ここソルの城塞では激しい抗争が続いていた。かつての神と天使に対して悪魔と魔獣の熾烈な争い。かつての神魔対戦を思わせるかのような戦い……
サタ「ギャハハハハその程度か?四大天使様の実
力はよ~♪」
ミカ「黙りなさいこの品のない悪魔め!」
キンッ!
ミカエルの剣とサタンのノコギリ鉈がぶつかり合う。だが戦闘はそこだけではない。
ラフ「恵みの水よ悪魔を浄化しなさい!」
レビ「そんな薄い水じゃ浄化なんて出来ないよ」
ラファエルが放った無数の水の槍はレビィアタンの体へと向かっていき貫こうとしたがレビィアタンは自分の目の前に水の壁を作って相殺する。
ラフ「くっ!」
レビ「お前と僕とじゃ話にならないな深い深淵を
味わってよ」
そしてその近くでも、
ウリ「地獄の業火に焼かれなさい!」
ルシ「そんな炎じゃ焼き鳥も出来ないわねぇ?」
ウリエルの光の魔法と全てを焼き尽くすかのような炎の魔法それらを何らものともせずルシファーは6枚の羽を広げて羽ばたき攻撃を全て難なく回避する。
ウリ「相変わらず貴女はイラつきますねその余裕の
表情が!」
ルシ「あら?余裕ではないわただの慢心よ♪」
ウリ「やはり私にとって唯一の宿敵よルシファー
貴方は殺すわ!」
更には城塞の内部の複製室では、
ガブ「アハハハハ♪」
ガブリエルは何処からともなく無数の注射器をベルゼブブに投擲するが、
キンッ!!
自身の持っているロンギヌスで凪ぎ払うが注射器に入っている液体は地面に付着すると煙をあげて地面が溶けた。
ベゼ「………………強酸か……」
ガブ「ううん♪その更に濃度が高い代物だよ言うと
超強酸♪」
ベゼ「これはくらったらヤバイな」
ガブ「まだまだたんまりあるから♪ゆっくりくらっ
ていってね♪」
そんな危ない酸に対してベルゼブブは戦うのだった。それではそろそろここのメインに視点を移そう。オルビスとベルフェゴールはお互いに見つめあっていると、
オル「ねぇクソ野郎さん貴方は何でここに?」
オルビスからの質問にベルフェゴールは、
ベル「そうだな…なら……お前は何でここに?」
逆に質問を返した。それを聞いたオルビスは、
オル「私はこの世界の王になってってウリエル様に
言われたからそれとこの世界の害悪なる悪魔
達七つの大罪達を抹殺するためだよ?」
ベル「そうか……」
オル「クソ野郎さんがここにいるってことはそっか
七つの大罪を倒すのに協力をしてくれるんだ
よね?」
オルビスのその言葉を聞いたベルフェゴールはただため息を1つ吐いて、
ベル「はぁ………悪いが俺がここに来たのは協力をし
にきたんじゃないんだ」
オル「えっ?」
ベルフェゴールは自身の背中に生える真っ黒の悪魔の翼を羽ばたかせてオルビスに見せつける。そして背中に背負う大鎌を右手に持つと、
ベル「そろそろお前に俺の本当の名前を教えてやる
俺は七つの大罪の一柱にして怠惰の罪を背負
う者その名をベルフェゴールそれが俺の真名
だオルビス」
それを聞いたオルビスはキョトンとした表情となったが段々と我へと返っていくと、
オル「嘘…だよね?嘘だって言ってよ…ねぇ……ねぇ
ってば!!」
オルビスは玉座から立ち上がりベルフェゴールに問いただすが現実とは非常に残酷だ。
ベル「残念だが俺の言った事は紛れもない真実だお
前の理想とは違う………」
オル「………っ!そうだ!!貴方はクソ野郎さん何か
じゃない…貴方は偽物そう偽物だよ!」
オルビスは自分にただ言い聞かせるしかなかった。もうそれしか信じられなかったからだ。そしてオルビスは狂ったかのような笑みを浮かべると、
オル「クソ野郎さんの偽物…貴方に……神からの裁き
をあげる!!」
そう答えた瞬間だった。オルビスの背中からは天使でもなくはたまた悪魔や魔獣といったような翼でもない。まるで竜翼のような物が背中から現れ次には頭からは枝分かれをしている角に天に住む者に見られる特徴的な天輪そして腰辺りかは長い尻尾が生える。まるでその姿は竜人のような見た目だった。
オル「消してあげる!!クソ野郎さんの名前に姿や
声それら全てを持って私を嵌めて陥れようと
した偽物の貴方に!!」
どうやらベルフェゴールの言葉はもう届かなさそうだ。ベルフェゴールは今のオルビスの姿を見て、
ベル「かつての全能神そっくりな姿やはり死んでも
なおその面影を残すかはぁ………」
ベルフェゴールはただ静かに呼吸をすると、
オル「死になさい偽物!!」
オルビスは自身の拳でベルフェゴールに殴りかかる。しかも滑空による助走をつけてだ。だがベルフェゴールは何もせずただじっとそこに立っているだけだ。そしてオルビスとの距離が僅か1メートルになった時、ベルフェゴールの体は動かず口だけが動いた。
ベル「アイアンメイデン……」
ゴン!!
