ロクでなし魔術士と赤い目を持つ義弟   作:ポポポンのポン

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第12話

魔術競技祭

学年次ごとにクラス対抗戦で行われるこの競技祭は2年次のみに限り、女王陛下自らが表彰台に立ち優勝クラスを表彰する帝国民が誰もが羨むような名誉。

その中でカインのクラスの2年次2組だけが全員参加という注目を浴びる中、誰も奇異な目で見て、期待していなかったのだが…

 

『そして差しかかった最終コーナー!!!2組のロッド君がスピードを上げた!抜くか!抜くか!抜いたー!2組逆転!まさかの2組が3位入賞!誰がこの展開を予想というのかー!一体どーなっているんだ!』

 

まさかの2組が奮闘!誰もが予想出来なかったことに会場中から戸惑いの声が…

 

「うそーん…」

「何驚いんてんだよグレン兄。ふつーに考えればグレン兄の作戦は正しいだろ。俺らは1つの競技に集中できるし仮に負けても相手は魔力を多く消費してんだ。その分後が楽になる。てか、それ知っててメンバー編成したんだろ?」

「それはそうだが、ここまでうまくいくとは…」

 

 

グレンが予想外の結果に驚いている中、クラスの皆はグレンについて行けば勝てると確信し、大いに盛り上がっていた

 

その後もセシルが『魔術狙撃』、ウェンディが『暗号早解』で高得点を出して俺とハイタッチしたら何故かルミアの機嫌が悪くなったりして競技は午前の部最後の『精神防御』が始まろうとしていた。

 

「ふぅー」

次の競技の緊張かルミアは大きく息を吐いた

「ルミア大丈夫?」

 

親友のルミアがこの競技祭の中でもかなり危険な競技に参加するからかシスティーナは心配して声をかけた

 

「うん、大丈夫だよ。ありがとうシスティ。クラスのために私頑張るから」

 

両手で小さくガッツポーズを作ったルミアは競技が行われる会場に歩いて行った

 

「ねぇカイン。今からでもルミアと交代してくれないかしら…カインならこの競技も大丈夫でしょう…?」

 

システィーナは本当にルミアが心配なようでカインにお願いする

 

「ん?ルミアなら大丈夫でしょ。てか、俺はこの競技で、このクラスでルミア以上に強い人は知らないよ。『マインド・アップ』は素の精神力を強化するだけの魔法だ。正直言って俺はそこまで精神は強くないよ。いつも戦闘中は怖くて怖くて仕方ないからね。でもルミアは違う…境遇が境遇とはいえ、俺らと同い年の彼女がここまで死ぬ覚悟ができてるのは異常だよ……まぁ、だからルミアなら大丈夫。絶対負けな・・・どうしたの?」

 

俺が話している途中でフィーベルさんが嬉しそうに微笑んでいた

 

「よくルミアを見てるのね」

「まぁ最近よく一緒にいるからなー、あれ?俺からルミアに話かけたことなくない?」

「まぁいいわ。ルミアを泣かしたら承知しないからね」

「ん?よくわからないけど努力するよ」

「はぁ・・・鈍感」

「?」

 

なぜかフィーベルさんがため息をついた。どうしてだろう?

 

そうして『精神防御』の競技は進んでいき、ついにルミアと5組のジャイルとの一騎打ちになった。てか、ジャイル君は本当に魔術師志望なのか⁉︎明らかに物理メインな気がするんだが…

 

というか俺はルミアの圧勝だと思っていたんだが、ジャイル君のことは予想外だった…

 

「頑張れ、ルミア」

 

俺は小さい声でそう呟いた

 

 

 

 

 

ツェスト男爵の『マインド・ブレイク』を一度耐えたルミアだが額には脂汗が浮かんでおり、今もやせ我慢で立っているようなものだ。

洪水のような感性の中ジャイルはルミアに声をかけた

「ふん、女のくせにやるじゃねぇか。ここまで肝が座っている奴は男でもそうはいねぇ」

「そ、そうかな?」

「だが、そろそろ限界なんじゃねーか。脂汗かいてるぜ、棄権しな。3日寝込むのはいやだろ」

「あはは…わかる?結構辛いかも…でも大丈夫。私も負けられないから」

「ふん、そうか」

そして2人はツェスト男爵の『マインド・ブレイク』に備え詠唱を始めた

 

