満月が輝き光は森にもかかる。そんな夜の森では、
狼 「ガーーーウ!」
と、狼が咆哮を上げて自分に襲いかかってくる。
理 「よっと!」
だがその飛びかかりを最小限の動きで避ける。そしてまた着地すると狼はこちらにうなり声をあげてくる。
狼 「ガルルルルル!!」
理 (でも妙だな………)
この時、理久兎はこの狼の子供は少しおかしいと感じていた。その理由は、
理 (普通の狼達は、確か群れで行動している
と聞いたんだけどな…………)
そう理久兎の目の前の狼はたったの1匹だ。それも子供の狼だ。それについて疑問が渦巻いていた。だがその隙をついてきたのか狼が再び理久兎に飛びかかってくる
狼 「ガーー! 」
理 (少し怯ませるか!)
そう考えて今出せる力の100億分の1の力で軽く衝撃をだした。
理 「ふん!」
バン!
狼 「ガフ!」
それを受けて狼の子供は吹っ飛ぶが、
ザーーーー!!
狼 「ガルルルルル!」
土煙をあげながら瞬時に着地し理久兎に攻撃の体制をとる。
理 「あれを受けてまだ立つか………」
と、呟くと突然だった。その狼は、
狼 「ガーー!」
理 「な!」
狼はなんとありえないことをしたのだ突然スキマに結構近いような裂け目が出現したかと思うとそれに狼が飛び込んだのだ。そしてそれと同時にその裂け目も消え狼の姿も見えなくなる。
理 「どこに!」
すると突然理久兎の背後にさっきの狼が出した裂け目が出現するとその中から、
狼 「ガウ!」
理 「まずい!」
カブ!!
理 「くっ!!」
理久兎はそれにとっさに気付きなんとか左腕で狼の噛みつきを防ぐだが理久兎は腕を狼に噛みつかれてしまった。そこから血が溢れ出てくる。
理 「どけ!!」
狼 「ガフ!」
理久兎は噛みつかれている左腕を思いっきり振って狼を振り落としたそして狼は振り落とされてもまた体制を立て直す。
狼 「グルル!」
狼は未だに敵意を示してくる。
理 (油断したたかが獣と侮った……)
油断さえしなければ傷を負わなくても済んだと思った。だがそう考えながらもまだ臨戦態勢だ。だが突然狼が、
狼 「ワオーーーン!」
吠えるとまた裂け目が表れてまたその中に飛び込んだ。
理 「来るか!」
だが理久兎の予想とは裏原に数秒待っても狼が現れなかった。
理 「居なくなったのか?……」
理久兎はここで警戒体制を解く。そしてさっきから頭に渦巻いている疑問を考える。
理 (あの狼何かあるな……)
理久兎はそう考えるその理由などはまず本来群れで行動する狼がなぜ1匹で理久兎を襲ったのか。なぜ子供なのに近くに親の姿がなかったのか。そしてなぜあれに教われた旅人達の命をとらなかったのか。疑問が増えていくばかりだ。
理 (まず左腕の治療をするか……)
ビリ!
理久兎は自身の服の裾を破いて包帯変わりにまいた。
理 「これでよし…さてあの狼を探すかな……」
そう言って理久兎は、先の狼の子供を探すことにした
理 (とりあえずさっきので気配はつかんだ
から後は、うまく見つけられれば……)
そう考えながら理久兎は、狼の子供を探し約30分捜し周りようやく…、
理 「ここら辺にさっきの狼の気配がするな」
そう言って理久兎は、茂みの奥にと足を踏み入れる
ガサガサガサガサ
自分の体が茂みのとぶつかり合い音をだす。
理 「ここは……」
理久兎は、歩きようやくある場所にたどり着くそこは……
理 「廃寺?」
暗い夜の闇に月明かりにが照らされ古びた廃寺が写り出される。もう誰も使わなくなった古い廃寺だ。寺の素材である木材などが老朽化して腐っているのが見て分かる。だがその廃寺から、
? 「クゥーーーン…………」
何か動物の鳴き声が聞こえる。その鳴き声は弱々しく今にも消えてしまいそうな風前の灯火だ。
理 (少し様子を見てみるか……)
そう考えた理久兎は夜の闇に紛れ寺に近づく。その寺で見たのは、
理 (あれはさっき見た狼の子供…いや
もう1匹いるな……)
そうさっき理久兎に襲いかかった勇敢な狼の子供がいた。だがもう1匹狼の子供の姿が見えたのだった。
狼1 「クゥーーーン…………」
狼2 「クゥ…………ン」
狼1は弱っている狼2に鼻を擦り付けている。
理 「なるほどねあの子を助けるためにか
……面白い」
そう呟き理久兎は狼達に近づいていくのだった。