言葉を唱えた時だった。突然2人の目の前に何かが立ちふさがりオルビスの小さな拳からベルフェゴールを守った。
オル !!
その何かとは言わずと知れずの拷問(処刑器具)のアイアンメイデンと呼ばれるものだった。
ベル「アイアンメイデンはただ中に入れて閉じるそ
れだけが使い方じゃない………素材としては金
属の類い故に固いから盾の代わりにもなる」
オル「くっ!!」
オルビスは自身の竜翼を広げて後ろへと下がると、
ベル「そして…こいつの中身は……」
パチンッ!
ベルフェゴールは左手で指パッチンをすると閉じているアイアンメイデンが開いていく。そして全て開くとそこから無数に針が飛んでいき後ろへと下がったオルビスへと襲いかかる。
オル「そんなもの!!」
自身の力を溜めて衝撃波として自分を中心に回りに放つ。そうする事によってベルフェゴールが放った針を全て弾き飛ばす。
ベル「中々出来るじゃないか」
オル「なっ!」
オルビスの背後にはいつの間にか、ベルフェゴールが大鎌を構えて立っていたのだ。ベルフェゴールは大鎌を振るうが、
オル「くっ!!」
オルビスは自身の羽を広げて飛んで攻撃を回避するが……
ベル「逃げても無駄だ……」
オル「またっ!」
またオルビスの背後にベルフェゴールがいたのだ。今さっき地上で攻撃を避けて上空へと回避した筈なのに何故自分の背後にいるのかが分からなかった。だがそんなゆっくりとは考えてはられない。故にオルビスは攻撃を回避し続けすぐに地上へとまた降りる。
オル「クソ野郎さんの偽物!さっきからどうやっ
て私の背後をとってるの!」
オルビスはベルフェゴールの猛攻を避けつつ言うとベルフェゴールは攻撃を休めずに話した。
ベル「俺は怠惰を司る………怠惰とは生物によるなま
ける事や堕落を表すつまりそれは体感時間だ
よ」
オル「体感時間………」
そうベルフェゴールの能力はただ単に生物で言うと本来は1時間の筈だが体では数分だと思って勘違いする現象、体感時間を操っているのだ。ベルフェゴールはそれを操り数分かかる移動や攻撃をオルビスに早く見せているという勘違いをさせていたのだ。だがそれだけではない。ベルフェゴール自身もその体感時間にのる事が出来る。そうすることで相手の動きが遅く見え更には数分かかる魔法詠唱も僅か数秒で出来たり毒などの進行速度も早くする事も出来る能力なのだ。
オル「ここまで強いなんて…でも……」
オルビスが呟くと同時にベルフェゴールの大鎌による凪ぎ払いがオルビスへと襲いかかるが、
ガシッ!
オル「その程度じゃ私はやられない!」
ベル !!
何とその小さな体でベルフェゴールの大鎌による凪ぎ払いを防ぐどころか片手で止めているのだ。それにはロリのルシファーを見てきて慣れていたと思ったがまた別のロリがこんなことをすれば驚いてしまう。だがこれは戦闘だ。ベルフェゴールもただ黙って見ているわけにもいかない。
ベル「いいのか?そこは俺の攻撃範囲だぞ?」
オル「なっ何!!」
オルビスの足元には無数の鎖が巻きついていた。それはオルビスの動きを制限するかのように……よく見ると大鎌の付属品としてついている鎖が地面に突き刺さり地面からオルビスの足を拘束しているようだ。
ベル「そしてな小娘………」
バチッ!バチッ!
