基本的に3人称ですが、アムちゃんとユキノちゃんが見た視点となっております。
基本的に鋼と宇宙の正義を主にしているので、更新は遅れるかもですが、見守ってくださるとありがたいです。
それでは、物語の始まりです!どうぞ!
世界のカードゲーム人口は数億人を超え、生活の一部として当たり前のようになっていた。
カードファイト!!ヴァンガード・・・世界で最も人気のあるカードゲームだ。
そのヴァンガードの楽しさを支援し、数多くのヴァンガードファイターたちのサポートを行う施設こそ、ヴァンガード普及協会、別名FIVA。
後に語られる物語は、そのヴァンガード普及協会に所属しているとあるアイドルユニットの誕生した軌跡、そしてそのアイドルユニットに所属する2人の絆の物語である。
STRIDE1「始まりの軌跡」
クリスマス直前のヴァンガード普及協会本部、そこにある収録部屋にて、とあるアイドルユニットがクリスマス用の番組の収録本番に挑んでいる。
そのアイドルユニットの名はラミーラビリンス。1年前のGクエストの公式イメージキャラクターとして選ばれ、それがきっかけで人気急上昇している3人組のアイドルユニットだ。
メンバーは青髪の短髪の女の子が蝶野アム。何でもテキパキとこなすしっかり者で、仕事へのプロ意識が高い女の子だ。
2人目は水色の長髪の女の子、水城ユキノ。サバサバとした性格をしているが、アイドルとしてのプロ意識はアム以上に負け衰えない女の子だ。
最後にピンクの髪の女の子、弓月ルーナ。心優しく、純粋な性格で一度心に決めたら一途に進むことができる女の子だ。
「夢見る気まぐれバタフライ、蝶野アム!」
「神秘の恵みは雪の結晶、水城ユキノ!」
「月の光は私の魔法、弓月ルーナ!」
「「「私たち、ラミーラビリンスでーす!!」」」
ラミーラビリンスはカメラに向かって笑みを浮かべながら、収録を進めていく。
「みんな、もうすぐクリスマスだね!そこで、みんなに抽選でクリスマスプレゼントをあげちゃうよ!」
「えー、何々?何がもらえるの?」
「そのプレゼントは、なんと!晴見中学校の学園祭ライブで披露した私たちの新曲のCDを抽選で10名様にプレゼントしちゃいます!」
「応募方法はこちら!はがきに住所、氏名、年齢を書いて、どしどし送ってきてね!」
「「「みんなのおはがき、待ってまーす!!」」」
ラミーラビリンスは最後の仕上げとしてカメラに向けて笑顔で手を振る。
「・・・カット!はいOK!中々いい仕上がりになったぞ!」
「「「ありがとうございます!」」」
OKを出した監督はラミーラビリンスに近づき、褒めの言葉を与える。
「君たちのおかげでいい番組になった!機会があればまたよろしく頼むよ!じゃあ、お疲れ!」
「「「はい!お疲れ様でした!」」」
監督はラミラビにそう言った後、片付けの準備をスタッフたちに指示を出している。
「ふ~、緊張した~。撮影は何度やっても慣れないね~」
「ふふ、そうね。でも、とてもいい表情だったわよ。ね、アム?」
「うん。リハーサルの時も、スタッフから高評価を得ているしね」
「えへへ、ヴァンガードもいいけど、こうやってテレビに出てみんなに笑顔を届けるっていいね」
ラミラビは笑いあいながらたわいない話で盛り上がる。
「お前たち、お疲れ様だったな」
「あ、マネージャーさん!」
「「お疲れ様です」」
話し込んでいるラミラビに眼帯をし、銀髪の男が話しかけてきた。
この男の名は桐生院アカギ。ラミーラビリンスの専属マネージャーとして活躍している男だ。ただ、それ以外の経歴は誰も知らないし、彼の過去を知っているものもいない、全てが謎に包まれている人物だ。
「お前たち、先ほどの撮影、見事だった。いい笑顔であったぞ」
「「「ありがとうございます!」」」
