ストーリーも覚えてないから次回作にご期待ください(数年後の次話)
―――ミュウがどっか行った。
オーキド研究所から脱出してすぐに気づいたことだ。透明になって隠れていたミュウなのだが、呼び掛けに一切応じない。その状態のまま二日経っている。
いたずらにしても流石に長すぎるし、既に旅立ったと思っていいだろう。最悪なのが研究所で捕まってることだが、あのミュウに限ってそんなことはない。『テレポート』だって使えるし、そもそも透明なやつをどうやって見つけて捕らえるというのか。少なくともそんな機材か何かは見かけなかった。
木の実を持っていかれたことが少しショックだが、ともかく俺から離れてくれて良かったよ。これで狙われる心配がなくなる。いや、電気玉が危険物として扱われてるならミュウがいなくても狙われるか?
まあその辺は追々考えよう。今は電気玉についてだ。
イッシュ地方で生産された電気玉は今はもう生産がストップしている。理由はオーキド曰く危険だから。ピカチュウ一匹の攻撃力を二倍するだけの道具のどこにそんな危険があるのか知らないが、まあともかく数が限られているらしい。
具体的な個数は分からないが、多くても二桁だろう。そんな危険物らしいものを大量生産出来るとも思えないし。
問題は、世界のどこに電気玉があるかだ。
ポケモンの世界は未来の地球説というのがあるように、この世界は地球と同じような広さを誇っている。その中から電気玉をいくつか見つけるのにどれだけ苦労するか。きっと砂浜に落ちた小さな宝石を探すくらいには大変だろう。さてどうしたものか…。
☆
思えば単独で行動するポケモンはどのように生活しているのだろうか。
木の実(飯)を食って惰眠を謳歌しているのか。それだとニートと変わらないな。そこにポケモンバトルというのを加えるとポケモンの生活を表せる。
だがそんな毎日毎日バトルしてるかと言われたら答えは当然ノーだ。バトルしない日だってある。その日はニートと何ら変わらない。
つまりポケモンイコールニートというのが証明出来るのだ!
……目的を見失い過ぎた。そもそもニートは家の中にいるから立証出来ないな。
現在トキワの森の自分の巣に帰ってきた。不思議なもので木の実は全く腐っていないし痛んでもいない。いくらか減っているのは何者かが拝借していったからだろう。留守にしてた俺が悪いからそいつらは責めないさ。
さて、八方塞がり…でもないが、電気玉の収集は困難なことになった。何せ情報が少なすぎるし、数も少ないし、世界は広いしで探すこと自体無理と言わざるを得ない。
無鉄砲に旅をしようともそれで見つかる確率もそれこそゼロに等しい。なら、何か新しくやるべきことを見つけよう。そのついでに電気玉を集めよう。そうすれば途方もない感じが少し薄まる。
とはいえ何をしたものか。レベルを上げるか? しかしレベルアップの感覚がこれまで感じられなかったんだよな……あのビードル曰く、「レベルが上がればそれに気付かないバカはいない」らしい。つまりあれだけスピアーを倒してもまだレベルアップの兆しがないのだ。さらにレベルは何もバトルに勝ったから経験値が増えて上がるというものでもない。アニメでもあるようにバトル中の進化なんてザルにあるし、感情で規定のレベルに達していなくとも進化することだってある。
つまりあれだけバトルしたのに、これまでの経験は一切経験値に加算されていない可能性がある。あんな強敵のスピアーと戦ったにも関わらず、だ。
相手のレベルというのは本能的に感じる強さでおおよそを測れる。あのスピアーはレベルが七十は超えているだろう。それくらいの圧力があった。
だが俺のレベルは大きく見積もっても十五から二十前後。そこから上がる気配が全くない。
まあそれでもやりあえるのが
つまりだ。俺はレベルが上がらない可能性がある。理由はよく分からない。ゲーム的に予想すると道具を複数持っている…ってか効果が重複されてるからバグってレベルが上がらないとか。
まあ妥当なことだ。もしレベルも上がったら尋常じゃない攻撃力になる。ピカチュウを百レベルまで育てたことないから分からんけど、多分四倍したら五百は超えるだろ。そんな必中一撃必殺状態じゃあ色々とバランスが崩れてしまうのだろう。
ずいぶんと話がそれた。要はレベル上げは目標にならないということだ。
ふむ、それなら…伝説のポケモン巡り。やってみようか。
思えばポケモンの世界を満喫していなかった。折角夢にまで……は見てないが、異世界に来れたのだ。おそらく体験することのなかったことを体験できているのだから、存分に楽しまなくてはもったいないだろう。
自分が誰なのかはまあ…今必要ではないし。なんだったらアルセウスに出会って、質問ができれば全部分かることだ。後回しでいい。
よし、そうと決まれば早速探しに行こう。
目指すはサンダー、ファイヤー、フリーザーの三鳥と出会うことだ。
ミュウツーはいるか、というか作られてるか分からんから保留で。