熱血と努力の先導者はもう投稿し終え、この後に鋼と宇宙の正義を投稿しようとしています。
さて、今回はタイトルでわかる通り、アムちゃんとユキノちゃんがどうやって仲良くなったかという話です。
あ、後、アムちゃんとユキノちゃんのセリフはまだ3歳時ですからひらがなばかりですのでご了承ください。
それではどうぞ!
クリスマスの日の普及協会が管理する寮のアム部屋、クリスマスパーティ兼ユキノの誕生日パーティをやっていた際、ほんのちょっとの休憩を挟み、ルーナはアムのアルバムを発見し、アムとユキノは幼き日々のことを懐かしがっていた。そしてその時、ルーナは2人の出会いについて聞きたいと言い出し、2人はその出会いをルーナに語っていた。
「へぇ~、じゃあ2人はアムの家で突然出会ったってわけか~」
「本当、あの日お父さんが驚いていた時の姿が、今も鮮明に覚えてるわ」
「私は寝てたからよくわからないけど・・・当時の私とアムは、中々打ち解けられなかったのよね」
「え?そうなの?最初から仲が良かったってわけじゃないの?」
ユキノの言葉にルーナは首を傾げる。
「ええ。原因は私がアムを一方的に避けていたのよね」
「と言っても、当時のユキノは弱虫で人見知りだったから、私に対して苦手意識を出していたからなんだけどね」
「へぇ~・・・」
ルーナはユキノを意外そうな目で見つめている。ユキノは昔の自分の性格を言われ、恥ずかしそうにしている。
「じゃあ、どうやって2人はそんなに仲良くなったの?」
「どうやって仲良くなったのかしら、アム?」
「あんたが忘れてどうするのよ。私とユキノが仲良くなったのは・・・」
アムはユキノと仲良くなった頃の話を始める。
STRIDE2「仲良くなるには」
11年前、アムの一軒家、突然家にやってきた眠っている少女、水城ユキノの父親が突然ユキノを預けてほしいと言われ、青髪の少女、蝶野アムの父親、蝶野カズヨシは非常に驚いていた。カズヨシは我に返り、ユキノ父に視線を向ける。
「待て待て待て!預けるってあれか!その子をうちの家で面倒を見てくれって奴か!」
「そうだよ。お願いだよ!こんなこと頼めるのカズヨシ以外いないんだ!」
カズヨシはユキノ父の頼みを断っていく。
「断る!いくらお前の頼みでも、それは聞くわけにはいかねぇ!自分で何とか面倒見てくれ!」
「無理なんだよ!僕はこの後大事な研究のために何年か家を空けなくちゃいけないんだ!姉も病気で病院に寝たきりなんだ!」
「だったら奥さんに面倒見てもらえよ!何でわざわざ俺のところに来るんだよ⁉」
「・・・妻はもういないんだ。交通事故にあって、それで・・・。もう頼みの綱はカズヨシだけなんだ!だからお願いだよ!ユキノを見捨てないでくれ!」
「うむむむむ・・・でもなぁ・・・」
カズヨシが困り果てていると、その様子を・・・というより眠っているユキノに対して目をキラキラと輝いていた。
「かわいい!ねぇねぇおじさん、このこ、なんていうなまえなの?」
「あ、アム⁉」
「えっ、えっと・・・ユキノっていうんだけど・・・」
「ユキノちゃんか~」
「・・・もしかして、ユキノと仲良くなりたいのかな?」
「うん!」
ユキノ父の言葉にアムは元気よく頷いた。
「ねぇおとうさん、わたしこのことともだちになりたい!だめ?」
「う~ん・・・」
カズヨシは返答に困っている。もしアムと友達になるのだとしたら、ユキノを預けなくてはいけなくなるのではないのだろうかと。
「おとうさん・・・」ウルウル
「うっ・・・わかった・・・その子はうちで預けるよ・・・」
アムの泣きそうな表情を見て、カズヨシは頼みを承諾する。
