理の神様は何を見る   作:怠惰のクソ悪魔

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第37話 諏訪の国行く末

夕暮れの黄昏時。先程まで暴風や炎が舞った諏訪の国の近くの平原は静けさを取り戻しつつあった。

 

天照「とりあえずこの馬鹿2名はしばきました」

 

2神 (´・ω・`)

 

理久兎と須佐能乎は皆から説教と折檻をされて体も心もボロボロな状態だ。

 

月読「ところでお姉ちゃん……」

 

天照「どうしたの月読?」

 

月読「何か忘れてない?」

 

月読にそう言われた天照は顎に手を置いて考え込み、

 

天照「……あ!そうだ!」

 

月読「思い出した?」

 

天照「帰って書類作らなきゃ!」

 

ズコ!

 

天照の言葉に月読は盛大にずっこける。そして月読が呆れながら、

 

月読「もう!違~う!賭けで私達が勝った

   でしょ!」

 

天照「あ~そっちですか……」

 

頭のネジがぶっ飛んでる月読に言われて思い出す天照もまんざらでもなく天然だ。そして天照に話していると神奈子は申し訳なさそうに、

 

八坂「諏訪の国の信仰は私達のものだよな…」

 

神奈子にそう言われた諏訪子は黙って下を向いた。

 

洩矢「………………」

 

祝音「諏訪子様………」

 

それを見ていた理久兎は最後の切り札いや秘策を使うことにした。

 

理 「あ~ちょっといいか………」

 

天照「どうかしましたか?」

 

天照がそう言うと理久兎は申し訳なさそうに、

 

理 「え~と諏訪の国の信仰について何だが

   多分無理だぞ………」

 

と、今更感が漂うぶっちゃけ発言をする。

 

全員「………………………は?」

 

全員こんな声しかあげることしか出来なかった。そして理久兎は諏訪子に、

 

理 「諏訪子お前、前に言ったよな?」

 

洩矢「えっ何を?」

 

主語をつけていなかったため理久兎に何を?と聞くとそれについて言う。

 

理 「この国は一応は諏訪子が治めている訳

   だろ…?」

 

洩矢「うんそうだね………」

 

理 「でも実際の信仰対象は………」

 

洩矢「ミシャグジ様だよ………」

 

理 「ミシャグジ様は何の神様だ?」

 

理久兎はそれについて質問をすると祝音は考えて、

 

祝音「確か………」

 

洩矢「祟り神様だよそれがどうしたの?」

 

祝音が言う前に諏訪子が答える。そう祟り神だ。

 

理 「そういうことだよ簡単に言うと……」

 

そう言うが周りの神達や人間達は、

 

全員 (・_・?)?

 

頭の中がこんがらがっていた。それを見ていた理久兎は優しさを持って、

 

理 「説明ほしい?」

 

説明が欲しいかを聞くと天照は頭を軽く下げて、

 

天 「お願いいたします」

 

と、律儀にお願いしてきた。理久兎は若干罪悪感を抱きつつ要約した簡単な説明をする。

 

理 「簡単に説明するとこの国の信仰対象は

   ミシャグジ様またを祟り神だ…人間達

   はこの祟りを恐れているつまりこの祟

   りが怖くてよそから来た神様を信仰す 

   ることが出来ないんだよな………」

 

簡単すぎる説明を聞いた周りの神達は、

 

洩矢「え~とつまり………」

 

月読「私達がやったことは………」

 

八坂「全て………」

 

祝音「無駄なことだった………」

 

天照「そんな………」

 

須佐「マジかよ………」

 

そう思うのは当然だ。自分達は何のためにここまで来て戦いをしなければいけないのかと考えてしまうからだ。だがこれこそ理久兎の策だ。理久兎はこれを知っていたが敢えて諏訪子に言わなかったのはこの事を言うと更に自堕落になると考えたためこのような処置をとった。だが甥っ子や姪っ子の残念そうな顔を見てしまった叔父の理久兎もこれには罪悪感をまた抱いたため、

 

理 「でも信仰も獲得する方法はあるよ」

 

全員 !!

