ガラスの天才   作:野獣君

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お待たせしました。今回は少し長めになります


ライブ当日

土曜日

時刻は午前11時前。ライブハウスのSPACEにはバンドを行う団体の荷物の搬出などで人で溢れていた。そこに何故か深月の姿があった。一緒に見に行く先輩の奥沢幸二郎とは現地集合で落ち合おうということになってるので、少し早めに来てAfter Grow(以下アフグロ略)の荷物の搬出作業を手伝っている。

 

「これでよしっと!」

 

「ごめんね、みーくん。手伝ってもらっちゃって」

 

「気にすんなよ、つぐ。俺が自分からやりたいって言ったんだから。それより、今日のライブ頑張れよ」

 

「うん、ありがとう!」

 

 

作業を一通り終えて休憩していると、向こうから何やら見覚えのある声が聞こえてきた。

 

「美咲ー、これどこに持ってくんだ?」

 

「あ、待って幸兄。それこっち」

 

「マジかよ」

 

「マジマジ。それ壊したら結構高くつくよー」

 

「は!?それ、早く言えよ!」

 

(完全に奥沢さんの声だな…。どっかの搬出でも手伝っているのか?)

 

今日の出演バンドはアフグロを含む3グループ。奥沢さんは従妹の具体的なバンド名を言ってなかったけど恐らく、ハロー、ハッピーワールド!(以下ハロハピ略)かGlitter Green(以下グリグリ略)のどちらかだろう。

 

(でも、グリグリはみんな三年生だから違うか…。となると…)

 

と、そこへ俺に気づいた奥沢さんがこちらへやって来た。

 

「あれ、桃山?何でここにいるんだ?」

 

「手伝いですよ。幼馴染のバンドの」

 

「ああ、成る程。まぁ俺も似たようなもんだけどな」

 

「それで、どうします?これから」

 

「俺はもう少ししたらまた作業に戻んなくちゃだけど桃山は?」

 

「そうですね…。とりあえず幼馴染のとこに戻ります。まだ手伝うこととかあると思うので…」

 

「わかった。終わったらそっちに連絡いれるよ」

 

「了解です」

 

そう言って奥沢さんは戻っていった。

 

 

 

「みんな楽屋にいるかな?」

 

ノックをしてみるが、返事がない。仕方ないので、中をそーっと覗いてみるが、中は誰もいなかった。

 

「あれ?どこ行ったんだろう…」

 

よく見ると楽器などが全て持ち出されていた。恐らくリハーサルに向かったのだろう。

 

「みんなが戻ってくるまで、ちょっと一休みするか…」

 

搬出の疲れもあってか、深月は楽屋にあったソファに倒れ込みすやすやと眠ってしまった。

 

 

 

ガチャッ

 

「つぐ、あんな感じでどう?」

 

「うん、多分あれで大丈夫かな」

 

「もーあーつーいー」

 

「モカ、流石にその格好は暑いと思うよ?」

 

「そうだぞ、モカ。その格好は…ってあれ?なぁ、みんな。あそこに寝てるのって…」

 

全員の視線がソファに眠る人物に集中した。

 

「zzzz……」

 

「みーくん…だね…」

 

「なんで深月が?」

 

「さぁ?」

 

「搬出作業で疲れちゃったのかな?」

 

「まあ、頑張ってたからなー」

 

「でも、早く起こさないとあたしら衣装に着替えられないよね…」

 

「そうだね…」

 

すると、モカが突然寝ている深月の頬をつんつんしだした。

 

「ちょっ、モカ!?」

 

「やわらか~い、モッチモチ~」つんつん

 

「ん…」

 

「起きないね…」

 

「みんなも触ってみてよ~、超やわらかいよー」

 

「うわ、ほんとだ…なんか負けた気分…」

 

「じゃあ、あたしも……すっげぇ…」

 

「ぷにぷにしてる…」

 

モカ、ひまり、巴、蘭の四人が深月の頬に夢中になってる中、つぐみは遠くでそれを見ていた。

 