「ほ・・・本当かい⁉ありがとう!ありがとう!よかったね、アムちゃん。これでユキノと仲良くなれるよ」
「ほんとうに⁉やったーーー!!」
アムは心の底からうれしそうな表情をしている。
「・・・これは貸しにしとくからな」
「わかってるよ!この恩は必ず返す!絶対にだ!じゃあ、ユキノのことは頼んだよ!僕は急がなきゃいけないんだ!」
「あっ!ちょっと待ておい!聞きたいことが・・・!」
ユキノ父は眠っているユキノを託した後、大急ぎで職場へと戻っていく。聞きたいことがあったため、呼ぼ止めようとしたが、もうすでにその姿は見えなかった。
「・・・行ってしまいやがった・・・はあぁぁ~・・・」
カズヨシはユキノを抱きかかえ、深くため息をつく。そこにアムの母親、蝶野ユミがカズヨシに話しかけ、ユキノを見てこう質問する。
「水城さんはなんて・・・あなた、その子もしかしてだけど、水城さんの子供?」
「・・・ああ。この子はあいつの娘だよ。うちで預かることになった」
「・・・どういうことかちゃんと説明して」
カズヨシの言葉にユミは怪訝な顔をしながら訪ねる。
☆
居間で先ほどまでの経緯をカズヨシはユミに全て話す。アムはまだ眠っているユキノの頬をツンツンとつついている。
「それでこの子を預かるってことになったの?」
「ああ・・・そういう事だ」
「アムに弱いっていうかなんて言うか・・・」
「すまん・・・」
カズヨシは申し訳なさそうにユミに謝罪する。
「それで?これからどうするの?」
「引き受けた以上、今さら断るわけにもいかなくなったからなぁ・・・。とりあえずまずはうちに慣れてもらおうかなとは考えているんだが・・・」
「かなりあいまいね・・・まぁいいわ。でも、この子が起きたら耳をふさいだほうがいいと思うわ」
「え?何でだ?」
ユミの言葉にカズヨシは疑問符を浮かべる。
「あなたさっき多分この子は何も聞かされてない状態だろうっていったわよね?」
「え?ああ、言ったな」
「子供っていうのはたいてい見知らぬ場所に対して興味を持つ者もいる。そしてその逆は怖さを感じ取ったりするものなのよ。何も聞かされずにここに来たのならなおさら。目を覚ましたら・・・」
「う、うぅん・・・」
「あ、おきたー」
「来るわよ、とりあえず耳をふさいでて」
ユミは自身の耳をふさぎ、カズヨシはユミに言われるがままに、耳をふさぐ。ずっと眠ってたユキノは眠たそうに眼をこすりながら起きる。そして、辺りをきょろきょろと辺りを見回す。見知らぬ部屋、見知らぬ天井、そして見知らぬ人物を目の当たりにし・・・
「・・・・・・び・・・」
「び?」
びえええええええええん!!
ユキノは声を大にしてえんえんと泣き始めてしまう。あまりの声の大きさにカズヨシは顔をしかめてしまう。
「びええええええ!ここどこーー!!?やだやだやだーー!おうちかえりたいーーー!!」
「このようにあまりの怖さで泣き出しちゃうってわけ」
「マジかよ・・・あいつこのことわかって・・・るわけないか。あいつあれで天然だしな・・・」
いらぬ知識を知り、わざとやったのではと考えるがそれはないと断定したカズヨシ。理由はどうあれ、カズヨシはこのことに対してユキノ父をちょっとだけ恨んだ。
「びえええええええ!!」
「だいじょうぶだよ、なかないで」
「びゃあああああああ!!?だれーーー!!?あっちいってよーーー!!」
「あっ!」
アムはユキノを泣き止ませようとしたが、あまりの恐怖でユキノはアムを押し倒してしまう。アムは押されて尻もちをついてしまう。
「・・・うっ・・・」
「ちょっと・・・これはまさか・・・」
うわああああああああああん!!
