ガラスの天才   作:野獣君

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お待たせいたしました



合宿前日

夏休みの生徒会室。クーラーはガンガンに聞いているがそれでも外の暑さの方が圧倒的に上回っていてなにもしなくても汗が吹き出てくる状態になっていた。その中で生徒会メンバーの深月、充、大翔、幸二郎、生徒会長の5人は予算や今後の日程などの書類作業に追われていた。

 

「あっち~」

 

「幸二郎、口じゃなくて手を動かせ」

 

「んなこと言ったってさ、今日は流石に暑すぎんだろ」

 

「夏だから当たり前だ。奥沢、書類追加な」

 

「えー!俺だけっすか!?」

 

「お前だけ圧倒的に作業が遅れてんだよ。このままだと期限に間に合わないんだぞ」

 

「えー、ちょ…俺この後柔道部の合宿に合流しなきゃいけないんすけど…」

 

「我慢しろ、大会が大事なのはわかるが今は目の前の事を終わらせろ」

 

「マジか…」

 

「あの、奥沢君。僕も手伝おうか?」

 

「いいんすか!?」

 

「僕の作業はとっくに終わってるし、奥沢君それ一人でやるのも大変でしょ?」

 

「ありがとうございます!」

 

「あ、俺も手伝います」

 

「おっ、サンキュー!桃山!」

 

「おい、お前ら…」

 

「いいじゃないすか、会長。二人はちゃんと自分の作業を終えてるわけだし」

 

「はぁ、わかったよ。…俺は帰る。戸締まりはよろしくな」

 

少し呆れた感じで会長は帰っていった。

 

「会長って、昔からあんな感じなんですか?」

 

「いや、前の方がすごかったね。先輩にも容赦なかったしとにかく妥協するのがすごい嫌いだったね」

 

「そうなんですか…」

 

「まぁ、彼の家系はみんな上に立つ人間ばかり輩出してるからね」

 

「へぇ~」

 

「二人とも頼むから手を動かしてくれ…」

 

30分後、机に山のように積まれた書類は無事に全て処理し終えた。幸二郎はもちろん手伝った深月と充はすっかり疲れきった顔をしていた。

 

「それじゃあ、俺は合宿に合流するんでこの辺で失礼します」

 

幸二郎が出ていった後、少しして大翔も部活関連で出てってしまい深月と充だけになった。

 

「そう言えば、東山さんは文芸部の方は行かなくて大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫だよ。新入生がそこそこ入ってくれたおかげで結構賑やかになったし、みんな良い子達だしね。桃山君も入る?今からでも遅くはないよ」

 

「いや、遠慮しときます…」

 

「そう…残念…」

 

「でも、本を読むのは嫌いではないですよ。心が落ち着きますし、何より自分だけの時間に浸れるので」

 

「成る程。桃山君は主にどんな本を読むの?」

 

「ほとんどは音楽関連ですけど、たまにミステリーものを読みますよ」

 

「そうなんだ、それなら尚更文芸部に入ってもらいたいけど仕方ないね。あっ、もうこんな時間か。それじゃ、僕も帰るね。戸締まりお願いしてもいいかな?」

 

「大丈夫ですよ」

 

「ありがとね、じゃあまた」

 

東山も帰り、深月一人になった。外を見ると、少し雲が広がってきていた。

 

「あっ!やべっ!洗濯物出しっぱだ…」

 

急いで生徒会室を締めて、鍵を返してから昇降口に向かったが、その頃にはポツポツと降りだしていた。

 

「行くしかないか…」

 

しかし、家に近づくにつれ雨はだんだんと強くなっていて、家に着く頃にはどしゃ降りとなっていた。

 

「なんとか被害は最小限に抑えられたかな…」

 

慌てて取り込んだ洗濯物を一つ一つ確認していく。一部は少しだけ濡れてしまったが、後はなんとか大丈夫だった。

けど、気になるのは明日の天気だ。制服から普段着に着替えるテレビをつけるとちょうど気象予報士が明日の天気の動向を解説していた。

 

『爆弾低気圧は今夜遅くに関東を通過し、東に進んでいきますので、関東から西にかけては概ね晴れるところが多いでしょう。しかし、明日はの関東周辺は暖気と寒気がぶつかり合い非常に大気が不安定になります。急な雷雨にご注意ください』

 

ため息をつきながら、テレビを消しソファーに深く腰かけると、携帯の着信音が部屋に鳴り響いた。かけてきたのは蘭だった。

 

「もしもし、どうかした?」

 

「明日、つぐと泊まりに行くの?」

 

「ああ、つっても合宿だけどな」

 

「何の?」

 

「表向きは女子学園と青陵学園の生徒会の親交を深めるってやつだけど、俺とつぐだけじゃ適当に過ごして終わりだろうけど」

 

「ふーん…あたし達がいないからってつぐに変なことしたら許さないから」

 

「なっ…!す、するわけないだろ!」

 

「ほんとに?」

 

「ほ、ほんとだって!」

 

「…わかった。今回だけは深月を信用してあげるよ」

 

「俺どんだけ信用されてないんだよ…」

 

「私が言いたかったのはこれだけだからまたね」

 

「そしてスルーっすか蘭さん…」

 

俺の呟きもむなしく電話は切れた。それにしても蘭のやつどんだけつぐが心配なんだよ。間違っても襲ったりなんかしないって。…俺の理性が崩壊さえしなければ。

 

(もうだめだ。さっさと風呂入って明日に備えよう)

 

風呂から出てから明日の日程を確認する。明日は駅に集合してそこから電車で目的地の最寄り駅まで行って、そこから歩きだ。そのためにも寝ようと布団に飛び込むがなかなか寝つけられない。そうだ!羊を数えればじきに眠れるはずだ!

 

「羊が1匹、羊が2匹…羊が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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