ロクでなし魔術士と赤い目を持つ義弟   作:ポポポンのポン

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13話

アルザーノ帝国女王アリシア7世、この名前を知らない人はこの国にはいないだろう。しかし、そんな有名人が俺の目の前にいる…

 

「アリシア女王陛下だなんて、前のようにアリシアおばさんと言ってくれてもいいのですよ」

そう言って彼女は優しい微笑みを見せる

 

「いやいやいや、前にあった時は母さんに無理やり連れていかれて、あなたが女王陛下とは知らなかったんですから・・・そんな呼び方はできませんよ。それよりも、なんであなたがこんなところに?」

 

そう、彼女が護衛も付けずに一人でこんなところにいるはずがないのだ。まぁ、大体の理由は予想できるんですけど…

 

「実は先ほどエルミアナ…いや、ルミアとあったんですけど、拒絶されちゃいました…こうなることはわかっていたんですけどね、でも…やはり彼女に謝りたかったんです。許してもらおうとは思っていません。でも、私は実の娘にとてもひどいことをしてしまった…娘よりも国をとったんです…許されないのは当たり前…だけど、そのことだけでも謝りたかった…」

 

そう話す彼女の顔はとても悲しげだった

 

「カイン、これは女王からではなく一人の母親としてお願いします。彼女を、ルミアを守ってあげてください」

 

そう言って彼女は俺に頭を下げた

 

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午後の競技が始まった。

午後の最初の種目は白魔「サイ・テレキネシス」。重りの入った袋を触れずに空中に持ち上げる競技。うちのクラスからはテレサが参戦している。

 

「ねぇ、カイン」

「ん、どうしたの?システィーナ」

「ルミアがいないのよ…たしかに午後の部にルミアは出ないけど、そんなんでサボるような性格じゃないし…さっきグレン先生にも相談したんだけどやっぱり心配で…」

 

システィーナはルミアの身の上を知る数少ない内の1人だ。そんなルミアを知るシスティーナだからこそ何かあったのではないかと心配しているのだろう

 

「そっか…じゃあ俺も行ってくるよ」

「ええ、ルミアをお願い」

「わかった」

 

そしてカインは競技場の外を歩き始めた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「グレン先生、私はどうすればよかったんでしょうか…」

 

中身のないロケットを片手にルミアはグレンに問いかける

 

「私を捨てた理由はわかるんです。王室や国のためには必要なことだって……でも」

 

異能者だから自分は捨てられた。

 

でも、そんな理由だからで割り切れるほど彼女は大人ではない

 

「もう一度母と会いたい、抱きしめてもらいたい、そんな思いもあって…」

 

どうすればよかったんでしょうか…そうやって彼女は再び問いかける

 

その問いに対してグレンは「持論だが」と話しはじめる

 

曰く、『悔いが残らないように選択しろ』というのは無理だということ。

曰く、どんなに悩んで道を選んでも何かしら後悔するということ

 

「だから本音というのが大事だと思っている。・・・ルミアお前はどうしたいんだ?」

「私は…」

 

あと一歩が出ないルミアに対してグレンは独り言のようにつぶやく

 

「昔、俺は帝国に所属する魔導師だったんだが…それと同じものを宮廷内で見たことがある」

「それって…」

「捨てられなかったんだろうな…ずっと大事そうに持ってたよ」

「………っ」

 

ルミアはグレンが誰のことを言っていることを理解できた。つまり、そうゆうことなのだろう

 

「恨み辛みでもなんでもいい。正直に話すのが大事なんじゃないのか?」

 

「私、怖いんです…またあの冷たい表情をされると思うと…」

 

そんなルミアの頭にグレンはそっと手を置く

 

「大丈夫だ。俺もついて行ってやるから。なんならカインも連れてくぞ。その方が心強いだろ」

「えぇっ!」

ルミアはグレンの言葉に対して顔を真っ赤にする

 

「か、からかわないでください!」

 

それを見てグレンはニヤニヤしている

 

しかし、そんな2人を前に

 

「ルミア=ティンジェル だな?」

「え?はい」

 

女王直属の部下である王室親衛隊がいた

 

「ルミア=ティンジェル !貴様を女王陛下暗殺を企てたとして処刑する」

 

そして彼らはルミアに矛先を向けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「大人しくすることだ。そうすれば楽に逝かせてやる」

「はい…」

 

会場の外れ、人通りの少ない場所で私は剣を向けられている

 

グレン先生は私を庇ったことにより気絶させられてしまった…

 

私はこれから殺されるのだろう…

怖くはない、殺される覚悟は3年前のあの日からできている

ついこの間も殺されかけたんだ…

怖くないんか………

 

 

 

 

怖く…なんか…

 

 

 

 

 

(怖くないわけないよ!)

 

 

死にたくない!

 

もっとシスティとお話ししたかった!

 

もっとグレン先生にいろんなことを教えてもらいたかった!

 

カイン君ともっと仲良くなりたかった!

 

 

 

カイン=レーダス。私の初恋の人。怖い魔術師達に殺されそうになった時に助けてくれた私の王子様…学園であった時は運命だと思った。そして、もっともっと仲良くなりたい!そう思った…

 

彼にもう会えなくなる

そう思うと涙がこみ上げてくる…

 

(嫌だよ…死にたくないよ…)

 

「助けて…カイン君…」

 

私は消え入りそうな声で、そう呟く…

 

 

「さらばだ!ルミア=ティンジェル!」

 

親衛隊が私に剣を振り下ろしてくる

 

その剣が私にはゆっくりと見えた。

走馬灯というのだろうか…いろんな思い出が流れてくる…

私の頬に一筋の涙が流れた

 

 

 

 

 

 

「させるか!千鳥流し!」

 

「「「「ギャャャー」」」」

 

 

 

しかし、その剣は私に届くことはなかった。

 

 

「ふぅ、間に合った…大丈夫?」

 

「カイン君!」

 

 

私の王子様。彼がまた助けてくれた

 

 




あー、なんか久し振りに書いたら文法がバラバラになってる…ひでぇ…

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