 

それを聞いた神達は驚きの表情へと変わる。そして理久兎はその方法を教える。

 

理 「簡単だよ二神制にすればいい」

 

全員「二神制?」

 

理 「そっまずそっちの大和の神を1人こっちに

   住ませるで…表向きはその神様がやって裏

   の事務仕事なんかは諏訪子ちゃんがやれば

   良いそうすればあら不思議ってね」

 

天照「なるほど!確かにそれは名案ですね」

 

月読「でも誰がいいかな?」

 

月読がそう言うと須佐能乎は胸をはって、

 

須佐「俺は八坂神奈子を推薦する!」

 

八坂「えっ!?」

 

神奈子を推薦した。それを聞いた神奈子は驚きの声をあげて須佐能乎に詰め寄る、

 

八坂「須佐能乎様!」

 

月読「確かにいいかもね♪さっき何て諏訪の神

   様を助けてたし♪」

 

月読にも言われた神奈子は覚悟を決めた顔をして、

 

八坂「………分かりました!慎んでお受けいたし

   ます!」

 

神奈子がそう言うと諏訪子と祝音は神奈子へと駆け寄る。

 

洩矢「え~とじゃ~よろしくね神奈子?」

 

祝音「よろしくお願いいたします」

 

八坂「よろしくな諏訪子と祝音……だっけ?」

 

祝音「あってますよ神奈子様♪」

 

そんなこんなで諏訪大戦は幕を閉じたのであった…。その後諏訪の国に侵略しようとした神達は須佐能乎に連れていかれた。そして1週間後、

 

洩矢「あ~神奈子!それ私の魚!」

 

八坂「残念だが早い者勝ちだ!」

 

祝音「御二人とも、もう少し仲良く食べて

   下さい!」

 

2神「「だってこいつが!」」

 

理 「やれやれ┐(´~`;)┌」

 

と、いつもの日常に神奈子が加わった。そして理久兎は意を決して3人に話をする。

 

理 「ちょっといいか………」

 

祝音「理波さん?」

 

洩矢「どうしたの?」

 

八坂「どうしたんだい?」

 

理 「俺……明日ここを発つよ………」

 

それを聞いたこの場の全員は、

 

洩矢「えっ」

 

祝音「………………………」

 

八坂「そうか………」

 

諏訪子は驚き祝音は悲しそうな顔で下を向き神奈子は寂しそうだった。そして諏訪子は理久兎に提案をする。

 

洩矢「理波ここに住まない?」

 

諏訪子は住まないかと提案をされた。だが、

 

理 「いや、俺は所詮流れ者さ…後、残りの生は

   色々な景色を見ていこうとね………」

 

そう言いその提案を拒否をする。

 

洩矢「そっか………じゃ今日は送別会ってことで

   パ~~とやるか!」

 

八坂「だな!!」

 

祝音「そうですね!………」

 

皆は理久兎が居なくなる寂しさを忘れるために飲んで誤魔化すことにした。

 

理 「ありがとうな………」

 

理久兎も礼を言い酒を飲むことにした。

 

そして、翌日、

 

洩矢「いままでありがとう理波………」

 

八坂「色々とな………」

 

理 「気にするな………あれ祝音は?」

 

そう言うと理久兎は辺りを見渡す。

 

洩矢「そういえば………」

 

諏訪子も辺りを見渡すと、

 

祝音「理波さん!」

 

祝音が荷物を抱えて理久兎のもとまで走ってくる。

 

理 「どうしたの祝音?」

 

祝音「これを持っててください!」

 

そう言い祝音は理久兎にあるものを渡す。その中身を見てみると、

 

 

理 「これは!」

 

理久兎が受け取ったのは祝音が握ったであろうおにぎりだ。

 

祝音「お昼に食べて下さい」

 

理 「ありがとうな祝音………」

 

そう言って祝音の頭に手を置いて撫でた。

 

祝音「理波さん………」(//∇//)

 

そして撫でると頭から手を離して、

 

理 「じゃそろそろ行くよもう会うことも無い

   だろうけど元気でな♪」

 

洩矢「じゃ~ね理波!!」

 

八坂「達者でな!」

 

祝音「………………」

 

そう言って理久兎は去って行くのだった。そして祝音は気づかぬまに、

 

洩矢「祝音何で泣いてるの?」

 

そう祝音は目から涙を流していたのだ。それほどまでに理久兎の事が大好きだった事が物語れる。

 

祝音「あれ?何ででしょうか……」

 

祝音はそう言うと袖で涙を拭う。そしてそれを見ていた神奈子は気をつかってか……

 

八坂「家に入って酒でも飲もうか2人共」

 

そう言うと諏訪子は笑顔で

 

諏 「うん!」

 

諏訪子はそう答えて祝音も、

 

祝 「そうですね!…さよなら理波さん

 

そう言い3人は神社の中へと入っていく。そして祝音は暫くの間、太陽が昇る晴天の空を見続けたのだった。後に洩矢神社は二神制となったためおかしいという事になり名を洩矢神社改め守矢神社と名前を変える。そして遠い未来に風祝の子孫と守矢の2神達が騒動を巻き起こすがまたそれは別のお話だ。


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