左手でブイサインの形をベルフェゴールは作ると人差し指と中指の間が光る。それはまさかの電気だ。
ベル「金属は電気をよく通すんだよ…~…」
その言葉と共にベルフェゴールは付属についている鎖に左手を当てるとオルビスの足を拘束している鎖から電撃が襲いかかる。
オル「ぐっあああぁあぁあああ!!!!」
なおこの電撃の電圧はざっと500万ボルトに相当する。それはやられる側としてはとても辛いが、
オル「このっ!!」
オルビスは足に鎖が巻き付いた状態で背中に生える竜翼を羽ばたかせて上空へと飛び上がった。勿論そんな事をされれば……
ベル「こっこいつ!!」
ベルフェゴールも引っ張られる。しかも左手を離してしまい電撃もそこで止まってしまうが、飛び上がったオルビスは飛びながらベルフェゴールを壁にへと叩きつけて行く。
ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!
ベル「ぐはっ!!」
何度もやられてベルフェゴールは口から血を吐くがベルフェゴールもただ殺られるだけではない。何とか体制を立て直し自身の翼で羽ばたくと、
ベル「おとなしくしやがれ!!」
ドゴーン!!
大鎌をごり押しで振ってオルビスを地面へと叩きつけると同時にオルビスの足を拘束していた鎖も解除される。
ベル「ちっあのガキ………」
オル「はぁはぁ………」
ベルフェゴールとオルビスはお互いに睨み合う。そしてベルフェゴールはオルビスに、
ベル「お前中々やるじゃん………」
オル「私は平和な世界のために………悪の権化である
貴方達七つの大罪を許すわけにはいかいんで
す!!」
それを聞いた時こいつはまだそんな戯れ言を言うのかとブチキレた。はオルビスに怒りを込めて、
ベル「てめぇはまだ分からねえのか平和がどうこう
言う前にお前は疑問に思わなかったのか?街
の奴等は貧しい食事なのに関わらずてめぇは
普通に食事が出来た事やあっちは服なんて言
える大層な物でもないのにも関わらずお前は
綺麗な服を着てよお前はあの街で何を見てき
たんだ答えてみろよ」
オル「そっそれは…………」
それはオルビスにも分かっていた。ウリエルに質問した際の答えである「平和に暮らしている」それは真実を知っているオルビスなら間違いだとすぐに気づける。だが何故そこまでしないのか?簡単だ。里親でもあるウリエルに何ももの申せないからだ。だからこそオルビスは所詮、籠の中にいる鳥に過ぎないのだ。
ベル「言ってしまえばお前ら陣営の全能神そして
天使達がこんな世界にした本当の元凶だ…」
オル「……だ…………れ」
ベル「あ?」
オル「黙れベルフェゴール!!」
オルビスはもう何をすればいいのか分からなくなっていった。嘘だと思える事を言うベルフェゴールの言うことは真実。そして真実だと信じたい自分の里親であるウリエルの言うことは嘘……真実と嘘の狭間にオルビスは立っている。
オル「私は……私は!」
と、オルビスが言うとした瞬間だった。
ビキ!ビキビキれビキビキ!
突然天井にヒビが入っていった。そして天井一帯にヒビが行き届くと……
ドガーーン!!
天井が崩れ瓦礫となって落ち行く。そんな中オルビスはとっさの事でその場から動けず自分の目の前にまで瓦礫が迫ってきていた。
オル「はっ!!」
トスッ!
オル !!
その時だった。突然ベルフェゴールがオルビスにたい当たりをして押し出したのだ。そのお陰で瓦礫に埋もれる事は無かったがベルフェゴールは瓦礫の山へと埋もれていった。
オル「なんで……何で私を…私は敵なのに何で!」
瓦礫のやまに向かってそう叫んでいるとそこに2つの影が飛来した。1人は自身の里親であるウリエルそしてもう1人は六翼を持つウリエル達に近い存在であるルシファーだった。
ウリ「オルビス大丈夫!」
オル「ウリエル様………」
ウリエルはオルビスへと近づきそう心配しているとウリエルとオルビスの目の前にいるルシファーは、
ルシ「あら♪可愛らしい女の子じゃない♪」
オル「え?」
ウリ「ルシファー貴女達七つの大罪はここで終止符
をうつでしょう今‥‥私の隣にいる新たなる全
能神………オルビスの手によって」
ルシ「あらあらその子がターゲットなの?てことは
ベルフェゴールかアスモデウスが来てると思
ったけど?」
ルシファーがそう言うとオルビスは敵であるルシファーに、
オル「………ベルフェゴールならあそこの瓦礫の下敷