アムはしりもちをついて、泣き出してしまう。
「うわああああああん!!ひどいよーー!!おしたおさなくてもいいのにーー!!」
「ああああ!やっぱこうなるのかああああ!!」
子供が2人も泣き出してしまうというなんともお約束な展開にカズヨシは思わず叫んでしまう。
「あなた!叫んでないで早くアムとその子を泣き止ませないと!」
「わ、わかってるよ!」
カズヨシは慌ててアムとユキノを泣き止ませようと近づく。
「だ、大丈夫だぞ、アム!ユキノちゃんはえーと・・・そう!照れてるだけなんだ!決して悪気があったわけじゃないんだ!ユキノちゃんも、ここは何も怖くないところだから安心してくれ!」
「うわああああああん!」
「びええええええええ!」
なんとか泣き止ませようとするが、アムとユキノは一向に泣き止んでくれない。
「そ、そうだ!アム、ユキノちゃん!こっちを向いてくれ!」
「う・・・?」
「び・・・?」
「いないなーい・・・ばあ!」
子供を泣き止ますにはいないいないばあしかないと思ったカズヨシはそれ実行してみせた。
「「・・・・・・」」
カズヨシのいないいないばあを見て、アムとユキノは・・・
「「わああああああああああん!!」」
泣き止ませるどころか、余計に泣かせてしまっているという結果を生み出してしまう。
「頼むよー!!泣き止んでくれよー!!あ、やべぇ、めっちゃ泣きそう」
泣き止んでくれない状況にカズヨシは若干自分も泣きそうになっていた。
「もう!何やってるのよ!余計に泣いちゃったじゃない!」
「そんなこと言われてもよー!」
「仕方ないわね・・・ちょっとどいてて」
「す、すまねぇ~」
ユミはカズヨシをどかしてアムとユキノの前に立つ。
「アム、大丈夫?」
「うっく・・・ひっく・・・」
「アム、あのね?ユキノちゃんはちょっと緊張してるだけで、悪気があって押し倒したわけじゃないの。それだけはわかってあげて?」
「うん・・・」
「ユキノちゃんと仲良くなるには、ちょっとだけ時間が必要なの。その時間は後で作ってあげるから、今日のところは部屋に戻って、おやすみなさい、しましょうね?」
「うん・・・」
「うん、いい子いい子」
アムは泣き止んでユミに頭を撫でられた後、自分のお部屋に戻っていった。
「さてと、後は・・・」
ユミは未だに大声で泣き続けているユキノに顔を向ける。
「びええええええ!!こわいよーーー!!おとうさん・・・いったいどこにいるのーー!!?」
えんえんと泣き続けるユキノにユミは優しく抱きしめる。
「大丈夫。怖くない、怖くないからね」
「ひっく・・・ほんとう?いじめたりしない?」
「もちろん、いじめたりなんかしないわ。ユキノちゃんのお父さんはね、大事な大事なお仕事があるんだって。それで、しばらくの間うちで預かってほしいんだって」
「それじゃあ・・・おとうさんにはあえないの・・・?そんなのやだよ」
「大丈夫。いつか絶対に向かいに来てくれるから。いい子にしていれば、お父さんの帰りも、きっと早くなるはずよ」
「ほんとう?」
「もちろん。だから、いい子にして、待っててもらえるかな?」
「・・・うん。わかった。ゆきの、いいこにしてる」
「うん♪ユキノちゃんも、えらいえらい♪」
ユミはようやく泣き止んでくれたユキノの頭を優しくなでてあげる。
「なんだか・・・おかあさんとおなじにおい・・・また・・・ねむくなっちゃった・・・」
ユキノは少し安心して再び寝込んでしまう。
「すまねぇ・・・俺が不甲斐ないばっかりに・・・」
「前々から思ってたんだけど、あなたって泣いている子供をあやすの超がつくほど苦手よね」
「俺としては精いっぱい努力してるつもりなのに・・・いったい何がいけないというんだ・・・」
ユミの言葉にカズヨシは落ち込んでしまう。
「そんなことよりも・・・本当にこの子を預かるつもりなの?」
「仕方ないだろ、引き受けちまったんだから。それに、今家に帰してもこの子は1人だろうって言ってたからな・・・」
「・・・そうね。さすがにこんなにかわいらしくておとなしい子を1人にさせるわけにもいかないしね・・・」
「まったく、仕事の休みをとってこの子と暮らせばいいのに、いったい大事な研究ってなんなんだろうな?」