「さて、今週のスケジュールだが、クリスマス当日は予定が埋まっていないのでその日は休日という事になる。せっかく休日だ。自分たちでクリスマスパーティでも開いたらどうだ?」
「わぁ!クリスマスパーティー!」
「でも、いいんですか?このクリスマスの時期が1番忙しいのでは・・・?」
「毎日仕事やレッスンばかりで休息もろくに取れていないとあっては今後の活動に影響が出る。休めるうちはしっかり休んでおけ」
「マネージャー・・・。わかりました。ではお言葉に甘えますね」
アカギの気遣いをラミラビは受けることにした。
「よし、では今日はミーティングの後に解散とする。全員、ミーティングルームに集合するように」
「「「はい!」」」
ラミラビはアカギについていき、ミーティングルームへと向かっていく。
☆
ミーティングが終わった後、ラミラビは荷物をまとめてアムとルーナは普及協会が完備している寮に、ユキノは自宅に向かって帰宅の道を歩いていく。寮とユキノの自宅への道のりは途中までは一緒なので帰りの時はいつも3人でいることが多いのだ。
「はー、今日も疲れたねー」
「このくらいで何根を上げてんのよ?明日も明後日も同じような仕事が待っているんだから」
「むー。アムー、ユキノが意地悪なことを言ってくるよー」
「でもクリスマスの日に休みがもらえたんだから、もう少し頑張ろ?」
クリスマスの日に休みと聞いて、ルーナは嬉しそうな笑みを浮かべる。どうもそれは休みをもらえたというだけの笑みではない。
「うん!その日はクリスマスパーティだけじゃないんだもんね!」
「?それ以外に何か予定とかあったかしら?」
「あんたねぇ・・・12月25日、クリスマス当日といったら、ユキノ、あんたの誕生日でしょ?」
そう、12月25日はユキノの誕生日で、クリスマスの日と同じ日にある。それでルーナはクリスマスと誕生日のパーティと合わせているので張り切っているのだ。当のユキノはあー、といった表情をしている。
「そういえばそうだったわ。クリスマス当日は私の誕生日だったわね」
「どうして私たちの誕生日は覚えてるのに自分の誕生日は覚えてないの?毎年祝ってあげてるのに」
「まぁ細かいことはいいじゃない。今こうして思い出したんだから」
「まったく、ユキノって、昔からそうよね。私たちを優先して、自分をないがしろにしてるって感じが」
「むっ・・・その言葉、そっくりそのままお返しさせてもらうわ。ねぇ、エース君?」
「なっ⁉そ、その名前はやめてよ!」
「まぁまぁ2人とも、落ち着いて落ち着いて」
軽くいがみ合ってるアムとユキノを優しい一声で落ち着かせるルーナ。
「はぁ・・・とりあえず、今年もやるってことでいいのかしら?クリスマスパーティ」
「うん!ユキノのお誕生日パーティも合わせてやるよ!」
「場所は寮の私の部屋でいいよね?毎年そこでやってたし」
「別にそこまでしなくていいって毎回言ってるんだけど・・・まぁいいわ。当日楽しみにしてるわ。それじゃ私は帰りはこっちだから」
「うん、じゃあまた明日ね」
「ユキノ、明日も頑張ろうね!」
ユキノは自宅方面へ、アムとルーナは寮に向かって帰宅路を歩いていった。
☆
数日が経ち、クリスマス当日、アムとルーナはショッピングモールにやってきて、今日のクリスマス兼ユキノの誕生日のパーティの準備に必要な飾りつけと料理の食材、プレゼントを買いに来ていた。
「アムと2人きりで買いものなんて、ずいぶん久しぶりだな~」
「そうだね。いつもユキノもいたからやっぱり新鮮」
そう言っていると、アムはあっ、といった感じで何か思い出し、ルーナに質問をする。
「そういえばルーナ、今日ユキノに連絡はした?じゃなかったら今頃・・・」
「うん、今日の夜に来てねってメールをしたよ。それと、お昼は江西さんと過ごすみたいだよ」
「そっか。それなら安心。今年こそはユキノが驚くようなパーティにしたいからね」