 

「ふむ、それではこれで最後にしよう。威力をあげるぞ」

「はい」

「あぁ」

 

そして威力をあげた『マインド・ブレイク』が2人を襲った

 

「うっ…」

そして耐えられなくなったのかルミアが膝から崩れ落ち・・・

 

「大丈夫ルミア?よく頑張ったね」

 

・・ることなくカインが支えた

 

「カイン君・・・大丈夫だよ。まだいけるから…みんなのためにも勝たないと…」

「え、いやもうルミアはか「2組は棄権する!」よ」

 

俺の声にかぶせてグレン兄が棄権を宣言した

 

「ルミア大丈夫?辛くなったら無理しなくていいのよ」

「いや、だからルミアは…」

「ううん、私は大丈夫だよシスティ。だから…」

「いや、もういいよルミア。すまんかった。あんなバケモンがいるなんて俺も予想外だった」

「あの〜3人ともだから…」

「いえ、私も楽しかったです。みんなと共に戦える気がして」

 

 

「いい加減話を聞けー!!!!!!」

 

「うわっ!どうしたカイン」

「よくジャイル君を見てみろよグレン兄。気絶してんぞ」

「「「え⁉︎」」」

 

カインに言われ3人がジャイルを確認するとジャイルは立ったまま気絶していた。

 

『な、なんとーーー!!ルミアちゃんが膝をつき、勝負が決したと思いきやジャイル君が気絶している!!ということは『精神防御』優勝は紅一点!2組のルミアちゃんだー!!!!!!』

 

この声をきっかけに会場から割れんばかりの大歓声が聞こえた

 

「お疲れ様、ルミア」

「ありがとうカイン君」

 

そう言ってルミアは天使のような笑顔で微笑んだ

 

 

_________________________________________

 

魔術競技祭の午前の部と午後の部に分かれた昼食の時間、カインはシスティーナとルミアと一緒にお弁当を食べていた。

カインは一人でお気に入りのベストスポットの木の上で食べようとしていたのだが、ルミアからの強引な誘いで断れずに一緒に昼食をとることにした。

 

「カイン君。私、今日ね、システィと一緒にお弁当作ってみたの。でもつくりすぎたから良かったら食べてくれない?」

 

そう言ってカインはルミアからお弁当箱をもらった。開けてみると不恰好だが美味しそうなサンドイッチが入っていた

 

「いいの?」

「う、うん。あんまり綺麗に作れなかったんだけど…」

「ん?そんなことないよ?ふつうに美味しそうだけど」

 

そう言ってカインは1つ手にとりサンドイッチを頬張った

 

「うん、すごく美味しいよ」

「そそそ、そう?それならよかったよ、、、あ、私先生にこれ届けてくるね!」

 

そう言ってルミアはなぜが顔をして、フィーベルがグレン兄のために作ったサンドイッチを持って言ってしまった

 

「フィーベル、直接渡さなくてよかったのか?」

「別に誰が渡しても一緒よ。あと!私のことはシスティーナでいいから。ルミアもウェンディもリンもテレサも名前呼びなのに私だけ仲間ハズレみたいでなんか嫌なのよ」

 

そっぽを向いてフィーベルはそう言った

 

「素直じゃねーなー。そんなんじゃモテねーぞ シ ・ ス ・ テ ・ ィ ・ ー ・ ナ !」

「うるさい!」

 

そう言って俺はケラケラ笑う

 

「それしても本当にうまいなこのサンドイッチ。というかルミアもおっちょこちょいだよなーサンドイッチを作りすぎるなんてw」

「はぁ……本当にこいつは…ルミアが不憫でならないわ」

「ん?何が?」

「自分で考えなさい!」

 

うーん…なんでだろうか…………?

 

「まぁいいや、俺はそこら辺をぶらぶらしてくるから」

「ちゃんと帰って来なさいよ」

「へいへい」

 

そう言って俺は立ち上がって歩き出した

 

カインは時間を潰そうとあたりをぶらぶらしていると

 

「久しぶりですねカイン」

 

「なんであなたがここにいるんですか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・アリシア女王陛下」

 

 

 

そこにいたのはアルザーノ帝国で最も偉い、皆の憧れであるアリシア女王陛下だった

 


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