終末なにしてますか?死にたくないですか?助けてもらっていいですか? 作:朝が嫌いな人間
「行くぞ!!!」
未来視を駆使して、地上に出ている分の触手の群れを切り倒していく。
【上からの攻撃、斜め下からの薙ぎ払い、正面からの突き】…全てアグニールが教えてくれる。俺にはこの攻撃が見えている・・・躱して、躱して、躱して、魔力を限界まで熾して、全て薙ぎ払う。斬って、斬って、斬って、斬って切り倒していく。耐えきれなくなったのか、獣が完全に姿を現した。あれは・・・そこに居たのは、やはり深く潜む六番目の獣(ティメレ)と白い翼の生えた未確認の獣だった。
次の瞬間、相当つかれていたのか予知が解けてしまい背後から迫りくる触手に気が付くのが遅れた。ハンマーで強く殴られたような衝撃が背中から全体に駆け巡る。
痛みで、息が・・・
「カハッ・・・・」
クソ・・・意識が・・・・・・・約束したのに・・・・・・・そこで意識が暗転した。
最後に目に浮かんだのはネフレンの顔だった。
★★★★
ここはどこだろう?辺り一面が花畑になっている。ハハ、天国てやつかな。
「違うよ。ここは君の精神世界だよ。君の一番印象に残っている場所を再現してみたのさ。」
「君は誰?」目の前に、15歳ぐらいの少女がいる。
「僕のことはいい。それより君だ。今の君は死ぬ寸前だ。このままでいいのか?」
いいわけない。でもどうしようもないだろ。
「ハア~。君は帰りたいんだろ。」
ああ、帰りたいよ、約束したんだ必ず帰るって。でも力が足りないんだ。あんな数相手にどうしろっていうんだ。
「力がほしいの?」
ああ、ほしい。この状況を打破できる力がほしい。
「いいよ。貸してあげよう。今回は、サービスだ。いけルツ!」
目が覚める。あれだけ、攻撃を受けたのに、体が動く。魔力が熾せる。どうすればいいのか分かる。俺は、魔力を聖剣に流す・・・そして放つ。
轟音の後に目の前が、消し飛んでいた。そこで今度こそ、意識が消えた。
★★★★
ハッ・・・・体を反射的に起こそうとすると痛みが走った。
「いっ・・・」あまりの痛みに、思わず顔をしかめてしまうがそんな暇はない。
辺りを見回すと、辺り一面がれきの山だった。あれからどうなったのだろう。戦闘音はもうしないし、やけに静かだ。みんなはどうなったのだろう?無事だといいのだが・・・。痛みで一人で動けそうにない。がれきが邪魔で周りが見えない。中々厳しいな・・・・。太陽の位置からして結構時間が経っているだろうな。このままではらちが明かないな・・だが、無理やり魔力を熾しての移動は可能なはずだ。思いっきり、魔力を熾して、空を飛ぶ。そして唖然とした。周りは、一面がれきだらけだったのである。来た時はここまでひどくはなかったぞ・・・。ただ、船の残骸は見つからなかった。みんな撤退できたのだろう。ただ、帰る手段もなく途方に暮れてしまっていた。
イグナside
数時間前・・・・
「クソ・・・まだ、ルツは見つからないのか!!!」
ルツが攻撃を受け落下してから5分が経つ。これ以上の捜索は、全滅に繋がる。
一位武官としては、撤退するべきなのだろう。だが、『イグナ』個人としては、何としてでも助けたい。しかし、現実は甘くない・・・。獣の猛攻を潜り抜けながらこれ以上捜索するのは無理だ。これ以上は、獣に殺されかねない。あれだけ大口をたたいたのにこの様か・・・クソ!
「撤退の準備できました。」「何時でも飛び立てます!」
決断しなければならない。
「撤退だ・・・・総員撤退!!!!」
声が震える。だが、抑えなければならない・・気丈に振る舞え!!!唇を血の味がするまでかみしめる。
心の中で、あの勇敢な少年に謝るそして、必ず助けに戻ると、誓う・・・生きていてくれよ・・・。島を飛び立った時、白い光が目の前を覆った。目をかばい腕で隠す。
「何だ!?」目を開けると、島が半分なくなっていた。
ルツside
取り合えず、何故か獣が活動していない今に、移動しないと・・・。
どこか見晴らしのいい場所はないか辺りを見回す。・・・するとちょうどいい感じの場所を見つけた。あそこで救助を待つことにする。・・・・安心したら、眠くなってしまった。
今日はもう寝よう。
★★★★
「やあ、さっきぶりだね」
目を覚ますと辺りが花畑になっている・・・。さっき着た場所だ。正直、まだ受け入れられない。
「君は、結局誰なんだ?」
「僕の名前は、アグニール。君の聖剣さ」
「聖剣・・・俺の聖剣には意思があるとでも?」
「そうだよ、信じられないって顔だね。でもさ、君があの土壇場で、獣を倒せたのが偶然だとでも?君、自分がどうやって獣を倒したか、覚えてるか?」
そう言われると、確かに思い出せない。ん・・・
「・・・獣を倒したって言ったか?」
「そうだよ、君は島ごと、獣を消し飛ばしたんだ。」
さらに聞こうとすると、眠くなってきた。
「時間切れだ。この話は他の人に話しちゃだめだよ」
意識が・・・
★★★★
68番島 同日夜・・・
ナイグラートside
子供たちが任務に行くときはいつも心配で胸が張り裂けそうだ・・・。
「何でいつも危険な目に合うのはうちの子たちだけなの・・・」
あの子たちは、まだまだこれからなのに、どうして・・・
本当は、ルツには、行ってほしくなかった。ルツは聖剣の能力の特性上、生存率が高くない任務に就く場合が他の子たちよ多いのだ。
まだ14歳だというのに、色々なことに諦観している・・・いや大人ぶってるだけで、本当は行きたくないはずなのだ。でも彼は理解してしまっている、妖精兵の意味を、自分のなすべきことを・・・それでもかえって来ようとするのは、ネフレンの存在が大きいだろう。
「駄目ね、私がこんなんじゃ他の子たちに、示しがつかないわね。」
気持ちを整理して、寝ようとしたとき無線連絡機から連絡がきた。
嫌な予感がした。
「はい・・・こちら68番島妖精倉庫」
「こちら第二師団・・・イグナ一位武官だ。報告だ・・・今回の作戦で、深く潜む六番目の獣(ティメレ)と新種の獣を確認、妖精兵ルツ・イア・アグニールがこれを撃退。島は半壊彼以外のメンバー以外は生還した。
「っッ・・・」声が出なかった
「詳しいことは、後日報告させてもらう。以上だ」
そう言って通信は一方的に切られた・・・。
声にならない嗚咽がもれる。今夜は寝れそうにない。