ユキノは今日、昼はユキノの義兄である江西サトルと過ごすことにしていると聞いた時、アムはホッとした表情をしている。というのも、去年、一昨年も同じようにクリスマス兼誕生日パーティを開こうとしたことがあったのだが去年も一昨年もクリスマスパーティを開くためにユキノに内緒で進めていたのだが、誕生日までのことを考えていないユキノが先回りされて飾りつけをされてたり、料理を作られたりとまともに自分たちが準備できず、サプライズに失敗していたのだ。
「まったく、毎年のことなのに、どうして自分の誕生日のことまでのことを考えないのだろう?」
「でも、お昼に江西さんと過ごしている今がチャンスだよ!今年こそはユキノがビックリして、それでいて喜んでもらえるような素敵なパーティにしようね、アム!」
「もちろん!日頃のお世話と感謝の気持ちを込めて、ね」
アムとルーナはそんな話をしながら盛り上がりながらプレゼントと飾りつけ、食材を買いそろえていく。ちなみにユキノは今現在江西と共に外で昼食をとりながら話し込んでいる。
☆
全てのプレゼントと飾りつけ、食材を買い終えたアムとルーナは外で食事を済ませた後、自分たちが住んでいる寮のアムの部屋に戻り、パーティにとりかかる・・・前に部屋の隅々までユキノがいるかいないかの確認を行う。去年と一昨年も先回りされていたため、非常に用心深くなっている。
「・・・ユキノはいない・・・よね?」
「うん。キッチンの方も確認したけど、いなかったよ」
「よし、そうとわかればすぐに取り掛かかろう!ユキノが来る前に、なんとしてでも飾りつけを完成させましょう!」
ユキノがいないことを確認し終えたアムとルーナは買い物袋から飾りつけを取り出し、すぐに部屋中の飾りつけを始める。
「ねぇアム、オーブンがないみたいだけど、ケーキはどこで作った方がいいかな?」
「寮長さんにオーブンを使わせてもらえるように頼んでみるつもり。料理もするからには、ケーキの方も手を抜くわけにはいかないから」
どうやらケーキの材料も買ってきてあり、料理もケーキも作る気でいるようだ。そんな会話をしていると、ルーナのスマホに着信音が響く。着信音からしてメールなのは間違いない。ルーナはスマホを開き、メールの内容を確認する。
「あっ、クロノさんたちからだ」
「トライフォーから?なんていうメール内容だったの?」
「今開かれてる大会で決勝戦まで勝ち進んだっていう内容だったよ。やっぱりすごいなぁ~、クロノさんたち」
「その決勝戦って、今日の夜に開かれるあれのこと?」
「そうそれ!」
今話しに出ているトライフォーとはGクエストを全て突破し、ジェネレーションマスター第1号として輝いている人気が高いチームだ。トライフォーのメンバーが、ルーナをヴァンガードへと導いた先導者でもある。
「あーあ、その大会にお呼ばれしていれば、絶対応援しに行ったのになー・・・」
「大会の話が出た時期、私たちは復帰したての時だし、別のグループがステージに呼ばれたって仕方ないわ。それに、決勝戦の様子は今日のテレビで見られるでしょ?」
「そうなんだけどー・・・」
「ほらほら、口より手を動かす。時間はいくつあっても足りないんだから」
「はーい」
アムは黙々と、ルーナは少しブツブツ言いながら部屋の飾りつけを進めていく。
☆
すっかり夜になった頃、メール通りに寮にやってきたユキノはまっすぐにアムの部屋に向かっている。
「すっかり遅くなっちゃったわね。アムたち、もうクリスマスパーティでもやってるのかしら?」
そんなことを呟いてると、ちょうどアムの部屋の前までたどり着いた。
「ここに来るのもずいぶん久しぶりね。引っ越して以来、かしらね」
ユキノが懐かしさをこみあげて笑みを浮かべながらアムの部屋の扉を開けると・・・
パンッ!パンッ!
