12月24日 クリスマスイブ
年に一度しか訪れない特別な日であり、世界中の多くの人が家族や恋人など大切な人と過ごす日だ。日本も例外ではなく、俺の住む町も店や行き交う人々はクリスマスに染まっており、俺もその1人だった。周りを見渡すとカップルや家族連れ、友達同士など必ず二人以上で行動してる人がほとんどでましてや駅前に1人でいるのは俺ぐらいだった。だからといって、俺はボッチではない。ちゃんと人を待ってるのだ。それも大切な人を。
時計をチラチラ見ながら冷たい北風に身悶えていると、とんとんと肩を叩かれた。振り向くと俺の待ってる人が立っていた。
「待った?」
「まぁ少しな」
「そこは全然待ってないよって言って欲しかったなー」
奥沢美咲
彼女が俺の待っていた人だ。高校の先輩の妹さんで音楽に携わっているという共通の趣味から仲良くなった。
「今日良かったのか?」
「何が?」
「いや、ハロハピのみんなや家族と過ごさなくていいのかなって…」
「あー、確かに。これまでの私ならそうしてたかもね、でも今は違う。君という大切な人が私には出来た。だから私は今日という日を君と過ごすことにした。ただそれだけだよ」
「美咲…」
「そろそろ行こっか、体冷えちゃうしね」
「ああ」
クリスマスイブともなるとやはりカップルが多く、通りを歩いていても男の横には必ず1人女がいるという感じだった。中には人前で堂々とイチャイチャしたりする輩もいて正直見てるこっちが恥ずかしかった。ふと、美咲の方を見てみると頬を赤くして見ないようにしてた。どうやら考えてることは同じのようだ。
「そういえばさ、美咲の欲しい物ってなに?」
「どうしたの?突然そんな事言い出して」
「いや、誕生日の時あまり祝えなかったからもし欲しい物あるなら今から一緒に買いに行こうかなと思って…」
「女性物の下着って言ったらどうするの?一緒に選びに行ってくれる?」
「バッ!?何言ってんだ!そ、それとこれとは違うだろ!?だ、第一…下着なんて…」
「ぷっ、あはははは!冗談だよ、深月ってほんとからかうと面白いよねー」
「冗談でも結構焦るから勘弁してくれ…」
「ごめん、ごめん」
いつからか、美咲はこんな風に俺をからかうようになってきた。初めは体育会系の兄とは対照的におとなしそうだなとは思ってたけど色々過ごしていくうちに周りがよく見えてる子だなと思ったし、同時に苦労してる子だなとも思った(実際苦労してた)。けど今は俺といるときだけ見せてくれるいたずらっ子のような表情や、女の子っぽくなる仕草など彼女なりに心を開いてくれているのがわかる。
「そういえばさ、さっき欲しい物の事だけどさ思い出したんだ」
「おっ、どんなものが欲しいんだ?」
「それはね………なんだ」
「ん?なんだ?もっとでかい声で言ってくれよ」
「んっ…」
「!?」
「私が欲しかったのは深月を好きになる気持ちだったんだ…。でも、今日やっとそれが手に入った。…ねぇ、深月。こんな私でもずっと側に居てくれるかな…」
「当たり前だろ、俺も美咲が大好きだ!だからずっと側にいよう!」
抱き締め合う二人の側にはプリムラジュリアンが咲き誇っていた。
プリムラジュリアンの花言葉は「永続する愛情」