「今をもっとよりよくする研究とは言ってたけど・・・考えても仕方ないわ。じゃあこの子、ベッドに寝かせておくから。あなたも今日は早めに寝なさいよね」
「そうさせてもらうよ。はぁ、今日はどっと疲れた。あいつには何おごらせてもらおうかな」
カズヨシはゆっくり眠ろうと自分の部屋に戻っていく。
☆
翌日の清々しい朝、ユミは今の近くにあるキッチンで家族全員の朝食を作っている。そこに眠そうな表情をしているカズヨシが入ってくる。
「ふわ・・・おはよう」
「おはよう。朝ごはん、もうすぐできるからちょっと待ってて」
「おう・・・ん?」
カズヨシは近くで涙目になっているアムを見つける。
「む~~・・・!」
「どうしたんだアム?何か嫌なことでもあったか?」
「・・・ゆきのちゃんとなかよくなりたいのに、ちっともちかづいてくれない。それどころかにげられちゃうの」
「ユキノちゃん?」
アムは別の部屋に通じる扉に指を指す。開かれてる扉の後ろには、隠れながらちらちらとこちらの様子を見てくるユキノの姿があった。その表情はとても恥ずかしそうにしている。
(・・・ああ・・・そういえばあの子、うちにやってきたね、昨日・・・)
カズヨシは昨日ユキノがやってきて、その後の出来事を思い出し、深くため息をつく。
「・・・はああぁぁ~・・・」
「?おとうさん、どうしたの?ぐあいわるいの?」
「いや、大丈夫だよ。ちょっとした軽い頭痛だから」
「だったらわたしがなおしてあげる!いたいのいたいのとんでけー!」
「ありがとうな、アム。すっかり頭痛が取れたよ」
アムの気遣いにカズヨシは笑って見せてあげる。頭痛が本当に取れたわけではないが、少し和らいだのだけはあっている。
「朝ごはんができたわよー。早く席に座っちゃって。ユキノちゃんも一緒にね」
「ああ」
「はーい。よんでくるよー」
アムは扉の裏に隠れているユキノを呼ぼうと近づこうとすると、ユキノはビクッとビビる。ユキノは近づいてきたアムから逃げるように離れて、ユミの足にしがみつく。
「・・・・・・///」
「あらあら、ずいぶんなつかれちゃったわね」
「昨日のあれが功を制したって奴か?」
「う~~・・・」ウルウル
ユキノに逃げられたアムはあまりのもどかしさに泣きそうな表情になっている。
☆
ユキノがアムの一軒家に来てから1週間がたった。アムはユキノと仲良くなろうと何度も話しかけようとするが、その度にユキノはアムから逃げようとする。そんなことが1週間も続き、アムは洗濯物をたたんでいるユミに相談する。
「ねぇ、おかあさん」
「ん?どうしたの?」
「わたし、ユキノちゃんにきらわれてるのかな?」
「え?どうしたの急に?」
アムの突然の質問にユミは首を傾げている。
「だって、あれからいっしゅうかんもたったのに、ゆきのちゃん、ちっともあそんでくれないの。あそぼうとしてもゆきのちゃんからにげられるし・・・。わたし、ゆきのちゃんになにかわるいことしたかな?わたしはただ、ゆきのちゃんとなかよくなりたいだけなのに・・・」
アムは悲しそうな表情をしながら首を俯かせている。事情を理解したユミはアムをそっと優しくなでてあげる。
「私はそんなことないと思うな。本当はユキノちゃんもアムと仲良くなりたいって思ってるんじゃないかな?」
「だって、だって・・・にげられちゃうし・・・」
「アム、ちょっとあそこを見てごらん?」
ユミは空いている扉に指を指す。アムはユミに言われた通りそこを見てみる。そこには恥ずかしそうにちらちらとこちらの様子を見つめているユキノの姿があった。
「ユキノちゃん、あれからずっとアムのこと、見てたでしょ?」
「うん。おかあさんやおとうさんがいても、ずっとわたしのほうをみてたよ」
「それって、アムに興味があるってことじゃない?」
「そうかなぁ?」
「きっとそうよ。でも話す勇気が出せないから、いきなり話しかけられてビックリしちゃってるのよ。焦らないで。まずは慣れるところから始めないと。そしたらきっと、きっかけは見えてくるはずだから」
「そっか・・・そうだよね!」
ユミの励ましでアムは元気を取り戻した。
「おかあさん!ありがとう!こんどはあせらず、ゆっくりいってみるね!」
「その意気よ!がんばって!」
アムは扉に隠れているユキノを近づく。
「ねぇ、ちょっと・・・」
「ぴぃっ!」ビクッ!