「「ユキノ!お誕生日おめでとう!!」」
「・・・えっ?」
扉を開けた瞬間、クラッカーを鳴らし、ユキノを出迎えるアムとルーナの姿があった。当のユキノは訳が分からないといった表情になる。
「えへへ、ビックリした?ユキノを驚かせようと思って、ずっと待ってたんだー」
「・・・ま、まさか、そんなことのためにわざわざ夜に来いなんてメールを・・・?」
「去年も一昨年も、みんなあなたのおかげでこっちが驚かせられたからね、その分たっぷりとお返ししようと思ってね」
「ほらほら、そんなところに立ってないで、中に入っちゃって入っちゃって!」
「ま、待ちなさいってルーナ、靴を脱いでから・・・」
ルーナに言われるがまま、ユキノは靴を脱いでから部屋の奥へと入っていく。
「わぁ・・・」
部屋の中を見たユキノは驚愕の表情をしている。部屋中クリスマスの飾りがつけられており、クリスマス料理もたくさん並べられている。何より印象に残ったのが、『メリークリスマス!ユキノ、誕生日おめでとう』と描かれた看板の文字だ。
「どう?ビックリしたでしょ?去年と一昨年できなかったのが、これってわけ」
「どう・・・かな・・・?」
これほどのことをアムとルーナが自分のためだけにしてくれたことにユキノは嬉しそうな笑みを2人に見せる。
「・・・ええ!すっごくうれしい、最高のサプライズだわ!ありがとう、アム、ルーナ!」
ユキノの笑みを見たアムとルーナはつられて笑みを浮かべる。
「ほらほら、早く始めるから座って座って!」
「はいはい、わかったわかった」
「私、飲み物入れるね」
主役であるユキノは座らせ、ご飯と飲み物を入れて全ての準備が整った。
「えーと、去年と一昨年は予想外の展開があって、中々思うようなパーティにできなかったけど・・・」
「去年や一昨年のことちょっと気にしすぎでしょ?」
「うるさいなぁ。と、とにかくこうしてちゃんとユキノをびっくりさせることもでき、喜ばせることもできました。今日の達成感と共に、ユキノの誕生日も祝って・・・」
「「メリークリスマス!」」
「・・・メリークリスマス」
メリークリスマスの合図で3人は飲み物の入ったコップで乾杯をし、飲み物を一口飲む。
「それにしてもすごいわね。これ全部アムとルーナが作ったの?」
「そうだよ!ほら、遠慮せずに食べちゃって!」
「そうね。じゃあまずは・・・これからいただこうかしら」
ユキノは鯛の塩焼きに手を付け、一口を口に入れる。ルーナはドキドキした表情をしている。
「・・・魚が持っている臭みが感じられないし、鯛の味も塩とうまくマッチングしてる。すごく私好みの味だわ!」
「本当⁉よかった~」
ユキノの感想を聞いたルーナは嬉しそうな顔になっている。アムは少し意外そうな表情をしている。
「まさかそこまでの高評価をもらえるなんて思わなかったわ・・・」
「そう?私だっていいと思ったものは遠慮せずに言う方よ?」
「でも、やっぱりユキノの料理に比べたら、まだまだだよ~」
「ううん、そんなことない。ルーナやアムの思いが込められていて、すごくおいしいわ」
「ユキノ・・・」
ユキノにそう言ってもらえてルーナは思わず感涙しそうになる。
「ねぇ、他のも食べてもいいかしら?」
「う、うん!そのために作ったんだから!」
ユキノは出されている料理をそれぞれ一口ずつ口にし、好印象な感想を述べる。
「私たちも食べよっか、ルーナ」
「うん!いただきまーす!」
アムとルーナも箸を持って、食事をとっていく。
「それにしても、クリスマスパーティっていうのは昨日のイブの日にするものじゃなかったかしら?」
「普通だったらそうかもね。でも私たち、クリスマスの日は基本的に忙しいし、準備の方も前日になってしまうし。それに昨日も忙しかったから」
