キグミノマチノカスカナオモイデ   作:漣さん

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実家に帰って早々、カナタはココア達の忙しなさに飲まれていきます。


イモウトトトモダチノオンナノコ

チノ「...お兄さん...大好きです...。」

 

カナタ「...チノ...。」

 

チノ「...でも...大嫌いです...。」

 

カナタ「どうして?」

 

チノ「...それは...。」

 

耳まで熟れた顔を俺の胸に数回押し付けてから、チノはボソッと口にした。

 

チノ「...だって戻って来る事、私に伝えてなかったじゃないですか...。」

 

俺がこれを秘密にしていたという点にいじけてるらしい。

 

やはり我が妹は可愛いな。

 

再会の喜びを敢えて真っ赤な仮面で隠す素直じゃない所が、俺は大好きだ。

 

女の子はこういう風に少し意地悪な位が魅力的なんじゃないかなって思う。

 

交友経験が少ない俺にとって女の子のイメージはチノだからな。

 

カナタ「ちょっとしたサプライズだよ。やりすぎたかな?」

 

チノ「やりすぎとかじゃなくて、やるシチュエーションを間違えてます。」

 

カナタ「あはは♪ごめんね。」

 

チノ「しょうがないお兄さんです。」

 

顔を見合わせてクスッと笑い、抱き締めていたチノを放した。

 

店員の二人の女の子に目を向けると、彼女達は涙を流しながらこちらを見ていた。

 

ツインテールの子は涙目程度だが、セミロングの少女は声を上げて泣いている。

 

二人が落ち着くまで待つ事にした。

 

 

 

 

 

カナタ「お恥ずかしいものを見せてしまいました。改めてチノの兄のカナタです。どうぞよろしく。」

 

リゼ「私はリゼだ。ここでバイトをしている。」

 

ココア「私ココア!ラビットハウスに下宿させてもらってるんだ!」

 

カナタ「いつも妹がお世話になってます。」

 

リゼ「こちらこそ。」

 

ココア「お世話してます!」

 

三人ささっと頭を下げる。

 

だがチノは不機嫌そうだ。

 

子供扱いしないで欲しいとでも思っているのだろうか?

 

チノ「ココアさんの挨拶はなんですか?いつも私がお世話してるじゃないですか...。」

 

ココア「えへへ~♪」

 

対するココアは照れ笑いで誤魔化している。

 

この言葉からするにチノの方がしっかり者のようだ。

 

カナタ「ココアとリゼで良いかな?」

 

リゼ「いきなり男子に呼び捨てなんて///」

 

物凄い照れているリゼ。

 

なんか申し訳なくなってくる...。

 

カナタ「ダメ?」

 

リゼ「いや...今まで親父以外の男にはお嬢と呼ばれてたから慣れてなくて///」

 

お嬢?

 

高貴な家なのかな?

 

ココア「うーん...カナタ君はいくつなの?」

 

カナタ「今は15で高校一年生に当たるかな。」

 

ココア「じゃあ私の弟だね!私の事はお姉ちゃんって呼んで!」

 

カナタ「弟!?お姉ちゃん!?」

 

唐突にココアに弟扱いされた。

 

きっと親睦を深めようとしてるんだな。

 

チノ「気にしなくて良いですよ、お兄さん。ココアさんは姉を気取りたいだけですから。」

 

カナタ「そうなの?」

 

単純にやりたかった、というだけらしい。

 

カナタ「二人は年上?」

 

リゼ「私は今高校二年生だ。」

 

ココア「私はカナタ君と同じ高校一年生だよ!私は四月生まれだから16歳!」

 

微々たる差だが俺よりも上。

 

弟扱いされても筋は通る。

 

ココア「私はカナタ君のお姉ちゃんだから、遠慮しなくていいよ!」

 

カナタ「う、うん...。」

 

こういう子と話した事ないからペースが乱される...。

 

チノが振り回されていてもおかしくないだろうな。

 

ココア「カナタ君、ずっと一人で寂しかったよね!お姉ちゃんがもふもふしてあげる!」

 

カナタ「もふもふ!?」

 

ココア「えい!」

 

カナタ「わっ!」

 

いきなりココアは俺に抱きついて、腕を伸ばして頭を撫でたり、頬を擦り寄せたりしてきた。

 

チノとは違った女の子の良い匂いとか、押し付けると変形する胸の柔らかさとか、若干感じる包容力とかの刺激で変になりそうだ。

 

ココア「カナタ君もチノちゃんみたいに良い匂いがするね~♪もふもふ~♪」

 

カナタ「ココア!?」

 

初対面でここまでする女の子がいるのか!?

 

匂い嗅がれているのがもの凄く恥ずかしい...。

 

チノ「ココアさん離れて下さい!お兄さん困ってます!」

 

リゼ「そうだぞ。解放してやれ。」

 

ココア「そんなー!」

 

リゼに羽交い締めにされたココアは、そのまま彼女に引き摺られてカウンターまで運ばれた。

 

この子が下宿してるのか...。騒がしい日常になりそうだな。

 

チノ「ココアさんには気をつけて下さいね。」

 

カナタ「わ、分かったよ...。」

 

チノの視線が冷たい。

 

妹の機嫌を損ねないように言われた通り用心しよう。

 

リゼ「さあ、仕事するぞ。」

 

ココア「うう...。カナタ君、お仕事終わったらもふもふの続きするからね!」

 

カナタ「えっ!?」

 

許可なんてものじゃない。宣告だ。

 

これは逃げられそうにないな...。

 

チノ「私は許しませんよ!」

 

ココア「じゃあ代わりにチノちゃんをもふもふしようかな♪」

 

チノ「うっ...。どうしてもふもふする事前提なんですか!?」

 

カナタ「まあまあ...。良いじゃないか。」

 

チノ「お兄さん、甘やかしたらダメって...。」

 

ココア「わーい!これでお仕事も頑張れるよ!」

 

リゼ「単純だな...。」

 

はしゃぐココアと見守るリゼ、そして振り回されるチノ。

 

これが彼女達の日常なのだろうな、と傍観しながら思う。

 

チノが楽しそうにしてて、お兄さん嬉しいよ。




活動報告にも書きましたが、前作『風と珈琲と六弦琴』を大幅な改編により一時的に非公開にします。
並行しながら進めるので、良ければそちらもお読み下さいね。
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