散れっ・・・。人は、世界がバラバラに・・・。
バラバラになれと・・・まかれた種だ。だから・・・。
『孤立』せよ・・・!
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少女の生い立ちは悲惨だった。
この世に生を受け、まず初めに赤子は何を見る?もちろん親であろう。満面の笑みであったり、涙を流したりする親だろう。長い人生、人には必ず差が生まれる。しかし、その始まりであるこの地点はそうそう揺るがない。
しかしながら少女が見たものは空だった。どこだか分らぬ地に捨てられ、見れば虚空の圧倒的な孤独。少女は生まれながらにして『孤立』していた。
それから程なくして少女は施設に預けられた。どうにか、少女の命は約束されたのだ。
だが、少女が一般的なそれのように育つということはなかった。少女は愛情を受けて育ったことがない為に愛情のかけ方を知らない。そしてそれは人との関わりをなくし、喜怒哀楽を薄くさせた。そしてそれは少女が小学校を卒業しても変わらなかった。
しかし、そんな退屈を実感するたびに思い出すことがある。感情が薄い少女の唯一と言っていい、胸躍る記憶。
白騎士事件。恐らく知らぬ者は赤子だけと言われる大事件。あれを見た時の少女の表情はとても印象的であった。死んだような眼をしていた普段からは考えられない程に瞳を輝かせ、食い入るようにそれを見つめていた。その眼にこめられた感情が喜怒哀楽のどれに属するかは未だに分からない。
それから彼女が変わったということはなかったが、別段変わりない平穏な日々が続いた。しかし・・・。
20xx年夏、事件は起こった。少女は施設を飛び出した。勿論、ほどなくして施設に保護された。まだ14歳の彼女の行動力には限界があったのだ。
これはその直後のカウンセリングの様子だ。
「どうして施設を飛び出そうなどという真似をしたんだい?」
「・・・・・・・・・」
「施設に不満があったのか?」
「・・・ええ、大有りよ」
「・・・君が発見されたあの廃屋のようなアパート、あそこで君は暮らしていたのだろう?どう考えてもここの方が文明的、快適な生活だと思うが」
「違う・・・。その不便さ、孤独がかえって私にとって『豊か』だった。こんな施設うんざり、正直言ってここにいるだけで気が狂いそうになる。あの頃の方がよっぽど自由だった、自分によって自分のすべてが決まるから」
「・・・勘違いしないでくれ。君はまだ子供だ。非力で何の力もない。そんな君が独立などと思いあがるな!」
「・・・その力を示す為に、私はここにいるんだ」
ああ、実に面白い少女だ。明らかな社会不適合者。変人、奇人。だからこそ見てみたい。
彼女がそこで何を起こすのか。
目の前に差し出された、少女に対してのIS学園入学案内を眺めながら、私は年甲斐もなくワクワクが止まらなかった。
その力とやら、君は証明できるか?