「でも今日はお休みもらったし、何よりもユキノのお誕生日を祝いたいから、せっかくなら今日にでもってアムが・・・」
「ちょっ、ルーナ!」
「そうだったの。ふふ、2人ともありがとうね」
楽しく食事をとっていると、つけているテレビにヴァンガードの大会の生放送番組が始まった。
『皆様、お待たせいたしみゃした!これより、トライフォーVSツタンカーメンズによる決勝戦が始まりみゃーす!!』
「あっ!クロノさんたちだ!」
「そういえばあの大会、こうして生放送されてるんだったわね。クリスマスだからって、ちょっとサービスしすぎじゃない?」
「こうでもしないと視聴率は上がらないとでも考えてるんじゃない?」
「あ、試合が始まる!トコハー、がんばれー!」
ラミラビはテレビでだが、トライフォーを応援するのあった。
☆
食事が終えた頃には、試合は大将戦に入っている。ラミラビはこの試合の様子を見届けている。ちなみに今大将としてテレビに映っているのはトライフォーのメンバーの1人、佐倉ユイだ。
『さぁ、ラストファイトもいよいよ終盤戦!現在ダメージはお互いに5対5!果たして、勝利の女神が微笑むのはどてぃらなのでしょうかーーー!!?』
『これで決めるよ!ストライドジェネレーション!!!
テレビに映っているユイは
『
グランヴィークルの
グランボルバーの
全ての準備を終えてアタックフェイズに移る。
『エクスギャロップでヴァンガードにアタック!
エクスギャロップの
『が、ガード!インターセプト!』
『クワドラプルドライブ!セカンドチェック!ヒールトリガー!ダメージ1回復、パワーはヴァンガードに!サードチェック!ファイナルチェック!クリティカルトリガー!効果は全部ヴァンガードに!』
このアタックによってガードを突破し、アタックのヒットにより相手側のダメージが6となった。
『決まったーー!!見事勝利の栄光を掴んだのは、チームトライフォー!!』
優勝したトライフォーは喜びの表情をしながらガッツポーズをとっている。
「トライフォーが優勝したー!やっぱりすごいね、アム、ユキノ!」
「・・・うん、そうだね」
「アム・・・」
アムはトライフォーのメンバーの1人、綺場シオンを見て表情が少し暗くなる。それもそのはず、なぜならアムは1年前のGクエストが開催されている間にシオンを、綺場家を陥れたことがあるのだから。それを思い返すたびにアムはこうして暗い表情になる。
「もう、またそうやって暗くなって・・・せっかくのクリスマスなのよ?せっかくいい雰囲気だったのに、そう暗い顔してたら台無しよ?今はその事を忘れて、パーッと盛り上がりましょう?」
「ユキノ・・・うん、ごめん、心配かけて」
「いいから。ほら、ジュースでも入れてあげるから」
ユキノはアムを少し元気づけながらアムのコップにジュースを注ぐ。ユキノの気遣いでアムも少しは元気を取り戻す。
「本当にごめん、ユキノ。せっかくの誕生日なのに、雰囲気を台無しにして」
「気持ちはわかってるつもりだから。はい。ルーナの分も」
「ありがとう。やっぱりユキノは優しいね」
「別にそこまで優しいってわけじゃないわよ?」
少し元気づけたとは、まだちょっとばかり暗い雰囲気が残っている。そこでルーナがある提案をする。
「そ、そうだ!ねぇ、せっかくのクリスマスだし、プレゼント交換しない?プレゼント交換」
「プレゼント交換?」
「うん!あ、でも、ユキノはプレゼントって・・・」
「一応クリスマスだし、持ってきているけど・・・」
「本当?じゃあ、曲に合わせてプレゼントを回していくの。それで曲が止まったらそのプレゼントは止まった人のものになるの。どう、やってみない?」