ユキノはアムに声をかけられてビクつく。そしてそのままアムから逃げるように離れ、またユミに抱き着き、アムから隠れる。
「・・・・・・///」
「うむむ~・・・」ウルウル
「といっても・・・馴染むにはまだ全然時間がかかりそうね・・・」
ユキノはユミの後ろに隠れながら、ちらちらとアムの様子を見ている。
☆
そしてさらにもう5日ほど経ち、相も変わらず今のような状況が続いている。その状況にカズヨシは少しため息がつく。そこで買い物袋を持ったユミがあることを提案する。
「ちょっと買い物に行ってくるんだけど・・・そこにアムとユキノちゃんを連れていったらどうかしら?」
「2人を連れていく?それに何の意味があるんだ?」
「ほらよく見て、アムはユキノちゃんと仲良くなりたいのに、ユキノちゃんは恥ずかしくて自分から進んでいこうとしない。かといって話しかけたらすぐに逃げられる。だったら、外に出して自然と2人一緒になれる状況を作ってしまえばいいんじゃないかなーって」
「なるほど・・・それ、いい考えだな」
「でしょ?じゃあさっそく、あそこにいる2人に声をかけなくちゃ」
ユミはユキノにどうやって声をかけようか悩んでるアムに近づく。
「アム、これから買い物に行くんだけど、一緒に行く?ユキノちゃんも連れていこうかと考えてるんだけど・・・」
「ほんとう⁉いくいくー!」
「じゃあちょっと待っててね。ユキノちゃんにも・・・」
ユミは今度は扉の裏に隠れているユキノに近づき、声をかける。ユミが相手だと逃げたりしていないユキノ。
「ねぇユキノちゃん、これから買い物に行くんだけど、外に出てみない?ここに来てからずっと家の中にいるでしょ?」
「え・・・?でも・・・さっききいてたけど・・・あの子にめいわくじゃない?」
「大丈夫。全然迷惑じゃないよ」
「じゃあ・・・いく・・・」
「決まりね」
ユミはユキノに手を差し伸べ、ユキノはその手を握りしめる。
「ほら、アムも」
「はーい!」
「・・・///」
アムはユミの反対の手を握りしめる。
「それじゃ、行ってくるわね」
「ああ。気をつけてな」
ユミはアムとユキノを連れて買い物に出かけてゆく。
☆
買い物に行く道中、ユキノは先ほどからアムのことを恥ずかしそうな表情でちらちらと様子を伺っている。
「ねぇねぇ、ゆきのちゃん」
「ぴっ・・・なに・・・?」
「ゆきのちゃんはどうしてわたしからにげるの?もしかして、わたしのこときらい?」
「き・・・きらい・・・じゃ、ないよ・・・ただ・・・はずかしくて・・・」
アムの質問にユキノは恥ずかしそうに、おどおどとした雰囲気で正直に答える。
「それに・・・なにもきかされないで、わけもわからないであなたのいえにきちゃってるから・・・しらないばしょとしらないひとをまえに・・・こわくなっちゃって・・・」
「そっか・・・」
「で、でも・・・にげてるのはほんとのことだし・・・あなたにめいわくかけちゃってるよね・・・?ごめんね・・・?」
「ううん。いいの。しょうじきにはなしてくれただけでもいまはうれしいよ」
「・・・あ、あの・・・なまえ・・・きいてもいい・・・?いつまでもあなたってよぶの・・・しつれいだと・・・おもう・・・から・・・」
ユキノは恐る恐るとアムの名前を訪ねてくる。初めて自分から名前を聞いてきたので、アムは満面な笑みで名乗る。
「わたしはあむ!ちょうのあむ!よろしくね!」
「ゆきのは・・・ゆきのっていうの。みずきゆきの・・・」
よそよそしく話してはいるが、会話は成り立っているので、これを見ていたユミは少しだけうれしそうな笑みを浮かべる。
(少しだけど・・・心を開いてくれたって感じかしら・・・)
☆
駅前にある店である程度の買い物を済ませた後、近くのベンチで一休みする。アムとユキノはさっきの饅頭屋で買った饅頭を何の会話もなく食べている。あれからというもの、ユキノは自分から話しかけようとはしない。アムが何を訪ねようとしても、一方通行な会話だけ。
