一週間というのは早いものだ。普段何気なく過ごしていれば早くもなく遅くもないというような感じで過ぎていくが、悩み事などがあると1日がとても早く感じる。あのおっさんに一週間の猶予を言われてから5日が過ぎていた。答えはまだ出ない。
小さい頃の俺ならすぐに答えは出ただろう。夢だったピアニストになるためなら日本を出てもいいくらいの考えだっただろう。でも、今は違う。支えだった両親を亡くし、目標だった兄を亡くした。ピアノは毎日弾いていたといっても気を紛らわすためか、気分転換するためだけに弾いていた。いくら小さい頃の俺の演奏が記憶に残っていても今の演奏を聴いたら幻滅するからもしれない。それが怖かった。
しばらく学校に来てなかったのを蘭達が心配してくれたのか、見舞いに来てくれた。けれども、俺は強がった。大丈夫だ、明日には学校に行けると。我ながらつまらない強がりだった。少し話した後、蘭達は帰っていった。でも、つぐみだけは俺の部屋に残っていた。
「帰らないのか?」
「うん、もう少しいさせて」
「いいけど…」
しばらく続いた沈黙の後、つぐみが決心したように口を開いた。
「みーくん、私に何か隠してる事ある?」
「どうしてそう思う?」
「だって、今笑ってるよね。それもかなり無理して」
「……」
「みーくん昔からそうだったね。何か悩み事抱えてたりすると大抵無理してみんなを笑わせようとしてた。そんなキャラじゃないのに」
「お前も言うようになったな」
「誤魔化さないでよ。現に蘭ちゃんとかと話してるとき笑ってたけど私には辛そうに見えたよ?」
「……」
「ねぇ、話してくれないかな?どんな些細なことでもいいから」
「…お前には関係ない…」
「…っ…関係あるよ!!……何でそうやって自分だけで解決しようとするの?何で私達から逃げるの?何で信じてくれないの?何で頼ってくれないの!?」
「……」
「ねぇ、なんとか言ってよ…!なんで黙ってるの!?」
「……つぐ…もし、俺がピアノのために海外に行くって言ったらどう思う?」
「え…?」
「お前は笑顔で送り出してくれるか?例え一生日本に戻らなくなってもいつもの笑顔で送り出してくれるのか?」
「それは…」
「無理、だよな…普通に考えて」
「……るよ」
「え…?」
「私は応援するよ…。だってそれはみーくんが叶えたい夢なんでしょ…?だったら応援するよ」
「つぐ…」
「それに…好きな人の夢は応援したいからね!」
「……!」
「じ、じゃあ私そろそろ帰るね!お大事にね!」
「待ってくれ、つぐ!」
「な、なに?」
「その…このタイミングで言うのもなんだけど…実は俺も…お前が好きだったんだ…!」
「……!」
「昔からお前の眩しい笑顔とか…人のために全力だがんばるところとか、あと…時たま見せる…か、可愛いところとか……って、どうしたつぐ!?なんで泣いてるんだ!?」
「だって……嬉しくて…ずっとずっと好きだったから…」
「ごめんな、伝えるのが遅くなって」
「ううん、私の方こそ…」
~後日~
「それで、深月に告白したの?」
「うん」
「そっか。で、返事は?」
「みーくんの方も好きって言ってくれたよ」
「それじゃあ、両思いじゃん!良かったねつぐ」
「うん!」
「それが聞けて安心したよ。じゃあね、つぐ。深月とお幸せにね」
「ありがとう!美咲ちゃん!」
「はぁ、先越されちゃったか……あたしも好きだったのかな深月のこと」