(う~、私もみーくんのほっぺたつんつんしたい~)

 

心の中ではそう思っていても中々行動に移せないつぐみに対し、モカとひまりは二人で深月の前まで連れ出した。

 

「ほら~、触っちゃえよ~つぐ~」

 

「もうここまで来たらつんつんしちゃおうよ~」

 

そうつぐみに言う二人はまるで悪魔というより小悪魔と言った方が正しいだろう。

 

「わ、わかっよ…。…じゃあ、行くよ…」

 

つぐみの人差し指が今にも彼の頬に触れそうになった瞬間、深月は目を覚ました。

 

「…ん~、あれ俺寝ちゃってたのか……って、なんだみんな戻ってたのかよ。だったら起こしてくれよ~」

 

呑気に言う深月だが、他の5人の特につぐみはそれどころじゃないといった顔をしていた。

 

「あれ、どうしたの?なんでみんな固まってるの?」

 

その瞬間、パシンと乾いた音が響いた。ビンタをしたのは誰でもないつぐみだ。

 

「え、つぐ?なんで?」

 

「みーくんのバカァァァァーーーーー!」

 

 

 

 

 

 

「で、そういうことがあったと…」

 

SPACEのロビーにて、深月の頬に紅葉が出来た原因を幸二郎はなんとなく聞いていた。

 

「理不尽じゃないですか?俺、ただ寝てただけなのに…」

 

「まぁ、そういうこともあるってことだな」

 

「あっ、逃げましたね」

 

「さぁ?何のことだ?それより、お前飲み物はどうする?ライブ中は結構盛り上がったりして喉乾くぞ」

 

「俺は大丈夫です。何かあったら自販機で買うんで」

 

「あっそう。じゃあ、そろそろライブ始まるから行くか」

 

 

ステージ下の観客席ではかなりの数の観客達がライブ開始を今か今かと待っていた。

 

「うわ~、すごい人…」

 

「今日は結構実力のあるバンドが出るらしいからな」

 

(つぐ達そんなすごいんだ…)

 

「おっ!始まるぞ。最初は…Glitter Greenだ!」

 

奥沢さんの声に釣られてステージの方を見ると、歓声と共に四人の女性がステージに姿を現した。そして軽くメンバーの自己紹介を終えると早速演奏に入った。

 

「す、すげえ…。これが…ガールズバンド…」

 

気づいたらグリグリは2曲演奏し終えていて下手にはけていた。

 

「桃山、大丈夫か?なんかボーッとしてたけど…」

 

「いえ…あまりのすごさにちょっと圧倒されてました…」

 

「そっか、そいつは連れてきた甲斐があったな。次は…おっ、従妹のバンドだ」

 

機材の準備が終わり、照明が点いた瞬間一瞬だけ、観客席にどよめきが起こった。その理由は…

 

「奥沢さん、なんでミッシェルがステージに立ってるんですか?」

 

「ああ、ミッシェルはハロハピのメンバーなんだよ。んで、中に入ってるのが従妹の美咲。あれでDJやってるんだぜ?すげぇよな」

 

「えっ!?あの格好でですか!?マジか…」

 

恐るべしミッシェル。

それはそうと、ハロハピの演奏はなんだか心の底からわくわくさせてくれるような感じがした。聞いているこっちもテンションが上がってくる、そんな感じだった。

 

「ラストはつぐ達か…大丈夫かな…」

 

「ん?お前アフグロのメンバーと知り合いなのか?」

 

「ええ、一応全員昔からの幼馴染です」

 

「あっ、でも羽沢さんは俺わかるかも。それ以外はわかんないけど…でも、すげぇな。そんなこともあるんだな…」

 

奥沢さんが感心しながらステージに目を向ける。ライブのトリということもあってか、準備もかなり慎重だった。やがて、準備が終わり。彼女たちアフグロのライブが始まった。

 

 

 

 

彼女達のSPACEでのライブは大成功という最高の形で幕を閉じた。

 

 




ライブの細かいシーン等はカットしています。すいません
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