(やっぱりそう簡単にはいかないか・・・)
次はどうしようかと考えていると・・・
「カアー!カアー!」
腹をすかせたカラスがユキノの持っている饅頭目掛けて飛んできた。
「か、カラス⁉ちょっと・・・何で・・・」
「カアー!カアー!」
「え・・・なに⁉なんでこっちくるの⁉」
「カアー!カアー!」
「や、やだやだ!これはわたしのだもん!あっちいってよー!」
カラスは空腹に飢えているのかユキノの饅頭に狙いを定めて、標的を変えようとしない。
「カアー!カアー!」
「び・・・びえええええ!!やめて!やめてよーー!!」
饅頭を守りながら、ついに泣き出してしまうユキノ。変わらずに標的を絞っている。
「こらー!からすめー!ゆきのちゃんをいじめるなー!」
「アム⁉」
「あ、あむちゃん・・・」
ユキノに絡んでるカラスにアムはユキノを助けようと前に出る。
「カアー!カアー!」
「これがほしいんでしょ⁉これあげるから、もうゆきのちゃんにつきまとわないで!」
「カアー!!」
アムが饅頭を出すと、カラスは標的を変更し、アムから饅頭をひったくるかのように奪って飛んでいってしまう。
「アム!ユキノちゃん!大丈夫⁉」
「わたしはだいじょぶー!ゆきのちゃんはだいじょうぶー?」
「だ、だいじょうぶだよ・・・ありがとう、たすけてくれて・・・。でも、あむちゃんのおまんじゅうが・・・」
「わたしはだいじょうぶ!へいきだよ!」
「・・・・・・」
ユキノはへっちゃらな表情をしているアムに先ほどまで守っていた饅頭を半分にちぎり、半分を渡す。
「はい、これ。さっきたすけてくれたおれいに、どうぞ」
「・・・いいの?」
「うん。さっき、からすさんにたちむかうあむちゃん、かっこよかったよ」
「・・・ありがとう!」
アムは半分の饅頭を受け取り、ユキノと一緒に饅頭を一口食べる。
「おいしいね、ゆきのちゃん!」
「・・・うん!」
初めてみせるユキノの満面な笑みに心の底からホッとする。
(よかった・・・ようやく心を開いてくれたのね・・・)
☆
アムたちの一軒家、3人は帰ってきたころにはすっかり夕方になっていた。
「「ただいまー」」
「おう、おかえり。その様子だと、うまくいったみたいだな」
そんな3人にカズヨシが出迎えてくれた。
「あ、あの・・・おじゃま・・・します・・・」
「おいおい、違うだろ?お邪魔します、じゃなくて、ただいま、だろ?」
「え・・・?」
ユキノの言葉にカズヨシは言葉を訂正する。それにはユキノは疑問符を浮かべる。
「何か間違ったこと言ったかな?」
「だ、だって・・・ゆきの・・・あずかられてるみだし・・・」
「確かにそうだ。でも、だからって遠慮する必要はどこにもないぞ?ユキノちゃんはもう、うちの家族みたいなものだからさ」
「あ・・・」
「ほら、もう1度、ただいまは?」
自分のことを家族だと思って、迎え入れた。そのことがユキノは嬉しくて・・・思わず感涙を流してしまう。
「た・・・ただいま・・・」ポロポロ
「ええ⁉な、何で泣くの⁉」
「あなた!何やってるのよ!泣かしてどうするの⁉」
「えぇ・・・そんなこと言っても・・・」
「ゆきのちゃん、なかないでー」
「だって・・・だって・・・びえええぇぇ・・・」
蝶野アム3歳、水城ユキノ3歳。お互いの距離が縮み合い、お互いに笑いあう日々が増えていくこととなるであろう。
to be continued…
ユキノ「小さかったころ、何かにときめくことってあると思う?例えばどきどきすることとか」
アム「当時の私は、いろんな人と交わえる場に、胸をときめかせ、ユキノは不安でいっぱいだった」
アム・ユキノ「「そう、小さき子供が集まる、小さな学びの場に」」
STRIDE3「幼稚園へ行こう!」