ガラスの天才   作:野獣君

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ちょっと煮詰まってました…。


お誘い

「live…ですか?」

 

「そう、俺の従妹が今度の土曜日SPACEっていうライブハウスでliveするから見に来いって言われたんだけど、一人じゃ心細いから一緒に行かないか?」

 

「俺で良ければいいですよ」

 

「良かったー!いや~、桃山しか頼める奴がいなかったんだよな~」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、大翔は部活だし、充さんは彼女とデートだし、会長はみての通り堅物だから来るはずないし、だから桃山がOKしてくれてほんと助かったよ」

 

「いえいえ、土曜は俺も暇だったので」

 

「それじゃ後で連絡するからな」

 

「はーい」

 

「お前ら、誰が堅物だって?」

 

「「え?」」

 

二人が振り向くとそこには鬼の形相でポスターを丸めて立ってる我らが生徒会長の姿があった。

 

「や、やだなぁ会長の聞き間違いじゃないっすか?」

 

「そ、そうですよ。きっと、いや確実に聞き間違いです!」

 

「そっか、聞き間違いか。……んなわけあるか!遊びの約束してる暇あったら掲示板にこれ貼ってこい!!」

 

「「は、はーい」」

 

 

 

「ふぅ、これでラストか…」

 

「やっと終わりましたね…」

 

「全く…会長も人使いが荒いのは去年から変わらないなぁ」

 

「えっ、会長が?」

 

「うん。会長は頭は凄くいいし、回転も速いけど人を扱うのが下手なんだよね」

 

「へぇ~」

 

「最初の定期会議は大変だったよ…うちが女子学園と合同で奉仕活動をやる時、一応打ち合わせはしたんだけど当日の会長の現場の指示の効率が悪すぎて向こうに怒られたしてなー」

 

「そうなんですか…」

 

「後でみんなで謝りに行ったのはいい思い出だよ」

 

「そんな事が…」

 

「さっ、この話はおしまい!生徒会室へ戻ろうか。……ってやべ!部活の時間だ!桃山、後任せていいか?」

 

「ええ、大丈夫ですよ」

 

「わりぃ!後、例の件はまた連絡するわ!じゃあ!」

 

そう言うと奥沢さんはダッシュで生徒会室へ荷物を取りに戻っていった。

 

 

「やっと、終わった~。会長ー終わりましたよー」ガラッ

 

生徒会室には誰も居らず、代わりに一枚のメモが残されていた。

 

『桃山へ

あまりにも帰ってくるのが遅いので、先に帰るぞ。窓と扉の戸締まりよろしく。

桃山君ごめんね』

 

最後のは間違いなく東山さんだろう。あの会長は余程の事がない限り謝罪はしないし、仮にこんな言葉使ってたら逆に気持ちが悪い。

 

「俺も帰ろう」

 

このあとしっかり戸締まりして帰りました。

 

 

その夜、夜飯の材料が無いことに気付き、閉店間際の羽沢珈琲店に慌てて駆け込んだ。で、今に至る。

 

「ご注文は?」

 

心なしか、口調が少し怒ってる。

 

「つぐ、やっぱり怒ってる?」

 

「ご注文は?」

 

「うっ…サンドイッチとカプチーノで…」

 

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

 

仏頂面のまま彼女は厨房へ向かっていった。やっぱり気のせいじゃない、絶対怒ってる。つぐのお父さんは「全然平気だよー!」と言ってくれたがまぁ、怒るのも無理はないだろうな。閉店間際にやってくるやつなんて店側からしたら迷惑だしな。

考え事をしてるうちに料理は届いていて、つぐが俺の対面に座って頬杖をついて膨れっ面をこちらに向けていた。

 

「ごめん、つぐ。俺が悪かったからさ、そんな顔すんなって。食べにくいだろ」

 

「……」プクー

 

「あ、そういえば最近若宮さんを見ないな。どうしたんだろうな」

 

「イヴちゃんは関係ないでしょ」

 

「はい、すいませんでした…」

 

「はぁ…わざわざ店に来なくても言ってくれれば家で食べさせてあげるのに…」

 

「何か言った?」

 

「別にー」

 

「…ごめん、つぐ。俺に出来ることならさ何でもするから」

 

「ん?今なんでもするって言ったよね?」

 

「おい」

 

「ふふっ、冗談だよ。…そうだなぁ、じゃあ今度の土曜日にSPACEでライブするから見に来てくれる?」

 

「ああ、いいよ。元々行く予定だったし」

 

「やった!絶対来てね!」

 

「はいはい、わかったよ」

 

「そういえば、元々行く予定って言ってたけど誰と行くの?」

 

「生徒会の先輩。従妹にバンドやってる子がいるんだって」

 

サンドイッチを頬張りながら答える。お、これ美味い。

 

「へぇー、あっサンドイッチ美味しい?」

 

「うん、美味いよ」

 

「良かったー。それ私の自信作なんだよね!」

 

「あ、そうなんだ。凄いな、つぐは。きっと将来いいお嫁さんになるなー」

 

「えっ、お、お嫁、さん?」

 

「うん、このカプチーノもまろやかでいい感じだし」

 

「そ、そんな…//お嫁さんだなんて//」

 

「ふぅ…御馳走様。じゃあ会計をっと…あれ、つぐ?」

 

「お嫁さん……///」

 

「おーい、つぐー?」

 

「うぇっ!?あ、ごめん!そろそろ帰る?」

 

「うん、金はそこにぴったりで置いておいたから。じゃあまたな」

 

「うん、またねー」

 

店を出る頃には綺麗な夏の星空が広がっていた。それはまるでつぐみ達のガールズバンドの光る原石を見てるような気分だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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