥つつ………」
怠惰の右肩を見ると煙が上がっていた。つまり被弾したと言うことだろう。
理 「何かは分からないが形成逆転か?」
怠惰「だと良いけどな‥‥理久兎君」
理 「!!?」
怠惰の雰囲気が変わった。体に粘りつくよう何かを感じる。そして自分は目にした。怠惰の周りを無数の何かが蠢いていることをそしてすぐに分かった。あの蠢く何かはこの世界にいてはならないものだと。
怠惰「アニムス・イリュジオン・インクブス」
理 「っ!?」
黒い霧が立ち込め自分の辺りを覆う。すると霧の中から何人もの怠惰が襲いかかってきた。
理 「っ!!」
拳に霊力を纏わせ怠惰を殴り付けるがすり抜けた。
理 「幻‥‥」
怠惰「その通りだだからこういう使い方だって出来
るんだぜ?」
と、怠惰が言うと霧の中からありえない者達が出てきた。それは試合観戦している筈の蓮や霊夢それに紫やさとりと数多くの者達が出てきた。
理 「これは偽物だろ!」
怠惰「確かに偽物だとも‥‥だが今の君に耐えれるの
かな?」
と、怠惰が言った時、皆の口が開くと、
蓮?「理久兎さん‥‥何故あなたは皆を傷つけるんで
すか!何で罪のない皆を!!」
霊?「最低なクズ野郎ねあんた!」
さ?「どうして私を‥‥私は貴方を愛していたのにど
うして心臓を貫いたんですか‥‥」
紫?「御師匠様‥‥幻想郷は貴方と私の夢だったので
はないんですか!」
幻だというのは簡単に分かる。分かるがもう止めてくれ。耳を塞いでも聞こえてくる。皆の恨みが悲しみが籠った声が頭に響いてくる。
怠惰「辛いよなぁ自分を許せないってさ‥‥理久兎君
もう諦めちゃって楽になろうぜこんな声を聞
くのは嫌だろ?」
理 「黙れ!!」
怠惰を殴るが煙となって消える。だがそんな事をしても皆の声が響く。止めてくれこれ以上は本当に、
怠惰「楽になる方法は簡単だよ♪」
ジャキンッ!
音が響き見てみるとそこには自分の愛刀の黒椿があった。
怠惰「それで自分の首を斬りなよそうすれば楽にな
れるよ理久兎君♪」
楽になりたいこんな声は聞きたくない。自分は黒椿に手をかけそして刃に首元を当てる。聞きたくない楽になりたい。
? 「あぁ~あやっぱり君には無理だったか♪」
声がし見てみると少年が楽しそうに此方を見ていた。
少年「良いの?そんは事をしても君は結局は蘇って
また同じように苦しむだけだよ?」
理 「何が分かる」
少年「分かるよ僕は君だから♪」
こいつは自分?もう頭までイカれてきているのだな。
少年「君いや僕がやった罪は消えないけどね償わず
して逃げるのはどうかと思うよ?」
理 「逃げ‥‥るっ!?」
少年「アハハせいぜい頑張ってね♪」
何をやっていたのだ。こんなまやかしの声に耳を傾けて自分は愚かだと思った。皆は自分を助けてくれてなおかつ許してくれたのにも関わらず。自分が従者がここに帰ってくるというだけでこんな会まで開いてくれたんじゃないか。
怠惰「理久兎君?」
理 「‥‥クク………アハハハ!おりゃぁ!!!
怠惰「っ!?」
一撃に全てをのせこの煙の世界を吹き飛ばす。そして自分は旧都の街道に立っていた。
怠惰「凄いねあれを乗り越えるんだ」
理 「てめぇの趣味は本当に最悪だな!このイカれ
ドクター!」
怠惰「アハハハ結構♪拷問官をやっていた身からし
たら誉め言葉だよ理久兎君♪」
理 「ふぅてめぇは1回殴られろ!」
怠惰「アハハハ♪嫌なこった!!」
黒椿の影の一撃と怠惰のシレンティウムの一撃がお互いぶつかり合おうとしたその瞬間、
千 「そこまで試合は終了じゃ!!」
2つの武器が当たる直前で止まる。
怠惰「お疲れ様♪理久兎君♪」
理 「ちっ………」
殴れなかったことが悔しい形となり試合は終了したのだった。
天子「てことで今回はここまでね」
衣玖「あらあらムスっとしてまぁ」
天子「何よ!」
衣玖「いいえ♪」
天子「まぁ良いわていうか彼奴結局引き分けじゃな
い勝てって言ったのに」
衣玖「ご不満なご様子で‥‥ですが労いの言葉は必要
ですよ?」
天子「分かってるわよ」
衣玖「まったく素直じゃないですね」
天子「うるさいわよ」
衣玖「さて今回は早いですがここまでにしましょ
うか」
天子「そうねてことで今回はここまでよ」
衣玖「それではまた次回です」
天子「じゃあね」