きになったわ……」
ウリ「オルビス偉いわ♪もう1人倒したのね♪」
ウリエルはオルビスを褒めるが当の本人であるオルビスはただ褒められた嬉しさよりもベルフェゴールの事が心配だった。だが教えられたルシファーは、
ルシ「はぁ~ベルフェゴール貴方ぷぷざまぁw」
と、ルシファーが瓦礫の山に向かって満面の笑顔で言った時だった。突然瓦礫の山から何かが飛び出した。それは先程オルビスが見たアイアンメイデンだった。そしてアイアンメイデンが開かれるとそこには、
ベル「おい誰がざまぁwだこの野郎?」
ベルフェゴールが出てきた。つまり生きていたのだ。しかもルシファーの台詞を聞いていたようだ。
ルシ「いや~ベルフェゴールならやってくれると
思ってたわよ♪」
ベル「どうだかな今の台詞を聞いてると思っても
ねぇだろ」
だがそれを見ていたウリエルはよりいっそう不機嫌になったがオルビスは安堵した。
ウリ「しつこいわね………」
と、ウリエルが言うがベルフェゴールはウリエルの言葉を無視して、
ベル「おいオルビスもう一度聞いてみろよ?お前の
信頼する奴にな………」
それを聞いたオルビスは深呼吸をしてウリエルに、
オル「ふぅ~ウリエル様しつこいかもしれないけど
街にいる子供達や大人達は平和に暮らしてい
るの?」
ウリ「えぇ楽しく暮らしているわよ………」
と、同じ答えが返ってくるとオルビスは確信した表情で、
オル「ウリエル様………私は街へと行ってきました!
そしてそこで街の人達の生活を見てきました
そこでは皆苦しんでいるのにどうして私達は
人間達に救済の手を差しのべないのですか!
何故ですか!!」
ウリ「…………そうね……人間達は……」
ウリエルは言葉を溜めて最後の言葉を述べた。そうもっとも言ってはいけないような言葉を、
ウリ「家畜以下の生き物だからよ?」
それを間近で聞いていたオルビスは冷や汗を背中で感じそしてベルフェゴールとルシファーは天使の本性を間近で見て、
ルシ「ついに本性現したわね………」
ベル「おぉおぉ怖い怖い」
ウリエルの豹変ぶりに凄さを感じているがウリエルはまったく気にせずオルビスに淡々と語りかける。
ウリ「いいオルビス?私達天使そして唯一神である
貴女は常に見下ろさなければならないのよ?
そんな所詮人間ごときにいちいち構ってはい
られないの分かってくれるかしら?」
オル「……………………」
ウリ「それにしても私の可愛いオルビスに色々とよ
くも吹き込んでくれたわね?」
ウリエルはベルフェゴールの方を向いてそう言うがベルフェゴールは隣を向いて、
ベル「だとよ謝ったらルシファー?」
ルシ「えっ?私なの!?」
ウリ「貴方よベルフェゴール!!よくもやってくれ
たわね………さぁオルビス私と協力してあの悪
魔達を……」
と、ウリエルが言おうとした瞬間の事だった。
グシュッ!!
突然ウリエルの左胴体を小さな拳が貫いたのだ。ウリエルは後ろを見るとオルビスは真剣な表情で、
オル「ウリエル様‥‥私は貴女の言うことに納得出来
ませんだからこれまでやってきた罪それを私
と償いましょう………」
ウリ「おっオルビス…あっ貴女……分かってるの私が
消えれば貴女は………」
オル「大丈夫です私もすぐに貴女の後を追う覚悟は
ありますから………」
ウリ「オルビス…私のオル…ビ……ス」
ウリエルは力尽きると同時に頭に輝いていた光輪は消えて消滅してウリエルは息を絶えた。オルビスは腕を胴体から引き抜くとベルフェゴールの前まで近づいて、
オル「クソ野郎さんいえベルフェゴールさん貴方に
お願いがあります私の介錯をしてくれません
か?」
それを言われたベルフェゴールはため息混じりに、
ベル「はぁ…分かった……」
ルシ「ちょっとベルフェゴール!!」
ベル「良いんだよこれで………」
ベルフェゴールは大鎌を持ってオルビスへと近づくと、
ベル「せめて楽にしてやるよ……」
そう言いオルビスの顔の前で手をかざす。
オル(ウリエル様…私すぐに行きますね……)
オルビスはこの時自分にとって最初で最後の親友ベルフェゴールに介錯してもらえる事が嬉しかった。これで心置きなく罪を償えるとそう考えているうちにオルビスの意識は遠退くのだった。
ベル「それじゃあなオルビス……」
そう言いベルフェゴールは刃が光る大鎌を構えそして、
ベル「また会おう……」
ジャキン!!
そう言いオルビスへと大鎌を降り下ろしたのだった。