「私は別にいいけど・・・アムはどうする?別に今無理して・・・」
「ううん、やる。ちょっと待ってて、すぐに取ってくるから」
アムは別の部屋に置いてあるプレゼントに取りに行く。プレゼントを持ったところでアムは元にいた部屋に戻る。
「それじゃ、曲を流すよー」
♪~
ルーナはスマホを操作して、軽快な音楽を流す。3人は音楽に乗りながらプレゼントを回していく。音楽は思っていた以上に続き、内心ではまだなのかなと思い始める。そう思った矢先、音楽がぴたりと止まり、3人はプレゼントを回すのをやめる。
「これはアムからのプレゼントだ!何が入ってるんだろ~」
ルーナはそう思いながらアムのプレゼントの袋を開けてみる。そこに入っていたのは手編みのニット帽子だった。
「わあ!かわいい!ウサギのマークがついてる~!」
「どっちに渡るかわかんないから、どれにすればいいのかわかんなかったけど・・・どう?」
「うん!私、これすっごく気に入っちゃった!」
「よかったわね、ルーナ。じゃあ次はアムの番よ。開けてみて」
「うん。この箱はユキノのプレゼントみたいだけど・・・何が入ってるんだろう・・・」
アムはユキノのプレゼントの箱の包みを広げて、箱を開けてみる。そこに入っていたのは冬用で女性用のコートだった。
「うわぁ~、素敵なコート!」
「やっぱり、アムもルーナもいろいろな服を着るでしょ?それに似合うようなコートを選んでみたんだけど・・・どうかしら?」
「うん。これとてもいい。やっぱりユキノは服装を選ぶことに関してはいい線いくね」
「それ、褒めてるのかしら?」
アムはさっきまで表情はちょっと暗かったが、これによって明るさを取り戻していった。
「最後のはユキノだね!それ、私が用意したプレゼントなんだ!ねぇねぇ、開けてみて開けてみてー!」
「わかってるからそう急かさないでちょうだい。さてと、中身はいったい何が入っているのかしら?」
最後に残ったユキノはルーナのプレゼントの包みを広げて中身を確認してみる。そこに入っていたのは冬用の手袋が入っていた。しかもそれだけじゃない。
「これは・・・手袋?しかもこれ、どこかで売ってるものじゃないわね」
「ルーナ、もしかしてこれ・・・」
「うん。寮長さんに頼んで、編み方を教えてもらったの!初めての編み物だったから、ちょっと不格好だけど・・・それでも自分の手で作りたかったの。ダメ・・・かな・・・?」
ルーナは不安そうにユキノの顔を見る。ユキノはルーナの問いに首を横に振り、優しい笑みを浮かべている。
「ううん。ありがとう、ルーナ。こんなに素敵な手袋が私に渡ってくるなんて・・・とても幸運ね!」
いい笑顔をルーナに向けるユキノにルーナも笑顔になる。
「よかったわねユキノ。今の気持ち、ポエムに書き綴ってみる?」
「ぶっ⁉ちょ、アム!それは今関係ないでしょ⁉」
「あははは!」
こうしてラミラビはクリスマス兼ユキノの誕生日パーティをめいいっぱい楽しむのであった。
☆
食事とプレゼント交換を終えた3人はひとまずの休憩。アムは自分のデッキの調整、ユキノはアムの部屋の本棚に置いてある本の1つをとって読書、ルーナも本を探している。
「・・・あれ?これ・・・アムのアルバム?」
そこにアムのアルバムを発見し、ルーナはどうしようかと悩む。
「・・・ちょっとだけ・・・」
ルーナはアルバムを開いて、中に入っている写真を確認する。最初に写りこんできたのが、幼き頃のアムとユキノの写真だ。自分の知らないアムとユキノの姿を見て、ルーナは思わず笑みを浮かべる。
「懐かしい。この頃のユキノ、満面な笑顔を見せていたよね?」
「そうね。当時のアムは、本当に純粋な子だったのを覚えてるわ」
