手紙を送った数日後、仕事部屋で自分は欧米地獄についてまとめられた本を見ていた。
理 「‥‥」
見て分かったのは欧米地獄の獄卒達は鬼やらもいるにはいるみたいだがその中には魔界から来たという魔族なんかもいるらしい。
理 「魔界か‥‥」
この変は神綺にでも聞けば簡単に分かりそうな事だな。そんな事を思っていると扉が開きさとりが入ってきた。
さと「理久兎さん」
手には手紙用の小さな封筒が握られていた。恐らく西洋地獄から来たみたいだ。
理 「ありがとう」
椅子に座るとさとりは自分の膝の上にチョコンと乗る。つまり一緒に見るという事で良いのかな。封筒を受け取り中を確認すると、
報告書 西洋地獄門番ケルベロスについてその者その時間に勤務に当たっている。何かの間違いならいざ知らず謎の言い掛かりは止めろ。次このような言い掛かりをするのなら閻魔丁に報告する。 西洋地獄 人事課
何だこのふざけまくってる文章は、つまり俺の娘をナンパし誘拐しようした挙げ句の果てには喧嘩を吹っ掛けてくるとは良い度胸してやがる。
さと「理久兎さん?」
理 「………なぁさとり♪地獄の1つが消えても誰も
文句言わないよな?」
さと「ストップです!」
理 「ダメ?」
さと「荒事で解決はダメですそれに無関係な者達だ
っているんですから」
駄目か。何ならさとりが寝てる間にサクッと赴いてギリシャ神郡の悪夢を思い出させてやろうかな。この理久兎之大能神を怒らせた事がどういう事かを思い知らせてやるか。
さと「理久兎さん悪巧みは止めてください」
理 「うぇっ!?しっしてないしてない!」
さと「まったく‥‥ん?これは‥‥」
何かに気づいたさとりは封筒を逆さにすると何か小さなカードのような物が出てきた。開けて見てみると、
理久兎へこの度はごめんなさい。そして手紙は見たわ人事課の方に聞いてみたけどケルベロスはいたという一点張りだったわ。だけど貴方が嘘をつき言い掛かりをつけるような神でない事を私は知っているわ。だからこれを書いたわ。
誰だこれと思い最後の方を見るとそこには、ヘカーティア・ラピスラズリと書かれていた。これを書いたのはヘカーティアか。内容の続きを見ると、
恐らく何処かで汚職が行われている筈よ。他の者達の同行を探りながら汚職を1つでも多く見つけていくわ。だから待つことになるとは思うけど待っていてちょうだい。 ヘカーティア・ラピスラズリ
と、書かれていた。つまり西洋地獄に限ってはヘカーティアぐらいしか仲間がいないという事が分かった。
理 「ふむ‥‥」
さと「ヘカーティア様も大変ですね」
理 「みたいだな吹っ飛ばすのは無しにす‥‥あっ」
さと「理久兎さん♪」
ヤバいうっかり口が滑っちまった。悪巧みがバレてしまいさとりはニコリと笑うが目だけは笑ってなかった。
理 「マジですんませんした!」
さと「まったく呆れを通りこしてまた一週ぐらい周
ってまた呆れる事になりそうですね」
理 「いや~って1週も周る!?」
さと「えぇツッコミするのも面倒なぐらいに♪」
そこまで面倒になるのか。これ以上はさとりを怒らせるとまたへそ曲げて機嫌を治すのが大変なためここは引くか。
理 「わっ悪かったよ」
さと「まったくですが貴方がそのぐらい怒っている
という事は伝わりましたよ‥‥ですが今ここで
動いて暴れる事となれば貴方は地獄にいられ
なくなりますし旧都はどうするんですか?」
理 「うっ」
仰る通りなことを言われて反論の余地がない。ここで俺が暴れれば旧都はどうなるのかは考えてすらいなかった。それは反省すべき点だ。
さと「ヘカーティア様の手紙にも書いてある通りに
時間をかけましょう」
理 「………はぁ近くにお前がいて良かったよ」
本当に一時の激情に身を任せる事になりかけた。こうしてすぐに自分に意見を堂々と言え冷静に判断できる者が近くにいてくれるこの環境に感謝しないとな。さとりの頭に手を置き優しく撫でる。
さと「理久兎さん」
理 「ありがとうな」
頭を撫で終えとりあえずこれからどうするかを考える。ケルベロスについては何時に伝えるべきか。そういえば地上って大体、『異変発生→異変を解決→宴会』っていうサイクルが出来てたんだよな。そうなると近々に宴会がある筈だ。
理 「なぁさとりお前も宴会に来ないか?」
さと「えっ?どうしてですか?」
理 「どうせ宴会がある筈だからよそこで霊夢達に
ケルベロスの事をある程度は話そうと思って
いてなついでにこの前に渡しそびれた詫びの
品も色々と渡してくてね」
因みに作った物は今も断罪神書に保管してあるため腐ることは絶対にないが速く渡したいのだ。
さと「私はあまり行く気にはなりませんね」
理 「そう言うなよこの前は色々とごたついて散歩
って言っても出来なかったら今回こそは一緒
にって思ったんだけどな」
と、言うとさとりは顎に手を置き黙って深く考え出す。そして考えがまとまったのか、
さと「分かりましたそのかわりエスコートして下さ
いね?」
理 「勿論さそのぐらいはやらせていただきますよ
お姫様」
さと「誰がお姫様ですかまったくからかわないで下
さい理久兎さん」
理 「そうか?強ち間違ってないと思うけどな‥‥」
だって実際の所は旧地獄つまる所、ここ地底の首領な訳だし間違ってはない筈なのだが。するとさとりは顔を少し赤くさせる。
さと「そっそうですか‥‥そしたら理久兎さんは」
理 「ん?何か言ったか?」
さと「言ってません!」
理 「そうか変なの♪」
そうして自分達はそんな会話をしながら今日を過ごすのだった。
怠惰「それでは今回はここまでです」
千 「うむしかし甘いのぉ」
怠惰「鈍感君があぁ言うから変に甘くなるんだよ」
千 「しかし昔と変わらずで安心したわい」
怠惰「へ?どこが?」
千 「自身の信念を貫いておるところじゃ」
怠惰「信念ねぇ俺にはねぇや」
千 「そうか?」
怠惰「強いて言えば‥‥因縁?」
千 「………というと?」
怠惰「う~んまぁ色々とね?」
千 「本当にそなたはそういった所をはぐらかすの
が悪い癖なんじゃ」
怠惰「それが怠惰さんなのさ常に観察者の立ち位置
でいる事を徹底したいのさ」
千 「変わった奴じゃわい」
怠惰「まぁね♪さてとそろそろ時間だし今回はここ
までにしようか」
千 「うむまた次回もよろしく頼むぞ!」
怠惰「それじゃ読者様♪」
千 「さらばじゃ!」