「わっ!アム、ユキノ⁉こ、これは、その・・・」
いつの間にかアムとユキノもアルバムを見ていて、懐かしさがこみあげてくる。ルーナは黙ってアルバムを見たことに対して言いよどんでいる。
「ああ、そのまま見てても大丈夫だから」
「しかし、アルバムを見ていると、本当に成長したんだなって、実感するわね」
懐かしさをかみしめているアムとルーナがこんなことを聞いてくる。
「ねぇ、アムとユキノって、幼馴染なんだよね?」
「え?うん、そうだけど・・・」
「そうね。ずっと苦難を共にしてきた、斬っても切れない関係ってやつかしらね」
「じゃ、じゃあ!2人の出会いってどんな感じだったの?教えて教えてー!」
ルーナは純粋な笑みを浮かべて2人の出会いについて聞いてくる。
「どうする、アム?」
「ルーナなら別にいいんじゃない?」
「わかったわ。アムと出会ったのはそうね・・・確か・・・11年前くらいかしらね・・・」
ユキノは自分とアムの出会いについて語り始める。これより語られる物語は、アムとユキノがたどってきた道のり、2人の絆の物語、そして、ラミーラビリンス誕生の秘話である。
☆
11年前の夜のとある病院、病気でベッドに寝込んでいる少女に、少女のお見舞いに来ている研究員の男が話し込んでいる。恐らく彼女の父親なのであろう。父親らしき人物はすやすやと眠っている3歳くらいの娘を抱きかかえている。
「ごめんよ・・・僕は大事な研究の仕事があって、この子も、お前もまともに面倒を見てあげられない・・・」
「いいよ、そんなことは。それよりも、今問題なのは、ユキノちゃんでしょ?どうするの?」
「う、うん。とりあえず当てはあるんだ。その人たちにひとまずは面倒見てもらおうと思ってるんだ」
「大丈夫?ちゃんと預かってもらえるの?」
「預かってもらわないと困るんだ。それに、彼らにもこの子と同い年の子供がいるから、大丈夫だと思う」
「心配だなぁ」
男は寝ている娘を抱きかかえたまま、病室から出ようと立ち上がる。
「それじゃあ、僕は行くよ。できる限り、頻繁にお見舞いに行くからね」
「週に1回くらいでいいから。がんばってきてね、お父さん」
「ああ。いってきます」
男は寝ている娘を抱え、病室から出ていく。
☆
どこにでもありそうな一軒家、そこでは3人の家族が楽しそうに暮らしている。
「どうだアム、楽しいか?」
「うん!とってもたのしいよ、おとうさん!」
3歳くらいの娘と、その娘の父親が今楽しそうに遊んでいる。
ピンポーン
遊んでいる時に、玄関のアラームが鳴りだした。娘の母親が玄関に向かっていく。しばらくすると、母親が父親を呼びに来た。
「あなた、水城さんが呼んでるわよ」
「?わかった。アム、ちょっとだけ待っててな?」
父親は玄関に向かい、その友人に会いに行った。その友人は父親にこんな頼みをしてきた。
「お願いだ。この子を・・・ユキノをしばらくの間預けてくれないか?」
友人の頼みに父親は驚愕の表情をしている。そこに娘がひょっこりと顔を出す。娘は父親の友人が抱えている眠っている娘に視線を向けていた。
ここからが、純粋な少女、蝶野アムと眠っている少女、水城ユキノの関係の始まりだった。
to be continued…
アム「始まりは突然だった。彼女の父親がやってきて、眠っている少女がそこにいた。当時の私は彼女の存在にすごく興味があった」
ユキノ「最初は訳が分からなかった。訳も聞かされず、彼女の家にいて、目の前にはキラキラとした少女がそこにいた。何もわからない私はただ、その場所に恐怖を感じていた」
アム・ユキノ「「そしてここから、全てが始まった」」
STRIDE2「仲良くなるには」